2024.07.30

2024.08.29

なぜTikTok売れが起きるの？仕組みや成功させるコツを事例も挙げて解説

「TikTok売れ」とは、TikTok上の製品やサービスに関する投稿や広告が拡散されて流行し、売上げが急増する現象を指します。TikTokを上手に活用することで、Z世代（1990年代後半から2000年代生まれ）を中心に「バズり」を起こし、話題作りや売上げの向上が叶います。

『日経トレンディ2021年12月号』では「TikTok売れ」が2021年ヒット商品ベスト1位に選ばれ、今では市民権を得た言葉となりました。

「TikTok売れって聞くけれど、どうやって売れているのだろう」
「どうやったら自社でもTikTok売れを起こせるのだろう」
「TikTok売れした事例を知りたい」

このように考えている方もいるでしょう。

本記事では、「TikTok売れ」について紹介します。TikTok売れが起きる背景や仕組み、TikTok売れを実現する方法、成功事例などについても解説します。

「TikTok売れ」について理解することで、自社製品やサービスでも「TikTok売れ」を叶える確率が高まるでしょう。成功事例も交えて紹介するため、T自社の製品・サービスの認知度や売上げの向上に役立てたい方は、ぜひ最後までお読みください。

「TikTokアニメ運用ガイド」では、アニメーション動画を活用したTikTokアカウントの運用方法を公開しています。実写投稿の多い中でアニメーション投稿を行うことは注目を集めやすく、顔出しなしで可能なため自社のキャラクターを活用することと非常に相性が良いと言えます。企業でTikTokを活用したい際にご活用ください。他にも「無料資料ダウンロードページ」で公開中です。ぜひ入手してみてください。

無料資料ダウンロード

＜記事のポイント＞
・TikTokで売れる理由や背景が分かる
・TikTokで売れる仕組み・構造が分かる
・TikTok売れの実現方法が分かる
・TikTokの成功事例が分かる

なぜTikTok売れが起きるのか？3つの理由

TikTok売れという購買行動はなぜ起きるのか、以下の3点から解説します。

「おすすめ」表示のアルゴリズム
視聴者の消費行動への影響力
UGCの拡散力

詳しく見ていきましょう。

「おすすめ」表示のアルゴリズム

TikTokのアルゴリズムは、他のSNSとは異なり、ユーザーが長くプラットフォームに滞在するようなコンテンツを高く評価します。そのため、TikTokの「おすすめ」フィードには、過去の投稿でも反響の高い投稿が繰り返し流れます。

フォローしていないユーザーによる投稿も流れるため、多くの人に視聴される可能性が高く、複数接触の効果からTikTok売れが起こるのです。

他のSNSとの違いは、下記の通りです。

SNSプラットフォーム	アルゴリズムの型	特徴
TikTok	ループ型	過去の投稿でも、反響の高い投稿は繰り返し流す
X	フロー型	リアルタイムの投稿が流れてくる
Instagram	ストック型	何度も見返すコンテンツが向いている

以下のような動画が「おすすめ」に表示されやすいといわれています。

再生回数が高く、視聴時間の長い動画
いいねやコメント、シェア数が多い動画
ひとりの人が複数回再生している動画

「おすすめ」フィードを通じて、フォロー外の反響の高いコンテンツに触れられるのが、TikTok売れが起きる要因のひとつといえるでしょう。

視聴者の消費行動への影響力

TikTokは、主要ユーザーであるZ世代を中心とする10～30代に特に影響力があります。Z世代は、生まれたときからインターネットが身近にあったデジタルネイティブ世代です。

TikTokを娯楽媒体としてだけでなく、購買のための情報収集源としても利用しています。

また、Z世代は複数のSNSを使いこなすことに慣れています。そのため、TikTokで新しい製品やトレンドを知り、InstagramやYouTubeでインフルエンサーが紹介する画像や動画をチェックします。さらにXで口コミを調べて購入するという行動を取るケースもあります。

TikTokで、新しいトレンドに敏感なZ世代の興味関心を惹くコンテンツを提供しつつ、他媒体への導線を作りこむことが、TikTok売れを起こすポイントになります。

UGCの拡散力

TikTok売れには、サービスや製品の魅力を伝えるのに有効なUGCの拡散力も欠かせません。UGCとは、企業側ではなく消費者側であるユーザーによって制作・発信されるコンテンツを指します。

