NOKID編集部
キャラクターIPの専門メディア NOKID Lab の編集部です。アニメーションとキャラクター制作を手がける株式会社NOKIDの知見をもとに、IPの起用事例やコラボ・ライセンスの実務、業界の動きを解説しています。



「ファンマーケティング」という言葉を聞いたことがありますか?これは、企業と顧客がより深くつながるためのマーケティング手法で、SNSの発展により注目を集めています。
接触方法が多様化する現代社会において、従来のマス層に対するアプローチだけでは十分な結果を得られなくなったと言われています。
そこで重要となるのが、自社製品やサービスに愛着を持つ「ファン」の存在です。ファンを生み出し、育成することで、企業は売上を伸ばしながら費用を削減し、持続的な成長を達成できるのです。
特に、リアルイベントのように、オンラインでの盛り上がりや行列を再現するような状態を作れることで、顧客が顧客を呼び寄せてくれます。
そこで今回は、ファンマーケティングの本質、そのメリット、成功事例、そして実際に取り組む上での重要なポイントについて詳しく解説しています。ファンマーケティングの鍵となる「ファン」の存在や、その生み出し方、育て方についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ファンのできるキャラクターの作り方は「ファンのできるキャラクターはどうやって作るの?特徴や作り方のコツを紹介」がおすすめです。
ファンマーケティングとは、企業や商品・サービスに対する熱狂的な「ファン」を増やすことによって、中長期的な売り上げを目指していくマーケティング手法のことです。
ビジネスの世界でのファンとは、企業の世界観、創業者の価値観、想いに共感して、熱狂的に企業を愛し、信頼している人のことを指します。最もイメージしやすい企業のファンとして、Appleを挙げることができます。毎年Appleから発表されるiPhone、MacBookなどの発表に注目し、発売当日には店頭に行列を作る姿が記憶にあるのではないでしょうか。
特別去年より進化した訳でも、競合他社と比べて価格が安い訳でもありませんが、Apple信者と呼ばれる人たち(ファン)は毎年必ず店頭に並びます。
このように、簡単には他の商品・サービスに目移りすることがないような行動をする顧客をファンと呼びます。そして、ファンを作ることが大きな売り上げに繋がる理由には「パレートの法則」が深く関係しています。
ファンマーケティングが注目されている背景には、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客との深い関係を維持し、そのリピート・継続利用を促進することが、事業の継続性にとって重要だという認識があります。
パレートの法則、別名「2:8の法則」をご存知でしょうか?これは、「会社の売り上げの8割は2割の顧客が生み出している」という法則です。つまり、企業にとっては、この2割のリピートする顧客、つまり「ファン」を大切にする施策を打ち出すことが重要ということなのです。
さらに、「1:5の法則」というものもあります。これは、新規に顧客を獲得するためには、既存顧客を維持するためのコストの5倍が必要とされているという法則です。米国のグローバル経営コンサルティングファームBain&Company社のフレデリック・ライクヘルド(Frederick Reichheld)の調査によれば、顧客維持率を5%上げると、利益が25%〜95%増加するというデータもあります。
つまり、5分の1のコストで獲得できる2割のファンをさらに熱狂させ、その数を増やすことを目指すマーケティング手法、それがファンマーケティングなのです。
インターネットショッピング・通販の普及、SNSの発展により、消費者の購買行動や情報発信の形が急速に変化しています。新規顧客を獲得するために、これらの市場の変化を察知し、柔軟に対応することも必要です。
しかし、環境の変化に左右されずに事業成長を実現するためには、既存顧客へのアプローチを改善し、より多くの方に自社のファンになってもらい、長期的な関係を継続することが重要です。これが、ファンマーケティングの真髄なのです。
参考:The Value of Keeping the Right Customers - Harvard Business Review
ファンマーケティングとファンベースマーケティングは、一見すると似ているように思えますが、その目指すところに違いがあります。ファンマーケティングは、企業や商品・サービスに対する熱狂的な「ファン」を増やすことによって、中長期的な売り上げを目指していくマーケティング手法のことです。
一方、ファンベースマーケティングは、ファンを中心としたコミュニティを形成し、そのコミュニティを通じて新たな価値を創出し、売り上げを伸ばすことを目指しています。
ファンマーケティングは、ファンを増やすことで売り上げを伸ばすという直接的な目的があります。それに対して、ファンベースマーケティングは、ファンが集まるコミュニティを通じて新たな価値を創出し、それが結果的に売り上げにつながるという間接的な目的があります。
