「TikTok検索広告って、Googleのリスティング広告みたいにキーワード登録するんですか?」
デジタルマーケティング担当者なら、Google広告やMeta広告で成果を出してきた経験があるからこそ、きっと同じようなものだと感じるはずです。
実際には、TikTokの検索広告はリスティング広告と同じ部分ばかりではなく、根本的に異なる仕組みで動いています。「検索広告はキーワード選びが重要」と考えるのは自然ですが、それはあくまで“これまでの検索広告”の話です。
TikTokでは、動画そのものが“検索キーワードの代わり”になります。つまり、あなたが毎日行っていた入札調整やマッチタイプの設定は、TikTokでは必ずしも必要ではありません。動画の内容が検索意図に合っていれば、意外な検索ワードから成果が出るケースもあるのです。
そこで今回は、TikTok広告の検索連動型(プレースメント・広告キャンペーン)について、Googleのリスティング広告と比較しながら活用方法を紹介していきます。
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TikTok広告の“検索連動型”それぞれの違い・使い分けは?

“自動検索連動型プレースメント”は既存広告を検索面にも拡張する配信
TikTok検索広告には、大きく分けて2つの形態があります。まず理解すべきは「自動検索連動型プレースメント」です。
自動検索連動型プレースメントの最大の特徴は、既存のインフィード広告キャンペーンに設定を追加するだけで、検索結果ページにも自動的に配信されることです。
つまり、新たに広告を作成する必要も、追加の制作コストも、追加の予算配分もゼロで、検索広告を試すことができます。
TikTok自動検索連動型プレースメントの仕組みは以下の通りです。
| 設定方法 | 広告グループの編集画面で「プレースメント」セクションにある「検索結果を含める」をオンにするだけです。 |
| 配信の仕組み | 既存のインフィード動画広告の内容がそのまま活用されます。AIが動画内容を解析し、関連性の高い検索クエリに対して自動的にマッチング・配信されます。 |
ただし、自動検索連動型プレースメントをオンにしても必ず検索結果ページに配信されるわけではありません。動画の関連性、検索クエリとのマッチ度、予算、競合状況などを総合的に判断して配信するかが決定されます。
このように、自動検索連動型プレースメントは「TikTok検索広告を手軽に試してみたい」という場合に、既存の広告運用に簡単な設定で配信面(検索面)の追加を行える方法です。
参考:自動検索連動型プレースメントについて - TikTok
“検索連動型広告キャンペーン”は検索結果ページに特化した配信
2つ目の形態が「検索連動型広告キャンペーン」です。これは検索結果ページのみにターゲットを絞った専用のキャンペーンタイプです。
自動検索連動型プレースメントとの最大の違いは、キーワードを登録できることです。
| キーワード設定の仕組み | TikTok広告マネージャーには、キーワード提案ツールが用意されています。商品やサービスに関連するキーワードを入力すると、月間予想インプレッション数とともに関連キーワードが提案されます。 |
| 配信の仕組み | 登録したキーワードに関連する検索クエリに対して、優先的に広告が配信されます。ただし、Google広告のように細かい入札調整はできません。キーワード単位の入札設定は、「トラフィック」目的の場合のみサポートされています。 |
検索連動型広告キャンペーンでは、1つの広告セット内で複数の動画を設定できますが、実際に表示されるのは1つのみ(デフォルト選択)です。また、Spark Ads(一般ユーザーの投稿を広告として活用する機能)やカルーセル画像広告にも対応しています。
検索連動型広告キャンペーンは、自動検索連動である程度データが蓄積され、「この検索クエリで配信したい」という明確な意図がある場合に使うと失敗が少なくておすすめです。
使い分けの目安は以下のように考えると良いでしょう。
| 自動検索連動型プレースメントを使うとき | 検索連動型広告キャンペーンを使うとき |
|---|---|
| ・すでに出稿中のインフィード広告があり、検索面に素早く拡張したい | ・特定の商品名・ブランド名で検索する顕在層を刈り取りたい ・3ヶ月以上(一定期間)自動検索連動型プレースメントを運用し、有効な検索クエリが判明している |
参考:TikTok広告マネージャーの検索連動型広告のキーワードについて - TikTok
TikTok広告の“自動検索連動型”はリスティングとどこが違う?

