2023.04.28

2026.06.04

採用動画を制作しても応募は来ない?内容の考え方や制作事例まで紹介

近年の採用市場は売り手市場が続いています。厚生労働省の統計では有効求人倍率は近年おおむね1.2倍前後で推移しており、求職者一人あたりの求人が1件を上回る状態、つまり企業が求職者に選ばれる側にある状況が続いています。

こうしたなかで、求職者に自社の魅力を伝える手段として採用動画を制作する企業が増えています。ところが、せっかく動画を作ったのに応募が増えない、再生はされるのに採用につながらないという声も少なくありません。

採用動画は、作れば応募が来るというものではありません。応募につながらないのには理由があります。この記事では、採用動画で応募が来ない原因を整理したうえで、応募につながる動画の考え方・作り方・制作会社の選び方を、実際の事例とあわせて解説します。

採用動画は、応募者に「この会社へ入りたい」と思ってもらう必要があります。そのためには、感情を刺激できる企業独自のストーリーや想いが必要です。具体的な制作時のコツは「ブランディング動画で感動を与えるには?効果・活用方法・作り方のコツを解説」も目を通してみてください。

採用動画を作っても応募が来ないのはなぜか

採用動画で応募が来ない原因の多くは、動画そのものの善し悪しではなく、制作の進め方と運用にあります。代表的な3つの原因を押さえましょう。

制作コストだけかかって成果が出ない

採用動画にはコストがかかります。制作会社に依頼する場合は制作費が、社内で制作する場合は機材費やリソース、人件費が発生します。映像の内容を凝ったものにするほど制作費は高くなります。

ここで陥りがちなのが、コストをかけて動画を完成させること自体が目的になってしまうケースです。誰に何を伝え、どう応募につなげるのかを設計しないまま作ってしまうと、費用をかけたわりに成果が出ない動画になりかねません。

作っただけでは見てもらえない

採用動画は、作っただけで多くの求職者に見てもらえるわけではありません。届けるための運用があってはじめて見てもらえます。

たとえば登録者がいないYouTubeチャンネルに採用動画を1本投稿しても、企業に知名度がない限りほとんど再生されません。日々の運用で媒体を育てる、広告配信で拡散する、イベントのサイネージで流すなど、求職者に届けるためのアプローチが必要です。逆に、興味を持った求職者が検索でたどり着ければよいという考え方も間違いではなく、自社のスタンスや方向性に応じて運用方法を決めれば問題ありません。

動画の質しだいで逆効果になることもある

映像の完成度やクオリティしだいでは、かえって求職者に負の印象を与えてしまうこともあります。

画質や音声が粗い、内容が古い、社員の表情が硬いといった動画は、この会社で働きたいという気持ちを後押しするどころか、不安材料になりかねません。求職者が前向きに働く姿を想像できる動画になっているか、という視点が欠かせません。

参考:一般職業紹介状況 - 厚生労働省

応募につながる採用動画とは何か?本当の価値

応募につながる採用動画とは、求職者が知りたい情報を、不安を解消する形で届ける動画です。原因の裏返しとして、求職者目線で何を伝えるかが鍵になります。

そもそも採用動画とは会社に魅力を感じてもらう手段

採用動画とは、企業が求職者に向けて制作する、会社の雰囲気や文化、仕事の魅力などを伝える動画のことです。

採用ページや求人広告のテキストだけでは、どんな経営者がどこを目指しているのか、社内の雰囲気は自分に合うのか、キャリアアップにつながるのかが伝わりきらず、不安を抱く求職者は少なくありません。テキストだけでは伝わらないことも、動画にすることで直感的に伝えられます。

実際、求職者の多くがすでに採用動画に触れています。合同会社アルチが2025年に実施した調査では、直近3年以内に就職・転職を経験した人のうち73.3%が、説明会や採用サイト、YouTube・SNSなどで採用動画を見たことがあると回答しています。動画による情報接触は、すでに当たり前のものになっているといえます。

関連記事:会社・事業説明(案内)の動画とは?採用向けとPR向けをそれぞれ紹介

求職者の関心を引き、ミスマッチを防ぐ

採用動画は映像と音声で企業の魅力を伝えるため、求職者の興味を引きつけ、企業理念や職場環境、仕事内容への理解を深めてもらえます。

とりわけ社員インタビューを取り入れると、求職者は実際に働く環境や社員の声を知ることができ、自分が働く姿を具体的に思い描けるようになります。これにより入社後の思っていたのと違ったというミスマッチを減らせ、早期離職の抑制にもつながります。早期離職は教育コストの面でも企業が避けたいところです。

この効果は数字にも表れています。先のアルチの調査では、現在の勤務先の採用動画を見たことがある人のうち、入社前に見た動画と実際に働いた印象について予想より良かった・ほぼイメージ通りだったと答えた人が約74.6%にのぼりました。採用動画が企業理解に一定の効果を持っていることがうかがえます。

