日々の生活において広告に触れる機会はとても多く、YouTubeやTikTok、Instagramなどの発達により、動画広告に触れる機会が多くなっています。
インターネットが発展する以前から、テレビCMなど映像を用いた広告は企業に活用されており、動画広告の効果が高いということは紛れもない事実だといえます。
しかし、実際に動画広告やテレビCMを配信してみると、本当に効果があったのか、どのくらいコンバージョンに貢献しているのかが見え辛いことに気づきます。
そこで今回は、動画広告をどのように分析していくのか、効果測定をどのようにしていくのかを紹介していきます。
制作会社や個人へ動画を依頼する場合は「動画広告を上手く作りたい!制作ディレクション方法と発注のコツを解説」もおすすめです。
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動画広告の分析を始める前に
動画広告は、Web広告の中でもポピュラーな広告手法です。YouTubeはもちろんのこと、TikTokやInstagramなどのショート動画プラットフォームやDSP、サイネージ広告、テレビCMまで幅広い媒体で動画広告を出稿することができます。
映像は、テキストよりもより多くの情報を消費者に伝えられるだけでなく、バナー広告(静止画)よりも人の目を引くことに優れています。
しかし一方で、テキストのように見返すことが難しく、一度で確実に伝えられる内容・表現の工夫が求められます。そのため、多くの情報を伝えることよりも、映像、テロップ、音声、BGMなどを駆使して"如何に伝わりやすいか?"を意識することが大切です。
関連記事:動画広告とバナー広告はどちらが効果的?活用メリットから選び方まで解説
動画広告はテレビCMに近いため繰り返し刷り込みやすい
動画広告を視聴するユーザーは、テレビCMのように繰り返し映像を見せて、音声も活用して人々の記憶に刷り込んでいきやすい手法です。反対に、静止画広告では数枚のバナー+テキストだけで伝えるため、集中して見てもらわなければ記憶に刷り込むことは困難です。
そのため、直接的な獲得だけでなく認識を変えるようなブランディング・認知広告としても活用されています。
キャスティングや撮影に多くの費用が必要な実写映像だけでなく、アニメーション映像や、複数の静止画を数枚組み合わせた簡易的なスライド動画などの費用を抑えた動画制作も可能です。
目的や伝えたい内容、コンバージョンポイントに応じて、幅広い選択肢があるのも動画広告の特徴です。
3DCG動画広告については「3DCG動画広告で効果的なPRを行うには?相性の良い広告手法から反応を得るための内容までを解説」を参考にしてみてください。
関連記事:インディーアニメの制作費用と仕組みを公開!MVにも使われる人気の秘密を解説
動画広告の分析がなぜ難しいのか?
なぜ動画広告の分析が難しいかというと、その動画を見たかどうかは手段であり過程でしかないからです。結局のところ、どれだけの人が他ブランドよりも記憶に残っており(ブランドリフト)、どれだけの売上に貢献したかがビジネスにおいて重要となるのです。
YouTubeやTikTokなどのデジタルな動画媒体であっても、動画広告の分析はとても難しいものです。ましてやテレビCMやデジタルサイネージ、交通系広告など、デジタルな指標で測れない広告の効果や価値を定量的に判断するためには相当な労力と費用が必要となります。
YouTubeで動画広告を配信すれば、インプレッション数や視聴数は管理画面から確認することができます。しかし、どれだけの投資価値があったかを判断するのは容易ではありません。
関連記事:テレビCMを配信するメリットとは?Web広告との連携や効果測定の仕組みを解説
全体と配信先ごとの両面で分析していくことが大切
配信先単位だけで分析しても、配信効率や最適化の確認しかできません。全体のマーケティング予算に対して、どれだけの獲得数・売上を作ったか?という視点と、各配信先ごとの配信効率やエンゲージメント率(反応率)といった視点それぞれで考えることが大切です。
「単に動画をたくさんの人に視聴してもらいたい」というだけであれば問題ないかもしれません。ですが、多くの場合、その動画広告を視聴したユーザーにどんな行動を取って欲しいのか、コンバージョンしたのかということを意識するのではないでしょうか。
例えば、洗濯洗剤の売上拡大を目的に、YouTubeで動画広告を配信したとします。
その広告を視聴した人が商品を気になったとして、次の日にスーパーやドラッグストアに買いに行っても、その購入が広告のおかげだったのかどうかを判断することは簡単にはできません。つまり、視聴者と購入者が結びつかないというのが、動画広告の難しいところなのです。
ユーザーは広告を見てすぐに購入する人ばかりではない
しかし、デジタル上で完結する場合でも同様なのです。広告を見て、すぐさま商品を購入する人ばかりではないからです。多くが、YouTubeなどで他の動画を視聴して、何度も広告を目にするうちに気になって検索をかけたり、GoogleやInstagramなどの別媒体で検索してからコンバージョンに至るケースも多いためです。
では、こうした場合は動画広告が無意味な広告なのか?といえば、そんなことはないのではないでしょうか。
多くの企業が、数億円規模の予算を投じてテレビCMを放送したり、YouTubeで動画広告を配信するように、
具体的に売上貢献度を測れないが、サイトへのアクセスが増えたり、想起率が上がったりと、間接的な効果が出ているからではないでしょうか。
特に、ユーザーへ価値ある情報提供や交流を図ることによって良い印象を持ってもらう発信が増えているのは、直接的な売り込みだけでは相当な商品力がなければ難しいことを理解しているからではないでしょうか。
関連記事:資産になるコンテンツマーケティングとは?記事を作るだけじゃないPRに必須の手法を解説
動画広告の効果をどうやって分析・評価するの?