つまり、ファンマーケティングは「ファンを増やす」ことが目的であり、ファンベースマーケティングは「ファンを通じて新たな価値を創出する」ことが目的となります。
マーケティングの世界では、顧客をただの購買者としてではなく、ブランドや企業に対する「ファン」または「コミュニティ」の一員として捉えるアプローチが注目を集めています。
これらの手法は、ファンマーケティングとコミュニティマーケティングと呼ばれ、それぞれ異なる特性と効果を持っています。
コミュニティマーケティングは、特定のブランドや商品に共通の関心や価値観を持つ人々=「コミュニティ」を形成し、そのコミュニティ内での情報共有や交流を通じてブランドの価値を高め、販売促進を図るマーケティング手法です。
コミュニティマーケティングでは、顧客同士の交流を重視し、その交流を通じてブランドへの愛着を深め、長期的な顧客ロイヤルティを構築します。
例えば、特定の製品を愛用するユーザーが集まるオンラインフォーラムや、ブランド主催のイベントなどがコミュニティマーケティングの一例です。これらの場で顧客同士が情報を共有したり、経験を共有したりすることで、ブランドへの愛着や信頼感が深まります。
ファンマーケティングとコミュニティマーケティングは、どちらも顧客との深い関係性を築くことを目指していますが、そのアプローチの方法と焦点が異なります。
ファンマーケティングは、顧客を企業やブランドの「ファン」として捉え、そのファンがブランドを熱烈に支持し、自発的にブランドを推奨することを目指します。ファンマーケティングの成功例としては、Appleのようなブランドが挙げられます。Appleのファンは、新製品の発売日には店頭に行列を作るほどの熱狂を見せ、その行動は他の商品やサービスに目移りすることが少ないとされています。
一方、コミュニティマーケティングは、共通の関心や価値観を持つ「コミュニティ」の形成とその活性化を目指します。コミュニティ内での情報共有や交流を通じて、ブランドへの愛着や信頼感を深め、長期的な顧客ロイヤルティを構築します。
つまり、ファンマーケティングは個々の顧客との強い絆を作り上げることに重点を置き、一方でコミュニティマーケティングは顧客同士の関係性を重視し、その中でブランドの価値を高めることを目指します。
ファンマーケティングとコミュニティマーケティングは、それぞれ異なるシーンで効果を発揮します。
ファンマーケティングは、特定のブランドや製品に対する強い愛着や熱狂を持つ顧客を対象としています。そのため、高度なブランドロイヤルティを持つ顧客を持つ企業や、特定の製品やサービスに対する熱狂的なファンを持つ企業が、ファンマーケティングを効果的に活用できます。
一方、コミュニティマーケティングは、共通の関心や価値観を持つ人々が集まるコミュニティを形成し、そのコミュニティ内での情報共有や交流を通じてブランドの価値を高めることを目指します。そのため、特定の趣味やライフスタイル、価値観を共有する人々を対象とした製品やサービスを提供する企業が、コミュニティマーケティングを効果的に活用できます。
これらのマーケティング手法は、それぞれ異なる特性と効果を持っていますが、両方を組み合わせて活用することで、より強力な顧客エンゲージメントを実現することも可能です。
ファンマーケティングの魅力は、何と言っても安定した売上基盤を築くことができる点にあります。なぜなら、企業の売り上げの大部分は、熱狂的なファンの存在によって支えられているからです。
ファンは、他の商品に簡単に目移りすることなく、中長期的に安定した売上を生み出す力を持っています。
さらに、ファンマーケティングの力は、成熟市場でもその効果を発揮します。新規顧客の獲得が難しくなる成熟市場であっても、ファンを増やすことで安定した売上を維持し、さらに伸ばすことが可能なのです。
こうして売上基盤が確保されていることは、サービス改善に投資しやすくなることに繋がるため、結果的にファンにとっても有益となります。
ファンマーケティングが成功すれば、良質な口コミが自然と生まれます。そして、その口コミが新規顧客の獲得に大きく貢献します。新規顧客の獲得は、既存顧客の維持に比べて5倍の時間とコストがかかると言われています。
経営を順調に行うために「コストをあまりかけたくない」と、経営者やマーケティング担当者であれば考えることですが、売上やシェアを伸ばすには「既存顧客の5倍ものコスト負担は避けては通れない」といったもどかしさが存在しています。
しかし、良質な口コミにより新規顧客の獲得がスムーズになれば、そのコストを大幅に削減することが可能となります。もし、口コミをインフルエンサーなどに行ってもらう場合、本当のファンではないことはユーザーには分かってしまいます。
こうした「やらせ」の観点においても、本当のファンからの発信を増やすことは非常に重要ではないでしょうか。
ファンマーケティングを活用すれば、広告費の削減にもつながります。ファンとなった顧客は、自分が熱狂的に支持する商品・サービスを他人にも知ってほしいと考え、自発的に宣伝活動を行います。
例えば、自分が気に入った商品をイメージしてみてください。友人や知人に、その良さを知ってもらおうと前屈みになってアピールした経験はないでしょうか?