実際のユーザーが製品やサービスを使用している様子や魅力をリアルに伝えるもので、企業発信よりも高い信頼性を持ちます。

UGCを拡散する方法として、大きく「ハッシュタグチャレンジ」と「インフルエンサーとのコラボ」の方法が考えられるでしょう。

ハッシュタグチャレンジを活用することで、ユーザーにUGCを作らせ、拡散力を利用してブランドの魅力を広められます。また、インフルエンサーとコラボし、インフルエンサーにUGC風動画を製作・投稿してもらうことも有効でしょう。

UGCの拡散力を上手に活用することが、TikTok売れに必要な戦略となります。

TikTok売れの仕組みを3つの視点から解説

TikTok売れの仕組みを、以下の3つから解説していきます。

TikTok売れが起きる構造
TikTok売れがもたらす効果
TikTok売れする製品の傾向

それぞれ詳しく見ていきましょう。

TikTok売れが起きる構造

TikTok売れが起きる構造は次のとおりです。

TikTokユーザーに刺さる「火付け役コンテンツ」が登場する
「火付け役コンテンツ」を見たユーザーが、真似をしたりアレンジをしたりした関連動画を作成・投稿する
「火付け役コンテンツ」と真似・アレンジ投稿といった同様の動画が拡散される
インフルエンサーが投稿を拡散することでさらに「バズり」を起こす
複数のUGCが大量に流れることで信頼性が高まる

TikTokのアルゴリズムにより「おすすめ」フィードには、注目の人気投稿が優先的に紹介されるため、ユーザーは短期間のうちに同様のUGCに重複接触する状況が生まれます。

ユーザー自身の体験にもとづくUGCは説得力があり信頼性が高いため、視聴者は購買意欲をひきたてられるでしょう。さらに、インフルエンサーが投稿を拡散することで、より大きな「バズり」を起こせます。

このような一連の流れにより、取り上げられた製品やサービスへの関心が高まり、多くの人の検索や購買行動につながるのです。

まとめると、TikTok売れは以下の要因が組み合わさり起こるといえます。

「火付け役コンテンツ」の生成と拡散
「おすすめ」フィードの人気投稿の紹介機能
UGCの信頼性とインフルエンサーの影響力

構造を理解し戦略的にアプローチしていくことで、TikTok売れを起こす確率を高められるでしょう。

TikTok売れがもたらす効果

TikTok売れが企業に与える効果として、次の2点があります。

企業にとって費用対効果が高い
無名企業でも多くの認知を獲得できる可能性がある

TikTokはエンゲージメント率が高いため、拡散力が高いのが特徴です。エンゲージメント率とは、投稿されたコンテンツに対してユーザーが起こす行動をいいます。具体的にはいいねやコメント、シェア、保存などを行うことを指します。

TikTokはこれらを行うユーザーが多いため、TikTokに反響を呼べる投稿ができると、企業の手を離れてユーザーにより勝手に拡散されていくのです。

TikTokはInstagramなど他の媒体への導線が作りやすく、購買につなげやすい面もあります。

また、フォロワーが少なくてもバズる可能性があるのがTikTokです。YouTubeなど他のSNSでは、フォロワーや投稿数を積み重ねて信頼度を上げないとなかなか多くの人の目につかない仕組みになっています。

それに比べてTikTokは注目を集める投稿さえできれば、フォロワーや投稿数が少なくても伸びる仕組みです。

TikTok売れは、企業にとって費用対効果が高く、また、無名企業でも大きな成功をつかめる可能性があるため、メリットが大きいといえるでしょう。

TikTok売れする製品の傾向

TikTok売れする製品・サービスは、若い世代に受ける手頃な価格帯のものが主流を占めています。一方、高額製品でも売れるものはあり、価格だけが売れる理由とは限りません。

