SNS向けショートドラマの制作会社を選ぶには？タイプ別に比較してみた

ショートドラマでZ世代にアプローチしたい、でも「どこに頼めばいいのか分からない…」「動画は作れたけど全然広まらない…」といった悩みを抱えていませんか？

SNSごとの特性やトレンドも速く変化する中で、自社だけですべてを対応するのは難しく、結果的に効果の出ないコンテンツに終わってしまうこともあります。SNSではユーザーが自ら選んで視聴するため、企画段階から視点を変えないと、どんなに映像だけを綺麗に作ってもすぐにスワイプされてしまいます。

だからこそ、自社に合ったショートドラマの制作会社を見つけることは重要です。

ショートドラマ市場は急成長しており、多くの制作会社がショートドラマ制作サービスを提供していますが、各社の強みや特徴は大きく異なります。つまり、目的に合わせてショートドラマの制作会社を選ぶことが不可欠なのです。

そこで今回は、SNSの活用で成果を出すために「目的・タイプ別」にショートドラマ制作会社を分類した上で、おすすめも紹介していきます。

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ショートドラマ市場の成長と制作会社が果たす役割は？

ショートドラマ市場規模はどのくらいなのか？

ショートドラマ市場は世界規模で急成長しており、2029年までに566億ドル(約8兆7,000億円)に達すると予測されています。

2026年には日本国内のショートドラマ市場は1,530億円規模に達するという予測もあり、映画興行と肩を並べる市場規模への成長が期待されています。

この成長の理由は、スマートフォンの普及とタイパ(タイムパフォーマンス)を重視するライフスタイルの浸透があると考えられます。

特に、1〜5分程度の短尺ドラマ(ショートドラマ)はスキマ時間で手軽に視聴できるため、ストーリーテリングを現実的に広告へ取り入れられる点でも失敗しづらい手法と言えます。

実際、2024年には「TikTokトレンド大賞2024」で『ショートドラマ』が大賞を受賞し、当時の「#ショートドラマ」を付けて投稿された動画の総再生回数は727億回を突破するなど、若年層を中心に大きな話題を集めています。

参考：YH Research株式会社

参考：「TikTok上半期トレンド大賞2024」大賞は「ショートドラマ」に決定！ - TikTok

企業がショートドラマを活用する理由はなんですか？

企業がショートドラマを活用する理由は主に3つあります。

Z世代へのリーチ強化

従来型のWeb広告やバナー広告では若年層の反応が薄く、広告ブロック機能の普及により到達率も低下しています。ショートドラマは広告感を抑えながらエンタメコンテンツとして視聴されるため、自然な形で商品やサービスを訴求できます。

SNSプラットフォームへの最適化

TikTok、Instagram リール、YouTube Shortsといった縦型動画プラットフォームは、アルゴリズムによって興味関心に合ったコンテンツが表示されるため、ターゲット層にピンポイントでリーチできます。また、いいねやコメントなどのエンゲージメントが生まれやすく、SNSでの高い露出が期待できます。

ストーリーテリングによる感情訴求

短時間で楽しめるドラマ仕立ての構成は、企業や商品の想いを伝えやすく、消費に意味を求めるZ世代と好相性です。ストーリーの中で商品やサービスを訴求することで、視聴者の共感を生み、ブランドイメージ向上やファン化につながります。

関連記事：TikTokショートドラマアカウントとは？新たなPR手法となる理由を紹介

ショートドラマ制作会社が企業(依頼主)に提供する価値はなんですか？

ショートドラマ制作会社は、ドラマコンテンツの制作にとどまらず、以下のようなSNSでのドラマ公開をする上で必要となる価値まで提供しています。

企画力とストーリーテリング

ターゲット層が共感するストーリー設計、冒頭3秒で視聴者を引き込む展開、商品を自然に組み込むプロダクトプレイスメントなど、高度な企画力が求められます。制作会社は豊富な実績から蓄積されたノウハウをもとに、効果的な企画を提案します。

拡散力やメディアとのコネクション

メディア連携やインフルエンサーキャスティング、SNS公式アカウントでの発信など、制作したドラマを広く拡散する仕組みを持つ制作会社もあります。個人的には、コンテンツを制作するだけではなく、制作会社の持つ他社動向の情報やコネクションこそが「社内だけで制作を進めない」理由だと考えています。

データ分析とPDCA支援

再生回数、エンゲージメント率、視聴完了率などのデータを分析し、次回の制作に活かすPDCAサイクルを支援します。1本目の結果から学び、2本目3本目と改善を重ねることで、確実に成果が高まります。