さまざまな媒体に届けられる

採用動画は多くの媒体に掲載でき、幅広い求職者にアプローチできます。

企業の採用ページやコーポレートブログ、YouTubeやTikTokなどの動画媒体、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramといったSNS、Web広告やCMなど、掲載先は多彩です。さらに公共交通機関やビルのデジタルサイネージ、求人広告代理店主催のイベントでの配信など、Webだけでなくリアルな場でも活用できます。1本の動画を複数の接点で使えることが、採用動画の強みです。

一度作れば採用の資産になる

動画制作は費用が高いという印象を持たれがちですが、3〜5分程度の動画でも企業の魅力は十分に伝えられます。インタビューを中心とした構成であれば、コストを抑えて制作することも可能です。

仕事内容や抽象的な概念をわかりやすく伝えたい場合は、アニメーションで制作する選択肢もあります。アニメーションでの採用動画については「多くの求職者を応募に導く!採用アニメーション動画を作るコツを解説」で詳しく解説しています。

採用動画は一度作れば資産として残り、長期間にわたって活用できます。採用広告や求人票に都度かかる費用と比べれば、制作費をかけても長い目で見て見合うケースは多いといえます。

参考:【就職・転職活動における採用動画の影響調査】採用動画を一度でも視聴した20〜30代の就転職経験者の約75%が「ある方がよい」と回答 採用動画に求められる“リアルな声と空気感” - PR Times

応募者が殺到する採用動画の作り方

応募につながる採用動画は、思いつきで撮るのではなく設計の段階で決まります。コンセプト決めから編集まで、4つのステップで進めます。

コンセプトを決める

採用動画と一口に言っても、会社のブランディングを軸にした動画、仕事内容にフォーカスした動画、企業理念や経営方針を伝える動画、社内の雰囲気や福利厚生を紹介する動画、社員のインタビュー動画など、方向性はさまざまです。

まず明確にしたいのは、求職者に応募してもらえない要因は何か、そのうえで何を伝えたいのかです。ここが応募が来ない原因と向き合うステップになります。

たとえばスタートアップ企業は潤沢な資金があることは少なく、福利厚生のアピールは難しいかもしれません。その場合は企業理念や経営方針、経営者の事業への思いや熱意を軸に構成することが多くなります。世間から見てニッチな業界や認知度の低い職種であれば、仕事内容や社内の雰囲気を知ってもらう動画が向いています。建設業や配送業では、会社のブランディングや仕事のやりがいを軸に訴求することが多いでしょう。

構成を組み立てる

コンセプトが固まったら、構成を組み立てます。制作会社に依頼する場合は、各社とブレストを重ねながら進めると効果的です。

掲載媒体に合う動画の尺や画角を確認したうえで、効果的に伝わる構成案をつくります。

たとえばYouTube広告のうち、5秒後にスキップできるスキッパブル広告やバンパー広告で使うなら、冒頭で視聴者の興味を引くインパクトが必要です。客足が流動的なイベントや就活セミナーで流すサイネージ広告なら、求職者が画面の前を通ったどの瞬間でも一定の情報が伝わる構成を意識します。

関連記事:【YouTube広告】インストリームとインフィード動画広告(ディスカバリー広告)を最適化するには?効果的なアカウント設定を解説

実際に撮影する

構成案ができたら、それに沿って撮影します。

社員のインタビュー動画では、台本の作成や出演者が練習する時間も必要です。

一方で社内の自然な雰囲気を重視したい場合は、作り込みすぎないほうがよいこともあるため、コンセプトに応じて判断しましょう。制作会社に依頼する場合は撮影現場の雰囲気づくりも提案してくれるので、どんな映像にしたいのかを明確に伝えることが大切です。

編集から完成まで

制作会社に編集まで依頼する場合は、初稿の時期や納品時期、可能な修正回数をあらかじめ明確にしておきましょう。

基本料金が安くても、修正のたびに追加料金が発生して割高になったという例もあります。また、動画の二次利用や編集の可否、編集データの譲渡なども事前に確認しておきたい項目です。

初稿が上がってきたら、まず動画全体をチェックし、次にテロップの誤りを細かく確認します。

制作会社であっても業界特有の用語や専門用語まで熟知しているわけではないため、細かいテロップミスは必ず発生するものと考えてチェックすることをおすすめします。修正のやりとりが終われば、採用動画は完成です。

関連記事:多くの求職者を応募に導く!採用アニメーション動画を作るコツを解説

制作した採用動画を応募につなげるには?

