NOKID編集部
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アートアニメーションとは「アニメーション」という技法を用いながら、必ずしも収益性やエンターテインメントでの提供を目的とせずに、おしゃれで芸術性の高いクオリティで仕上げられた映像を指します。
1人〜少人数で作られることが多いものの、インディーアニメのように個人作品に限るわけではありません。当社でも相談を頂くことがあるため、イメージとしては「芸術性を重視しており、セル(線画)アニメーションにはないテイストを持つ映像」だと考えています。
考え方はアートに近く、企業で活用される場合はメッセージ性や世界観を伝えることを重視したい場合に適しています。
例えば、映像に社会的なメッセージを込める場合や、ブランドのコンセプトといった実体のない抽象的なモノを表現したい場合などが挙げられます。
質の高い”芸術的作品”あるいは”歴史的作品”のように、自社やブランドを多くの人に伝える手段だと言えるかもしれません。
そこで今回は、アートアニメーションについて、基礎知識から他の表現との違いや活用例を紹介します。
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<記事のポイント> ・アートアニメーションで、どのように企業のブランドイメージを向上させるか分かる ・アートアニメーションの制作にかかるコストと投資対効果が分かる ・アートアニメーションをビジネスに取り入れる際の効果的な戦略が分かる ・アートアニメーションを用いたブランディングの成功事例が分かる |
アートアニメーションとは、一般的な商業目的のアニメーションとは一線を画し、芸術性や作者の個人的な表現を重視したアニメーションのことを指します。
この制作技法は、伝統的なアニメーション制作技法を超えた実験的な技術や独特のスタイル、深いテーマ性を探求しており、視覚芸術作品としての価値を持っています。
アートアニメーションの特徴は以下の通りです。
アートアニメーションは、単に物語を語るだけではなく、色彩、形、動き、音響といった要素を駆使して視覚的、聴覚的な芸術作品を創造します。これらの作品は、しばしば観る者に強烈な印象を残し、深い感情や思索を喚起させる力を持っています。
多くのアートアニメーションは、作者自身の内面的な世界や、社会的、哲学的なテーマに対する深い洞察を反映しています。これらは作者の個人的な視点や感情を通じて作り出されるため、作品には強いオリジナリティと個性が表現されます。
アートアニメーションは、従来のストーリーテリングの枠組みにとらわれず、多彩な表現が可能です。明確な物語構造を持たない抽象的な表現により、視聴者は幅広い解釈や体験をすることが可能になります。
アートアニメーションは、その独自性と深い芸術性により、映像芸術の領域で重要な位置を占めています。商業アニメーションとは異なる価値を提供することで、視聴者に新たな視覚的体験や感動を与えることができるのです。
クリエイターの想いを反映しやすい点で、インディーアニメとアートアニメーションは近い印象があります。
ただし、制作人数において両者を分けると言えます。インディーアニメは、個人制作の意味が強くなります。一方で、アートアニメーションは大きなプロダクションが制作したものも「アートアニメーション」に分類できる作品があります。
そのため、制作人数の規模は異なるものの、収益よりもクオリティを重視する点で両者が似ていると考えられます。
アートアニメーションは、商業アニメーションなどとは以下のように目的が異なります。
アニメーションの種類 | 制作目的 |
---|---|
アートアニメーション | 独自の主張や表現の質にこだわることが目的の作品 |
商業アニメーション | ビジネス目標を達成することが目的の作品 |
広告・PRアニメーション | 会社やサービスに興味を持ってもらうことが目的の作品 |
このように、収益もしくは表現など、どの部分を重視するかが違うということです。では、制作人数で区切った場合を次で解説します。
アニメーションの種類 | 定義 |
---|---|
アートアニメーション | 収益性よりもブランディングやメッセージ重視の区切り |
インディーアニメ | 個人という規模の区切り |
つまり、アートアニメーションとインディーアニメは、他のアニメーション表現と比べて、求める目的が異なるということです。
しかし、アートアニメーションを商業目的とすることもあるため、非商業アニメーションには分類されないと言えるでしょう。
関連記事:インディーアニメの制作費用と仕組みを公開!MVにも使われる人気の秘密を解説
アートアニメーションは、映像というカテゴリーの中にあるアニメーションの内、より芸術的なテイストのものが該当します。一方で、アニメーションは何枚もの絵画に少しずつ動きを付けたものです。
ビジネスで用いるデザインは、何らかの目的達成がある一方で、アートは世界観の表現に重きを置くことから、名前の通りアートに近い作品だと言えます。
・商業アニメーション:多くの大衆に受け入れられて収益を得る目的 ・アートアニメーション:芸術作品に近い収益性よりも作りたいものを作る目的 |
つまり、収益性の関係上、大規模なチームで制作を進めることは難しく、短尺のアニメーションになりやすい傾向があります。
関連記事:【キャラ活用】IPビジネスがアニメ事業のチャンスに!自社IPの可能性とは?
