NOKID編集部
1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。
「Web広告が鈍ってきた...新しい手が欲しい...。」
これまで筆者は、広告効果レポートで平均CPAは上がり続け、検索連動型では競合に埋もれて次の一手を探す広告主を数多く見てきました。
以前、出張中のタクシーでふと目にしたタクシー車内の動画があります。どこかで見たことのあるSaaS企業のCMでしたが、移動中で他にすることもなかったためか、今でも妙に記憶に残っています。
ただし、広告主の多くは「効果が読めないし、そもそも誰に相談すればいいのかも分からない。」と考えて手を出さないケースがほとんどでした。
そんな経験をしたあと、実際によく調べてみると現在では事例も増えてきたことで、その効果も証明できつつあります。
「信頼を取りに行く広告」として、タクシーという個室空間は思っていた以上に濃密にメッセージを届けられる手法だと筆者は考えています。
Webでは届かない決裁者や富裕層、私のように出張での移動中の人など、“何気ない移動時間”に、数分間の対話ができる空間が生み出せるのです。
広告ブロックされることが珍しくない現在では、「届いて、覚えられて、信頼される」ことがより重要になっています。その入口を開くひとつの手段として、タクシー広告という選択肢があります。
では実際に、タクシー広告を作る際に最適な内容はどんなものなのでしょうか?広告に10年以上も携わってきたからこそ感じることですが、デジタルサイネージの一部だから他と同じように作れば良いと考えるのは間違いかもしれません。
個室空間で、SNSなどの広告とは異なり、邪魔をする他のコンテンツが少ない視聴環境のため、それにマッチする構成にすることが大切だからです。
そこで今回は、タクシー広告の魅力と“効果的なクリエイティブの作り方”を紹介します。
サイネージ広告全般については「デジタルサイネージ広告って効果あるの?実施を検討する前に知っておくべきことを紹介」もチェックしてみてください。
タクシー広告と聞くと、「ただのCMが流れているだけ」「富裕層に向けた贅沢な広告」と思われがちです。
ですが本当は、都市のなかで“個室に近い空間”を活用できる、数少ない広告なのです。タクシーの中はスマホを見る人が多い一方で、動画広告にも自然と目が向きやすい環境です。音声はオフでも、字幕や映像で十分に情報が伝わります。
例えば、車内にあるタブレットで流れる動画広告は、ビジネスパーソンが移動中にふと目にして、気になる企業として記憶に残ることがあります。これは満員電車の中吊り広告よりも訴求力があり、YouTube広告とは違って視聴の邪魔をしないという特殊な接触環境だからです。
つまり、タクシー広告とは「静かで限られた空間」で「見てもらえる状態」が自然に生まれる、非常に効率のいい“印象作りの場”なのです。
多くの広告は「商品を買ってもらうこと」がゴールです。ですが、タクシー広告は少し違います。一度見た人が、あとからその会社を“思い出してくれること”が最大の価値になります。
なぜなら、タクシー広告は“直接購入につなげるよりも、印象を深く残す”ことに向いているからです。広告に出ている会社名やロゴを、帰宅後や必要になった際に検索したり、次の打ち合わせで話題にしたりすることで、行動のきっかけになることが多いのです。
なにより、タクシーで移動中の人に向けた広告なので、その場で問い合わせたり行動してもらうことは難しいことも理由のひとつです。
例えば、タクシー広告を見た人が「この会社、最近よく見るな」と感じたことで、営業現場での信頼感が変わり、商談がスムーズに進むなどです。
実際、都内最大級のタクシーサイネージを提供するGROWTHの公式サイトでは、直接的ばかりではないものの集客効果につながった事例が公開されています。
つまり、タクシー広告は「すぐ売る」のではなく、「思い出してもらう」「信頼される」ために使うのが正解です。
参考:指名検索数・リード数は2倍、商談数は1.5倍に!商談時の稟議追加率もUP。戦略と秘訣とは - GROWTH
タクシー広告を出せば、それだけで成果が出る…そう思ってしまう人もいるかもしれません。ですが実際には、広告の「作り方」にこだわることこそが、成功と失敗を分ける最大のポイントです。その理由は、タクシー広告が「見られやすい環境」にあるからです。
例えば、スマートフォンでショート動画を次々と視聴する場合より、映画館で映画を観る方が邪魔するものが少ないため印象に残るようなイメージです。
