
自社の商品・サービスをグロースさせていく上で、ファンコミュニティの活用は必須といえます。
ビジネス上でよく語られるパレートの法則では「売上の8割は全顧客の2割が生み出している」といわれており、新規の顧客集客より既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上が鍵となるためです。
そこで本記事では、ファンコミュニティとはなにか、コミュニティサイトの作り方や、導入するメリット・デメリットをご紹介します。
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目次
ファンコミュニティサイトとは
ファンコミュニティサイトは、同じ興味のあるトピックを持つユーザー間で「情報交換や交流をするための」Webサイトのことです。これは、同じ趣味のあるユーザー同士を引き合わせる「マッチングサイト」の1つといえます。
そして、ファンコミュニティサイトを大別すると以下の2種類が代表例です。
- 誰でも参加できるオープンなサイト
- 参加資格が限定されたクローズなサイト
ユーザーのコミュニティとして立ち上げられたり、企業同士のマッチングとして使われたりとさまざまです。
例えば、特定の興味、趣味、アイドル、作品などを共有する人々が集まって情報交換をしたり、ディスカッションを行う場所・機会などがあります。
ファンコミュニティも、こうしたサイト上で活動することが多いものの、コミュニティサイトの方が特定のトピックに限らず、様々なユーザーが参加できる場合が多いという違いがあります。
ファンコミュニティとの関係は?
そもそもファンコミュニティとは、企業のブランドや商品などに関するファンの集まりのことを指し、主にオンライン上で、ファンによって形成されるコミュニティを指します。
主なコンテンツとしては、掲示板やQ&Aといったファンによるコメント投稿、企業からの情報発信、ゲームなどのお楽しみコーナーなどが見られます。コメント投稿や「いいね」などのアクション、イベント参加など、ファンコミュニティ内の活動が計測され、活動に応じてポイントが付与されるサービスも一般的です。
例えば、特定の音楽グループや映画、アニメのファンが集まって形成されるコミュニティを指します
一方で、コミュニティサイトは、それらのトピックやカテゴリーに関する情報を得たり、ディスカッションが行われる場所を指します。
ファンコミュニティ | ファンコミュニティサイト | |
---|---|---|
どんなものか? | 特定のトピックに限定された範囲での集団 | 特定のトピックに関する情報を得たり、ディスカッションを行う場所 |
どんな目的か? | 共通の興味や趣味に関する情報交換、イベント、ディスカッションなどの活動を行う目的 | ユーザー間のコミュニケーションや情報交換の場を提供することが目的 |
このように、コミュニティサイトは、「ファン同士」あるいは「企業とファン」との交流の場であり、率直な感想や熱心な意見が飛び交う情報源でもあります。
企業側がファンコミュニティを運営し、そこで得られる情報をマーケティングに活用するコミュニティマーケティングも広く行われるようになっています。
ファンコミュニティ自体は、インターネットが普及する以前からあるオーソドックスな手法ですが、オンライン化が進んだ現在では、オンラインのファンコミュニティがユーザーとの接点を作り出す場として一層の注目を集めています。
オンライン化によって、遠く離れた人同士が交流を図りやすくなったとはいえ、対面に比べると接点が減ってしまうというデメリットがあります。それを補うため、強い繋がりを作る手段としてコミュニティの価値が増しているということです。
ファンコミュニティサイトを制作・運営するメリット
新規層の獲得
企業がコミュニティサイトを活用することで、新規顧客獲得のチャンスを得ることができます。
掲示板などの機能をつけることで、既存ユーザーによる「口コミ」が発信され、商品やサービスが気になっている人に感想や情報を知ってもらえるからです。
購入を検討していたユーザーがそれを見ることで購買するかしないかを判断でき、新しい顧客の獲得が期待できます。
例えば、化粧品会社のコミュニティサイトでは、ユーザーが製品の感想や使用方法のアドバイスなどを掲示板に自由に投稿できるほか、試供品をコミュニティサイト上で配布しレビューするイベントなどを定期的に開催することができます。
もともと製品が気になっているユーザーがコミュニティサイトを見ることで、化粧品の使用感や実際に使ってみたリアルな感想、上手な活用方法などを知り、購入するか判断します。
このように企業がコミュニティサイトを制作することで、それまで商品やサービスに興味があった顧客を新規顧客として取り込むことができるメリットがあります。