当社が動画制作の相談を受けてきた中で、アニメーションと言えば、国内ではエンターテインメント作品であるアニメのイメージが強く「ビジネスでアニメは使いづらい」という声をよく耳にします。
そうはいっても、表現力や撮影などの労力、起用した著名人のスキャンダルリスクなどのないアニメーションをビジネスシーンに取り入れるため、使いづらいイメージを払拭できるとして注目されているのがアートな印象を持ったアニメーションです。
例えば、芸術作品であるキャンバスに描かれたアートをパラパラ漫画のように動きをつけたものが近いイメージです。
これにより、ブランドの世界観を守りながら価値ある印象も与えることができるため希望される企業が増えています。
関連記事:企業でアニメーション動画が活用される理由とは?活用事例も解説
ここからはビジネスシーンでアートアニメーションを取り入れるメリットを紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
アートアニメーションを活用することで、企業は独自のブランドイメージを強く印象づけることが可能になります。なぜなら、芸術的なテイストによって、従来の広告とは一線を画した印象を視聴者に与えることができるからです。
例えば、国内でイメージの強い商業アニメーションでは、アニメ作品やゲームアプリの印象を与えがちです。一方で、キャンバスの油絵を想像させるアーティスティックなテイストは、クオリティを追求した独自の世界観を表現できます。
特に、ブランドの個性や価値観を強調したい場合、アートアニメーションはそのメッセージを効果的に伝えるツールとなり得ます。
アートアニメーションは、その表現力の高さから視聴者の感情に深く訴えかけることができます。感情的な繋がりは、ブランドへの忠誠心や好意といったポジティブな関係を築く上で非常に重要です。
例えば、青をコンセプトにしたお菓子ブランドがあったとします。アートアニメーションによって、澄み切った海=世界観を表現することで、機能面だけではない繋がりを得やすくなります。
特に、ストーリーテリングも活用することで視聴者の共感を呼び起こすことができれば、ブランドへの愛着を深めることに繋がります。
独創的なアートアニメーションは、SNSやオンラインメディアを通じて瞬く間に広がる可能性を秘めています。そのユニークな内容やビジュアルは、人々に共有したいという衝動を促し、自然な形でのバイラル拡散を促します。
例えば、森美術館は撮影やSNSでのシェアを許可することで、あまり投稿されていない芸術作品に多くの人が触れる機会を作り、注目を集めることに成功しました。
これは、比較的低コストで広範囲にブランドを宣伝するチャンスがあるということです。
参考:SNSで加速する、都市と人とアートの関係 - note
市場には無数の広告やプロモーションが溢れており、消費者の注意を引くことはますます困難になっています。アートアニメーションを採用することで、企業は他の競合から明確に差別化を図ることができます。
例えば、実写の投稿ばかりの芸能界で、あえて顔出しをせずにアバターやアニメーションによって世界観を表現することで差別化をするといったケースがあります。
このように、「この業界は、このやり方が当たり前だ」という常識に捉われず、ブランドに適しているか?ユニークなアプローチか?を常に自身に問いかけることが大切です。
アートアニメーションをビジネスに取り入れることは、単に宣伝やマーケティングの手段としてではなく、企業がクリエイティビティや芸術性を重視する価値観を外部に示す行為でもあります。
このような姿勢は、特にクリエイティブな業界や文化的価値を重んじる顧客層に対して、企業のブランド価値を高める効果が期待できます。
ここまでにお伝えしたように、アートアニメーションは芸術性と独特のテイストによって、ブランドに新たな価値を付け加えられる可能性を秘めています。
どのように活用すれば、自社のブランドでも活用できるかを考えてみてください。
ここからはビジネスシーンでアートアニメーションを取り入れるメリットを紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
アートアニメーションは、その独特の表現方法や高い芸術性を追求するため、一般的なアニメーションと比較して高い制作コストがかかることがあります。さらに、コンセプトや構成といった企画が難しく高い専門性が求められます。
特に、手描きのアニメーション技法を用いる場合、動きの滑らかさを決めるフレームレートを高めるほど、制作に時間と労力が必要となり、結果的にコストアップに直結します。
そのため、迅速なマーケティングキャンペーンの展開が困難になる場合があります。特に、市場のトレンドに即応する必要があるビジネスでは、この点が大きなデメリットとなる可能性があります。