動画広告がコンバージョンに寄与したのかどうか、どうやって判断していけばいいのでしょうか?
商材やサービス、目的によっても変わってきますが、動画広告の役割をしっかりと認識した上で動画広告が消費者のファネルのどこに効果を与えるのかを考える必要があります。
先程の洗濯洗剤の例では新規顧客としては「店頭で商品が視界に入った際に別商品と比較、検討し乗り換えをしてもらう」こと、既存顧客には「他社のPRで顧客が奪われないようにする」が目的となります。
このときに動画広告の視聴数だけを見ても広告効果を評価することができないので、動画広告を配信しているときと、していないときの売上を定量的に比較する方法と、市場調査やアンケートなどで視聴者のサンプルを取得することでその影響範囲を算出する方法があります。
施策実施の前後で比較をする
原始的な方法ではありますが、動画広告やCMを放送している瞬間、次の日、配信後1週間の売上やGA4などのアクセス数を、配信していない期間と比較するという方法です。
特別なツールや、予算、労力等を使わずに効果検証ができる方法ではありますが、微弱な増減は誤差の範囲であったり、別の施策と被っている場合には、どの施策の効果なのかを定量的に判断することが難しい点がデメリットでもあります。
関連記事:【UA→GA4】Google Analytics 4 って何が変わったの?使い方とできることをキャプチャ付きで解説
市場調査・アンケート調査(ブランドリフト)
インタビューやアンケート調査などで商材やサービス、企業などの認知度、信頼度、活用状況、どういった経緯で活用しようと思ったのか、動画広告の視聴状況などをヒアリングする方法です。
定期的に調査を実施することで、動画広告の視聴状況とサービスの認知状況が見えてきます。
視聴者や消費者の生の声が聞けるため、サービスの改善や今後のマーケティングの手法に活かすこともできる重要なデータとなります。
しかし精度を高めるためにはより多くのサンプル数が必要となり、調査会社を使用すればかなり高額な費用となることもあります。
また調査方法も街頭インタビュー、ポイントメディアでの調査、紙面でのアンケートなど様々な方法がありそれぞれメリットデメリットがあります。
街頭インタビューでサンプル数を集めるには人件費やコストが大きくなり、ポイントメディアでの調査の場合はポイント目当てで適当に回答してしまう人がノイズになってしまったり、パソコンやスマートフォンなどを活用していない年齢層や世代のサンプルが少なくなるため、ウェイトバック集計など比率を調整して算出する必要があります。
アクセス解析・動画分析ツールを利用する
サービスがwebで完結する商材であれば、Web計測ツールを使うことで動画広告のコンバージョン分析をすることも可能です。無料のツールであればGoogleが提供するGA4が一般的です。
セッションベースでの分析であればGA4で十分過ぎる程の分析ができますが、セッションを跨いだ分析には課題があり、正確な分析データを取得するのが難しいツールでもあります。
YouTube広告などの動画広告媒体でクリックを獲得できて、同一セッションの中でコンバージョンに至る可能性が高い商材の場合はGA4だけで十分な分析ができます。
ただし、前述の通り、動画媒体からの購入やサービス契約などのコンバージョンポイントが直接結びつかず、複数のセッションを跨いでしまうことの方が多いと思います。
複数のセッションごとの流入チャネルをより詳細に分析するためには「アドエビス」などの有料分析ツールを使用することになります。
しかし、テレビCMやデジタルサイネージなど、Webとの接点が切れている動画広告の認知効果はWebツールでは出せないので注意が必要です。
動画の分析については、「動画広告分析Pro」といったツールで分析を行うことが可能です。
要素から推計する
動画広告であれば各管理画面のインプレッション数や視聴数、テレビCMであればGRP、市場調査やGA4、アドエビスなどのツールの数値など、様々な数値的根拠からコンバージョン効果を推計することが必要です。
消費者の認知度や信頼度、ファンの度合いを定量化することは難しく、定性的な貢献度を推計で仮置きし、様々な角度から検証と調査を続けていくことになります。
視聴者のペルソナとコンバージョンまでのストーリーや行動ファネルを作成し、仮説を立てながら分析をしていくことが一般的です。
