2022.06.28

2024.05.31

Unreal Engine(アンリアルエンジン)は映像制作に向かない?機能の特徴や企業が使うメリットを解説

本物と見分けがつかないほどのCG制作を自社のプロモーションにも活用してみたいという企業は少なくありません。実写では表現が難しいシーンも再現できることから、顧客の注意を引きやすく他社よりも優位な状況を作りやすくなります。

そんなCG制作において、特にリアルなグラフィック制作が出来ることで注目を集めているのがゲームエンジンであるUnreal Engine(アンリアルエンジン)です。

そこで今回は、Unreal EngineでCG制作を行うことをテーマに「企業が活用することのメリット」や「CG映像の事例」などを解説します。

CG制作会社を選ぶコツは「映像制作に活用されるCGとは?種類や制作会社を選ぶコツまで解説」もおすすめです。


YouTubeやTikTokで効果的なPRを行うための「動画広告の設計方法」から「アニメーション動画の活用方法」まで「無料資料ダウンロードページ」で公開中です。多くの自社チャンネル運用、他社チャンネル運用代行を行なってきたノウハウを凝縮したガイドブックを入手してください。


Unreal Engine(アンリアルエンジン)とは

Unreal Engineとは、Epic Gamesが開発したゲームエンジンです。ゲームエンジンとは、ゲーム制作に使用されるソフトです。ゲーム開発を行うためには、グラフィックだけでなくプログラミングも必要となります。ゲームエンジンによって、これらの環境が準備された状態でゲーム開発を始めることができるため、多くの手間を省略できます。

技術の進化によって、ゲームだけでなく、映画、建築、自動車、ライブイベント、シミュレーションなどの分野でも多く活用されています。

公式の定義としては、以下の記述があります。

“リアルタイム テクノロジーを使うすべての人たちに向けて作られた完全な開発ツールスイートです。デザイン ビジュアライゼーションやシネマティック体験の制作から、PC / コンソール / モバイル / VR / AR 向けの高品質なゲーム開発まで、Unreal Engine には、開発・シッピング・拡大し、傑出した作品を生み出すためのすべての機能が備わっています。”

引用:Unreal Engine 5 公式ホームページ

「フォートナイト」「FFVII REMAKE」「ドラゴンクエスト11」に使用された「Unreal Engine 4(UE4)」は2014年にリリースされました。そして2022年6月時点で、最新のゲームエンジンである「Unreal Engine 5(UE5)」は、2022年4月6日に正式リリースされました。

参考:Unreal Engine 5 がリリースされました! - Unreal Engine

出典:The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience JP

映像制作においては、下記のようにマトリックスのデモコンテンツがUE5によって制作されており話題を呼びました。

では、UE5になったことでUE4と何が変わったのでしょうか?追加された機能や進化した点を次に解説していきます。

UE5とUE4の違いとは?

UE4からUE5に変わり、UE4の機能は引き継がれています。他にも、UE4のデータをUE5でも使うこともできおり、扱いやすさの点ではUE4ユーザーにも不安がないはずです。

UE5になって大きく変わったのは、以下が挙げられます。

・ポリゴン数
・最適化機能
・エディタ(UI)

順に見ていきましょう。

ポリゴン

ポリゴンとは、3DCGの制作において「3点以上の頂点を結んでできた多角形データ」のことを指します。こうした多角形のポリゴンデータによって立体的な曲面を表現しています。

ポリゴンデータが多くなるほど、滑らかな曲線ができますが容量も膨大になっていきます。プレイステーション1(PS1)を例に挙げると約1万ポリゴンが動いており、最大で約36万ポリゴンと言われています。

このポリゴン数が、UE4ではキャラクター1体でも約120万ポリゴンにもなります。そして、UE5になると100億ポリゴン以上となるため、比にならないことがお分かりいただけるはずです。

最適化機能

Lumen(ルーメン)

Lumenとは、3D空間上で現実のように光(ライティング)の設定をしなくても、リアルな反射の光をリアルタイムで表現してくれる機能です。

実写以上にリアルなライティング表現が可能な機能です。CG制作において、ライティング表現を計算するのは手間が掛かります。この機能によって、3D空間上で現実のように光(ライティング)の設定をしなくても、リアルな反射の光をリアルタイムで表現してくれます。

リアルなグラフィックには光の表現を活かすことが重要です。これが効率化されることで、ハイクオリティな映像をスムーズに制作できるということです。

例えば、太陽の光が反射したり水面の反射などはリアルな印象を与えるために重要な要素となります。

参考:Lumenの技術的詳細 - Unreal Engine 5

Nanite(ナナイト)