アートアニメーションは独自のスタイルやメッセージを持っていますが、それが広い層の視聴者に受け入れられるとは限りません。芸術性が仇となってしまい、ブランドに手を出しづらいイメージを与えてしまう可能性があるからです。
例えば、ファミリー向けの手軽さが売りの飲食店が、アートアニメーションを活用すると、気軽に選んでもらえないかもしれません。
また、特定の文化的背景や芸術的感性を理解している層には強い訴求力を持つかもしれませんが、一般的な消費者には価値が伝わりにくい場合があります。
アートアニメーションの持つ独特の雰囲気やメッセージが、企業の既存のブランドイメージや目指す方向性と合わない場合、ブランドイメージの混乱を招く可能性があります。アートアニメーションをビジネスに取り入れる際には、その内容が企業のアイデンティティやマーケティング戦略と調和していることが重要です。
アートアニメーションをビジネスに取り入れる際には、これらのデメリットを踏まえた上で計画を立てることが重要です。そして、デメリットを最小限に抑えつつ、アートアニメーションが持つポテンシャルを最大限に活かす方法を模索していきましょう。
アートアニメーションは、その名の通り、アート作品としての側面を重視したアニメーションです。通常のアニメーションが収益性や広範な視聴者層への訴求を目的としているのに対し、アートアニメーションは独自の視覚的表現や深いメッセージ性、芸術性の高い内容で差別化を図ります。
これにより、ブランドイメージの質の向上や、特定のターゲット層への強い印象付けが可能になります。
独創的なビジュアルや物語性は、視聴者に深い感銘を与え、ブランドへの記憶に強く残ります。また、芸術性の高いアニメーションは、視聴者に対して高い価値観や文化的なアプローチを示すことができ、企業のイメージ向上に貢献します。
さらに、アートアニメーションは特定の顧客層に対して高い共感を生み出すことができます。特に、クリエイティビティやアートに価値を見出す層にとって、従来のアニメーションにはない新鮮さや感動を提供することが可能です。このようにして、ブランドへのロイヤリティを高め、長期的な顧客関係の構築につながります。
ブランドイメージの向上や独自性の確立を目指す企業にとっては、その投資が長期的なブランド価値の向上に繋がるため、十分にその価値があると言えるでしょう。
このように、アートアニメーションをビジネスで活用することによるメリットは多岐にわたります。企業がその独自性や芸術性をブランド戦略に活かすことができれば、競合との差別化に成功し、強固なブランドイメージを築くことが可能になります。
アートアニメーションを活用したブランディング戦略は、企業の独自性とクリエイティブな価値を前面に出す方法です。この手法では、アートアニメーションの持つ芸術的な魅力を用いて、ブランドのイメージを高め、消費者に強い印象を残します。
特に、競合が多く、差別化が難しい市場において、アートアニメーションはブランドを際立たせる有効な手段となり得ます。
アートアニメーションの制作には、従来のアニメーションよりも高度な技術と独創的な発想が必要ですが、その分、視聴者に与える影響は大きいです。
例えば、ある高級腕時計ブランドが、時計の精密さと美しさを表現するために、アートアニメーションを導入した事例があります。
このアニメーションでは、時計の内部機構を抽象的な美術作品として描き出し、その独特な世界観で視聴者を魅了しました。結果として、ブランドの洗練されたイメージを強化し、ターゲット層に深く訴えかけることに成功しました。
アートアニメーションをブランディング戦略に取り入れる際には、いくつかの注意点があります。
まず、アニメーションの内容がブランドの価値観やメッセージと合致していることが重要です。芸術的な表現が過度になり、メッセージが伝わりにくくなっては元も子もありません。
また、ターゲットとなる視聴者層がアートアニメーションのスタイルを受け入れるかどうかも考慮する必要があります。一部の視聴者には受け入れられても、広い層には理解されにくい可能性もあるため、配信するプラットフォームやコンテキストを慎重に選ぶことが勧められます。
結論として、アートアニメーションを活用したブランディング戦略は、ブランドの魅力を独自の視点から伝え、深い印象を残すための強力なツールです。
ただし、その効果を最大限に引き出すためには、ブランドのアイデンティティとターゲット層の好みに合わせた、緻密な計画と実行が必要になります。
アートアニメーションは、メッセージ性を重視していることから、企画に専門性が要求されます。基本的にはアニメ制作と同水準の費用と考えて問題ありませんが、
