NOKID編集部
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本物と見分けがつかないほどのCG制作を自社のプロモーションにも活用してみたいという企業は少なくありません。実写では表現が難しいシーンも再現できることから、顧客の注意を引きやすく他社よりも優位な状況を作りやすくなります。
そんなCG制作において、特にリアルなグラフィック制作が出来ることで注目を集めているのがゲームエンジンであるUnreal Engine(アンリアルエンジン)です。
そこで今回は、Unreal EngineでCG制作を行うことをテーマに「企業が活用することのメリット」や「CG映像の事例」などを解説します。
CG制作会社を選ぶコツは「映像制作に活用されるCGとは?種類や制作会社を選ぶコツまで解説」もおすすめです。
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Unreal Engineとは、Epic Gamesが開発したゲームエンジンです。ゲームエンジンとは、ゲーム制作に使用されるソフトです。ゲーム開発を行うためには、グラフィックだけでなくプログラミングも必要となります。ゲームエンジンによって、これらの環境が準備された状態でゲーム開発を始めることができるため、多くの手間を省略できます。
技術の進化によって、ゲームだけでなく、映画、建築、自動車、ライブイベント、シミュレーションなどの分野でも多く活用されています。
公式の定義としては、以下の記述があります。
“リアルタイム テクノロジーを使うすべての人たちに向けて作られた完全な開発ツールスイートです。デザイン ビジュアライゼーションやシネマティック体験の制作から、PC / コンソール / モバイル / VR / AR 向けの高品質なゲーム開発まで、Unreal Engine には、開発・シッピング・拡大し、傑出した作品を生み出すためのすべての機能が備わっています。”
引用:Unreal Engine 5 公式ホームページ
「フォートナイト」「FFVII REMAKE」「ドラゴンクエスト11」に使用された「Unreal Engine 4(UE4)」は2014年にリリースされました。そして2022年6月時点で、最新のゲームエンジンである「Unreal Engine 5(UE5)」は、2022年4月6日に正式リリースされました。
参考:Unreal Engine 5 がリリースされました! - Unreal Engine
映像制作においては、下記のようにマトリックスのデモコンテンツがUE5によって制作されており話題を呼びました。
では、UE5になったことでUE4と何が変わったのでしょうか?追加された機能や進化した点を次に解説していきます。
UE4からUE5に変わり、UE4の機能は引き継がれています。他にも、UE4のデータをUE5でも使うこともできおり、扱いやすさの点ではUE4ユーザーにも不安がないはずです。
UE5になって大きく変わったのは、以下が挙げられます。
・ポリゴン数
・最適化機能
・エディタ(UI)
順に見ていきましょう。
ポリゴンとは、3DCGの制作において「3点以上の頂点を結んでできた多角形データ」のことを指します。こうした多角形のポリゴンデータによって立体的な曲面を表現しています。
ポリゴンデータが多くなるほど、滑らかな曲線ができますが容量も膨大になっていきます。プレイステーション1(PS1)を例に挙げると約1万ポリゴンが動いており、最大で約36万ポリゴンと言われています。
このポリゴン数が、UE4ではキャラクター1体でも約120万ポリゴンにもなります。そして、UE5になると100億ポリゴン以上となるため、比にならないことがお分かりいただけるはずです。
Lumenとは、3D空間上で現実のように光(ライティング)の設定をしなくても、リアルな反射の光をリアルタイムで表現してくれる機能です。
実写以上にリアルなライティング表現が可能な機能です。CG制作において、ライティング表現を計算するのは手間が掛かります。この機能によって、3D空間上で現実のように光(ライティング)の設定をしなくても、リアルな反射の光をリアルタイムで表現してくれます。
リアルなグラフィックには光の表現を活かすことが重要です。これが効率化されることで、ハイクオリティな映像をスムーズに制作できるということです。