TORIHADAが実施した調査（2021）によると、ユーザーがTikTokを見て購入した製品・サービスは以下の通りでした。

アプリ・ゲーム
食料品
スキンケア用品（プラチナ）
メイク用品（プチプラ）
日用品

Z世代をはじめ10～20代の若い世代がTikTokを通して購入することが多く、手頃な価格帯のものが多いのが特徴です。TikTokで人気の製品・サービスは「まね売れ」、「確認売れ」が起きるといわれており、まねや確認のために購入しやすい価格帯のものが売れやすい傾向があるでしょう。

とはいうものの、TikTokで高額製品が売れないわけではありません。高級車や不動産が売れている例もあります。

TikTokユーザーの年代が拡大し、より自由に使えるお金を多く持つ上の世代も、TikTokからの購買行動を取るようになったことが要因です。また、新しい体験や未知の世界を求める若い世代が、高額製品であっても関心をひきつけられれば購入することもあります。

どの企業の製品・サービスにも、TikTok売れのチャンスはあるといえるでしょう。

出典：【TORIHADA】「TikTokをきっかけとする商品/サービスの購買行動調査」を実施！TikTokユーザーの3人に1人がTikTokきっかけで購買経験あり!?- PRTIMES

TikTok売れを実現するには3つの要素を掛け合わせる

TikTok売れを実現する方法として、次の3つを紹介します。

自社アカウントでの情報発信
インフルエンサーマーケティングの実施
TikTok広告の活用

TikTok売れには、段階を経た戦略が必要です。TikTokに投稿すればすぐに売れるわけではありません。詳しく解説していきます。

方法1：自社アカウントからの顧客が求める情報発信

TikTok売れを実現するためには、自社アカウントによる情報発信で興味をひきつけ、購入ページへ導線をつなげるのがポイントです。なぜなら、TikTokはECサイトや購入ページへの誘導が得意であり、導線を作ることが購入につながりやすくなるからです。

個人アカウントでなくビジネスアカウントで投稿することで、企業情報の掲載や、SNS・企業サイトへのリンクが設置できるため、さまざまな導線を持てます。他にも、ビジネスアカウントであれば、マーケティングに役立つ機能も多々使えて便利です。

例えば、商用楽曲ライブラリーから投稿に使う楽曲を自由に選べたり、インサイトや投稿動画の各種分析が可能になったりします。

TikTok売れにつなげる有益な情報発信を行うために、自社アカウントを整えましょう。

方法2：インフルエンサーを起用したリーチ獲得

インフルエンサーマーケティングを行うことも、TikTok売れを実現するためには有効です。

インフルエンサーマーケティングとは、TikTokユーザーの中でも特に影響力の強いインフルエンサーに、自社製品・サービスのPR活動を依頼することです。

具体的には、主に次の4つがあります。

種類	方法
ハッシュタグチャレンジ	企業が作った特定のハッシュタグをつけた投稿を促す
製品・サービスの無料提供	インフルエンサーに自社の製品・サービスを無料で提供し、感想を投稿してもらう
現地訪問	インフルエンサーをイベントに招待し、当日の様子や体験を投稿してもらう
ライブコマース	生配信サービスで製品・サービスを使ってもらう

宣伝効果を高めるには、マーケティングの種類とインフルエンサーの選定が成功の鍵といえます。ぜひ自社の製品・サービスと親和性の高いインフルエンサーに依頼し、TikTok売れをめざしましょう。

方法3：TikTok広告によるリーチ獲得と後追い

TikTok売れを実現するために、ビジネスアカウントとは別に、広告アカウントを開設するのもよいでしょう。広告には5種類のジャンルがあります。

ジャンル	内容	特徴
起動画面広告	TikTokのアプリを起動するときに表示される	全ユーザーの目に入る
インフィード広告	「おすすめ」フィールドに表示される	見た人が、いいねやシェア、コメントができる
運用型広告（ブランドオークション）	自社の専用アカウントを作成し、広告を流す	自由に出稿できる分、すべて自社で対応する必要がある
ハッシュタグチャレンジ広告	企業が指定したハッシュタグをつけた投稿をユーザー促す	拡散力が高い
ブランドエフェクト	3DやARなどの高度な画像認証技術を使う	商品の魅力をよりリアルに伝えられる

自社の製品・サービスや考え方に合った広告を選ぶことが重要です。また、製品・サービス紹介だけの広告ではユーザー離れを起こすため、自然と引き込む投稿に仕上げるのがポイントです。