しかし、「Web広告のように行動に沿って表示されるものとは違って、タクシー広告のようにただ流すだけのものは見てもらえないのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、スマートファン上でのレスポンス広告には無駄のない効率の高さがありますが、知ってもらう(認知拡大)部分においてはタクシー広告の「印象付ける力」の方が優位です。理由は後述しますが、視聴環境が大きく違うからです。
他の広告では、集中しづらい状況での配信が多くなります。クリックなどの反応から、地道に表示させるユーザーを最適化していく必要があったり、そもそも視聴してもらうこと自体が非常に難しいものです。
一方でタクシー広告は、属性も大まかに決まっていて、移動中のリラックスした状態で視聴される状況です。そのため、繰り返し視聴しても飽きにくい内容や広告そのものにコンテンツとしての価値があるようにすることが重要だと、筆者は15年ほど広告に携わってきた経験から感じます。
実際に、タクシー広告の効果に関する研究では、タクシー広告を含む交通広告の平均認知率は98%以上という結果も出ており、タクシーという空間が「広告に自然と目を向けさせる環境」であることが分かります。そのため、タクシー広告の視聴環境に最適化した構成や内容で差をつけることが大切なのです。
このように、広告が“タクシーを利用する人に見られる前提”はすでに整っています。だからこそ、その映像の中身をより明確にすることが重要になります。
タクシー広告で失敗する一番の原因は、「見せたい相手に、見せる内容が合っていない」ことです。つまり“配信先選び”と“伝える目的”がずれていることが多いのです。
例えば、BtoC商品の短期キャンペーンで「すぐに買ってほしい」という目的に、タクシー広告はあまり向いていません。前述の通り、タクシー広告は“じっくり見せる”ことは向いていても、“今すぐ買わせる”ことには不向きだからです。
また、「誰に見てもらいたいのか」を明確にせず、車両エリアや広告内容を決めてしまうと、想定ターゲットと接触しないまま終わってしまう可能性もあります。
そのため、「どこで、誰に、何を見せるのか」をしっかり決めないと、せっかくの広告が“空振り”になってしまうのです。
種類 | 内容 | 特徴 | 向いている目的 |
サイネージ型(モニター内動画) | 車内モニターで15〜30秒動画を配信 | ビジネス層に動画で印象づけ/ブランド訴求 | BtoB、採用、認知拡大、信頼醸成 |
ステッカー型(静止画) | 車体の後ろに会社名・ロゴ・URLなどを貼付 | 安価・視認範囲が広い/制作も簡単 | 採用、地域告知、短期キャンペーン |
ラッピング型 | タクシー全体をまるごとラッピング(全面広告) | 目立つ/ブランディング効果が高い | 話題化、大規模プロモーション |
チラシ・サンプル設置型 | タクシー後部座席にリーフレットや商品を設置 | 体験・資料請求・QR誘導に有効 | 来店誘導、サービス体験、資料請求 |
「タクシー広告に興味があるけれど、種類がいろいろあって、どう選べばいいか分からない」
そう思って調べてみたら、動画のものやシールみたいなもの、車体全体を使った派手なものまである…。そんな状態で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
どの広告が合うかは、“何を目的にしているか”によって自然と決まります。さっそく、代表的な5つの種類と、それぞれの向き・不向きをわかりやすく整理していきます。
このタイプは、タクシーの後部座席にあるモニターに、15秒〜30秒の動画を流す広告です。最近では、都心部を走る多くのタクシーにこのモニターがついています。
このサイネージ型の強みは、静かな空間で動画に集中できることです。
特にビジネスパーソンや富裕層に向けて、サービスの“世界観”や“信頼感”をしっかり伝えたいときに向いています。
例えば、SaaS企業やBtoB企業が「ブランドとして信頼されたい」と考えるとき、営業先で「あのCM見ましたよ」と言ってもらえるきっかけになるのがこのタイプです。
つまり、信頼を育てる広告がしたいときは、この動画タイプが第一候補になります。
この広告は、タクシーの後部ドアやウィンドウに会社のロゴやサービス名を貼る「静止画」型のものです。
動画を作らずに出せるので、制作の手間やコストがかなり少なく済みます。
このタイプは、動いている車の中でも「後ろに停まった車の人」や「歩行者」に、会社名やWebサイトを自然に見せられるのが強みです。
たとえば、採用を強化している企業が、「気になったら検索してください」という一言を添えて出稿すれば、指名検索のきっかけづくりにもなります。
