2024.01.26

2024.09.30

企業でアニメーション動画が活用される理由とは?活用事例も解説

「最近、アニメーション動画を使った広告を見かけることが多くなりましたが、効果は変わるのでしょうか?」このような疑問を持つ人は少なくありません。多くの企業が、実写広告や著名人を使った直接的な商品紹介に依存していますが、市場の動向は変化しています。

ブランド企業での商品開発やデジタルマーケティング分野で10年以上の経験を持つ私は、多くの企業が実写の広告や著名人をキャスティングする手法、そして直接的な商品やサービスの紹介に依存していることを見てきました。これらの手法は一定の効果を持っていますが、多様化したメディア環境では、新しいアプローチが求められています。

アニメーション動画は、その視覚的魅力とストーリーテリングを通じて、見込み客の関心を引きつけて、スキップされづらい状況を作りやすくなります。そして、幅広い表現力で複雑なメッセージを分かりやすく伝えることにも向いています。

しかし、一部には「アニメーション動画は映像作品に使われるものだから、ビジネスには不向きでは?」という声もあります。ですが、それはビジネスにも合うように表現できるか次第だと言えます。そもそもブロックされたら、今後観てもらえなくなる現代では、商品のアピールをさせてもらえる状況を作ることが重要です。

アニメーション動画による認知度アップやブランディングが成功するためには、ただ単にアニメーション表現を使うだけではなく、ブランドのメッセージを的確に伝える内容(シナリオ)であることが不可欠です。他にも、ターゲットとメッセージに合わせた慎重なプランニングが求められます。

そこで今回は、企業でアニメーション動画が活用されるメリット・デメリット、具体的な活用例や事例を紹介していきます。この点を理解し、適切なストーリーテリングとキャラクターの活用で、ブランドの魅力を最大限に引き出しましょう。

アニメーションに不可欠なキャラクターについては「キャラクターを活用するメリットとは?デメリットや効果も解説」を参考にしてみてください。


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<記事のポイント>
・アニメーション動画が消費者の注意を引きやすい理由が分かる
・アニメーション動画が分かりやすく伝えられる理由が分かる
・アニメーション動画の活用が競合との差別化につながる理由が分かる
・アニメーション動画制作が長期的なブランド価値を作る理由が分かる

企業(ビジネス)でアニメーション動画が活用される理由とは

アニメーション動画が、企業において活用される理由は以下の3点です。

  • 国内のアニメ視聴者数の多さとアニメCMが増えた背景
  • 顔出しなしでYouTubeの広告収益を得られる
  • IPビジネスによる新たな収益化の手段を得られる

それぞれについて、下記で詳しく解説していきます。

国内のアニメ視聴者数の多さとアニメCMが増えた背景

アニメマーケティング白書2020」によると、国内のアニメ視聴者数はなんと3,500万人を超え、多くの方に視聴されていることがわかります。

国内アニメ視聴者数
出典:アニメマーケティング白書2020 - エンターテイメント分野の消費動向調査(株式会社KADOKAWA Game Linkage)

国内においてアニメ視聴は、幅広い年代かつ多くの人に愛されています。そういった影響力や馴染みのある点から、企業でも活用しようというケースが増えてきました。

企業のアニメーションCMが増えた理由は?

近年、多くの企業がアニメCMを積極的に採用しています。その主な理由は、デジタルメディアの普及が大きく影響しています。インターネットやスマートフォンの普及により、アニメーションの視聴が容易になったことが、この傾向を加速させています。

アニメーションCMの活用メリットは以下が挙げられます。

<メリット>
コストが抑えられる
多彩な表現ができる
修正がしやすい
オリジナルキャラクター(擬人化)を使用できる
参考:アニメーションを企業動画に活用しよう!その種類やメリットを事例をもとに紹介!|KIC factory

さらに、アニメーションが持つ独特の表現力とストーリーテリング能力は、広告として非常に効果的です。アニメは、複雑なメッセージや抽象的なコンセプトを視覚的に魅力的で分かりやすい形で伝えることができ、消費者の心に深く残ります。

また、実写CMに比べてアニメCMは、キャスティングのリスクが低く、長期的なブランドイメージの構築に役立ちます。実写では、著名人のスキャンダルなどによるイメージの急変がリスクとなり得ますが、アニメキャラクターではそのような問題が生じにくいのです。

このような背景から、アニメCMは多くの企業にとって魅力的な広告手法となっており、今後もその利用は増えていくことが予想されます。

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顔出しなしでSNS(YouTube・TikTok)の広告収益を得られる

YouTubeでアニメーション動画を公開するイメージ
出典:Grace Aimi - True Feelings (Prod. GC & Chaki Zulu) [Animated Video] - YouTube