Naniteとは、3Dモデルを効率的かつ高速に扱える技術です。LOD(Level Of Detail)と呼ばれるカメラからの距離に応じたポリゴン調整を自動的に行なってくれます。

LODとは、対象オブジェクトに対してポリゴン数が異なる複数のモデルを用意してくれることで、近くだとポリゴン数が多いモデルが表示されます。反対に、遠くなるほどポリゴン数を減らしたモデルが表示されます。こうすることで、「人間の視覚的に映像の美しさを保ったまま出力するデータを軽くすることができる」といったイメージです。

例えば、オープンワールドゲームでは広大なデータが存在します。これをすべてポリゴン数の多い状態で出力すると非常に時間が掛かり、ゲームをプレイするどころではなくなります。

この機能の実装により、ポリゴン数を気にすることなく制作を行えるメリットがあります。ZBrushなどの他ツールで制作したポリゴンデータも扱えるため、高品質なグラフィックが制作しやすいと言えます。

出典:Twitter

こちらのキャプチャは、Twitterに投稿されているUE5で制作された1,000万ポリゴンのデータです。Naniteによって、これを1,000体=100億ポリゴンにしても遠くのオブジェクトと近くのオブジェクトのCGモデルのポリゴン数が調整されることで、点滅せず描写できています。

出典:Twitter

エディタ(UI)

UE5は、UE4よりもエディタが簡略化されています。エディタとは、Unreal Engineのすべての操作を行う画面のことです。UE5では不要な情報を閉じておくことが可能になりました。

また、アニメーション機能の強化や、素材のダウンロード&インポートもエディタ内で完結するようになっています。以前は、QuixelMegascanなどから素材をダウンロードしてソフトにインポートする必要がありましたので、使い勝手が向上しているのがお分かりいただけるはずです。

他にも、後述する機能も導入されて映像制作においても扱いやすくなっています。

参考:Unreal Engine 5 の早期アクセスがリリースされました! - Unreal Engine

MetaSounds

UE5では、MetaSound(メタサウンド)という高性能オーディオ システムが導入されています。MetaSoundを使用すると、DTMソフトのように音源をUE5内で制作できます。

従来のオーディオシステムである「Sound Cue」よりもプロシージャル(手続き型)なサウンドを作成でき、パフォーマンスも向上しています。

制作時もブループリントと似ており、ノードベース(プログラミング知識不要でスクリプト追加が可能)な設計です。

参考:MetaSound:次世代の音源 - Unreal Engine 5

アニメーション ブループリント

「アニメーション ブループリント」とは、スケルタルメッシュのアニメーションを制御するために特化したブループリントです。ブループリントとは、プログラミング知識がなくてもスクリプトを追加できるシステムです。

よくあるプログラミングは、文法に沿って関数などの記述を行っていきます。ブループリントの存在によって、エンジニアでなくとも覚えやすいことがお分かりいただけるはずです。

つまり、「アニメーション ブループリント」を使うことで、複雑なアニメーションの挙動を作成・制御が簡単にできるということです。

参考:アニメーション ブループリント - Unreal Engine 5

VRテンプレート

VR用テンプレートとは、openXRに基づいて構築されているAR・VR仕様の標準プラットフォームです。UE4から実装されていますが、このVRテンプレートを使うことで他の機器に対応させやすくなります。

つまり、VRテンプレートを活用して作られたVRコンテンツは、多くのプラットフォーム上でそのまま販売できるということです。

このように、データを展開しやすいことで映像制作のシーン以外でコンテンツを活用しやすく時間短縮が可能です。

参考:VR テンプレート - Unreal Engine 5

映像制作にUnreal Engine 5を活用するメリット

ゲームエンジンであるUE5を映像制作に活用することは、企業にとってメリットがあります。特に、従来のCG制作よりも時間短縮になることで制作コストを抑えられる点が大きな魅力でしょう。

従来のCG制作と比べて、UE5を映像制作で活用するメリットを以下に挙げてみました。

・従来より短期間で綺麗な映像がコストを抑えて作れる
・従来より依頼主や社内チームで映像確認をスムーズに行える

もちろん、映像の品質や条件によっては必ずというわけではありませんが、美しい映像を早くコストを抑えながら制作しやすいことに変わりはありません。

従来より短期間で綺麗な映像がコストを抑えて作れる

CG制作では、レンダリングと呼ばれる映像出力を行う行程があります。制作時間のほとんどがレンダリング時間に費やされるため、ゲームエンジンのリアルタイムレンダリング技術を活用することで時間短縮が可能となります。

その結果、確認作業がスムーズになるだけでなく稼働時間が減ることでコスト削減にも繋がります。他にも、レンダリング時間だけでなく、ライティングやモデリングなども自動化されていることで時間や手間が省略できることもコスト削減に繋がっています。