つまり、低予算でまずは広告を出してみたい人には、非常に始めやすい選択肢といえます。
ポイント:ステッカー型は、“シンプルに名前を広めたいとき”にぴったりな広告
このタイプは、タクシーの外側全体に、会社や商品のデザインをまるごと貼りつける広告です。
とにかく目立ちます。
街を走っているだけで、「あのタクシーなんだ?」と視線を集められます。
イベントや新サービスの発表など、「話題性を狙いたい」「SNSで拡散される広告がほしい」というときに向いています。
ただし、費用は他のタイプより高めになることが多いです。
たとえば、あるエンタメ系アプリでは、「全面ラッピング広告×SNSキャンペーン」を組み合わせて、UGCを大量に生み出す成功事例もありました。
ポイント:サイドラッピング型は、目立ちたい&話題作り型の広告
これは、モニターの下などにチラシや試供品を設置するスタイルの広告です。
見るだけでなく、乗客が手に取って行動できるのが特徴です。
美容や飲食、地域の施設など、「体験→来店」につなげたい広告と相性が良いです。
QRコードをつけて「LINE登録はこちら」や「サンプル応募はこちら」といった導線にもつなげられます。
つまり、「印象」ではなく「行動」を促したいときに、使いやすい形式です。
ポイント:チラシ設置型は、“その場で何かしてほしい”目的の広告向き
広告の種類はたくさんありますが、選び方はとてもシンプルです。
つまり、「自分たちはこの広告で何を達成したいのか?」を先に決めれば、自ずと“使うべき種類”が見えてきます。
タクシー広告は、「社長や部長など、決裁権を持っている人」に広告を見てもらえる、珍しいチャネルです。
なぜなら、都心のタクシー利用者の多くはビジネスパーソンで、その中には経営層やハイキャリアの人が多く含まれているからです。
タクシーという空間は、電車のように混雑しておらず、スマホの広告のようにスキップもできません。静かで情報が入りやすい場所だからこそ、内容をしっかり届けたい広告には最適なのです。
例えば、GROWTHのCASESTUDYでは、資料請求からのアポイントメント決定率が毎月向上しており、放映月の資料請求からの商談率は大体50%を超えていると述べられています。
このように、「今まで接点のなかった人が、初めて行動を起こす」きっかけになるのです。
つまり、タクシー広告は、“見てもらいたい人に、ちゃんと見てもらえる”数少ない広告空間なのです。
参考:タレントを起用したクリエイティブでサイトのPV数が2.2倍、CV数が4.7倍に!長期出稿で掴んだ効果最大化の方法とは。 - GROWTH
広告で「この会社はしっかりしていそうだ」「ちょっと興味が湧いた」と思ってもらえることは、とても大切です。タクシー広告は、まさにその「信頼感」や「興味」をつくることが得意です。
タクシー広告は“誰でも出せるわけではなさそう”という印象があるため、見る人に「ちゃんとした会社がやっている広告」という認識を持たれやすいのです。
これは、同じようなバナー広告と比べて「広告主の格」が高く見えるという心理的な効果です。
実際に、GROWTHのCASE STUDYでは、Twitter経由で社員に問い合わせがあったり、社内のお披露目会では、映像を流すだけでなく制作意図を伝える機会を作るなどの施策を行ったことで、インナーのモチベーションアップにも繋がったと述べられています。
つまり、タクシー広告は、「サービス内容」だけでなく「この会社なら信頼できそう」という空気まで届けてくれます。
タクシー広告は、「単体で売上を上げる」よりも、「他の広告や営業の反応を良くする」ために使うと、効果を発揮します。
タクシーで広告を見た人が「あとで検索してみよう」と思い出して、会社名で検索をする…そのあとにWeb広告が出てきたり、営業メールが届いたときに、「あの広告の会社か」と思い出されることで、行動に移りやすくなるのです。
これは、「Web広告や営業活動の前に、ブランドの印象を残すことで、全体の反応率が上がる」という考え方です。
つまり、タクシー広告は“起点”ではなく、“潤滑油”のような役割を果たしているのです。
タクシー広告は、「誰に届けるか」によって、大きく結果が変わる広告です。ところが、媒体やエリアの選び方を間違えると、ターゲットに届かずに終わるという失敗が起きてしまいます。
例えば、「決裁者に見せたい広告」を、若年層が多いエリアで出してしまったら、見てほしい人に届かないまま終わってしまいます。
また、TOKYO PRIMEやGROWTHなど、媒体社によって「配信できる場所」「使える形式」「時間帯の特性」などが異なります。