採用動画を応募につなげる鍵は、完成後の運用と制作会社選びにあります。作って終わりにせず、求職者に届けて行動を促すところまで設計します。

応募につなげる運用の考え方

動画を完成させたら、求職者に届けるための運用を設計します。

登録者のいないYouTubeチャンネルに1本投稿しただけでは、ほとんど見てもらえません。採用ページや求人媒体への掲載、SNSでの継続的な発信、Web広告での配信、説明会やイベントでのサイネージ活用など、ターゲットとなる求職者がいる場所に動画を置くことが重要です。

あわせて、動画を見た人が次に何をすればよいかを示しておくことも欠かせません。

応募フォームや問い合わせ先、説明会への導線を動画や掲載ページに用意しておくと、興味を持った求職者の行動につながりやすくなります。作っただけで見られない、成果が出ないという事態は、この運用設計で防げます。

採用向けの映像制作会社の選び方

採用動画を外部に依頼する場合、制作会社選びも成果に直結します。確認したいポイントは大きく2つあります。

1つ目は、実績と進め方です。採用動画を数多く手がけている会社か、構成のブレスト段階から親身に対応してくれるかを確認します。採用動画ならではの勘所を理解している会社ほど、応募につながる構成を一緒に考えてくれます。

2つ目は、契約・納品の条件です。動画の二次利用や編集の可否、編集データの譲渡、納品までの修正回数といった細かい規約を、依頼前にしっかり確認しておきましょう。基本料金の安さだけで選ぶと、修正のたびの追加料金で割高になることもあります。何社かで相見積もりを取り、条件の合う会社を比較・検討するのがおすすめです。

制作会社への依頼については、以下の記事も参考にしてください。

採用動画の前に、採用そのものを相談したいときは?

採用動画は、採用を成功させるための手段の一つです。そもそもどの求人媒体を使うべきか、採用業務をどう回すかといった、より大枠の課題から見直したいケースもあります。とくに従業員数の少ない企業では、人事の専任担当がいないまま採用を進めているケースも少なくありません。

こうした場合は、求人媒体の選定から採用業務の代行まで伴走してくれる求人広告代理店に相談する選択肢もあります。

たとえば、中小企業の採用支援に特化し、人事担当がいない企業の採用業務を代行する企業のサポートを受けるなどが挙げられます。

依頼先を検討する際は、実際に提案できる媒体の範囲、担当者は誰か、同業種での直近の支援事例、といった点を確認しておくと、自社に合うかを判断しやすくなります。

応募につながる採用動画の参考事例

ここからは、実際の企業の採用動画事例を紹介します。いずれもコンセプトに沿った個性のある採用動画です。ここまで見てきた考え方が実際の動画にどう表れているかという視点で見てみてください。

株式会社ダンボール・ワン

株式会社ダンボール・ワンは、石川県七尾市を拠点にダンボールの通販サイトを運営する会社です。

人気ゲーム「ドラゴンクエスト」をモチーフにした演出で興味を引きつつ、社員インタビューで会社の雰囲気や働く様子を求職者に伝えています。親しみやすい入り口から会社理解へ自然につなげた構成です。

清水建設株式会社

清水建設株式会社は、建築・土木・海外建設の建設事業を柱に、不動産開発、エンジニアリング、LCV(ライフサイクル・バリュエーション)、フロンティアの4分野で非建設事業を展開しています。

現場で働く若手社員2名に密着し、社員インタビューや仕事の様子を通して仕事のやりがいを伝えています。さらに若い人に寄り添う姿勢を明確に打ち出すことで、新卒や若手求職者に、安心して働ける環境が整っていることをアピールできています。

トヨタ自動車九州株式会社

トヨタ自動車九州の新卒採用ムービーです。

冒頭は軽快なEDM系の音楽と企業のブランディングイメージから始まり、後半では社員インタビューを展開しています。仕事のやりがいだけでなく、福岡から世界へ発信していくという地元密着型の訴求で、地元の新卒求職者にアピールしていることがわかります。

採用動画で応募を増やすための考え方についてのまとめ

採用動画を作っても応募が来ないのは、動画の善し悪し以前に、制作の進め方や運用に原因があることがほとんどです。代表的な原因は、コストをかけること自体が目的になってしまう、作っただけで届ける運用がない、動画の質が逆効果になっている、の3つでした。

応募が来ない原因応募につなげる打ち手
コストをかけること自体が目的化している誰に何を伝え、どう応募につなげるかを先に設計する
作っただけで届ける運用がない求職者がいる媒体に掲載し、応募導線を用意する
動画の質が逆効果になっている求職者が前向きに働く姿を想像できる内容にする

応募につなげるには、まず求職者が知りたい情報を、不安を解消する形で届けることが出発点になります。採用動画は求職者の関心を引いてミスマッチを防ぎ、さまざまな媒体で活用でき、一度作れば採用の資産として長く使えます。実際の調査でも、求職者の多くが採用動画を企業選びに役立てていることが示されています。

そのうえで、コンセプトを定め、媒体に合う構成を組み立て、撮影・編集を進めるという作り方の各ステップを押さえ、完成後は求職者に届ける運用と応募への導線まで設計しましょう。

テキストだけでは伝えきれない自社の魅力も、採用動画なら求職者に効率よく届けられます。まずはなぜ応募が来ないのかを自社に当てはめて見直すことから始めてみてください。


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NOKID編集部

1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。

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