アートというジャンルに狭めていることもあり、通常のアニメ制作などのように線画・3DCG・パペットアニメーションなどの制作技法を幅広く活用するわけではありません。
そのため、アートと名のつく通りコンセプトや構成の企画といったメッセージ性に比重が置かれています。
じつは、ストーリーが本質と言われているように、映像の制作よりも「どのような内容にするか?」という企画部分の方が公開先や視聴者、メッセージなど幅広い視点が要求されるのです。
例えば、フルーツで考えると「食べてみたい」「美味しそう」という期待を作るのが見た目(表現)に対して、「甘酸っぱい」「美味しかった」という結果を作るのが中身(内容)です。
つまり、現代のハイクオリティCGのような見るからに費用がかかっているイメージではなくとも、同じくらいの労力やノウハウが駆使されているということです。
関連記事:【種類別】アニメーション動画制作の料金が知りたい!種類別の制作料金と活用例を解説
アートアニメーションのイメージを掴む際に、当社の考える表現に近いものをいくつか紹介します。
ここまでに紹介した通り、世界観の表現が重視されており、エンターテインメント作品よりもアート作品のようなメッセージ性が感じられるのがアートアニメーションだと考えています。このような表現方法は、ビジネスシーンにおいても活用しやすく、ブランドの世界観や他にはない広告クリエイティブの印象を視聴者に与えやすい魅力があります。ぜひ取り入れて活用してみてください。
アートアニメーションは、分類上はアニメーション制作に含まれるため、制作プロセスに大きな違いはあひません。ですが、キャラクターの表情や動きではなく、キャンバス全体として世界観を表現するため、コンセプトや構成の企画に高い専門性が求められます。
制作プロセスの最初のステップは、アニメーションのコンセプトを開発することです。この段階では、アニメーションのテーマ、メッセージ、ターゲットオーディエンスを明確にし、プロジェクトの基本的な方向性を決定します。また、アートアニメーションが伝えたい感情やビジュアルスタイルについても検討します。
コンセプトが固まったら、ストーリーボードを作成します。ストーリーボードは、アニメーションのビジュアルストーリーをシーンごとに描き出したもので、各シーンの構成やカメラの動き、キャラクターのアクションなどを視覚的に表現します。このプロセスは、アニメーション全体の流れを把握し、制作チーム内での共有や調整を容易にするために不可欠です。
ストーリーボードに基づいて、キャラクターや背景のデザインを行います。この段階では、アニメーションのビジュアルスタイルに合わせて、キャラクターやセットの詳細なデザインを作成します。アートアニメーションでは、独自性や芸術性を重視するため、デザイン工程には特に創造性が求められます。
デザインが完成したら、アニメーション制作に入ります。アートアニメーションでは、手描きアニメーション、コンピューターアニメーション、ストップモーションなど、様々な技術が使用されます。この工程では、キャラクターやオブジェクトを動かし、ストーリーボードに基づいたシーンを一つずつ作り上げていきます。
アニメーションに合わせて、声優によるキャラクターのセリフの収録や、効果音、音楽の制作を行います。サウンドデザインは、アニメーションの雰囲気を大きく左右する要素であるため、ビジュアルと調和するよう慎重に選定します。
全てのアニメーションシーンと音声素材が揃ったら、編集作業に入ります。この段階では、シーンの順序を最終確認し、必要に応じてカットの追加や削除、効果音や音楽の調整を行い、アニメーション全体を仕上げます。最終的に、色調整や特殊効果の追加など、ビジュアル面の微調整を行い、プロジェクトを完成させます。
アートアニメーションの制作プロセスは、他のビデオ制作と同様に複数の専門的な工程を経ますが、その独自性や芸術性を追求する過程で、より創造的なアプローチが求められることが特徴です。制作チームの密なコミュニケーションと、共有されたビジョンに向かって一丸となることが、成功への鍵となります。
なお、制作プロセスはアニメ制作に近いため「実写・アニメーションの映像制作を外注する流れとは?費用や依頼時のポイントをご紹介」も参考にしてみてください。
ここまでのポイントをまとめます。
アートアニメーションは、商業アニメーションにはあまり見られない芸術性と独自性を重視した映像作品のため、ブランドの価値を際立たせ、感情的なつながりを消費者と築きやすくなります。
こうした世界観を重視した表現によって、ブランドの魅力を視聴者へ伝え、市場でのポジションを確立していきましょう。
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