CGモデルのクオリティを追求する場合、他のソフトを使う方が良い場合もありますが、映像制作においてはUE5を活用することで映像美と価格のバランスが取りやすくなると言えます。

従来より依頼主や社内チームで映像確認をスムーズに行える

映像制作の途中で色や質感、映像の方向性を依頼主と制作会社で調整する行程があります。この場合にも、レンダリングがスムーズなことで意図しないものができてしまう懸念を大きく減らすことが可能です。

本来であれば、依頼主から要望を伝えて何日も待ってようやく調整したものが出来るものでも、UE5の活用によって早めることができるということです。

映像のチェックだけでなく、依頼主からデータが共有されて作業を行う場合もあります。従来であれば、これらのデータを変換する必要があります。ですが、UE5の活用によって元となるデータをそのまま読み込めるため変換の手間がなくスムーズに着手が可能です。

UnrealEngineを活用した動画事例

UE5は、2022年6月時点でも「160以上の映画・ドラマ制作」に活用されています。その事例をいくつかご紹介します。

ユミの細胞たち - アニメーションCG

出典:Real-Time Animation: Exploring 'Yumi's Cells' | Unreal Engine

ユミの細胞たちは、Web 漫画を原作とする TVING オリジナルの番組です。フォトリアルな映像だけでなく、アニメーションCGにおいても同様に高品質な表現が可能です。

参考:リアルタイム アニメーションで思考をビジュアライズした『ユミの細胞たち』

Treehouse Digital - CG映画

出典:Treehouse Digital's Animated Short Horror Film 'The Well' - Unreal Engine

「MetaHuman(メタヒューマン)」を使ってフォトリアルなデジタルヒューマンが作られているのが特徴です。MetaHumanとは、人物モデルのテンプレートが用意されていることでモデリング(CGを作る)やリグ(動きをつける)に掛かる時間を短縮できるクラウドベースのアプリです。

本来であれば多くの時間を費やす必要のある作業が短縮されることで、映像の見せ方や構成といった特に重要な行程に時間を費やすくなります。

参考:MetaHuman が主演を務める Treehouse Digital のアニメーション短編ホラー The Well

My Universe - ミュージックビデオ(MV)

出典:Coldplay X BTS - My Universe (Official Video)

Coldplay と BTS の最近のシングル、My Universe のミュージックビデオ(MV)でもUE5が活用されています。実写と映像を合成(VFX)することで、現実には起こりえない映像を表現しています。

VFXについては「VFXとは?SFX・CGとの違いや各映像技術の事例を解説」で解説していますので、合わせてご覧ください。

参考:BTS と Coldplay による My Universe のライブ ホログラム パフォーマンスの舞台裏

World of Tanks - ゲームのPR映像

出典:Чёрный рынок 2021. Ограбление

World of Tanksというゲームのプロモーション映像です。現実に限りなく近いフォトリアルな表現によって、リアリティのある映像に仕上がっています。Unreal Engine マーケットプレイスのアセットやシーンを利用して記録的なスピードで制作を実現しています。

参考:BY Movie Production Company と Wargaming がバーチャル プロダクションを活用して World of Tanks の広告を 3 日で作成 - Unreal Engine

UnrealEngineを使ったCG制作ならお任せください

・Unreal Engine 5はゲームエンジンのレンダリング技術を活用することで、映像制作も時間短縮を実現している
・企業が自社製品PRを行う場合には、映像チェックがスムーズに行えることで従来のCG制作よりもストレスなく進行しやすい
・VRコンテンツなど他メディアへの展開もスムーズなため、企業がUE5を活用していくメリットが多い

商品やサービスのPRを行う際、CGの活用は費用が安くないことで手が出しづらい状況です。ですが、注目を集めたりSNSでのシェアをされやすい「現実に近い映像で、実際には起こりえない状況」を表現できることは非常に魅力があるのではないでしょうか。

ぜひ、他社にはない魅力的なPRにCG映像を検討してみてください。

当社NOKIDの制作実績は「制作実績ページ」でご覧いただけます。



おすすめの記事

基礎知識:企業でアニメーション動画が活用される理由とは?活用事例も解説


事例解説:【PR動画事例】企業のPRアニメーション動画を制作会社が解説


種類・費用:アニメーション動画制作の種類別の制作料金と活用例を解説


制作技法:インディーアニメの制作費用と仕組みを公開!MVにも使われる人気の秘密を解説


制作工程:実写・アニメーションの映像制作を外注する流れとは?費用や依頼時のポイントをご紹介


依頼方法・コツ:ショートアニメの制作を依頼するコツは?制作会社の選び方をプロがご紹介


依頼リスク:動画制作を依頼するのはリスク?後悔しないアニメーション動画制作の依頼方法を解説


制作会社:アニメーション動画の制作会社は増えている?上手な選び方をご紹介


MV制作:アニメMVで楽曲のファンを増やすには?最新マーケティング手法とMVの作り方を解説


実写比較:アニメーションPRと実写PRの違いとは?自社サービスをPRする最適な方法


SNS動画:【TikTokアニメ】”バズる”アニメーションの特徴とは?大人気アカウントを一挙ご紹介!


