テレビCMやWebサイトの動画広告、電車の案内板などの場面で目にする機会の多い「モーショングラフィックス」を知ってはいるものの、以下のような疑問があるかもしれません。
「モーショングラフィックスって、最近よく耳にするけれど、具体的にどうやって作るの?」
「どんな場面で活用すると効果的なの?」
実際、ただ動きのある映像を作るだけでは、その魅力を最大限に活かすことはできません。制作時のポイントとしては、視聴者のインサイトを見極めたシンプルなメッセージを考えることです。
また、モーショングラフィックスの活用方法ですが、Webサイトのヘッダーや、商品の説明動画、SNSの広告など、さまざまな場面で利用できます。特に、新商品の特徴やサービスのメリットを短時間で伝えたい時、モーショングラフィックスはその力を発揮します。動きのある映像は、視覚的にインパクトがあり、情報を効果的に伝えることができるのです。
そこで今回は、モーショングラフィックスを効果的にPRに活用したい方へ向けて、特徴や活用方法、事例、作成の流れなどをご紹介していきます。
モーショングラフィックスを含む"アニメーション動画全般"の費用感や特徴については「【種類別】アニメーション動画制作の料金が知りたい!種類別の制作料金と活用例を解説」がおすすめです。
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モーショングラフィックスとは図形に動きをつける制作技法
モーショングラフィックスとは、絵や写真、文字、図形、ロゴなどの静止画像や素材に、動きと音を加えて動画にしたもので、動画と静止画像の中間となります。
例えば、CMやプロモーションビデオ、映画・テレビのオープニングで文字が大きくなったり、回転したりなど様々な動きで表現されます。
従来、モーショングラフィックスは、専門的な知識が必要な難易度の高い技術でしたが、コンピューターの性能向上や高機能なソフトの普及などにより取り入れるハードルが下がってきています。
例えば、プロ向けの制作ツールとして「Adobe After Effects」などがあります。これらのソフトを使えば、文字や画像に動きをつけることができ、オリジナルのモーショングラフィックスを作成することが可能です。
モーショングラフィックスのトレンドは以下のような種類が挙げられます。
リキッドモーション
モーショングラフィックスにぬるっと流れるような動きを取り入れた効果のことです。
継続的な画面の動きや変化をもたらし、新鮮で印象的なグラフィックスに仕上がります。
アニメーションロゴ
自社ブランドの印象付けの為に利用されるモーショングラフィックスです。
キネティックタイポグラフィ
文字を伸縮させる・ねじる・ゆがめるといった動きが取り入れられたグラフィックモーションのことです。
モーフィング
シームレスなトランジションでひとつの物体を別の物体に変化させる手法です。
ここまでモーショングラフィックスについて説明してきました。
ではどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはメリットをいくつかご紹介していきます。
モーショングラフィックスのメリット
情報が視聴者に的確に伝わる
モーショングラフィックスは視聴者に的確に情報を伝えることが可能となります。
例えばキャラクターの静止したイラストはデザイン面を伝えることができます。
ここに、動きを付け加える事でキャラクターの個性も伝えることが可能となり、視聴者の心にも残りやすくなります。
人の心に残れば認知度もおのずと上がっていくことが期待できます。
コストを抑えられる
モーショングラフィックスは、アニメーションや実写動画と比べ、コストを抑える事ができます。
例えば実写動画を作成する際には、キャスティング、資材調達、撮影、人件費など金銭面、時間面共に様々なコストがかかります。
しかし、モーショングラフィックスであれば市販のソフトを用いて制作が可能な場合があり、専門的な知識も必要ありません。
このように、実写でかかる人件費や物的コストが発生しづらくなり、コストを抑えることが可能となります。
しかし、より質の高いグラフィックデザインを利用したいのであれば、専門的な知識・スキルが必要となるため、制作会社に依頼する必要があります。
使用できる用途が多様
モーショングラフィックスは、CM、プロモーションビデオ、映画、テレビなどの使用だけでなく、学校の教材ビデオ、入力フォーム、プロジェクションマッピングなど様々な用途で利用できます。
例えば学校の教材であれば図形の移動を分かりやすく際に利用することで、生徒の理解を促進できます。
モーショングラフィックスを活用した動画事例
任天堂株式会社
任天堂株式会社は大人気ゲーム機「Nintendo Switch」のソフトを紹介する際の冒頭などに、左右のコントローラーをはめる際の「カチッ」という軽快な音と連動して動くロゴを作成し活用しています。
ロゴに動きを加える事でブランドイメージを付けるとともに、モーショングラフィックスを見るだけでファンは新しいゲーム情報への期待と高揚感を感じます。
グラフィックモーションに心地よさを覚えさせ、印象付けに成功した事例です。
サグラダ・ファミリア
ガウディが設計し、未完の聖堂として有名な、スペインのバルセロナの世界遺産「サグラダ・ファミリア」において2012年にプロジェクションマッピングが実施されました。
音楽に乗せ、カラフルで色鮮やかな色と光の特徴的な演出により、人々の心にインパクトを多く残した事例です。
Dropbox
Dropboxはファイルを安全・簡単に共有できるクラウドストレージです。
2Dグラフィックで必要なファイルを共有・保管するというコンセプトを、グラフィックモーションを活用することで的確に伝えています。
人々にアプリの認知を高めてもらうための簡単な方法を強調するとともに安全性も伝えています。音楽や色も分かりやすくすることで認知の拡大に成功した事例です。