アニメーション動画を制作すると半永久的に使用できるため、一度制作してしまえば社内の財産になるというメリットがあります。例えば、TikTokやYouTubeチャンネルに動画をアップしていけば、社内研修で毎回同じ説明を効率化できたり、採用時の会社説明も求職者が好きなタイミングで視聴できます。

映像作品として楽しめるものであれば、広告収益を得ることにも繋がるように、活用方法はさまざまです。

このように、効率化・自動化ができるだけでなく、動画による収益化も見込めるのです。

しかし、実写で撮影した動画も、同じように永久的に使用することは可能ですが、アニメーション動画であれば、動画に出演する社員が退職した際に、動画を差し替える必要がなくなります。さらに、撮影時の手間やコストを省けるといったメリットもあります。

<関連記事>
【解説動画】アニメーションを用いた動画教材が社員教育に注目されている理由とは?
YouTubeの自主制作アニメーションチャンネルとは?事例や企業とタイアップするメリットも解説

IPビジネスによる新たな収益化の手段を得られる

出典:ハローキティ

上記でも解説した通り、一度制作したアニメーション動画は半永久的に使用することができます。YouTubeでアニメーション動画を公開するなど、動画自体を繰り返し複数の場所で使用できるメリットもお伝えしてきました。

じつは、これら以外にも制作時に手がけたオリジナルキャラクターを使って、IPビジネスによる収益化をすることも見込めるという大きなメリットもあります。

IPビジネスの一例として、サンリオのキャラクター「ハローキティ」が挙げられます。ハローキティはさまざまな企業とコラボレーションを行なうことで、IPビジネスとして他社企業からの利益を得ることができています。

関連記事:キャラクターを用いたコラボ戦略と活用事例から成功の秘訣を探る

参考:サンリオ公式HP「 事業内容・ビジネスモデル 」

企業(ビジネス)アニメーション動画の活用の仕方・方法

企業(ビジネス)アニメーション動画の活用の仕方・方法

活用方法を考える際に、まず考えるべきなのは「アニメーション動画の活用目的を明確にする」ことです。

企業では、アニメーション動画を作品として見せることではなく、自社のことやサービスを知ってもらって業績アップにつなげるなどの「何らかの目的を叶える手段」であるケースがほとんどです。

もちろん、映画などの作品そのもので収益を得ることも挙げられますが、大切なのは「企業で使うならアニメーション動画によって目的が達成できるか?」と考えることです。つまり、必ずしも映像としてのクオリティが最優先ではない場合があるということです。

活用目的ごとに、アニメーション動画の考え方をそれぞれ解説していきますので、目的に沿った動画を計画していく参考にしてみてください。

行動を促すために動画を活用する

企業で動画を活用することは、以下のようなメリットが挙げられます。

・WEBサイトのコンバージョン率向上
・SNSでの拡散性とエンゲージメントの増加
・検索エンジンでの上位表示の可能性
参考:中小企業こそ動画コンテンツの活用がオススメな理由を解説|studio Sakusora

また、より具体的な活用方法を順にご紹介していきます。

集客のアニメーション動画

集客を目的としたアニメーション動画の場合、顧客の感情を刺激するストーリーを表現したもので需要を生み出すことが大切です。他にも、商品やサービスのUSPと呼ばれる他社との違いをシンプルに表現するといったことにも向いています。

基本的には、問い合わせや資料請求、商品購入といった何かしらの行動に「直接的」または「間接的」に影響するため行動までの道筋を緻密に計算した上で動画を作ることが大切です。

採用のアニメーション動画

採用を目的としたアニメーション動画の場合、求職者に自社への興味を持ってもらうことで応募者候補を増やすことが大切です。入社後のイメージをストーリー性のあるアニメーション動画にしたり、企業のミッショや歴史を表現したアニメーション動画で入社時の不安や入社意欲を刺激することに向いています。

集客と同様に、問い合わせや資料請求、応募といった何かしらの行動に「直接的」または「間接的」に影響するため行動までの道筋を緻密に計算した上でアニメーション動画を作ることが大切です。

詳しくは以下の記事で解説しています。

認識を変える(態度変容を促す)ために動画を活用する

PR・ブランディングのアニメーション動画

PR・ブランディングを目的としたアニメーション動画の場合、取引先などの関係者たちからの好印象を得られるようなものがおすすめです。例えば、事業の取り組みや世の中への貢献といったテーマで、「従業員の方たちの取り組む様子」や「取り組むまでの苦労」したストーリーをアニメーション動画で表現したものなどが向いています。

