NOKID編集部
1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。
「推し活」と聞くと、アニメファンやアイドルファンの話だと思っていませんか?そして、その熱量を活かして商品を売るのは、一部の企業だけができる特別な手法だと。もしあなたがそう考えているなら、せっかく良い商品やブランドがあっても、買われないまま終わってしまいます。
広告やキャンペーンで大きな予算を使いながら、なかなか共感されずに終わってしまう...それは、いくら情報を伝えても“心を動かすきっかけ”がなければ行動にはつながらないからです。
「推し活は一部のコアな人だけのもので、ビジネスに応用できない」
この思い込みが、企業にとって大きな機会損失を生んでいます。じつは、多くの消費者は“自分の好き”を誰かと共有し、その気持ちを表現するモノや場を求めています。それは年齢やジャンルに関係なく、広がっている欲求です。
つまり、ファンは商品ではなく「推しとの関係性が深まる体験」にお金を払っているのです。
そこで今回は、こうした推しに対する熱量をビジネスで活かすことをテーマに、なぜ推し活するファンはグッズに熱狂するのか分析してみました。
ファンマーケティングについては「ファンマーケティングとは?顧客を呼び寄せる口コミ戦略を紹介」もチェックしてみてください。
推し活グッズは、推しを応援するための飾りとしてだけでなく、自分の推しへの気持ちを表す手段でもあります。一般的には「推し活グッズって、かわいいから買うんでしょ?」と思いがちですが、それだけではないのです。
ファンにとってグッズとは、「私はこの人を好きだ」と表す手段であり「応援してるよ」と自分の気持ちを伝える大切な道具なのです。これは、さまざまな統計データだけでなく、実際に推し活グッズを手作りするほど「本気で推し活に取り組んでいる」知人に取材した経験からも同様のことが言えます。
推し活に取り組む人の本気度は「柔軟に推し活ができないから正社員にならず柔軟に働く」と言い続けているほどです。
例えば、ライブ会場で、缶バッジで埋め尽くされた「痛バッグ」を見たことはありませんか?それは、「私の推しはこの人です!」と世界に伝える手段なんです。ぬいぐるみを持って歩くのも、「この子がそばにいてくれるから、今日も頑張れる」と感じているファンの行動なんです。
推し活は一人で完結するものに限った活動ではなく、SNSやイベントで同じ推しを応援する人たちとつながる文化でもあります。痛バッグを持ち歩いたり、写真を共有することで、同じ熱量を持つ仲間と共感し合えるのです。
つまり、推し活グッズは仲間と打ち解ける理由=共通点になっているのです。
例えば、あるファンが痛バッグを持ってイベントに参加したとします。それを見た他のファンが、「同じ推しですね!」と声をかけてくれます。こうして、知らない人とも仲良くなれるのが、推し活グッズのすごいところです。
推し活のためにグッズを買うことは「自分の時間やお金を使って応援する行動」です。人は、好きなものに時間やお金を使うと「満足」や「誇り」を感じます。
「OSHINOMICS Report」によれば、推し活をする2人に1人は「推しとコラボしている商品を積極的に買っている」と回答しています。つまり、推し活グッズの購入や周囲へおすすめする行動は、応援という行為そのものであり、売上や知名度の向上に貢献できると信じているのです。
好きなアーティストに投票するように、「あなたが必要だよ」「あなたが生きがいだよ」というメッセージを送っているのです。
例えば、「推しが新しいアルバムを出したから、グッズもセットで全部買った」という人は、その売り上げが活動を支えることを知っています。だから、グッズを買う行為そのものが「応援」の形になっているのです。
一般的に大きな違いはありませんが、区別するなら「推し活」と「オタ活」は、同じ“好き”でも、向かっているゴールが違います。だから、同じように扱うと、ファンの心には届かなくなってしまうのです。
「オタ活」は、好きな作品の知識を深く知ったり、限定グッズを集めたり、まるで“宝物をコレクションする”ような楽しみ方です。一方「推し活」は、自分が応援するアイドルやキャラを、毎日の生活の中に取り入れて、みんなに見せて共有する“応援の日常化”です。
つまり、オタ活は「集めて満足するもの」で、推し活は「人生の一部」と言えます。