このように、宣伝活動の中でも特に力を発揮するのがSNSやリアルでの宣伝(商品のレビュー)なのです。これらの宣伝は、自社で商品をPRするよりも効果があり、結果として広告費の削減に繋がります。
前述でも触れましたが、インフルエンサーやアフィリエイターに報酬を払って自社の紹介をしてもらう場合、相応のコストが必要です。ファンマーケティングを活用すれば、自分が熱狂的にハマっている商品・サービスを知ってほしいと考え、熱のこもった宣伝を見返りなくしてくれます。
ファンマーケティングの注意点でもあるのが、ファンを作るまでの時間です。ファンマーケティングは、始めてすぐに利益が出るほど甘いものではなく、むしろ時間が経てばストーリーが生まれ、そのストーリーに共感して顧客はファンになっていきます。
一見すると注意点であるファンが出来るまでの時間は、見方を変えれば実は高い参入障壁となり、誰でもできるわけではないので、構築することによって大きな差別化ポイントとなるでしょう。
ファンマーケティングは、一般的なマーケティング手法よりも顧客と近い距離でコミュニケーションを取る手法です。そのため、企業の告知の情報よりも、企業に勤める人の本音や人柄が分かるような情報に興味を持ち始めます。
企業の人の本音などの情報は、告知の情報発信よりも個人の考えや想いが混ざっているので、予測できないような炎上のリスクもあるのです。意図的ではないにしても、反感を買うことも考えられます。
そのため、事前に炎上や反感を買った際に、企業としてファンの方達をがっかりさせない立ち回りを考えておきましょう。
ファンマーケティングを進める際に重要な戦略設定に関してご紹介します。
ファンマーケティングを行う前に、明確にするべき点であるのがファンの定義です。
ファンの定義は企業によって異なりますが、企業の世界観、創業者の価値観などに共感し、商品・サービスを多く活用してくれるといった人物像が当てはまります。
そこで、さらに正確にファンを定義する方法を紹介します。
具体的にファンを定義するには「購買データ」と「感情データ」の2つの軸から考えていく必要があります。
購買データとは実際にどれほどのお金を使ってくれているかというデータであり、感情データとは企業にどれほどの愛情や信頼があるのかというデータのことです。
それぞれのデータを計測する際は、購買データは売り上げの数値からある程度把握し、感情データはNPSという指標で判断することができます。
NPSとは「ネットプロモータースコア」と呼ばれ、今まで計測が難しかった「企業やブランドにどれほど愛着と信頼があるのか」を数値として定義したデータのことです。
このデータを使い、購買データと感情データの2つの面から感覚に頼らず定量的に把握して、ファンの定義について考えてみてはいかがでしょうか。
ファンの定義が出来たら、そのファンが求めているものを理解しましょう。具体的には、顧客満足度調査やインタビュー、モニター募集などの方法が挙げられます。
他にも、ファンマーケティングとして取り組むSNS上での活動を通じて、ユーザーの生の声を知ることもできるでしょう。一人ひとりのファンのリアルな声を把握することで、数字上で見えてこなかった課題が見つかるかもしれません。
そして重要なのが、そのファンが求めている要素を自社のサービス・商品に取り入れ、他者との差別化を図る点です。これが、ユーザーがファンになる理由、応援したくなる理由につながり、簡単に他社に流れない強力な軸となります。
ファン同士がつながるコミュニティサイトや、ファンミーティングなどを設けることも大切です。実際にファン同士が交流を持つことで、競合他社にブランドスイッチすることも防げる効果があります。
また、企業側もファンとの接点を容易に作ることができたり、ファンの会話の中から企業側にとっても新しいアイデアを得ることができたりするので、交流の場は積極的に創ることを意識してみましょう。