例えば、太陽の光が反射したり水面の反射などはリアルな印象を与えるために重要な要素となります。
参考:Lumenの技術的詳細 - Unreal Engine 5
Naniteとは、3Dモデルを効率的かつ高速に扱える技術です。LOD(Level Of Detail)と呼ばれるカメラからの距離に応じたポリゴン調整を自動的に行なってくれます。
LODとは、対象オブジェクトに対してポリゴン数が異なる複数のモデルを用意してくれることで、近くだとポリゴン数が多いモデルが表示されます。反対に、遠くなるほどポリゴン数を減らしたモデルが表示されます。こうすることで、「人間の視覚的に映像の美しさを保ったまま出力するデータを軽くすることができる」といったイメージです。
例えば、オープンワールドゲームでは広大なデータが存在します。これをすべてポリゴン数の多い状態で出力すると非常に時間が掛かり、ゲームをプレイするどころではなくなります。
この機能の実装により、ポリゴン数を気にすることなく制作を行えるメリットがあります。ZBrushなどの他ツールで制作したポリゴンデータも扱えるため、高品質なグラフィックが制作しやすいと言えます。
出典:Twitter
こちらのキャプチャは、Twitterに投稿されているUE5で制作された1,000万ポリゴンのデータです。Naniteによって、これを1,000体=100億ポリゴンにしても遠くのオブジェクトと近くのオブジェクトのCGモデルのポリゴン数が調整されることで、点滅せず描写できています。
出典:Twitter
UE5は、UE4よりもエディタが簡略化されています。エディタとは、Unreal Engineのすべての操作を行う画面のことです。UE5では不要な情報を閉じておくことが可能になりました。
また、アニメーション機能の強化や、素材のダウンロード&インポートもエディタ内で完結するようになっています。以前は、QuixelMegascanなどから素材をダウンロードしてソフトにインポートする必要がありましたので、使い勝手が向上しているのがお分かりいただけるはずです。
他にも、後述する機能も導入されて映像制作においても扱いやすくなっています。
参考:Unreal Engine 5 の早期アクセスがリリースされました! - Unreal Engine
UE5では、MetaSound(メタサウンド)という高性能オーディオ システムが導入されています。MetaSoundを使用すると、DTMソフトのように音源をUE5内で制作できます。
従来のオーディオシステムである「Sound Cue」よりもプロシージャル(手続き型)なサウンドを作成でき、パフォーマンスも向上しています。
制作時もブループリントと似ており、ノードベース(プログラミング知識不要でスクリプト追加が可能)な設計です。
参考:MetaSound:次世代の音源 - Unreal Engine 5
「アニメーション ブループリント」とは、スケルタルメッシュのアニメーションを制御するために特化したブループリントです。ブループリントとは、プログラミング知識がなくてもスクリプトを追加できるシステムです。
よくあるプログラミングは、文法に沿って関数などの記述を行っていきます。ブループリントの存在によって、エンジニアでなくとも覚えやすいことがお分かりいただけるはずです。
つまり、「アニメーション ブループリント」を使うことで、複雑なアニメーションの挙動を作成・制御が簡単にできるということです。
参考:アニメーション ブループリント - Unreal Engine 5
VR用テンプレートとは、openXRに基づいて構築されているAR・VR仕様の標準プラットフォームです。UE4から実装されていますが、このVRテンプレートを使うことで他の機器に対応させやすくなります。
つまり、VRテンプレートを活用して作られたVRコンテンツは、多くのプラットフォーム上でそのまま販売できるということです。
このように、データを展開しやすいことで映像制作のシーン以外でコンテンツを活用しやすく時間短縮が可能です。
参考:VR テンプレート - Unreal Engine 5
ゲームエンジンであるUE5を映像制作に活用することは、企業にとってメリットがあります。特に、従来のCG制作よりも時間短縮になることで制作コストを抑えられる点が大きな魅力でしょう。
従来のCG制作と比べて、UE5を映像制作で活用するメリットを以下に挙げてみました。
・従来より短期間で綺麗な映像がコストを抑えて作れる