国土交通省
国土交通省は、羽田空港において、首都圏の国際競争力強化や地域と海外の交流による地域活性、インバウンドなどを目的として2020年3月29日から新飛行経路の運用を開始しました。
その告知の際に利用したのがモーショングラフィックスです。
報道番組のようにアナウンサーと解説者がナレーションを行い分かりやすく説明しています。
イラスト・背景は細部まで作りこみ、空や海を連想させる青をベースカラーとして採用し、信頼感を感じさせるような動画になっています。
新飛行経路・信頼感など伝えたい事が表現されたモーショングラフィックスの事例です。
モーショングラフィックスを作成する流れ
ここまでモーショングラフィックスについて事例とともにご紹介してきました。その中で「制作の流れを知りたい」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。
ここからはモーショングラフィックスの制作にあたる流れをご紹介していきます。
映像制作のポイントを知る
ただ動きのある映像を作るだけでは、その魅力を最大限に活かすことはできません。
では、モーショングラフィックスを制作する際には、どんなポイントを抑えれば、PRで効果的なモーショングラフィックスを作れるのでしょうか。具体的なポイントを以下に挙げてみました。
ターゲットを明確にする
どんな層に向けて、どんな情報を伝えたいのかを明確にすることが大切です。
メッセージをシンプルにする
複雑な内容は伝わりにくいので、伝えたいことをシンプルにまとめましょう。
視覚的なインパクトを大切にする
色使いや動きの速さなど、視覚的な要素で視聴者の心をつかむことが重要です。
情報の流れ(シナリオ)を考慮する
映像の始まりから終わりまで、スムーズな情報の流れを意識しましょう。
プロモーション動画のように、実際の制作作業ではなく企画者として、ポイントを知っておきたい場合は「反応を得られるプロモーション動画の作り方とは?企画方法から外せないポイントまで紹介」も参考にしてみてください。
映像の利用目的を設定する
どの動画制作にも共通していえることですが、目的の明確な設定を始めに行うことが非常に重要です。
商品・サービスの紹介、企業ブランディング、採用活動など様々な目的が考えられます。
視聴者に何を伝え、どのようなアクションを取ってほしいのかを考え、それを達成するためにモーショングラフィックスが適しているかを考えましょう。
視聴者に適したストーリーを作成する
最初に設定した目的を元にストーリーを考えていきます。
ここで時間をかけてメッセージやストーリーを明確にすることで、後からのやり直しが少なくなっていきます。できるだけシンプルに設定し、視聴者に伝わりやすくなる事を意識することが重要です。
そのためには、視聴者のもっとも核となる心理(悩み・喜び)に訴えかけることは何かを考え抜く必要があります。
関連記事:PR施策の企画書を"読まれる"ように作成するコツは?何を入れたら伝わるのか解説
表現するデザイン・テイストを決める
ストーリーを作成したら、それを表現する適したデザインやテイストを決めます。デザインは動画の印象を左右する非常に重要な要素です。目的や伝えたいメッセージに合わせた世界観にしていきます。
デザインの方向性が決まったら、絵コンテなどで大まかな流れを可視化します。他にも、絵コンテとともに必要な素材を撮影したり、購入して制作をスムーズに進めるために必要なものを揃えておきましょう。
絵コンテは、社内など複数人が共通の認識を持つためにも、非常に重要です。制作後の修正は時間も費用も大きくなってしまうため、制作後のギャップをなくすためにも時間をかけて認識を合わせていきましょう。
また、絵コンテには"編集を計画通りに進めるための計画書"という役割もあるため、特に気を抜けないプロセスだと考えておきましょう。
編集
ストーリーや絵コンテを元に編集していきます。テロップが必要であればテロップも入れていきます。
さらに、映像が完成したら効果音などの音も入れていきます。
絵コンテではイメージしづらい動きの部分や音が計画していた世界観に合致しているか都度確認しながら作業を進めていき、納得がいくものができたら完成となります。
モーショングラフィックスの作成ソフト・ツール
ここから、モーショングラフィックスを作成できるソフトをいくつかご紹介していきます。
Power Director
Power Directorは8年連続でBCNアワードの最優秀賞に輝くなど、国内販売本数No.1の人気動画編集ソフトです。
個人やプロ、企業など幅広い人が活用しています。
動画編集に必要な機能が全て備わっており、初心者に分かりやすく、加えてAI技術を多用した編集機能などの補助で難しい学習過程を経ることなく利用することができます。
Adobe After Effects
アドビアフターエフェクトは、クリエイターやアーティストに知らない人がいないと言われるAdobeのモ-ショングラフィックスソフトです。
Adobeが展開するPhotoshopやIllustratorとの親和性が特徴で、それらで使用する素材や写真を使ってアニメーションの作成をしたり、動きを付けたりすることができます。
ただし、月額料金が必要なため、普段から仕事で使う人に向いています。
AviUtl
エーブイアイユーテルは日本人が開発した完全無料のソフトです。
プラグインを導入することで様々な機能を追加することができます。
また、低スペックPC でも非常に使いやすいという特徴もあります。
ただし、無料なため、サポートはほとんどなく、動画を書き出す(レンダリング)作業をするためにも「拡張編集プラグイン」をインストールする必要があります。
ある程度PC知識がある人に適したソフトです。
モーショングラフィックスは独学で制作できるの?
