NOKID編集部
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アニメの海外展開が成功するか失敗するかは、想像以上に微妙な調整にかかっています。あるアニメ作品は、海外での配信を目指しましたが、予想外の問題が起こり停止に追い込まれました。
なぜこんな事態になってしまったのでしょうか?それは、市場をいち早く広げることにばかり目を向け、文化的な背景への配慮が甘くなっていたからです。
一方で、他の作品では現地文化に共感する要素を巧みに盛り込むことで、北米での大成功を収めました。主人公の家族愛は、アメリカの家族観と一致し、多くの視聴者の心を掴みました。さらに、プロモーションも工夫し、現地ファンとの関係作りも行いました。
失敗した作品のレビューは厳しいものばかりで、海外ファンがそのアニメの視聴を拒む状況さえ生まれています。文化的なズレが生じた時点で、作品は「観る価値がない」と判断され、SNSでその評価が拡散されるのは時間の問題です。
つまり、海外展開を成功させるカギを握るのは「文化を超えた共感」と「戦略的な展開方法」なのです。
そこで今回は、アニメを日本だけでなく海外展開するためのグローバル戦略について、どのような課題やリスクがあるか、具体的な解決策や事例の分析とあわせて、詳細にお伝えしていきます。
アニメの認知度を上げる際にはショートアニメをSNSで展開することも並行して行うと良いでしょう。詳しい作り方は「TikTokアニメ動画はどうやって作るべき?TikTok動画の種類から収入源まで解説します」をチェックしてみてください。
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<記事のポイント> ・アニメ作品が海外展開で失敗する収益面の課題が分かる ・アニメ作品が海外展開で失敗する内容面の課題が分かる ・アニメ作品が海外展開で成功と失敗の分岐点が事例を交えて分かる ・アニメ作品が海外展開で成功させる具体的なやり方が分かる |
現在、Netflix、Crunchyroll、YouTubeなど複数のプラットフォームがあり、それぞれ視聴者層や収益モデルが異なります。この多様化により、どのプラットフォームが特定の市場に最適かを判断することが難しくなっています。
さらに、各プラットフォームの契約条件も異なり、利益配分や視聴データの活用が不透明な場合があります。利益分配の契約条件が不透明な場合、制作側が期待通りの収益を得られないこともあります。
その結果、地域ごとに異なるプラットフォームの人気や消費傾向を無視することとなり、ターゲット層の視聴者を取り逃がす事態に陥っています。この背景には、視聴データやトレンド分析の不足があり、配信契約が短期的な利益にもとづいて決定されるケースが多いことが挙げられます。
・Crunchyrollがアニメ視聴者層に強いエリアで、Netflixのみに配信を絞りコア層を逃すケース ・地域特化型プラットフォーム(例:iQIYI、Hotstar)を活用せず、視聴できない状況を招くケース ・週次配信が一般的なエリアで、一括配信だけに限定したことで視聴習慣に合わないケース |
エリア外の場合、VPNを使用しなければ視聴できないケースもあるため、各地域の視聴者データやプラットフォームの特性を分析することが必要です。
また、「鬼滅の刃の制作サイドは、各テレビ局と同時に配信サイトにも「無料ほぼ同時公開」を許したことで日本中の人が作品を見られるようにした流通戦略が革新的だった。」と、エンタメ社会学者の中山淳雄氏が取材に答えているように、複数のプラットフォームを併用して視聴者層を広くカバーする戦略を採用することもあるでしょう。
契約条件においても、収益モデル(広告収入、サブスクリプション型)の特性を十分に理解し、ターゲット市場に合わせて柔軟に対応しましょう。
参考:『鬼滅の刃』はアニメ流通のパラダイム・シフトを起こした。いまアニメ業界に起きている変化とは? - BUSINESS INSIDER
日本国内での販売戦略に重点を置きすぎた結果、海外市場の需要や消費傾向を無視しているケースが多く見られます。これにより、現地の視聴者に響かない商品ラインナップや価格設定が行われ、売り上げが伸びない状況が発生しています。