“検索広告=キーワード入札という固定観念がある
「検索広告」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
おそらく、Google広告の管理画面を開いて、キーワードを登録し、マッチタイプを設定し、入札単価を調整する…そんな日常的な作業をイメージしたのではないでしょうか。
この「検索広告=キーワード入札」という常識こそが、TikTok検索広告を理解する上で最大の障壁になっています。
TikTok検索広告の基本形態である「自動検索連動型プレースメント」では、キーワードの登録は不要(不可)です。代わりに、TikTokのシステムが自動で動画に関する内容を解析し、ユーザーの検索意図に合致する広告を自動的にマッチングします。
この仕組みの違いを理解するために、両者を比較してみましょう。
| リスティング広告の仕組み | TikTok検索広告(自動検索連動)の仕組み |
|---|---|
| ・広告主がキーワードを登録・ユーザーがそのキーワードで検索すると表示 ・入札単価と品質スコアで広告の表示順位が決定 ・テキスト広告が検索結果に表示 | ・広告主は動画広告を作成(キーワード登録不要) ・自動で動画コンテンツや遷移先URLなどを解析 ・ユーザーの検索クエリと動画内容をマッチング ・関連性の高い動画広告が検索結果に表示 ※表示位置は固定ではない |
つまり、リスティング広告では「キーワード」がマッチングの核ですが、TikTok検索広告では「動画の内容そのもの」がマッチングの核になるのです。
参考:自動検索連動型プレースメントについて - TikTok
TikTok検索広告マッチングの仕組みは動画の内容ですか?
「キーワードを登録しないなんて、配信がコントロールできないじゃないか」
そう感じたかもしれません。しかし、TikTokの自動検索連動での出稿は、人間がキーワードで絞り込むよりも高精度になる可能性があります。(もちろん任意でキーワードを登録することも可能な配信方法もあります。)
TikTokの解析システムは、以下の要素を分析して、検索クエリとのマッチング判定を行います。
自動システムによってアプリ名・カスタムアイデンティティ・動画コンテンツ(テキストおよびテキスト以外の要素を含む)・URL(ウェブランディングページのコンテンツ)・動画のタイトルの検索が行われます。
引用:自動検索連動型プレースメントについての追加情報 - TikTok
これらの分析により、単純なキーワードマッチングでは拾いきれない「検索意図」を捉えることができます。そのため、思いがけない成果が期待できるかもしれません。
例えば、ユーザーが「疲れにくいスニーカー」と検索したとします。Google広告では「疲れにくい」「スニーカー」というキーワードを登録していない限り表示されません。
一方でTikTok検索広告では、動画内で「長時間歩いても足が痛くならない」と話していれば、「疲れにくい」という明示的なキーワードがなくても、同じ検索意図として認識されマッチングされる可能性があります。公式には、明確に音声を読み取る旨の記載はないため、字幕なども入れておくと良いでしょう。
参考:自動検索連動型プレースメントについての追加情報 - TikTok
検索結果ページと検索フィードの広告表示はどう違いますか?

TikTok検索広告には、2つの主要な配信先があります。この違いを理解していないと、成果の分析や最適化が正しく行えません。
TikTok検索結果ページ(SRP:Search Results Page)
ユーザーが検索語句を入力した直後に表示される画面です。オーガニック検索の動画コンテンツと並んで広告が表示されます。ユーザーの検索意図がもっとも明確(準顕在)で、購買意欲が高い状態です。
TikTok検索フィード
検索結果の1つをクリックして動画を視聴した後、スクロールして次の動画を見ていく際に表示されるフィード。インフィード広告に近い配信先で、SRPよりは検索意図との関連性が弱まります。
重要なのは、広告目的によって配信先が制限されることです。
「売上(ウェブサイト)」「リードジェネレーション」「トラフィック」「アプリプロモーション」を広告目的に選択した場合、SRPと検索フィードの両方に配信可能です。
一方、「リーチ」「動画視聴数」「コミュニティインタラクション」を目的に選択した場合、検索フィードのみに配信され、最も価値の高いSRPには表示されません。
つまり、コンバージョン獲得を目的とする場合は、必ず「売上」「リードジェネレーション」「トラフィック」「アプリプロモーション」のいずれかを選択する必要があります。
参考:自動検索連動型プレースメントについて - TikTok
キーワードが登録不可では配信コントロールできない?