行動ではなく印象を重視しているため、関係者に見てもらえるところにアニメーション動画を出しておく必要があります。

詳しくは以下の記事で解説しています。

制作依頼を検討する場合は以下の記事もおすすめです。

理解を促す(解説する)ために動画を活用する

イベント・社内研修の解説アニメーション動画

採用の部分にも繋がりますが、会社説明会をリモートで行う場合や学習面での活用を目的とした場合にもアニメーション動画が有効です。担当者に毎回解説をお願いするよりも、アニメーション動画にしておくことで効率化や仕組み化が可能となります。

口頭だけでは理解しづらいことも解説アニメーション動画によって理解を促進できます。

詳しくは以下の記事で解説しています。

楽しんでもらう(娯楽)ために動画を活用する

自社IPで収益化するアニメーション動画

オリジナルキャラクターの知名度を上げることで、キャラクターの影響力を高めたり、収益を作るためのアニメーション動画です。ブランドを象徴するキャラクターのため、ブランドストーリーに沿った物語を広めるエンターテインメント要素を意識したアニメーション動画に向いています。

これによって、ブランドの知名度だけでなくキャラクターを活用したメディア展開、商品販売へと広げていくことが可能です。

IPビジネスについては以下の記事で詳しく解説しています。

音楽価値を上げるアニメーション動画(アニメMV)

上述のキャラクターとは異なり、アーティストのMV表現の手段として活用されるアニメーション動画です。実写では表現が難しい歌詞の世界観を表現して、聴覚だけでなく視覚的にもアーティストの魅力を表現することに向いています。

また、顔出しを控えたい歌い手などにも多く活用されているのもアニメーションMVです。

アニメーションMVについては「アニメーションMVとはなに?尺の短いアニメ作品が急増している理由とは。」で詳しく解説しています。

企業(ビジネス)で活用されているアニメーション動画の事例

Netfrix アニメで言葉があふれだす。

数々のアニメの名シーンを繋いだNetflix特別アニメーションCMです。このアニメ作品を知っている人なら一瞬だけで目が留まり印象に残せます。アニメーション動画が人の心に残りやすいことを表しているといえます。

その他のアニメーション動画の事例は以下の記事で詳しく解説しています。

企業(ビジネス)アニメーション動画の制作依頼は自社・外注のどちらが良い?

アニメーション動画の制作を考えた際、多くの企業は「自社で制作するべきか、それとも外注するべきか」という選択に直面します。この決定は、コスト、時間、品質、および制作における専門知識の可否に大きく依存します。

自社制作の場合はスピードと柔軟性

自社制作の場合、社内のリソースを活用することで、制作プロセスを細かく管理し、より密接にブランドメッセージを反映させやすく、コストを抑えることが可能です。

しかし、高品質なアニメーションを作成するには専門的なスキルと経験が必要であり、これが自社内にない場合は、時間と労力が大きな課題となります。

外注する場合は専門性と負担軽減

一方、外注する場合は、専門のアニメーションスタジオや制作会社に依頼することで、高品質な出来栄えを期待できます。これらの会社はアニメーション制作の専門知識を持ち、複雑なプロジェクトを効果的に管理する能力を有しています。ただし、これには相応のコストが伴い、プロジェクトの管理とコミュニケーションには注意が必要です。

結局のところ、選択は各企業の状況や目的によって異なります。自社のリソース、予算、タイムライン、および期待する品質レベルを検討した上で、最適な選択をすることが重要です。

外注の依頼先は2種類から選択できる

アニメーション動画の外注先には、何を重視するかで企業と個人の2つの選択肢があります。

例えば、直接制作を請け負う企業へ依頼する方法と、「ココナラ」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサービスやフリーランス (個人)に依頼する方法です。

動画制作会社に依頼する

企業(制作会社)にアニメ動画制作を依頼した場合、クリエイターやデザイナーだけでなく進行管理を行うディレクターまでが揃っています。そのため、スケジュールの調整や安定したクオリティで納品まで進められます。

個人の動画編集者に依頼する

企業(制作会社)にアニメ動画制作を依頼することが、個人への依頼と比べて異なる点には、「予定通り進みやすい」といったことが挙げられます。例えば、1人が制作過程において遅延していても、会社として他のクリエイターやデザイナーによってカバーできるためです。

詳しくは以下の記事で解説しています。

動画制作を自社で行うならツールを活用する

ハードルが高いと思われることの多いアニメーション動画制作ですが、じつは近年テンプレートが充実しており、簡単に動画を制作できるツールが登場しています。AIの発展もあり、難しい知識や高価なソフトがなくとも簡単に始めやすくなっているのです。