現地での販売チャネルやパートナー企業との連携が不足しているため、商品の流通が遅れたり、現地消費者の購買意欲を刺激できていないことも問題です。
・日本語のみのパッケージで海外販売され、現地消費者から理解されづらいケース ・現地市場で高価格帯に設定され、購入者が限定されて在庫が大量に残るケース ・日本特有のデザインが現地の消費者に合わず、不評に終わるケース |
海外市場に特化した商品戦略を立てるため、現地の視聴者層や消費者のニーズをリサーチし、それに基づいた商品デザインや価格設定を行うべきです。
現地のパートナー企業と協力して、効率的な流通網を構築し、商品を消費者の手元に迅速に届ける仕組みを整えることも重要です。さらに、限定版商品やコラボレーション企画を活用して、現地市場でのブランド価値を高める方法も効果的です。
参考:Calantone, R., Cavusgil, S., Schmidt, J., & Shin, G. (2004). Internationalization and the Dynamics of Product Adaptation—An Empirical Investigation. Journal of Product Innovation Management, 21, 185-198. doi:10.1111/J.0737-6782.2004.00069.X
アニメ制作を日本国内向けに特化してしまうと、海外市場への正式な展開が遅れるケースがあります。この場合、海外の視聴者は公式ルートで視聴する手段がないため、海賊版サイトを利用してアニメを視聴する状況が発生します。
結果として、収益機会を失うだけでなく、海賊版による低品質な視聴体験が、作品やブランドのイメージを損なう危険性を伴います。
さらに、海賊版が意図しない誤解を生む原因となり、作品に対する批判や混乱が広がるリスクもあります。
国内向けの制作だけに限定してしまうと、海外市場で海賊版の流通を許してしまうリスクがあります。これは収益機会を失うことや作品の価値を下げることになってしまいます。
特に、翻訳ミスによる誤解を防ぐためにも、正規ルートでの視聴環境を整えることが重要です。
文化庁「著作権侵害(海賊版)対策ハンドブック」では、特定のアニメが海賊版サイトで不適切に翻訳され、現地での評価を下げる一因となった事例が報告されています。他にも、海賊版による翻訳の誤りが作品への批判を招いたケースも存在します。日本のアニメが海賊版として海外で流通し、翻訳ミスやセリフの改変によって、作品の内容が誤解される事態が発生したのです。
収益を最大化した上で作品の価値を守るためにも、グローバル市場に対応した柔軟な展開も視野に入れましょう。
関連記事:【キャラ活用】IPビジネスがアニメ事業のチャンスに!自社IPの可能性とは?
ローカライズが言語の翻訳にとどまり、作品のストーリーやキャラクターが現地視聴者にとって魅力的に感じられる形で調整されていないケースがあります。これにより、視聴者が文化的な違いに違和感を覚えたり、作品の魅力を十分に理解できない状況が生まれています。
多くの場合、制作チームが現地文化や視聴者の価値観を調査するリソースを確保しておらず、現地の専門家やファンコミュニティと連携が取れていないことが原因です。
・北米市場向けに翻訳されたジョークが直訳され、現地のユーモア感覚に合わず批判されるケース ・キャラクター名やストーリーの設定が現地の歴史や文化的背景に誤解を招き炎上するケース ・宗教的なシンボルやタブーに配慮せず、現地市場で販売中止に追い込まれるケース |
ローカライズを行う際は、現地の文化的背景や価値観を深く理解し、作品のストーリーやキャラクター設定を適切に調整する必要があります。特に、現地の専門家やファンの意見を積極的に取り入れ、視聴者が共感しやすい内容にすることが重要です。
また、翻訳だけでなく、台詞や演出の調整、必要に応じてキャラクターやシーンの改変を行うことで、文化的共感を生むローカライズが可能となります。