「キーワード入札ができないなら、どうやって配信をコントロールするんだ?」
この疑問は当然です。Google広告では、細かいキーワード単位で入札調整や除外設定ができました。TikTok検索広告では、そのようなコントロールはできないのでしょうか。
答えは「できる」です。ただし、方法が異なります。
TikTok検索広告では、「ネガティブキーワードの設定」または「検索連動型広告キャンペーンのトラフィック目的のみ」で配信をコントロールできます。
ネガティブキーワードを設定することで、特定の検索語句を含むクエリに対して広告を表示しないように除外できます。Google広告でもお馴染みの機能ですが、TikTok検索広告ではその重要性がさらに高まります。
なぜなら、TikTok検索広告ではキーワードを「指定」することができないため、ネガティブキーワードによる「除外」が唯一のコントロール手段だからです。
TikTokのネガティブキーワードには、以下3つのマッチタイプがあります。
| 完全一致 | 指定したキーワードと完全に一致する検索クエリのみを除外。「スニーカー」を完全一致で登録すると、「スニーカー」のみが除外され、「ランニング スニーカー」「スニーカー おすすめ」は除外されません。 |
| フレーズ一致 | 指定したキーワードをフレーズとして含む検索クエリを除外。「無料」をフレーズ一致で登録すると、「無料 スニーカー」「スニーカー 無料」「無料で手に入る」などが除外されます。 |
| 部分一致 | 指定したキーワードを含む検索クエリを広く除外。最も広範囲に除外できるため、使いすぎると配信ボリュームが減りすぎる可能性があります。 |
実務的には、以下のようなネガティブキーワードを設定するのが一般的です。
- 自社で提供していない商品名・サービス名を除外する
- 競合他社のブランド名(ブランド検索での配信を避ける場合)を除外する
- 「無料」「激安」「最安値」などの価格(割引)系を除外する(ユーザーの質を上げる場合)
- 「中古」「型落ち」などの意図が合わないものを除外する(新品のみ販売している場合)
特に日本語は、発音は同じでも漢字や意味が異なる言葉や、話の背景情報によって言葉の意味が大きく変わるため、予期しないマッチングが発生しやすい言語です。定期的に検索用語レポートを確認し、成果の出ていない検索クエリをネガティブキーワードとして追加していきましょう。
このように、基本的な考え方はGoogle広告と同じように考えることができます。
参考:TikTok広告マネージャーの検索連動型広告のキーワードについて ・TikTok for Business
どんな検索クエリで配信されているかを確認するには?

TikTok検索広告で成果を出すために最も重要なツールが「検索用語レポート」です。
このレポートを見ることで、自分の広告がどんな検索クエリで配信されているかを確認できます。Google広告の「検索語句レポート」と同じ役割を果たします。
TikTok広告マネージャーで「カスタムレポート」を開き、「検索用語」セクションに移動します。キャンペーン・広告セット・キーワード・検索用語の各レベルでデータを確認できます。
TikTok広告の検索用語レポートで確認できる指標
- 検索用語(実際にユーザーが入力した検索クエリ)
- インプレッション数
- クリック数
- CPC(クリック単価)
- コンバージョン数
- CPA(コンバージョン単価)
- CVR(コンバージョン率)
※プライバシー規制により、コンバージョン数が極端に少ないキーワードは検索用語レポートに表示されない
※データには約8時間の遅延があり、コンバージョンは3日後に表示される傾向がある
実務的な活用方法は、検索用語レポートを定期的に確認し、以下のステップで分析・改善を繰り返します。
| ステップ | 詳細 |
|---|---|
| STEP1: 成果の出ていない検索クエリを特定する | CVRが高く、CPAが目標値以下の検索語句の共通点を分析し、新しいクリエイティブに反映します。 |
| STEP2: 特定した検索クエリをネガティブキーワードとして除外する | 特定した検索クエリを、適切なマッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・部分一致)で除外します。 |
| STEP3: 成果の出ている検索クエリを分析する | CVRが高く、CPAが目標値以下の検索語句の共通点を分析し、新しいクリエイティブに反映します。 |
この繰り返しで無駄を減らしていき、CPAを改善していきましょう。TikTokの動画コンテンツを分析するための考え方は以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:TikTokの「インサイト」とは?分析のやり方や見るべき指標まで紹介
TikTok検索広告では動画フォーマットしか使えない?実践前の注意点
TikTok広告の検索連動型キャンペーンはカルーセル(静止画)を選択できますか?