そのため、「自社で制作した方が柔軟でスムーズに進むけど、デザイナーがいなくて作れない。」といった心配がある場合でも、場合によっては社内で完結できるかもしれません。

もちろん、プロ向けに非常に多くの操作ができる高機能のものまで、さまざまなツールがあるため、候補を選びづらいといった問題があるかもしれません。そういった場合には、以下の記事も参考にして、より具体的なイメージを掴んでみてください。

具体的なアニメーション制作ツールについては「【アニメ制作会社が解説】今話題のYouTubeアニメーション制作ツールとその特徴とは?」で詳しく解説しています。

企業(ビジネス)アニメーション動画を作る制作会社の選び方・依頼費用

目的に沿った実績を確認する

企業で活用するアニメーション動画にも、ここまでにお伝えしたように多くの活用目的があります。つまり、アニメーション動画制作会社にも得意・不得意があるのです。

だからこそ、集客やブランディング、採用といった活用目的に沿った実績を見て判断する必要があるということです。制作会社の実績を見る上でのポイントをご紹介します。ポイントは「動画制作の背景」と「動画の内容」の2つです。

アニメーション動画制作の背景=どのような意図で動画を作ったのかを聞くことで、「スピード重視」なのか「企画重視」なのかといったことも伝わってきます。

<関連記事>
アニメーション動画の制作会社は増えている?上手な選び方をご紹介
【保存版】ショートアニメの制作を依頼したい!制作会社の選び方とおすすめをプロがご紹介

外注した場合の種類ごと制作料金一覧

アニメーション動画にはいくつかの種類があります。今回は相性の良い活用例や制作費用の相場も以下の表にまとめてみました。

動画の種類料金相場制作期間相性の良い活用方法
スライドショー10〜30万円1〜2週間商品紹介
モーショングラフィックス40〜200万円1〜2ヶ月間複雑なサービス解説
ホワイトボードアニメーション50〜100万円1〜1.5ヶ月間セールス動画、学習関連の解説
キャラクターアニメーション50万円〜100万円
+キャラクター企画費用
2〜3ヶ月間YouTube投稿、ショート動画広告
フルアニメーション300万円〜2〜6ヶ月間ブランディング
ショートアニメーション5〜10万円1〜2週間TikTok、Twitter投稿
3DCG200〜500万円2〜3ヶ月間商品や建物の内部構造の解説、ゲーム
アニメMV100万円〜2〜3ヶ月間ゲームMV、アーティストMV
ループアニメ10〜30万円1〜2ヶ月間Web広告、作業用BGM動画

詳しいアニメーション動画の種類と料金相場については以下の記事で解説しています。

CG・モーショングラフィックスを融合した新しい制作技法を依頼する

アニメーション動画制作を検討する際は、「目的を明確にしてから検討すること」「制作イメージと似た過去実績を持つ制作会社を選ぶこと」の2点が重要になります。

当社では、大規模な制作にも対応できるだけの2,000名以上のクリエイターネットワークを保有し、コミュニティを運営することで関係構築に力を入れております。そのため、あらゆるパターンのアニメーション動画を制作できるだけでなく、企業ごとにマッチするクリエイターをプロジェクトに起用し、進行管理とディレクションを代行します。

また、CG・モーショングラフィックスを融合させた独自のアニメーション技法によって、同じ予算でも、よりハイクオリティな見え方となるように工夫しています。他にも、「インディーアニメ」と呼ばれる自主制作アニメクリエイターを積極的に活用し、コストを抑えて手軽に制作していただける体制も整えております。

動画の活用目的を決めるような段階からご相談を頂くケースが多いため、制作内容が具体化する前からお気軽に相談していただけます。まずは、当社の制作実績をご覧ください。

企業(ビジネス)アニメーション動画の活用理由についてのまとめ

ここまでのポイントをまとめます。

  • アニメーション動画は、その視覚的魅力とストーリーテリングを通じて消費者の関心を引く
  • 複雑なメッセージやコンセプトを分かりやすく伝える効果がある
  • ブランド認知度の向上や競合との差別化に貢献する
  • 制作におけるコストパフォーマンスと長期的なブランド価値構築が鍵
  • アニメCMの増加にはデジタルメディアの普及と表現力の高さが影響
  • アニメーション動画制作は自社と外注、それぞれにメリット・デメリットがある

アニメーション動画は、ただ目を引くだけでなく、ブランドのストーリーを強力に伝える手段として、企業にとって重要な役割を担っています。本記事で触れたポイントを踏まえ、自社のニーズと状況に合わせて最適なアニメーション動画の制作方法を選ぶことが、成功への第一歩と言えるでしょう。

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