関連記事：TikTokの「インサイト」とは？分析のやり方や見るべき指標まで紹介

SNS向けショートドラマの制作会社を「目的・タイプ」の分類

SNS向けショートドラマの制作会社は、その強みや特徴によって大きく4つのタイプに分類できます。自社の目的に応じて、最適なタイプの制作会社を選ぶことが成功の鍵となります。

【映画クオリティ追求型】の特徴：ブランドイメージ向上

映画クオリティ追求型の制作会社は、限られた予算でも映像美や演出にこだわり、ブランドイメージ向上に資するクオリティの高いショートドラマを制作します。

映画監督門下の俳優陣、民放キー局出身のクリエイター、シネマティックな撮影技術など、プロフェッショナルな制作体制を持ちます。

項目	詳細
適している企業	ブランドイメージを重視する企業、高級商材やライフスタイル商品を扱う企業、映像美で差別化したい企業。
代表的な会社	シバケン(株式会社B4B)、FILMOQ

【SNS共感・バズ追求型】の特徴：バズ創出、SNS・トレンド理解

Z世代共感・SNSネイティブ型の制作会社は、映画のような撮影ノウハウを持たない場合が多くなりますが、若年層のトレンドや感覚を深く理解している点を活かした、バズるコンテンツ制作に特化しています。

代表やクリエイター自身がSNSインフルエンサー、Z世代のリアルな悩みや憧れを反映した企画力、TikTokやInstagramのアルゴリズム最適化ノウハウを売りにしています。

項目	詳細
適している企業	Z世代をターゲットとする企業、話題性やバズを最優先する企業、学園・青春テーマと親和性の高い商品を扱う企業。
代表的な会社	HA-LU(株式会社HA-LU)、ごっこ倶楽部(株式会社GOKKO)、NUTS FILM(株式会社NUTS FILM)

【エンタメ収益・課金追求型】の特徴：コンテンツでのマネタイズ

B2C収益化・課金特化型の制作会社は、ショートドラマ自体を収益源とするビジネスモデルに精通しており、課金型コンテンツの制作・配信ノウハウを持ちます。

ショートドラマ配信アプリの開発・運営、都度課金や月額制などのマネタイズ設計、テレビ局や配信プラットフォームとの連携まで可能な場合もあります。

項目	詳細
適している企業	コンテンツ(チャンネル)自体を収益源化したい企業、エンタメ事業を展開する企業、課金モデルの導入を検討している企業。
代表的な会社	emole(株式会社emole)

【IP創出・育成型】の特徴：アニメーション表現でIPをグロース

IP創出・育成型の制作会社は、ショートドラマを単なるプロモーション手段としてではなく、新たな知的財産(IP)を生み出し、長期的に育成するためのコンテンツとして捉えています。

アニメーション表現を活用し、オリジナルキャラクター(IP)とユーザーの接点を短尺の縦型ショートドラマによって作り出し、ファンを作るための活動を支援します。

IP創出フェーズでは、ショートドラマでキャラクターや世界観を視聴者に認知させ、SNSでの反応を分析しながらストーリーやキャラクター設定を最適化します。育成フェーズでは、ファンとの対話を通じてコンテンツを拡充し、グッズ販売やイベント開催、海外での展開まで支援することでマネタイズを多角化します。

項目	詳細
適している企業	長期的なIP戦略を重視する企業、グローバル展開を視野に入れる企業、キャラクタービジネスに関心がある企業、アニメファン層をターゲットとする企業。
代表的な会社	RE:LY(株式会社NOKID)

関連記事：TikTokアニメが収益に繋がる！TikTokならではの収益方法について制作会社が徹底解説します

【総合力追求型】の特徴：幅広い業種でワンストップ

総合力追求型の制作会社は、従来の動画制作で培った豊富な実績とノウハウをもとに、ショートドラマ制作にも対応しています。

累計数千件以上の動画制作実績、幅広い業種・業界への対応力、企画から撮影・編集・分析までワンストップで依頼したい場合に向いています。

項目	詳細
適している企業	初めてショートドラマに取り組む企業、総合的な動画マーケティング支援を求める企業、安心感や実績を重視する企業。
代表的な会社	Crevo(株式会社Crevo)、CREAVE(株式会社CREAVE)

おすすめのSNS向けショートドラマ制作会社の比較

ここでは、日本国内の主要ショートドラマ制作会社10社を詳しく紹介します。各社の強み、実績、適した企業像を理解することで、自社に最適な制作パートナーを見極めることができます。

シバケン(株式会社B4B)

シバケン(株式会社B4B)は、映画『カメラを止めるな！』の上田慎一郎監督が手掛けた作品に出演する俳優集団「芝居研究会」と、250名超のクリエイターが参画する映像クリエイター集団「hive(ハイヴ)」がタッグを組んだ縦型ショートドラマ制作チームです。