「でも、動画編集なんてやったことないし、社内にそんなスキルを持った人もいない…」
そんなあなたに朗報です。TikTok検索広告は、動画を作らなくても配信できます。その方法が「カルーセル広告」です。カルーセル広告は、静止画(複数枚)だけで配信できる広告フォーマットです。ユーザーが画面を左右にスワイプしながら、複数の静止画を閲覧します。
エン・ジャパンの「エン派遣」は、動画制作のリソース不足を課題に感じてカルーセル広告を活用した事例があります。結果、CPA約4分の1になり、CV数は約4倍に増加という成果を達成しています。
つまり、動画ではなかったとしても効果的なメッセージを適切な相手に届けられれば柔軟にクリエイティブを考えられるということです。個人的には、「動画だから効果が良い」というわけではなく、「動画を活用している企業が一般的ではないから効果が出やすい」と考えています。ブログでもリスティング広告でも、10年ほど前は単体でも十分すぎるほどの効果が出ていたからです。
カルーセル広告を制作する上での考え方や構成もお伝えしておくと、以下のように「LPや商談でのセールスの流れ」を考えるのがポイントです。
| 例: 1枚目:問題提起・ストーリー(「〇〇で困っていませんか?」) 2枚目:解決策の提示(商品・サービスの紹介) 3枚目:ビフォーアフター(使用前後の比較) 4枚目:お客様の声(レビュー・評価) 5枚目:特典・限定性(「今だけ〇〇%オフ」) |
※TikTok検索では「解決策すら知らない」ケースが多くなりやすいため、商品の説明が聞きたくなる情報(評判が良いなど)を重視するのがおすすめです。
動画編集に困った場合でも諦めず、フォーマットよりも本質的な部分となるターゲットとメッセージに着目してみてください。
参考:TikTok広告マネージャーのカルーセル広告について - TikTok
参考:CPAは約4分の1に、CV数は約4倍に!エン派遣のTikTok広告活用事例 - TikTok
クリエイティブの疲弊でCVRが低下する問題をどう防げば良いですか?
TikTok検索広告で見落とされがちなのが、クリエイティブの「疲弊」問題です。効果の高いクリエイティブ(コンテンツ)は、最初の数週間は高いCVRを維持しますが、リーチ数が増えるほどCTR、CVRが徐々に低下していきます。
疲弊を防ぐための対策は、簡単に言ってしまえばクリエイティブを追加し続けることです。
①クリエイティブのローテーション計画を事前に立てる
1つのクリエイティブの寿命は3〜4週間と想定し、常に2〜3本の新しいクリエイティブを準備しておく。
②同じメッセージを異なる表現で伝えるバリエーションを制作
同じ商品でも、「価格訴求版」「品質訴求版」「レビュー紹介版」など、複数のバリエーションを用意。メッセージは同じでも、表現を変えることで疲弊を遅らせる。
③疲弊の兆候を検知する指標の決定&チェック
CTRが初期値から30%以上低下、またはCVRが初期値から50%以上低下した時点で、クリエイティブの入れ替えを検討。
筆者の経験した実際の事例でも、反応(CVなどの目的達成)したユーザーが配信対象から徐々に減っていくことになるため、同じクリエイティブは表示されづらくなったりCVRが低下するケースもありました。
興味を持ったユーザー層に配信し尽くすと、次第に関連性の薄い層にも配信されるようになり成果が悪化します。そして、同じユーザーに何度も同じ広告が表示されることで新鮮味まで失われます。スムーズに運用していくことを優先してみましょう。
TikTok検索広告とリスティングの違いや運用の基本についてのまとめ
ここまでのポイントをまとめます。
- TikTok検索広告には「自動検索連動型プレースメント」と「検索連動型広告キャンペーン」の2種類がある
- 自動検索連動型はキーワード登録不要で、既存広告を検索面にも自動で拡張できる手軽さがある
- 検索連動型広告キャンペーンでは、明確なキーワード設定が可能で、より意図的な配信が行える
- TikTokの検索広告は「動画内容」に基づき配信され、従来のリスティング広告とは仕組みが異なる
- 自動配信の精度向上には、動画の内容・テキスト・リンク先の工夫が重要となる
- 配信制御には「ネガティブキーワード」の設定が有効で、不要な検索クエリを除外できる
- 成果改善には検索用語レポートの活用が不可欠で、定期的な分析とネガティブ設定が効果的
- 動画編集が困難な場合でも、カルーセル広告という静止画フォーマットが利用可能
- クリエイティブの疲弊を防ぐには、ローテーションと多様なメッセージバリエーションの用意が重要
- TikTokの検索面配信では、広告目的によって配信先が変わるため設定段階から戦略的に選ぶ必要がある
TikTok検索広告は、従来のリスティング広告とは異なるアプローチが求められます。動画そのものが検索意図に応じてマッチングされるため、コンテンツ設計と分析が成功のカギです。
キーワードを指定しない広告運用に戸惑うかもしれませんが、自動化された仕組みを活かすことで、意外な層へのリーチや高CVRを狙うことも可能になります。検索広告の新たな形を理解し、自社に合った活用法を見つけましょう。
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