ファンマーケティングを成功させる為には、ファンとの密なコミュニケーションは非常に重要となります。その際に活用すべきなのがTwitterをはじめとしたSNSです。
実際にファンマーケティングを行っている会社は多いので、コミュニケーションの密度で差別化を狙うことがポイントでしょう。
例えば、自社の商品・サービスを利用して、SNSに投稿している人に「いいね」などで反応する、フォロワーからのコメントに返答するなどがあげられます。価値観が多様化している現代では、特定のチャネルに顧客が集まっていないため、複数のタッチポイントを設ける必要があります。
そのため、TwitterやInstagram、Facebookなど、複数のSNSでアカウントを開設することで、顧客の接点を増やすことを推奨します。
企業ではなくユーザーによって作られたコンテンツを「UGC」と呼びます。SNSなどで見かける消費者発信のコンテンツは、ファンマーケティングの効果を最大化する重要な要素として挙げることができます。その理由の一つが、素人発信の価値が高まっていることです。
ネットの口コミで商品の購入を検討するなど、一般ユーザーの口コミの信頼性は高く、情報的な価値があると感じている方は多いのではないでしょうか。
ファン発信のコンテンツは、SNSを通じて多くの人の目に留まり、ファン以外の人にもその魅力や楽しみ方が伝わり、新たなファンを生み出す。代表的な例を挙げるならば、作業服の大手ショップ「ワークマン」もそのひとつです。
女性客や若年層の開拓のため、Instagramを活用したUGC×マーケティングに力を入れており、SNSを通じてワークマンの魅力を知る女性が増えています。
ここからは、実施にファンマーケティングを実施し成果をあげている企業を紹介します。

うどん専門の飲食チェーンである丸亀製麺では、ツイッターやInstagramを活用してユーザーと直接やり取りを行っています。
ツイッターのフォロワー数は100万を超え、SNS上でユーザーとの直接的なやり取りが生まれる「500円引クーポン」などのキャンペーンを積極的に実施しています。
また、ユーザーが撮った丸亀製麺の写真投稿をリツイートしたり、DMでのやり取りが生まれることで、ユーザーの愛着を生み出しています。
その結果、リピート来店やファンによる自発的な投稿につながっています。
また、2019年には「ごはんですよ!」でお馴染みの桃屋とコラボレーションし、プロモーション前にファンミーティングを開催しています。
丸亀製麺のうどんと桃屋のトッピングを活用したレシピを熱く議論するなど、ファンと直接交流をする機会を作っています。

カゴメでは、自社商品における熱狂的なファン獲得に向け、2015年に会員制のコミュニティサイト「&KAGOME(アンドカゴメ)」を開設しました。
単に情報発信や商品の宣伝を行うだけにとどまらず、「顧客としっかりつながるために開設した」と当時の広告部宣伝グループ課長の水野氏は話しています。
実際サイトには、顧客同士が気軽におしゃべりできる掲示板が設置されていたり、顧客によるコンテンツの投稿に対して他の顧客がコメントできるシステムが整っていたりするなど、顧客を巻き込みながら運営している体制が確認できます。
2020年には会員数がおよそ3万人を超え、ファンマーケティングにおける成功事例と言えます。
ここまでの内容をまとめてみます。
既存顧客をファン化させることで中長期的に安定した売上基盤を構築する事ができるので、今回の記事を参考に、是非ファンマーケティングを積極的に行ってみてください。これからファンマーケティングを実施される方に今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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