ここまで読んでいただいた中に、自分制作したいと考えた方もいらっしゃると思いますが、同時に独学でできるの?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
結果から言うと、モーショングラフィックスの基本的な内容は独学でも十分に学べます。基本的な知識であればそこまで複雑ではありません。サポート機能がついているソフトや本、YouTube動画が参考になりますが、短時間で仕事レベルを目指すのであれば苦労するかもしれません。
基本だけ知って外注化をスムーズにする目的であれば独学でも問題ありませんが、短期間でハイクオリティなものを目指すのであれば、独学に加えて専門の指導を受ける方が効率的です。
ただし、映像制作において重要なのは、映像の使用目的に沿った内容であることや、視聴者にどんなメッセージを伝えるかという"企画部分"です。そのため、どちらのノウハウも足りないということであれば、外部パートナーの力を借りることをおすすめします。
関連記事:動画制作を依頼するのはリスク?後悔しないアニメーション動画制作の依頼方法を解説
モーショングラフィックスをマーケティングに活かす方法
ここから、実際にどのようにモーショングラフィックスを活用するのかいくつかご紹介していきます。
ソーシャルメディア広告
Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディア広告にグラフィックモーションは効果的です。
短い動画広告はユーザーの目を引き、興味を持たせることに非常に効果的です。
ブランド紹介動画
モーショングラフィックスを使ってブランドのストーリーを伝えるブランド紹介動画。
ブランドのアイデンティティやミッションを視覚的に表現し、ブランドの認知を高めていくことが期待できます。
製品・サービスのデモンストレーション
製品・サービスの使い方をモーショングラフィックスで作成することで、視聴者に分かりやすくことができます。
また、実写動画と比べて印象に残りやすくなることも考えられます。
インフォグラフィックス
言葉や数字だけでは分かりづらい情報を「整理」「分析」「編集」してイラスト・チャート・グラフ・表・地図などで表現したものをインフォグラフィックスといいます。
このインフォグラフィックスにモーショングラフィックスを利用してデータや統計を作成することで、専門的な情報をより、分かりやすく伝えることができます。
先ほどご紹介した羽田空港の事例はインフォグラフィックスにモーショングラフィックスを活用した事例です。
教育コンテンツ
教育コンテンツをモーショングラフィックスで作成することは非常に効果的です。
例えば算数の問題において図形の移動などは静止画だとイメージしづらいですが、モーションが入ることで動きがイメージしやすく理解の促進につながっていきます。
モーショングラフィックスについてのまとめ
ここまでのポイントをまとめてみます。
・モーショングラフィックスは、絵や写真、文字などの静止画像に動きと音を加えたもの
・CMやプロモーションビデオ、映画・テレビのオープニングでよく使用される
・従来は専門的な知識が必要だったが、技術の進化で取り入れやすくなっている
・リキッドモーションやアニメーションロゴ、キネティックタイポグラフィなどのトレンドが存在する
・視聴者に情報を的確に伝えることができる
・アニメーションや実写動画に比べコストを抑えられる
・用途が多様で、様々な場面で活用可能
・作成の流れは、目的の設定から編集までのステップがある
・Power DirectorやAdobe After Effectsなどのソフトで作成可能
・技術の発達で独学でもモーショングラフィックスの制作は可能
モーショングラフィックスは多くの企業が活用しており、静止画よりメッセージ性や印象への残りやすさを持ちます。メッセージが重視される企業のPR・マーケティングにおいて、モーショングラフィックスを上手く活用してみてください。アニメーション全般やキャラクターの活用まで、お困りの際はご相談ください。
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