そうした設計をせずに「とりあえず出してみる」と、配信の最適化ができずに“誰にも刺さらなかった”ということになりかねません。
つまり、タクシー広告では、「媒体とエリアとターゲットの三点が揃って初めて届く」ということなのです。
タクシー広告は、「なんとなく印象に残った」と感じる人が多い広告なものの、それが「何件の資料請求につながったか」「どれだけ売上が上がったか」と聞かれると、数字で答えにくい面があります。
例えば、Web広告なら「クリック数」や「CV率」といったわかりやすい指標がありますが、タクシー広告では「見た人があとで行動したかどうか」を明確に追うのが難しいと言えます。
そのため、短期の成果を求める会社や、KPIで評価される広告担当者にとっては、「上司を説得しづらい広告」になりやすいという課題があります。
つまり、「意味がある」とわかっていても、「数字で証明しにくい」がゆえに、提案や稟議が通りにくい広告でもあるのです。
タクシー広告は、“どんな動画や静止画を流すか”によって、大きく効果が変わります。そのため、ただ広告を出すだけではなく「中身のクオリティ」が成果を決める広告です。
例えば、タクシーの中では音声がオフになっていることも多いため、「音がないと伝わらない広告」はスルーされてしまいます。
他には、尺が15秒〜30秒と短いため「説明が長い広告」は最後まで見てもらえません。
スマホを見ながら乗っている人もいるので、「音声や映像で興味を引けない広告」は、そのまま記憶に残らないこともあります。
このように、「見る環境」が限られているからこそ、タクシー広告は“作り方の難易度”が意外と高いのです。
タクシー広告を企画するときに、必ずと言っていいほど社内で聞かれるのが…
「でもそれって、他の広告よりいいの?」という問いです。
ここからは、タクシー広告を「テレビCM」「電車広告」「SNS広告」「屋外(OOH)広告」と比べたときの強みと弱みを、わかりやすく整理していきます。
【テレビCM】
【タクシー広告】
▶︎ テレビは「数」で勝負、タクシーは「質」で印象づける広告です。
【電車広告】
【タクシー広告】
▶︎ 電車広告は“流し見される”、タクシー広告は“記憶に残りやすい”という差があります。
【SNS広告】
【タクシー広告】
▶︎ SNS広告は“今すぐ売る”、タクシー広告は“あとで選ばせる”広告です。
【屋外広告(看板・デジタルサイネージ)】
【タクシー広告】
▶︎ 看板は“一瞬目に入る”、タクシー広告は“30秒滞在できる”時間型広告です。
タクシー広告は、「クリック率」や「CV率」では他メディアに勝てないことがあります。その代わり、「印象を強く残す」「あとで検索させる」「信頼感を生む」という、“無形の変化”を生むことに強みがあります。
だからこそ、「売上をすぐ上げたい」ではなく、「営業活動をスムーズにしたい」「採用の母集団に覚えてもらいたい」といった目的と相性が良いのです。
タクシー広告の失敗で最も多い原因は、目的があいまいなまま制作に入ってしまうことです。「なんとなく認知拡大」「とりあえず社名を出しておこう」というスタートでは、視聴者に刺さらない、印象に残らない広告になってしまいます。
成功させるためには、企画の段階で“3つの軸”をはっきりさせておくことが大切です。
まず最初に、広告を通じて何を達成したいのかを明確にします。
このように、「直接売上」ではなく、中間効果や感情的価値の醸成が主目的になるケースが多いのが、タクシー広告の特徴です。
目的が決まったら、「何を持って成功とするか」を決めます。
ここでよくある失敗が、「問い合わせ数が増えなかった=失敗」としてしまうことです。
タクシー広告の場合、以下のような“態度変容”をKPIにするのが有効です。
つまり、“見られたあとにどんな行動が生まれたか”を見ることがポイントです。
最後に決めるのは、「誰に」「何を」「どう伝えるか」のメッセージ設計です。
これが決まっていないと、動画の構成もナレーションも決まらず、結果的に「ふつうの紹介動画」になってしまいます。
例えば、
このように、一文で構成を要約できると、制作ブレがなくなります。
つまり、企画段階では「目的・KPI・メッセージ」の3点セットを言語化しておくことが、すべての土台になるということです。
タクシー広告は、ただ流すだけでは成果に結びつきません。
実際に結果を出している企業は、共通して「見られる前提で、どう記憶に残すか」まで設計していることが分かっています。
では、成果を出している広告には、どんな“作り方”の共通点があるのでしょうか?
