NOKID編集部
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映画や映像作品の中にはさまざまなCG(コンピュータ・グラフィックス)技術が使われており、その技術は日々進化しています。特に、実写だけで非現実的なシーンを実現することが困難な際に活用される「VFX」や「SFX」によって、表現の幅は広がりました。
今回は、映像技術である「VFX」「SFX」「CG」の特徴や違い、メリット・デメリットについて説明していきます。
また、参考例としてCGやVFXに優れている映画作品も紹介していきます。企業でのPR動画やSNSアカウントの運営にCG技術を検討していきたい方は、ぜひご一読ください。
VFX映像を制作するには、ゲームエンジンである「Unreal Engine」を活用することで時間短縮が可能です。これは企業が制作会社に依頼する際にもスムーズなやり取り、納期を前倒しする点でメリットがあるのです。詳しくは「Unreal Engine(アンリアルエンジン)は映像制作に向かない?機能の特徴や企業が使うメリットを解説」で解説していますので、あとで目を通してみてください。
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VFXは「Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)」の略で、前述のCGによる技術を使って実際の映像と組み合わせたものがVFXです。
例えば、ワイヤーアクションで撮影された映像からワイヤーを削除したり、あとから背景を合成したり、撮影された映像を元に新たな映像効果を追加する技術はすべてVFXと呼ばれます。
CGとの違いが分かりづらいかもしれませんが、VFXは実写との合成技術です。そのため、CGや実写映像といった素材が揃った状態で行う編集工程のひとつです。
一方で、CGはデジタル上で創り出されたキャラクターや背景などのことを指します。つまり、コンピューターによって制作された映像です。
CGについての詳細は「映像制作に活用されるCGとは?種類や制作会社を選ぶコツまで解説」をご覧ください。
SFXは「Special Effects(スペシャル・エフェクツ)」の略で、映像に対して特殊な効果を施す「特殊撮影」のことです。
例えば、戦隊モノなどによくある爆薬を実際に使用して撮影した映像がSFXにあたります。他にも、特殊メイクやスーツアクター、ミニチュア模型を用いた撮影などもSFXです。
撮影した映像にCGなどのコンピューター・グラフィックスを反映させる「撮影後にCG編集によって特殊効果を出す技法」がVFXである一方、SFXは撮影時に工夫して映像にする「撮影時にアナログ・実際の現場で特殊効果を出す技法」といった違いがあります。
かつてSFXだけで表現していたものが、デジタル技術の発達でVFXが普及したことで、映像表現の幅だけでなく手間を減らすことにも繋がっています。
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ここからは、実際にイメージで見ていただくために、VFX技術が駆使された映画作品を紹介していきます。
アバターは2009年に制作されたSF映画で、ジェームズ・キャメロンが監督・脚本・製作・共同編集を務めました。
構想14年、製作期間4年、総製作費300億円以上を費やした3D映画作品で、風景描写はまるでロケーション撮影のように雄大な仕上がりとなっています。
役者の表情や筋肉の動きを記録し、CGとあわせることでよりリアルなアバターを作りだすことに成功しました。
続編である『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は2022年12月16日に公開予定です。
さまざまな手法を用い昭和30年代の東京に暮らす人々を描いた「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズは、VFXを効果的に利用した映画作品です。
例えば昭和30年代の羽田空港のシーンではすべてをCGで撮影するのでなく、現代の羽田空港にブルーバック合成で昭和30年代の羽田空港の姿を合成することでよりリアリティが増しています。
参考:昭和34年の日本をVFXで再現『ALWAYS続・三丁目の夕日』- 山崎貴監督に訊く
東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画で、総監督・脚本は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が務めています。
現代日本にゴジラが襲来したらどのように政府は対応するのかを、リアリティのあるストーリーで表現した話題作で、シン・ゴジラの制作にあたっては、ゴジラそのものがCGで描かれるなどVFXが多用されています。
参考:「シン・ゴジラ」最大の課題は、総監督「庵野秀明」のこだわり--制作裏話を聞いた
環太平洋地域(パシフィック・リム)の海底から現れる怪獣と戦う巨大ロボットの活躍を描いたSF映画です。
パシフィック・リムのVFXを手がけた映像チーム「Mirada Studios」が、VFX加工のシーンをまとめた「Pacific Rim 'Before & Afters'」をYouTubeにて公開しています。
迫力満点の映像がどうやって出来上がっていくのかがわかります。
イギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェル原作「ヒックとドラゴン」シリーズの映画化第3弾です。
バイキングのリーダーに成長したヒックが、仲間のドラゴンや村人を率いて新天地を求めて旅する物語が描かれます。
最新CG技術で飛び交う6万5,000匹のドラゴンが印象的な作品です。
マフィアのヒットマン・フランク・シーランの半生を描いた映画で、ロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシなど豪華メンバーが出演しています。
俳優の顔にCGの映像を重ねる技術で、ロバート・デニーロはフランク・シーランの若き日を演じることができました。
前述の通り多くの映画やドラマで必要不可欠な存在であるVFXのメリットをまとめていきます。具体的なメリットは以下が挙げられます。
さっそく、順に解説していきます。
コロナ化では海外での撮影や国内であっても密になってしまうような大人数での撮影は制限されてしまいます。
しかしVFXであれば実際に現地にキャストを連れてロケをしなくても、スタジオでの映像と現地映像を組み合わせることで、リアルな映像を作り出すことができます。
また、ロケに行くことのできない遠い過去の映像もリアルに再現することができます。