特徴	低予算でも映画クオリティを実現する制作体制が最大の特徴です。俳優陣による宣伝活動参加モデルを採用しており、制作費を抑えながらも高品質な作品を提供します。民放キー局での豊富な経験を持つクリエイターや、国際映画祭へのノミネート経験者が多数在籍しています。
実績	シバケン俳優陣は、上田慎一郎監督が手掛けた19本の縦型ショートドラマに出演し、その総再生回数は1億回を超えています。特に『レンタル部下』は、第76回カンヌ国際映画祭の第2回「#TikTokShortFilm コンペティション」にて最高位のグランプリを受賞し、大きな話題を集めました。

参照：株式会社B4B

参考：株式会社B4B、縦型ショートドラマ制作チーム『シバケン』をスタート。 - PR Times

ごっこ倶楽部(株式会社GOKKO)

ごっこ倶楽部(株式会社GOKKO)は、日本テレビ公式の縦型ショートドラマ『毎日はにかむ僕たちは。』を制作し、Z世代の4人に1人が視聴するという驚異的な実績を持つ制作会社です。

特徴	SNSバズ創出に特化しており、テレビ局や通信キャリアとの共創モデルを持ちます。日本テレビ、TOYOTA、日本航空など、大手企業との連携実績も豊富です。
実績	Z世代に深く刺さるコンテンツ制作力が評価されており、話題性の高いショートドラマを次々と生み出しています。

株式会社HA-LU

株式会社HA-LUは、代表取締役CEO・岡春翔氏が「Forbes 30 Under 30 Asia 2025」のSOCIAL MEDIA, MARKETING & ADVERTISING部門に選出されたショートドラマレーベルです。

特徴	「青春2.0」をテーマに、学園ショートドラマに特化しています。岡氏自身のSNS総フォロワー数は50万人超、HA-LU設立1年で総再生回数3億回超、総フォロワー37万人超を達成しています。年間500本以上のショートドラマを制作する体制もあります。
実績	「青が白に溶ける春」「あばれる君〜最後の大暴れ〜」など、話題のショートドラマを次々に生み出しています。鈴木おさむ氏、yutoriの片石氏、サイバーエージェント・キャピタルなどから資金調達を実施しており、成長性の高さが評価されています。

参考：株式会社HA-LU -  Wantedly

参考：Z世代向けショートドラマレーベルHA-LUが資金調達、IP活用した事業拡大へ - KEPPLE

参考：「Forbes 30 Under 30 Asia 2025」にHA-LU代表取締役CEO岡春翔が選出 - PR Times

株式会社emole

株式会社emoleは、次世代型のショートドラマ配信アプリ「BUMP」を開発・提供する制作会社です。

特徴	300話以上の課金型ショートドラマ制作実績を持ち、都度課金・月額制などのB2C収益モデル設計ノウハウに精通しています。テレビ東京やFOD(フジテレビオンデマンド)との共同制作実績もあり、韓国制作会社と協業によるカルチャライズ対応も可能です。
実績	ショートドラマをコンテンツIP自体として収益化するビジネスモデルを確立しており、企業のショートドラマ制作支援にも対応しています。

株式会社CREAVE

株式会社CREAVEは、ガイアックスの子会社であり、SNSマーケティング支援事業の一環としてショートドラマ制作プランを提供しています。

特徴	emoleと連携したプロダクトプレイスメント戦略が特徴で、コンテンツ内に製品やサービスを自然に組み込むことで、広告感を抑えつつブランド認知拡大と好感度醸成を効果的に行います。
実績	パナソニック社のロボット「NICOBO」が登場するショートドラマや、自社制作のショートドラマ「配信恋愛、蜜の味」をショートドラマアプリ「BUMP」で配信するなど、多様な制作実績を持ちます。

参考：「ショートドラマ制作プラン」のご案内 - CREAVE

参考：総再生回数4億回超突破『マジ明日』に見るショートドラマ戦略を徹底解説 - PR Times

参考：ガイアックス子会社のCREAVE、ショートドラマを自社制作しショートドラマ市場への本格参入開始 - CreatorZine

株式会社NUTS FILM

株式会社NUTS FILMは、監督・有山周作氏が率いる縦型ショートドラマ制作に特化した制作会社です。株式会社1LDKと協業し、縦型ショート映像専門の制作スタジオ「6FILM(ロクフィルム)」を立ち上げるなどで体制を強化しています。