ある集団には動画広告で認知をさせてからコンバージョンのための訴求をする、ある集団には動画広告無しでコンバージョン広告だけを訴求して比較するなど、比較検証を続けながら仮説検証をしていきましょう。
<関連記事>
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動画広告の役割ごとに見るべき指標
動画広告 の役割 | 広告キャンペーン 目標の例 | 広告キャンペーン のタイプ |
---|---|---|
認知拡大 | ブランド認知度と比較検討 ウェブサイトのトラフィック | 視聴回数を増やす、広告シーケンス、アウトストリーム、動画リーチ キャンペーン |
購入検討 | ブランド認知度と比較検討 ウェブサイトのトラフィック | 視聴回数を増やす、広告シーケンス、アウトストリーム、動画リーチ キャンペーン |
行動・獲得 | 販売促進 ウェブサイトのトラフィック | コンバージョンの促進、ショッピング |
テレビCMや動画広告の強みは、たった15秒〜30秒の映像の中にたくさんの情報を盛り込むことができる点です。バナー広告であればワンメッセージしか訴求できないところを、動画広告であればストーリーで伝えることができます。
視覚的に印象に残る映像や、耳から離れない音楽や歌を入れることで、静止画よりも記憶に残しやすくなります。だからこそ、購入の一歩手前である認知、商品の検討フェーズへの引き上げを目的に動画広告を配信していくという選択肢もありなのです。
認知拡大を分析する際の見るべき指標
- インプレッション数(Imp)
- インプレッション単価
- リーチ回数
- フリークエンシー
関連記事:認知・ブランディング広告って必要なの?運用のテクニック・考え方を解説
購入検討を分析する際の見るべき指標
- クリック数(Click)
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
関連記事:ブランディング動画で感動を与えるには?効果・活用方法・作り方のコツを解説
行動・獲得を分析する際の見るべき指標
- コンバージョン数(CV)
- コンバージョン率(CVR)
- 顧客獲得単価(CPA・CAC)
前述の洗濯洗剤のテレビCMも、CMを見た瞬間にドラッグストアに買いに行って欲しいわけでも、ECサイトで注文してもらおうと狙っているわけではありません。じつは家の洗濯洗剤がなくなり、スーパーやドラッグストアで洗濯洗剤コーナーに立ち寄った際の想起を目的としています。
つまり、その商品が視界に入った瞬間にテレビCMの内容を思い出してほしいため、何度も繰り返しテレビCMを放送し、認知・刷り込みを行っているわけです。
このように、直接的なコンバージョンだけでなく、別の施策との全体最適で行うということが大切なのです。このような間接的な種まきとしても、動画広告が使われることは多くなります。
適切なクリエイティブやプラットフォームの選定、目的に沿った広告運用は代理店と協力することも検討しましょう。
関連記事:インターネット広告代理店に依頼して成果を出すには?任せるべき部分や選ぶ基準を紹介
参考:適切なキャンペーンタイプを選択する - Google広告ヘルプ
動画の分析方法についてのまとめ
ここまでのポイントをまとめてみます。
- 動画広告の効果は視聴時間と関連が深い
- クリックスルーレート(CTR)は重要な指標
- 視聴者の反応をリアルタイムで分析することが可能
- 動画の品質が視聴率に大きく影響
- ターゲット層の特定が広告の成功に寄与
- 動画広告の最適な長さや形式を検討することが重要
- ソーシャルメディアでのシェア数も効果測定の一部
- 視聴者のデモグラフィック情報を利用して最適化
動画広告やテレビCMにおける効果測定は難しく、再生数や視聴数だけでは定量的なコンバージョンへの貢献や分析ができません。
そこで、ツールでの分析だけでなく、市場調査やアンケート調査なども含め、多方面からのデータを集めファネル分析や比較していくことで、広告の効果をより精度高く推計していくことができるようになります。
動画広告の制作や分析にお困りの方はぜひ、当社までご相談ください。
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