例えば「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズでは、昭和の風景をリアルかつ哀愁漂う懐かしみのある映像に仕上げています。
「アバター」では仮想の土地である衛星パンドラがCGだとは思えないほど神秘的な映像となっています。
「ジュラシックパーク」シリーズでは既に絶滅している恐竜をリアルに再現し映像に出演させています。
「パシフィック・リム」のような迫力満点のロボットもVFXだからこそ成し遂げることができています。
従来のSFXでは再現できなかったことが、VFXでは再現できるのです。
「アバター」や「アイリッシュマン」のように、役者の顔をカメラでスキャンすることで、演技や顔の表情、筋肉の質、肌感などの臨場感をそのままに、「新しい容姿」を演出することが可能です。
特殊メイクだけでは再現できなかった容姿に関する表現も、VFX技術の進化によって幅広く表現することができるようになりました。
次にデメリットもお伝えしていきます。VFXは、表現方法のひとつですので、CGに関連するデメリットをお伝えします。具体的には以下が挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
VFXなどのCG技術を駆使した映像制作は、初期設備にかなり費用が発生します。CG関連の制作には、複数の制作ソフトだけでなく出力処理がスムーズに行えるPCが必要となるからです。
もし、普段オフィスで使用されているようなPCを使ってしまうと、出力に膨大な時間が発生してしまい、ビジネスが円滑に回らなくなる恐れがあります。
VFXは様々な工程を経て作られるため、素人が一人で作るのは容易なことではありません。2Dである平面の映像や、そのまま映すだけの実写とは異なり、すべてを立体で作り上げる必要があるからです。
すべてを立体で作るということは、映像では映されていない背面や側面も作るということになります。例えば、粘土細工で登場人物や背景の街や植物を作るイメージです。
特殊メイクであれば、実在するものに触れながら作り上げられますが、CGは仮想空間内で作るため勝手も異なります。
つまり、表現の幅が広がる代わりに希少なクリエイターを探し、時間を費やす必要があるのです。
前述でお伝えした通り、CGは平面ではなく立体で考える必要があります。そのため、人体の構造を深く理解したり、物の細部まで理解が必要です。
CG制作工程は、CGモデルを作り上げる「モデリング」と呼ばれる工程から、自然な動きをつける「リギング」、CGの質感や模様をつける「マテリアル」「テクスチャ」など多くの工程があります。
こうした工程で作られたCGを実写と合成するのがVFX技術です。そのため、合成技術さえ身につけられれば良いわけではなく、多くの技術習得に時間を費やす必要があるのです。
つまり、私たちが映画館で視聴するような映像の制作技術を身に着けるまでには、とてつもなく長い道のりを経ているということです。
VFXは、一歩間違えると映像が安っぽくなり、物語を壊してしまうというリスクもあります。臨場感のある作品を作り上げるためには多くのVFXクリエイターと、とてつもない工数が必要となります。
アメリカのB級ホラー映画など、その安っぽさが個性となって面白さにつながっている場合もありますが、企業でCGを活用する場合は特にクオリティが求められるということです。
一方で、実写の場合は照明や撮影角度などの差はあるものの、実在する被写体を撮影したままのため違和感は出づらくなります。実写は、特殊メイクなどで差は出やすいものの、VFXの合成に違和感が出るといったこともありません。
これらのデメリットを持つものの、その表現力は目を見張るものがあります。CG技術を企業のPRに活用したい場合は「3DCG動画広告で効果的なPRを行うには?相性の良い広告手法から反応を得るための内容までを解説」も併せてご覧ください。
CGやVFXの技術が進化していく一方で、SFXやプラクティカル・エフェクトへの回帰を狙う作品も多く作られています。プラクティカル・エフェクトとは、実際の天候や爆発などを撮影した映像を使った特殊効果を指します。
爆発シーンを実写で撮影し、VFXによって他の映像と合成したものが多く見られます。
参考例として埋め込んだ動画は、名実ともにテレビ史上最大のヒット作の一つとして、エミー賞で最多受賞を記録した「ゲーム・オブ・スローンズ」のメイキング映像です。動画にある「The Loot Train Attack」というエピソードでは、プラクティカル・エフェクトとVFXを多用したバトルシーンが披露されています。
このように、実際の爆発などのリアルさを追求する部分とCG技術の表現力によって、迫力あるシーンが再現できるのです。
他の作品の例として、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」では極力CGを少なくし、SFXを多様することでより臨場感のある映像を作り出しています。
また、爆発シーンは危険が伴う撮影となるため、CGで撮影するのが一般的ですが、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」では実際のセットを爆発させて撮影しています。
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでも、非常に大きなスケールモデルをつくり、撮影することで、VFXにはないリアイティを生み出しています。
sおのたのその他のCG活用事例は「【事例紹介】3DCG/VR/ARをイベントで活用した新たなプロモーション手法とは?」でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
今回は映像技術である「VFX」「SFX」「CG」の特徴や違い、メリット・デメリットについて説明させていただきました。
・CGは非現実的な映像や架空のキャラクターを作り出す映像技術で、それを撮影済みの映像に組み込む技術がVFXと呼ばれている
・SFXは特殊メイクやスーツアクター、ミニチュア模型を用いた撮影など、撮影時に特殊効果を与える技法のこと
・実際の爆発シーンとCGを合成することで、一層の臨場感を再現できることで活用されているのがプラクティカル・エフェクト
CG技術やVFX技術はどんどんアップデートされており、より迫力ある映像が制作できるように日々進化しています。
一方で、SFXの技法も見直されており、プラクティカル・エフェクトへの回帰を掲げる作品も多く作られています。
VFXのように大掛かりな撮影を行わなくても、アニメーションテイストにCGを組み込むことで、クオリティが高く自由な表現でPR映像を制作することも可能です。ぜひ、当社の制作実績をご覧になって、どういった表現ができるかを確認してみてください。
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