<直訳したことで誤解を生んだ広告キャンペーンの参考例> 参考:China's Golden Week - A Good Time To Make Sure You Don't 'Bite The Wax Tadpole' - Forbes |
アニメの物語が、文化的に独自の解釈を含む場合、海外の視聴者には理解が難しいことがあります。具体的には、「義理」や「恥」などの感覚は日本独自の概念であり、適切に翻訳しないと視聴者がキャラクターの行動や感情を理解できません。
この問題は、翻訳チームが言語の正確さにのみ焦点を当て、文化的コンテクストを見落としていることが主な原因です。
・台詞に含まれる哲学的な問いかけが、英語版では簡素化されて台詞の深みが伝わらないケース ・主人公の見せる「家族を守る責任感」が、西洋の「個人主義」的な視点から理解されにくいケース ・日本の神道や仏教などの儀式的要素が登場するアニメが、海外では宗教的タブーと誤解されるケース |
つまり、ローカライズを進化させ、翻訳だけでなく文化的背景を取り入れる脚本の調整が必要だということです。
また、現地のファンコミュニティやレビューサイトからのフィードバックを活用することで、適応性を高めることが可能です。
キャラクターの行動や性格が、日本特有の価値観や倫理観にもとづいて描かれている場合、海外視聴者にとっては理解しにくいものになることがあります。この乖離が感情移入を妨げ、物語全体の共感性を損ねる可能性があります。
・謙虚さを重視するキャラクターが、競争を重視する文化圏では「消極的」と捉えられるケース ・仲間や集団のために犠牲を払う主人公が、個人主義の文化では「自己犠牲が過剰」と見られるケース ・敵キャラクターの動機が曖昧で、現地の倫理観と合わず、視聴者が共感を抱けないケース |
・普遍的なテーマを強調する:家族愛などの普遍的なテーマをキャラの行動に織り込み共感を得る ・動機や性格を現地文化に近づける:ローカライズ時にキャラの言動や行動を現地の倫理観に合わせる ・現地視聴者の意見を反映する:試写会やアンケートで、現地の視聴者からフィードバックを収集する |
複雑なタイムラインや伏線を多用するストーリーは、日本国内では評価されても、海外視聴者には難解に感じられることがあります。背景知識が必要なストーリー展開は、視聴者を混乱させる原因となり、物語への没入を妨げる場合があります。
・フラッシュバックを多用し、タイムラインが混乱して視聴者が物語を追えなくなるケース ・日本の神話や歴史的背景を前提にしたストーリーが、海外では馴染みがなく理解されないケース ・複数のキャラクターが同時に描かれるシーンで、重要なプロットが見えにくくなるケース |
・物語をシンプルに構築する:ストーリーの基本構造を簡潔にし、視覚的な情報で補足する ・背景を説明する工夫:海外の視聴者にとって馴染みのない要素は、補足字幕やプロローグを挿入する ・視点を整理する:主要キャラクターの視点を中心に据えることで、ストーリーの焦点を明確にする |
日本で制作されたアニメが、海外での規制や文化的価値観と合わない場合、視聴者の反感を買ったり、配信停止に追い込まれるリスクがあります。特に暴力的な描写、性別や宗教に関する表現は、地域ごとの規制や倫理観に敏感に影響を受けます。
1.暴力表現が過剰と見なされ、一部地域で年齢制限やカット編集を強いられたケース 2.女性キャラクターの衣装が性差別的と批判され、視聴者や団体から抗議を受けたケース 3.宗教的シンボルをストーリーに使用した結果、一部地域で作品が禁忌とされ配信が中止されるケース |
・事前リサーチを徹底する:各地域の文化や規制をリサーチし、作品がターゲット市場の規制や倫理基準に適合するよう調整する ・現地の専門家と協力する:ローカライズ時に現地の文化や感覚に詳しい専門家を起用し、微妙なニュアンスを適切に処理する ・柔軟な編集を用意する:規制が厳しい地域向けに、シーンや表現を適切に調整したバージョンを制作することでリスクを軽減する |
アニメキャラクターの言葉をただ翻訳するだけで海外に配信したケースがあった場合、ファンは作品に共感できず、視聴数は伸び悩む可能性が高くなります。一方、別の作品では北米市場で爆発的なヒットを記録しました。この違いは何でしょうか?