タクシー広告で成果を出している企業に共通しているのは、“冒頭で視聴者の自分ごと化を引き出す工夫”です。誰向けか示すというのは、肩書や名前だけに限らず、「何を知れるのか?」といった視聴すべき理由なども該当します。
例えば、TOKYO PRIMEが紹介する動画広告事例の中には「経営層や医療従事者」など、明確なターゲットを想定した映像構成が採用されており、冒頭にそのターゲットの視点に寄り添ったナレーションやシーンを設けることで、広告の視聴完了率や態度変容に影響したという報告があります。
株式会社ケミカンの事例インタビューでは、タクシー広告から指名検索に繋がったと効果を実感しており、しっかりと視聴されていることが分かります。
つまり、「誰のためのメッセージか」が1秒で分かる設計は、視聴の継続と記憶に残すために不可欠なのです。
タクシー広告は、ただ製品情報を羅列するだけではなく、ドラマ性や共感性のあるストーリー構成を取り入れた方が効果が高いということが、実際の成功事例や専門家の意見から分かっています。
限られた30秒でも、乗客の感情に訴える構成を組むことで「自分ごと化」が促され、記憶に残りやすくなります。広告にドラマ性を持たせることで、視聴者がストーリーへ入り込みやすくなるのです。
実際に筆者の広告クリエイティブ制作の経験からも、同様に視聴者を中心としたストーリーは売り込み感が少なく印象に残りやすいと言えます。
つまり、単なる広告ではなく、「課題→共感→解決」といったミニドラマの形で構成することで、受け手は広告に感情移入しやすくなり、企業への好感や記憶が高まるのです。
タクシー広告は、テレビCMのように“瞬時に認知される”というより、一定時間見たあとにブランドとして“どう印象に残るか”が問われるメディアです。
そのため、問い合わせなどの行動を促すよりも、その前段階である「記憶に残す」という部分で最後の数秒を使う構成がマッチします。
具体的には、以下のような視覚的に魅せる方法が良いでしょう。
これらの表現により、映像の終わり=印象の定着となり、その後の検索行動や問い合わせにつながるよう設計し、タクシー広告を「信頼作りのツール」へと昇華させましょう。
ここまでに、タクシー広告は「限られた空間と時間」の中で、ターゲットの記憶に残らなければ意味がないことをお伝えしてきました。
つまり、広告費をかけても、中身がよくなければ“流れて終わり”になってしまうのです。
ここでは、よくあるNGパターンをもとに、「見られない広告」にならないためのポイントを解説します。
タクシー広告のモニターは小さめで、画面も数十秒しか表示されません。
そこに小さい文字や情報が詰め込まれていると、何を伝えたいのかがすぐに分からず、スルーされやすくなります。
たとえば、「サービス内容を全部説明したくて、5行以上のテキストを詰め込んだ動画」がありました。
でも実際には、誰もその情報を読み切れず、何の広告だったか覚えていなかったそうです。
つまり、「伝える内容が多すぎると、逆に“何も伝わらない”」ということです。
どんな広告でも、「見たあとに“あの会社○○だったよね”と言われるかどうか」が重要です。
ところが、よくあるNGパターンに「何となくいいことを言ってるけど、印象がぼやけている」ケースがあります。
たとえば、「未来をつなぐ、社会に貢献するプラットフォームへ」といった抽象的な表現だけを並べた広告。
その言葉が悪いわけではありませんが、何の会社なのか、何が違うのかが伝わらないまま終わってしまいます。
「私たちは◯◯です。こんな人に選ばれています。」という明確な訴求がないと、記憶にも行動にもつながらないのです。
タクシーの中では、多くの人がスマホを見ています。
そのため、映像に動きがなく単調だと、「なんとなく見たけど、気づいたらスマホを見ていた」──ということがよく起きます。