特徴	視聴者の感情を揺さぶるコメディ表現を得意とし、「TikTokショートフィルムコンテスト」でアドビ賞、「TikTok TOHO Film Festival 2023」でチャレンジ賞を受賞するなど、高い評価を獲得しています。
実績	新東通信と提携し、ミレニアル世代女性向けTikTokショートフィルムサービス「bibiBi FILM」を立ち上げ、ビューティー・ライフスタイル・ヘルスケア分野に特化したコンテンツを制作しています。

参考：新東通信とNUTS FILM、ミレニアル世代向けショートフィルムサービス「bibiBi FILM」でTikTokマーケティングの新機軸を展開 - PR Times

参考：縦型ショートドラマ制作会社NUTS FILM、明治安田生命様とコラボ制作したショートドラマが100万回再生超え！ - NUTS FILM

株式会社Crevo

株式会社Crevoは、2,000社以上で累計10,000件以上の動画制作実績を持つ総合動画制作会社で、ショートドラマ制作もワンストップで対応しています。

特徴	企画から台本制作、撮影、編集、投稿、分析まで一貫して対応可能です。幅広い業種・業界への対応実績があり、SNS戦略設計や運用サポートも含まれているため、初めてショートドラマに取り組む企業にも安心です。
実績	振袖専門店オンディーヌのショートドラマでは、高校生女性をターゲットに縦型動画のドラマ仕立てを採用し、共感を呼ぶ内容で成果を上げました。

RE:LY(株式会社NOKID)

RE:LYは、アニメーション表現に特化したショートドラマ制作会社(スタジオ)で、ブランド・IP設計からイベント・SNSローンチまでプロデュースに沿ったアニメーション表現を強みに展開しています。

特徴	海外現地ユーザー向けIP関連ニュースサイトとの多数のネットワークを保有しており、IP関連のグローバルにも強みがあります。アニメ表現を活用したショートドラマは、実写では表現しにくい世界観やキャラクターを描けるため、独自性のあるコンテンツ制作が可能です。
実績	実写表現の投稿をアニメーション表現に変更し、反応数を10倍以上にした実績や、各大手IP企業のSNSショートアニメを企画・運用面で支援しています。

関連記事：アニメーション動画の制作会社は増えている？上手な選び方をご紹介

nowhere film株式会社

nowhere film株式会社は、ショートドラマに特化した動画制作会社で、企画・脚本・演出・撮影をすべて社内で完結します。

特徴	スピード感とクオリティを両立し、コメディ・恋愛・ホラーなどあらゆるジャンルのショートドラマに対応しています。英語や中国語などにも対応可能であるため、海外市場に向けた訴求や多言語展開を検討している企業に適しています。
実績	キャスティング力も魅力で、企画やターゲットに合わせて最適な俳優・インフルエンサーをアサインすることが可能です。

FILMOQ(フィルモック)株式会社

FILMOQ株式会社は、ショートドラマ配信アプリやTikTokなどのSNSに特化したシネマティックなショートドラマを制作する動画制作会社です。

特徴	映画のような映像美と演出にこだわり、視覚的なインパクトで視聴者の印象に残るコンテンツを制作します。ショートドラマ配信アプリへの最適化も行っており、プラットフォームの特性を活かした作品作りが可能です。
実績	コンセプトである「Make Different」に沿った独自の切り口で、豊富なCM制作実績に基づくハイクオリティなコンテンツを提供しています。

SNS向けショートドラマの制作会社のタイプ別の比較についてのまとめ

ここまでのポイントをまとめます。

• ショートドラマ市場は世界で急成長しており、日本でも2026年には1,530億円規模に達する見込みである
• ショートドラマは広告感を抑えながらZ世代へ自然にリーチできる効果的な手段である
• 制作会社は企画力、拡散力、分析力を持ち、単なる制作以上の価値を提供している
• 【映画クオリティ追求型】は映像美とブランドイメージの向上に強みを持つ
• 【SNS共感・バズ追求型】はZ世代の心をつかむ企画力と拡散性に優れている
• 【エンタメ収益・課金追求型】はショートドラマ自体を収益化する知見が豊富である
• 【IP創出・育成型】はキャラクターと世界観を育てる長期的なIP戦略に適している
• 【動画制作の総合力追求型】は幅広いニーズに対応できるワンストップ体制が魅力である
• 各制作会社には独自の強みや実績があり、自社の目的に応じて最適なパートナー選びが重要である
• バズ・IP育成・高品質映像など、自社が何を重視するかで選ぶべきタイプは大きく異なる

ショートドラマは今後ますます広がるPR手法であり、その成否は制作パートナーの選定にかかっています。

「Z世代にリーチしたい」「IPを育てたい」「実績豊富な制作会社に任せたい」など、自社の目的を明確にしたうえで、それにマッチした制作会社を選ぶことが、成功への最短ルートとなるでしょう。

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