その違いは単純なものではありませんが、大きく分けて2つの要素が成功を左右します。それが「ストーリーがしっかり伝わるか」と「プロモーションの工夫がなされているか」です。
この2つが欠けていると、どれほど優れた作品であっても、その魅力は現地の視聴者に届かず、評価されないまま終わる可能性が高まります。
例えば、ある作品では台詞をただ直訳しただけで配信した結果、キャラクターの言動が不自然に見え、物語への感情移入が難しくなったというケースがありました。また、どれほどストーリーが優れていても、それを知ってもらわなければ成功にはつながりません。
成功を目指すなら、単なる翻訳ではなく、現地文化を考慮したストーリー設計を行い、その魅力を効果的に伝えるプロモーションに力を入れるべきです。それが、視聴者に「観たい」と思わせるきっかけを作り、ファンを生み出す第一歩になるのです。
それぞれについて、以下で事例を交えながら詳しく見ていきましょう。
「鬼滅の刃」は、北米市場向けにキャラクターの台詞を現地の文化に合うように調整されています。
FunimationのMitchel Berger氏が、「アニメの本質はコミュニティと帰属意識 (翻訳)」と語っているように、家族や友情といったテーマが北米の観客に共感を呼び、キャラクターの魅力が物語の成功を支えたと言えるでしょう。
他には、進撃の巨人は戦争をテーマにしているため、特に海外では共感されやすいと言えます。
また、中東で人気を獲得したキャプテン翼を例に挙げると、現地でサッカーが人気だったということで受け入れられるきっかけとなった作品があるように、扱うテーマは非常に大切だということです。
参考:主人公の「闇落ち」から世界での快進撃が始まった…日本よりも海外人気がすごい講談社発のファンタジーアニメ - PRESIDENT
参考:偶像崇拝のタブーなどニ次元には関係なかった!【イスラム法学者・中田考】が語るアニメとイスラム - サイゾー
映画・テレビアニメ「鬼滅の刃」の英語吹き替え版では、声優選びや字幕翻訳に力を入れ、現地の視聴者が自然に受け入れられる形に仕上げられています。
声優アレックスは、インタビューで以下のように答えています。
「作品の中で日本語のキャラクターの名前や言葉が自然に聞こえるように、アメリカ人の耳にも聞き取りやすいようにと意識しながら演じるようにしていたよ。(翻訳)」 |
こうした工夫の結果、感情のこもったセリフが高く評価され、北米市場でのファンベースを築いています。
特に「声優の演技が素晴らしい点」や「字幕の翻訳が自然だった点」に触れる肯定的なコメントが、口コミで多く挙げられています。
参考:【動画独占インタビュー】英語吹き替え版 「鬼滅の刃」の米声優陣 なるべくオリジナルに忠実に意識して演じた - nyviz
The Numbersの公開した「Top 2020 Movies at the Worldwide Box Office」によると、「鬼滅の刃 無限列車編」が2020年に世界で年間興行収入1位を記録しました。
この成功は、地域ごとに異なるプロモーション戦略を採用した結果であり、特に現地ファン層に向けたプロモーションやSNSでの投稿が大きな役割を果たしました。
鬼滅の刃は、他にもニューヨーク・タイムズスクエアの大型ビジョン広告を『鬼滅の刃』がジャックすることで、確実な認知度アップを実現しています。
こうして、ただ作品を配信するだけではなく、現地での知名度を獲得するためのプロモーション展開にも力を入れています。
参考:Demon Slayer Film's Record Global Box Office, Broken Down by Region - Anime News Network
参考:『鬼滅の刃』NYで異例の広告ジャック タイムズスクエア大型ビジョンにキャラ集結 - ORICON NEWS
ローカライズ戦略の一環として、翻訳された書籍やゲームをリリースすることも、多くの作品(IP)の展開方法として取り組まれています。
ライトノベルの翻訳によって「アニメの世界観」を補強し、ファン層を拡大する施策の一つと言えます。
参考:Demon Slayer’s English Light Novel Trilogy - CBR.