例えば、オタ活の人は、推しの全グッズを箱の中に保管して満足しますが、推し活の人は、その中からお気に入りを選んで痛バッグにして、学校やイベントに持っていきます。
また、オタ活の人は作品のストーリーや設定を語るのが好きですが、推し活の人は「この笑顔が今日の元気の源」など、自分の前向きな気持ちが中心です。
“好き”の形に正解はありません。でも、「推し活」と「オタ活」は、同じ道を走っていても、見ている風景が違います。だからこそ、企業もマーケティングでどちらのファンに届けたいのかを見極め、その“好き”に合わせた道具(グッズ、サービス)を準備することが大切です。
ファンがグッズを買ったりSNSで発信したりする理由は、単に「好き」だからではありません。もっと深い「保護」「育成」「共感」の欲求が動機になっているのです。
推し活をする人の多くは、「推しを守りたい」「売れてほしい」「一緒に頑張りたい」といった気持ちを持っています。筆者が推し活に取り組む知人へ取材した際には、「推しの誕生日は自宅で1人、ケーキを食べながらお祝いする」と知人は強い想いを語ってくれました。
例えば、無名の時代から応援していた推しが有名になっていくのを見ると、自分もその成功に関われたような気がして、“成長を見守った仲間”のような感覚が得られることもあるでしょう。
推し活とは、単なる趣味の延長ではありません。ファンが推しを応援するという活動を、感情・消費・つながりへと変えていく構造なのです。
そして「私の推しはここが最高!」と語り合える仲間がいることで、自分の価値観が認められる安心感も生まれているのです。
企業がその構造を理解し、ファンと同じ目線で“物語”を共有できたとき、ブランドは「売れる商品」をつくるのではなく、「買わずにはいられない関係性」を築けるようになるのではないでしょうか。
ファンは今、「買うだけ」では満足できません。自分でグッズを作ってこそ、推しへの気持ちが伝わると感じています。昔は、CDやグッズを買ったりライブに行ったりすることが主な推し活でした。
ですが、今はぬいぐるみに服を着せたり、バッグを自分で飾ったりして、「推しへの愛」を形にして見せることが流行しています。これは、ものづくりを通じて、もっと深く推しとつながりたいという気持ちのあらわれかもしれません。
こうした行動は、まるで“推しの世界を自分で広げている”ようです。
ファンが手作りグッズを作るのは、既製品に不満があるからではありません。「私の推しへの想いを、世界にひとつの形にしたい」からなのです。
市販のグッズも素敵ですが、そこに自分の気持ちは入りません。自分で作ることで、「これは私が推しを応援している証です」と表現できます。その行動の裏には、「推しに貢献したい」「自分らしく伝えたい」「共感されたい」などの強い感情が重なっています。
例えば、「ぬい活」では、推しのぬいぐるみと一緒にカフェや旅行に行き、写真を撮ってSNSにアップします。「痛バッグ」は、バッグに缶バッジやキーホルダーをたくさんつけて、推しのことを全力でアピールするアイテムです。
今の推し活では、「見て楽しむ」だけでは物足りません。作って、関わって、伝えることが、新しいファンの喜びです。だからこそ、企業やブランドがするべきことは、グッズを用意して売ることではなく、「一緒に作れる場を用意する」ことかもしれません。
<ポイント> ・「自由に使っていいロゴ」や「二次創作OKのルール」を明示して、安心して作れる場を作る ・ファンを“ユーザー”ではなく、一緒に世界を広げる“仲間”と捉える |
「推し活」はアニメやアイドルという、かつてはオタク文化と揶揄されていたものではなくなっています。今では企業戦略や地域プロモーションにも使える「ファンを生み出すための方法」になっています。
2023年には「日本のオタク市場」が8,000億円を超える規模があるというデータが示すように、それだけ多くの人が「推し」に時間やお金を使っているのです。
各ブランドとアニメなどとのコラボ事例や、“推し色”のグッズをカスタマイズできる機能を導入する事例など、「推される仕組み」を取り入れる動きが広がっているのです。
例えば、推し活を知らない人から見ると、「キャラクターのネックレスって誰が買うの?」と思うかもしれません。ですが、そのキャラクターを推しているファンにとっては、デザイン以上の価値があるのです。