ある広告では、全編が「文字と静止画だけ」の構成で、動画なのに“動き”がほとんどありませんでした。
結果として、目が止まらず、訴求内容も頭に残らなかったと報告されています。
一方で、動きのあるアニメーションや「人物が話しかけてくるような構成」にすると、自然と視線が集まりやすくなるという傾向があります。
「タクシー広告はやってみたいけど、流れがよく分からない」と感じている方も多いと思います。
ここからは、タクシー広告を制作して配信するための大まかな流れを紹介します。
まず最初に考えるべきことは、「誰に何を届けたいか」という設計です。目的が曖昧なまま進めると、印象がぼやけた映像になってしまいます。
採用目的なら「中途?新卒?どんな職種?」まで落とし込むことで、視聴者が“自分に関係ある”と感じられる表現になります。
次に行うのが、どの媒体(TOKYO PRIME/GROWTHなど)で流すかの選定です。この段階で、代理店と相談して「エリア」「台数」「放映期間」「予算」を決めていきます。都市部を狙うのか、決裁者層への訴求か、などによって適切な媒体が変わってきます。
媒体が決まったら、実際のクリエイティブ制作に入ります。15〜30秒の中で、“一言で伝わる構成”と“音声なしでも伝わる設計”が重要です。文字の量・字幕の見やすさ・冒頭のつかみ・ブランド名の残し方まで、丁寧に設計しましょう。
完成した映像は、媒体側の仕様に沿って入稿します。多くは「mp4形式」「15秒or30秒」「ファイルサイズ制限あり」など、細かいルールがあるため、事前に仕様書を確認しておくことが大切です。
その後、媒体社のチェック(1〜5営業日)が入り、内容に問題なければ通過します。
審査に通ったら、設定したスケジュールに合わせて放映がスタートします。この時点でWebサイトやSNSと連動させたキャンペーンも一緒に仕込んでおくと、指名検索や問い合わせにつながりやすくなります。
最後に、効果をどう測るかを振り返ります。タクシー広告はクリックが取れるものではないため、「検索数の増加」「商談でCMの話題が出たか」「資料請求につながったか」など、“記憶や印象が行動につながったか”を確認することが大切です。
この6つのステップを順番に整理し、目的から逆算した構成をもとに制作しましょう。
ここまでのポイントをまとめます。
タクシー広告は「印象を残して、あとで選ばれる」ことを目的とした、時間を活用できる広告です。だからこそ、媒体や配信設計、そして何よりも映像の構成が成否を分ける決定打になります。
「伝える相手・目的・表現」が一致した設計ができれば、テレビCMやWeb広告では難しい“信頼形成”を静かに実現できるのが魅力です。ぜひ、直接的な施策だけでなく、こうした間接的な施策も取り入れてみてください。
キャラクターを活用したPR、ブランドのイベント企画といったPR活動は、動画制作だけでなく数々のイベントの認知拡大を支援してきた我々NOKID(ノーキッド)なら、幅広いご提案とクリエイティブ制作が可能です。
アニメーションという表現方法の中にも、スライドに動きをつけたものから3DCGを活用したもの、セル画など多岐に渡るテイストがあります。
動画を制作する場合には、要望通りに動画を制作することだけでは効果を発揮しないことが多くあります。NOKIDでは、動画の活用目的に沿った構成や表現を計画しております。
例えば、TikTokであれば認知に適したアルゴリズムになっておりユーザーが次々と動画をスワイプして観ていきます。そのため、冒頭の2〜3秒で注意を引くためのアイデア、PRに繋げるためにどのような情報を発信すべきかといった"ビジネス視点とクリエイティブ視点"のバランスを意識しております。
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