特定のアニメで、日本独特の口調や敬語表現がそのまま英語に直訳され、キャラクターの意図が伝わらずに誤解されたケースがありました。この結果、キャラクターやストーリーに対する共感を得づらくなり不信感が生まれてしまったのです。
例えば、現地の標準語・共通語のような言葉以外で翻訳してしまい、作者の意図とは異なる個性になってしまうなどです。
また、あるキャラクターが日本語で「衰えたな」と発言するシーンが、英語字幕では 「I’m surprised(驚いたな)」と誤訳されることで、視聴者が自身の技量低下を表現するシーンが異なる内容になってしまいました。
中東市場向けにリリースされたアニメが、衣装やシーンにおける宗教的なタブーを無視して批判を受け、配信が中止されたケースがあります。ただし、地域ごとに寛容さにも差があるため、配信を止めるべきというわけではなく十分に配慮する必要があるということです。
例えば、悪役が自国の聖典を持っていたことで侮辱と捉えられアニメを中止されたものや、不適切な音声が発覚し、関連グッズの出荷停止などが挙げられます。
公式サイトには以下のような記載があります。
「本編内において、イスラム教に係る音声の不適切な使用があったことが判明致しました。」
引用:「ノラガミ ARAGOTO」に関するお詫び
どれだけ良い作品でも、文化の違いへの配慮がなければ受け入れられないと言えるでしょう。
参考:日本アニメのイスラムに対する不適切表現について - 外務省
アメリカ市場で配信されたアニメで、キャラクターの性格や価値観が現地文化に馴染まない形で描かれ、視聴者に受け入れられなかったケースがあります。
例えば、同性愛のイメージを与えてしまったケースがあります。日本で良いとされる設定でも、世界的には異なるという視点を持っておきましょう。
「鬼滅の刃」の成功は、現地文化に合わせたローカライズとプロモーションの巧みさによるものです。一方で、文化的な配慮を欠いた翻訳や設定は、視聴者の共感を得られず失敗する可能性が高いのです。
これらの事例から学べるのは、現地の文化を深く理解し、視聴者が感情的なつながりを持てる形で作品を提供することの重要性です。
参考:コンテンツ海外展開を巡る課題と検討の方向性 - 内閣官房 知的財産戦略推進事務局
多くのアニメ作品のプロモーションが、現地ファンと直接的なコミュニケーションを取る機会を持たず、関係構築が不十分な場合があります。これにより、現地ファンの声を取り入れられず、ローカライズの最適化も難しくなってしまいます。
・現地のアニメイベント(例:Anime Expo)への参加を見送ってしまい、ファンとの距離が広がるケース ・海外SNSでのプロモーションが不十分で、ファンとの交流が低迷するケース ・ローカルなファンコミュニティとの協力を怠り、視聴者の声を作品に反映できないケース |
1.現地アニメイベントに参加し、上映会やトークセッション、限定グッズ販売などでファンと関係構築する 2.ファンが活発に利用するSNS(例:X(Twitter)など)を活用し、発信と返信(双方向の交流)をする 3.現地のインフルエンサーやコミュニティリーダーと連携し、作品を広めるプロモーションを行う |
現地のファンイベントやSNSを活用して、視聴者との対話を積極的に行っていきましょう。関係を強化して、口コミや支持が広がりにやすくしましょう。
ローカライズは、言語だけでなく文化や感情を伝える工夫を取り入れる必要があります。現地文化に詳しい翻訳者や脚本家を起用し、専門家や現地ファンの声を反映させましょう。
グローバル型のプラットフォーム(Netflix、Crunchyroll)と地域特化型(Hotstar、Wavve)の使い分けや選択が適切でないと、ターゲット層を取り逃がすリスクが高まります。
例えば、映画を上映する際、家族連れが多い場所とアクション映画ファンが集まる劇場では、観客層が異なります。同じように、配信プラットフォームごとに視聴者の習慣や好みが異なるため、適切な選択が重要です。
また、『鬼滅の刃』は、視聴者データを活用したターゲティングを行い、効率的にファン層を拡大しました。データ主導の戦略が、配信プラットフォーム選定にも大きな影響を与えています。
参考:『鬼滅の刃』北米でも記録を塗り替える大ヒット!その要因は“データ”にあり? - Real Sound
1.視聴者データを分析:地域ごとに視聴者の習慣を把握し、配信スケジュールを調整する 2.複数プラットフォームの活用:グローバル型と地域特化型のプラットフォームを併用し、幅広いターゲット層にアプローチする 3.契約条件を見直す:配信契約時に収益分配や視聴データの共有条件を交渉し、利益を最大化する |
地域特化型プラットフォームとグローバル型プラットフォームを組み合わせ、地域ごとの視聴習慣や市場特性に応じた戦略を採用する必要があります。
また、収益分配に関する契約条件を精査し、配信後の利益が適切に還元されるよう注意することも重要です。