既存顧客のファン化
コミュニティサイトは、既存の顧客を抱え込み、企業のファンを増やすことに役立ちます。コミュニティサイトを活用することで、企業と消費者の繋がりを強化できるからです。
例えばコミュニティサイト上でポイントサービスを提供することで、他のメーカーへの乗り換えを防げるとともに、顧客ロイヤルティを高めることができます。
サンプル配布やプレゼント企画を定期的に実施すれば、コミュニティサイトを定期的にチェックしてもらうことができ、商品やサービスを意識してもらえる効果が期待できます。
既存の顧客を手放さないためにも、コミュニティサイトの制作はおすすめです。
サポートの充実化
コミュニティサイトでは消費者に対するサポートを充実させることができるメリットもあります。コミュニティサイト上でカスタマーサポートのチャットを設置すれば、迅速なカスタマーサポートを実現できます。
サイト内に「よくある質問」のようなFAQを用意することで、一部の疑問は自己解決につながることが期待できます。
また、掲示板を用意すれば、ユーザー同士で問題を解決することも可能です。
このようにコミュニティサイトを制作すれば、消費者は迅速に問題を解決でき、企業は顧客対応の手段が広がり顧客満足度向上に繋がるため、双方にメリットがあります。
ファンコミュニティサイトを制作・運営するデメリット
制作・運営のコスト負担
コミュニティサイトの制作には、一定のコストがかかります。外注する場合はもちろんですが、自社で制作する場合でも人的コストや初期開発費、ドメイン取得費用などがかかります。
サイトの規模を大きくすればするほど費用も工数もかかり、完成までの時間もかかります。コミュニティサイトの制作は、ある程度ノウハウを知っておく必要があるので、必ずしも自社で制作できるわけではありません。
管理・運営のノウハウが必要
コミュニティサイトには、ポジティブな意見を持った人だけが集まるわけではなく、ユーザーが増えれば増えるほどさまざまな人が集まり、サイトの管理が難しくなります。
トラブルが発生すると、コミュニティサイトから得られるメリットは減少します。それどころか企業のマイナスイメージに繋がりかねません。
このようなトラブルを防ぐためには、ユーザーの管理やコメントの監視など継続的に人的リソースを投入することが必要になります。
ユーザー離れが起きないように健全にサイトを運営するには、ある程度コストをかけ、コミュニティサイト利用者の満足度を保つ努力が不可欠です。
ファンコミュニティサイトとSNSアカウント運用の違いは?
ユーザーとの交流の場として、SNSを活用している企業も多いでしょう。ファンコミュニティとSNSアカウント運用では、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの定義自体は異なるものの、「利用される目的」としては同じだと言えます。
主な違いとしては、"拡散性と交流の深さ"が挙げられます。
SNSには拡散力がある
SNSには拡散力があるという点です。さまざまな層がSNSを利用しているため、そのプラットフォーム内の投稿に反応があれば、優先的に多くの人の目に留まるように、プラットフォーム側が露出を増やしてくれる傾向にあります。
その代わり、SNSにおける企業からの発信は、一方向的な情報になりがちです。さらに、特定のトピックに限らず多くの人が集まる場のため、否定的な意見や興味のない人にも発信が届きやすいため、密な交流は別のスペースを用意するケースが多くなります。
つまり、SNSは「コミュニティサイトへの集客」という目的が適していると言えます。
コミュニティサイトは深く交流できる
前述の通り、SNSは多くの人に発信を見てもらいやすい反面、ユーザーと企業が継続的に関わりをもったり、企業や商品と深い関係を構築することには向いていません。そのため、SNSだけでは「顧客のファン化」まで結びつけるのは容易ではありません。
多くの場合が、コミュニティサイトのように「ファン専用の場」を別で設けています。
コミュニティサイトは、「特定の企業や商品に関心をもつ層」が集まった場です。そのため、企業がユーザーと双方向的に継続して交流し、関係を深めてコアなファンを育てていく下地として期待できます。
コメント投稿とアクション以外にも、さまざまなコンテンツでSNSよりも多彩な楽しみ方を用意できるのもファンコミュニティの強みです。
また、参加者のコミュニティ内での活動を追跡し、熱心なファンへと育っていくきっかけや経過を分析することもできます。コミュニケーションツールとしてだけでなく、ファン化を促す施策に活用できるでしょう。
このように、SNSとコミュニティサイトそれぞれの強みを活かして、使い分けることがコミュニティを育てる上で重要となります。
オンラインでコミュニティサイト(交流の場)を作るには?