ストーリー性のあるアニメ動画などは広告感を与えにくく、おすすめといえるでしょう。

TikTok売れを実現するためには、戦略的な広告活用が求められます。

TikTok売れの参考になる企業・店舗の事例

TikTok売れの成功事例を5つ紹介します。

大塚製薬ファイブミニ
ユニクロミニショルダーバッグ
花王ビオレUV
金沢フルーツ大福　凜々堂
高級輸入車BMW

それぞれの概要と成功のポイントを紹介していきます。

事例1：大塚製薬 - ファイブミニ

企業の知らない間にTikTokで製品がバズり、気づいた企業がさらに戦略的に仕掛けて売上げを伸ばした事例です。大塚製薬のファイブミニは、おいしく手軽に食物繊維が取れる飲料製品です。

1986年に発売され大ヒットし、30代以上にとってはなじみのある製品でしたが、20代以下には認知されていませんでした。

ある時、ファイブミニの見た目のかわいさや便秘解消効果に目をつけたTikTokユーザーの投稿から、瞬く間にTikTok売れが起こりました。

「どこで買えるの？」とコメント欄で交流が活発に行われたり、ファイブミニを使ったアレンジドリンクの投稿が自然発生的に次々と生まれます。バズに気づいた大塚製薬が次のようなアプローチを重ね、さらなる大ヒットにつなげました。

タイミングを見計らって広告を出稿する
インフルエンサーを起用する
起動画面広告でサンプリングキャンペーンを行う

ファイブミニは一過性ではなく継続した購買につながり、好調な売上げを維持しています。

事例2：ユニクロ - ミニショルダーバッグ

ユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」は、TikTokをきっかけにユニクロ至上最高に売れたバッグになりました。きっかけは、イギリスに住むTikTokユーザーが、バッグの紹介動画をTikTokに投稿したことです。

バッグからビスケット、鍵、財布、ヘッドフォン、カメラ、リップクリーム、香水など10個ほどの中身を次々と取り出す動画が注目されました。

ショルダーバッグから次々と取り出す「まね動画」も世界中で投稿され、関連動画の累計再生回数は5900万回を超えるほどになりました。「小さいのに収納力抜群」というバッグの魅力が多くの投稿から証明され、欧州を中心に大ヒットを巻き起こします。

日本でもバッグカテゴリーの販売数で1位になる売れ行きを生み出し、2023年度には「TikTokトレンド大賞2023」にも選出されました。

事例3：花王 - ビオレUV・瞬間ミストUV

ビオレが2023年2月に発売した日焼け止め「瞬間ミストUV」もTikTok売れしたアイテムです。ビオレを展開する花王は、Z世代への日焼け止め製品の興味喚起を狙い、2020年頃からTikTokのプロモーションに力を入れるようになりました。

2021年度から本格的にTikTokに注力し、複数年をかけてユーザーへの認知を広げました。

時期	アプローチ方法	効果
2021年	ブランドエフェクトハッシュタグチャレンジクリエイターとタイアップした商品レビュー動画の作成	ハッシュタグチャレンジ1286件認知が拡大する
2022年	ブランドエフェクトハッシュタグチャレンジクリエイターとタイアップした商品レビュー動画の作成	ハッシュタグチャレンジ2466件ビオレUVが日焼け止めブランド累計販売件数NO.1になる
2023年	効果の高い「起動画面広告」を中心に複数の施策を連携してプロモーションを行う	新発売の「瞬間ミストUV」が発売6ヵ月弱で出荷本数600万本に達する

チャレンジの積み重ねにより売上げが順調に伸び、TikTok売れ現象を起こします。

「瞬間ミストUV」は「TikTok for Business Japan Awards 2024」の「Best Business Impact部門賞」に選出されました。

事例4：凜々堂 - 金沢フルーツ大福

金沢発祥のフルーツ大福「凜々堂」は、TikTokを戦略的に活用しオープン前の店舗の認知拡大につなげた事例です。店舗のオープン2ヵ月前から、美味しそうなフルーツ大福を魅力的に見せるTikTokの投稿を開始します。結果、オープン時には長蛇の列という大成功を収めます。具体的には、次のような投稿を行いました。