Shufu.tvはまだ国内の知名度はそれほど高くないため、版権元に対して最低視聴回数を約束しない代わりに、提携する日本企業のビジネスリスクをできるだけ小さくする工夫を凝らしている。
引用:日本の人気アニメの正規版をネット配信(サウジアラビア) - JETRO
引用:Shufu.tvはまだ国内の知名度はそれほど高くないため、版権元に対して最低視聴回数を約束しない代わりに、提携する日本企業のビジネスリスクをできるだけ小さくする工夫を凝らしている。
商品化戦略が十分に設計されていない場合、作品の人気に見合った収益を得られないことがあります。特に、海外市場で消費者ニーズに合わない商品を展開すると、売上が伸び悩む可能性が高くなります。
また、デジタル商品(NFT、AR商品など)やメタバースでの体験型収益モデルが活用されていない場合、新しい市場機会を逃すことになります。
例えば、日本の特産品を海外に販売する場合、価格やデザイン、マーケティングを現地市場に合わせないと、売れ行きは悪くなるでしょう。アニメのキャラクターグッズも同じで、地域ごとのニーズに応じた工夫が必要です。
1.地域別の商品ラインナップ:北米ではフィギュア、東南アジアでは日用品といったように、地域特有の需要を調査して商品を展開する 2.デジタル商品の導入:NFTやデジタルコレクティブルを販売し、若い世代のファン層にアピールする 3.体験型イベントの活用:メタバース内でバーチャルライブイベントを開催し、関連グッズを限定販売する |
商品化戦略は、限定グッズや現地仕様の商品ラインナップを通じて、地域ごとの消費者ニーズに応えるべきです。さらに、デジタル商品の展開やメタバース、ARを活用した新しい収益モデルを採用することで、収益を最大化する可能性を広げられます。
ローカライズ、配信プラットフォーム、商品化の3つの柱を戦略的に組み合わせることで、アニメの海外展開はより効率的に成功へと導かれます。各要素を独立して考えるのではなく、統合的なアプローチを採用することが重要です。
関連記事:【IPコラボ商品・キャンペーン】参考になる事例から学ぶ!成功させるポイントを紹介
アニメを海外展開する際、現地市場の文化や視聴者の嗜好に適応することが重要な理由をここまでにお伝えしました。しかし、これを日本国内のチームだけで完全に推進していくのは難しい場合があります。
「海外市場に適したアニメ」や「売れるIP」を企画・展開するためには、グローバル視点を持つプロの意見を取り入れて企画段階から国際市場に響く作品を作る土台を構築することも良いでしょう。
例えば、あるアニメ作品を海外展開したい団体が、プロの助言を受けて文化的な配慮をした内容に調整した上で、地域特化型のSNS広告を活用したキャンペーンを展開するなどです。
1.専門家を早い段階で巻き込む:プロの助言を企画段階から取り入れて、市場に適した戦略や内容を構築する 2.現地市場に特化した戦略を立てる:SNS広告やイベント、適切な配信先の選定など、専門家の知見を活かして現地市場に最適化した戦略を実行する 3.リスクを未然に防ぐ仕組みを整える:法務や文化的配慮の専門家と連携し、現地規制や文化的なタブーを考慮した内容に調整する |
プロとの連携によって、アニメの海外展開における文化的な誤解や市場の違いによる失敗を回避し、視聴者に共感を持って受け入れられる作品を展開していきましょう。
関連記事:IPビジネスを代理店に依頼するメリットとは?活用するコツや費用感も紹介
ここまでのポイントをまとめます。
アニメの海外展開を成功させるには、文化的共感を生むローカライズや、現地市場に適した戦略的アプローチが必要です。グローバル市場における競争力を高めるためには、新しい技術の導入や現地ファンとの関係構築も欠かせません。これらを踏まえた統合的な取り組みが、持続的な成功をもたらします。
キャラクターを人気にするためのSNSでの投稿戦略や、具体的なキャラクター作りのポイントなどの具体的な内容について知りたい方は、ガイドブック資料もダウンロードしてみてください。あなたの成功を支えるためのヒントが満載です。
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アニメーションという表現方法の中にも、スライドに動きをつけたものから3DCGを活用したもの、セル画など多岐に渡るテイストがあります。
動画を制作する場合には、要望通りに動画を制作することだけでは効果を発揮しないことが多くあります。NOKIDでは、動画の活用目的に沿った構成や表現を計画しております。
例えば、TikTokであれば認知に適したアルゴリズムになっておりユーザーが次々と動画をスワイプして観ていきます。そのため、冒頭の2〜3秒で注意を引くためのアイデア、PRに繋げるためにどのような情報を発信すべきかといった"ビジネス視点とクリエイティブ視点"のバランスを意識しております。
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