自社にITやWeb制作に精通した人材がいるのであれば、コミュニティサイトの内製が可能です。そうでない場合には、外部に作成を依頼するという選択肢もあります。
それを踏まえた上で、コミュニティサイトの主な作成方法を以下にピックアップしました。特に多いのは、SNSアカウントなどの既存サービスを「ユーザーとの交流の場」として利用する方法ではないでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
既存サービスを利用して交流の場を設ける
既存のSNSやCMSなどのサービスを利用する方法もあります。
SNSは、TwitterやInstagramといったオープンなものから、FacebookやLINE公式アカウントといった比較的クローズドなサービス、YouTube公式チャンネルやTikTokのように動画を活用するものなど、多くの種類があります。
大手企業を中心にSNSで情報発信する企業は多く、ファン獲得のツールとして主流になりつつあります。
一方で、運用ノウハウをしっかりと構築しなければ、いわゆる「炎上」を起こしてしまいかねません。
また、機能や運用条件などはSNSのプラットフォームに依存するため、柔軟性が低いというデメリットもあります。
自由度の高いコミュニティサイトを構築したい場合は、CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)を利用する方法もあります。CMSの代表格であるWordPressであれば、豊富なテンプレートとプラグインを活用して、デザイン性と機能性に富んだコミュニティサイトの作成が可能です。
スクラッチで開発して交流の場を設ける
スクラッチ開発とは、ゼロベースから作成する方法のことです。自社が求めるデザインや機能を余すことなく盛り込むことができ、理想的なコミュニティサイトを作成できます。
ただし、スクラッチ開発には高度かつ専門的な知識や技術が求められます。
自社で専門人材を確保できないのであれば、外部の事業者に作成を委託したほうが無難です。外部の事業者に作成を委託する場合、多額の費用が発生する可能性がある一方、短期間でスムーズに開発でき、満足のいくクオリティのサイトに仕上がります。
パッケージ(ASP)で開発して交流の場を設ける
ASPとはApplication Service Providerの略であり、ソフトウェアやシステムの稼働環境を提供するサービスを指します。
コミュニティサイトを構築できるASPであれば、あらかじめ整備された環境でサイト構築を行え、スクラッチ開発ほどの知識や技術も要しません。ASPであれば、あらかじめ実装されている基本機能に加え、オリジナル機能を追加できます。
ゼロベースから開発するスクラッチに比べてコストを抑えやすい点もメリットです。ASPの種類によってカスタマイズの自由度が異なる点に注意しましょう。より理想に近いコミュニティサイトを構築したいのであれば、カスタマイズ性に優れたASPの利用がおすすめです。
また、コミュニティサイトでは、ユーザーの個人情報を扱うことも多いため、ASPのセキュリティ水準もチェックしなくてはなりません。
コミュニティサイトの運用のコツ
コンセプトとターゲットの明確化
コミュニティサイトを制作する際は、コンセプトやターゲット設計を明確にすることが大切です。
コミュニティサイトを作る際は「誰に」「どんな目的」で利用してもらいたいのかを設定しましょう。
例えば「スマホゲームについて男性からのレビューや評判が欲しい」といった目的があれば、普段からスマホゲームを利用している男性をターゲットにコミュニティサイトを作成する必要があります。
このようにターゲットを明確にした上でコンセプトを掲げることが、コミュニティサイト運営において非常に重要なポイントとなります。
ユーザー意見の掬い上げ
コミュニティサイトの運営においては、ユーザーの意見を参考に機能をアップデートすることが重要です。
利用者からの意見をコミュニティサイトに反映させなければ利用者は減少してしまいます。
例えば「〇〇の機能は使いにくいから消して欲しい」「〇〇のデザインが見にくいから更新して欲しい」などユーザーからのリアルな声をコミュニティサイトで受け取ることがあります。
このようなユーザーの生の意見は非常に貴重です。
ユーザーの意見を基に常に機能をアップデートしていくことで、ユーザーの満足度を上げてサイトからの離脱率を防ぐことができます。
コミュニティサイトの企業事例
ここからは、企業がマーケティング活動の一環として運営する事例を2つご紹介します。
&カゴメ
カゴメ株式会社が運営する「&KAGOME」では、ユーザー同士がカゴメの商品を使ったレシピの共有や商品の口コミ投稿が可能です。
コミュニティでの情報共有が、カゴメ商品を使う意欲に繋がり商品への愛着が強まります。
また、カゴメの主力商品であるトマトジュースの売上を解析すると、2.5%のコアなファンのみで売上の約3割をしめていたといいます。
愛してくれるファンを大切にしたいという思いから、ファンコミュニティサイトの立ち上げに至ったそうです。
エンゼルPLUS
コミュニティメンバー限定のキャンペーンや応募企画が好評なのが、森永製菓が運営する「エンゼルPLUS」です。
商品の画像を投稿するギャラリーや、メンバーが書き込めるブログが用意されています。
コメントなどによってポイントが付与され、貢献度が可視化できる仕組みがあります。
キャンペーン当選者が画像付きで賞品を紹介し、メンバー同士が祝い合うなど、掲示板も盛り上がりを見せています。
毎月「盛り上がった賞」としてポイントを付与する取り組みも好評です。
コミュニティサイトについてのまとめ
ここまでのポイントをまとめてみます。
- ファンコミュニティサイトは、同じ興味を持つユーザーが情報交換や交流をするWebサイト
- オープンなサイトとクローズなサイトの2種類が存在
- ファンコミュニティは、企業のブランドや商品に関するファンの集まりを指す
- コミュニティサイトは、ファン同士や企業とファンとの交流の場
- 企業がファンコミュニティを運営することで、新規顧客獲得のチャンスが増加
- SNSは多くの人に情報を発信するのに適しているが、深い関係の構築には向いていない
- コミュニティサイトは、特定の興味を持つ層が集まる場所で、双方向のコミュニケーションが可能
- コミュニティサイトは、ファンの育成や関係の深化に期待できる場所
- SNSとコミュニティサイトは、それぞれの強みを活かして使い分けることが重要
- コミュニティサイト上での活動を追跡し、熱心なファンへの育成が可能
このように、ファンコミュニティサイトは、ファンとの深い関係を築くための重要なツールとなっています。これは、顧客の囲い込みや関係維持、顧客サポート対応の品質向上などのメリットが得られます。
コミュニティサイトに限らず、コミュニティ作りについて詳しく知りたい方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
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