・従来より依頼主や社内チームで映像確認をスムーズに行える
もちろん、映像の品質や条件によっては必ずというわけではありませんが、美しい映像を早くコストを抑えながら制作しやすいことに変わりはありません。
CG制作では、レンダリングと呼ばれる映像出力を行う行程があります。制作時間のほとんどがレンダリング時間に費やされるため、ゲームエンジンのリアルタイムレンダリング技術を活用することで時間短縮が可能となります。
その結果、確認作業がスムーズになるだけでなく稼働時間が減ることでコスト削減にも繋がります。他にも、レンダリング時間だけでなく、ライティングやモデリングなども自動化されていることで時間や手間が省略できることもコスト削減に繋がっています。
CGモデルのクオリティを追求する場合、他のソフトを使う方が良い場合もありますが、映像制作においてはUE5を活用することで映像美と価格のバランスが取りやすくなると言えます。
映像制作の途中で色や質感、映像の方向性を依頼主と制作会社で調整する行程があります。この場合にも、レンダリングがスムーズなことで意図しないものができてしまう懸念を大きく減らすことが可能です。
本来であれば、依頼主から要望を伝えて何日も待ってようやく調整したものが出来るものでも、UE5の活用によって早めることができるということです。
映像のチェックだけでなく、依頼主からデータが共有されて作業を行う場合もあります。従来であれば、これらのデータを変換する必要があります。ですが、UE5の活用によって元となるデータをそのまま読み込めるため変換の手間がなくスムーズに着手が可能です。
UE5は、2022年6月時点でも「160以上の映画・ドラマ制作」に活用されています。その事例をいくつかご紹介します。
ユミの細胞たちは、Web 漫画を原作とする TVING オリジナルの番組です。フォトリアルな映像だけでなく、アニメーションCGにおいても同様に高品質な表現が可能です。
参考:リアルタイム アニメーションで思考をビジュアライズした『ユミの細胞たち』
「MetaHuman(メタヒューマン)」を使ってフォトリアルなデジタルヒューマンが作られているのが特徴です。MetaHumanとは、人物モデルのテンプレートが用意されていることでモデリング(CGを作る)やリグ(動きをつける)に掛かる時間を短縮できるクラウドベースのアプリです。
本来であれば多くの時間を費やす必要のある作業が短縮されることで、映像の見せ方や構成といった特に重要な行程に時間を費やすくなります。
参考:MetaHuman が主演を務める Treehouse Digital のアニメーション短編ホラー The Well
Coldplay と BTS の最近のシングル、My Universe のミュージックビデオ(MV)でもUE5が活用されています。実写と映像を合成(VFX)することで、現実には起こりえない映像を表現しています。
VFXについては「VFXとは?SFX・CGとの違いや各映像技術の事例を解説」で解説していますので、合わせてご覧ください。
参考:BTS と Coldplay による My Universe のライブ ホログラム パフォーマンスの舞台裏
World of Tanksというゲームのプロモーション映像です。現実に限りなく近いフォトリアルな表現によって、リアリティのある映像に仕上がっています。Unreal Engine マーケットプレイスのアセットやシーンを利用して記録的なスピードで制作を実現しています。
・Unreal Engine 5はゲームエンジンのレンダリング技術を活用することで、映像制作も時間短縮を実現している
・企業が自社製品PRを行う場合には、映像チェックがスムーズに行えることで従来のCG制作よりもストレスなく進行しやすい
・VRコンテンツなど他メディアへの展開もスムーズなため、企業がUE5を活用していくメリットが多い
商品やサービスのPRを行う際、CGの活用は費用が安くないことで手が出しづらい状況です。ですが、注目を集めたりSNSでのシェアをされやすい「現実に近い映像で、実際には起こりえない状況」を表現できることは非常に魅力があるのではないでしょうか。
ぜひ、他社にはない魅力的なPRにCG映像を検討してみてください。
当社NOKIDの制作実績は「制作実績ページ」でご覧いただけます。
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