企画方法:アニメの企画ってどうやるの?実は企画書のフォーマットは重要ではない理由


制作ツール:今話題のYouTubeアニメーション制作ツールとその特徴とは?


採用動画:多くの求職者を応募に導く!採用アニメーション動画を作るコツを解説


解説動画:アニメーションを用いた動画教材が社員教育に注目されている理由とは?


動画制作の基礎についての記事

映像制作に活用されるCGとは?種類や制作会社を選ぶコツまで解説


Unreal Engine(アンリアルエンジン)は映像制作に向かない?機能の特徴や企業が使うメリットを解説


アニメーションMVとはなに?尺の短いアニメ作品が急増している理由とは。


会社・事業説明(案内)の動画とは?採用向けとPR向けをそれぞれ紹介


おしゃれで芸術性の高いアートアニメーションとは?ブランディング向けな理由や事例を紹介


HIPHOPのラップ/R&BのMV制作にはリリックビデオ?人気の理由を紹介


ゲーム実況配信(動画)は売上に影響する?無視できない効果やメリットを紹介


モーショングラフィックスとは?作成の流れや活用方法を紹介


VFXとは?SFX・CGとの違いや各映像技術の事例を解説


TikTok広告で使うUGC(風)動画とは?効果的に活用する方法を紹介


縦型ショート動画「WEBREEN」とは?注目される理由や活用ポイントを紹介


実写・アニメを融合した合成CM(MV)が増加中?理由や魅力・事例を紹介


動画制作の依頼方法についての記事

アニメーションMVの依頼方法を解説!トラブルなくMVを納品してもらうには?


動画制作をフリーランスに依頼する際の相場は?発注先の選び方と注意点も紹介


アニメーション動画を外注依頼する前にすべきことを一覧にまとめました


アニメーション制作に困っている方へ。独学・外注どちらが良いのかを解説


動画広告を上手く作りたい!制作ディレクション方法と発注のコツを解説


クラウドワークスでアニメーション制作を依頼するリスクとは?制作会社との違いを紹介


【まとめ版】動画制作をスムーズに依頼するための専門用語を解説


アニメーション動画制作は外注せず内製化すべき?メリット・デメリットを解説


アニメーション動画制作のヒアリングシートとは?役割と効果を上げるための項目も紹介


動画の作り方についての記事

採用動画を制作しても応募は来ない?内容の考え方や制作事例まで紹介


動画広告を上手く作りたい!制作ディレクション方法と発注のコツを解説


反応を得られるプロモーション動画の作り方とは?企画方法から外せないポイントまで紹介


ブランディング動画で感動を与えるには?効果・活用方法・作り方のコツを解説


YouTube漫画動画の作り方を制作会社が解説!何が最も大変なのかを知っておこう


TikTokでフォロワーを増やす動画の作り方とは?良い投稿の特徴や事例を紹介


YouTube・イベントのオープニング動画(映像)の作り方は?おしゃれ・かっこいい事例も紹介


イベント(展示会)を成功させる動画の活用方法とは?目的別に制作のコツを紹介


【企業向け】ブランディングに成功する動画の要素とは?参考事例も挙げて解説


動画の著作権についての記事

著作権の譲渡とライセンス契約の注意点を解説!発注前に知っておくべきこと


動画の著作権を二次利用するとは?権利範囲や二次創作を解説


動画の事例についての記事

TikTokメニュー「ブランドエフェクト」とは?アニメを活用した効果的な事例をもとに紹介


VR動画をビジネスでどう活用するのか?AR・MRとの違いや業界別事例も解説


【業種別】PR動画の活用事例8選!効果的な動画にする方法も解説


お役立ち資料無料ダウンロード

【効果的な動画広告をマニュアル化】動画広告設計テンプレート

無料資料ダウンロード

【基礎からわかる!】動画制作"依頼"パーフェクトガイドブック

無料資料ダウンロード

チームで成功する土台を作る!営業シーンの動画活用ガイドブック

無料資料ダウンロード

基礎からわかる!アニメーション制作完全ガイドブック

無料資料ダウンロード

NOKID編集部

1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。

RECOMMEND