また、推しと企業のコラボ商品がファンにとって魅力的である以前に、「推しをリスペクトしている良いブランド」という印象を持つきっかけになることも注目すべきポイントです。
実際、ネオマーケティングの調査した「推し活に関する調査2024年」では、7割以上が「コラボして嬉しい」と答えており、嬉しくなかったコラボには「関連性の薄い場合」といった旨の回答があります。
【回答を一部抜粋】
引用:推し活に関する調査2024年 - 株式会社ネオマーケティング
<嬉しくなかったコラボ>
・「いいかげんなユーチューバー」(男性、73歳)
・「あまり接点ない組み合わせ」(男性、34歳)
・「キャラクターと合わないイメージの時」(女性、31歳)
このような事実から、影響力を借りるだけのコラボをするのではなく「推しの存在を知ってもらえるコラボ」「推しを使い捨てるような起用をしていないコラボ」であることが大切だと考えられます。
推し活をビジネスに活かす場合、ターゲットの推しとコラボしたイベントや商品を企画することが最初に思いつく方法かもしれません。
ただし、ファンは自分の推しが「どのように扱われているか」にとても敏感です。「推しのビジュアルを貼っただけ」のコラボは、「この会社、推しを使ってるだけ」とファンに感じさせて信頼を失うリスクが高いため注意が必要なのです。
推し活の影響力を活かしたコラボでは、ファンの想いが強いからこそ「推しを手段にしている」と感じるようなやり方は拒絶反応を起こされてしまうリスクが伴います。ブランドの目線では「コラボしたんだから買ってくれるはず」と思っても、ファンにとっては“推しが大切にされているか”が一番大事なのです。
例えば、有名なアニメキャラが描かれている商品があっても、その絵がただ商品に無理やりくっつけられただけだと、「これ、愛がないよね」とSNSで炎上することがあります。
推し活コラボを成功させるポイントは、ファンの“気持ち”を本気で理解しようとする姿勢です。「人気キャラだから売れるだろう」ではなく、「この世界を一緒に育てよう」と考えることが、ファンに伝わるのです。
ファンは敏感です。言葉だけでなく、デザインや文脈、空気感まで見ています。だからこそ、愛が伝わる企画をすれば、ファンは自然と応援してくれるはずです。
<実践のポイント> ・「なぜこのコラボをしたのか?」という背景や思いをしっかり伝える ・商品やブランドではなく、“推しが主役”になるように作る |
推し活は、“推しへの想い”が結果的に自分に返ってくる循環を生み出す構造であり、ファンは「推しを応援したい」「一緒に成長したい」と感じています。その気持ちが「買う」「つながる」「発信する」という行動に変わります。
つまり、感情を理解しなければ、いくら商品をつくっても売れません。
例えば、推しグッズを持っていないとライブ会場で“置いてけぼり”になる──そんな共感からファンは自発的にグッズを購入します。これは機能性や価格ではなく、所属感やつながりが動機になっている証拠です。
<ポイント> ・ファンは“商品”ではなく“推しとの接点”を買っている |
推し活におけるビジネス設計は、ブランドと推しの“意味づけが一致すること”が不可欠です。
単なるタイアップではなく、「このコラボは意味がある」とファンが納得するストーリーを持っているかが重要です。推しは“偶像”であると同時に“感情の受け皿”。そのイメージを裏切らない設計が必要です。
例えば、ある文具メーカーがアニメキャラとコラボするような場合に、キャラの“勉強が苦手”という設定に合わせて「失敗しても大丈夫」というテーマのノートを展開するなどです。このように商品コンセプトがキャラと完全に重なることで、推しへのリスペクトをファンが感じ取るのです。
<ポイント> ・“推しの写真を貼っただけ”の商品は、ファンの信頼を失う |
推し活をするファンを、推しが関係するイベントの参加者・共創者だと考えましょう。そして、彼らの「推し」が関連するコラボ商品や体験に巻き込むことで、自然とUGCが発生します。
例えば、ファンが資金を出し合って広告を掲載するような「センイル広告」と呼ばれる韓国ではよく知られた推し活の方法があります。これと同じく、「自分が推しの活躍を支えた」と思える体験を提供できるようなコラボが変え難い思い出になります。
ファンはそれを口コミのように投稿し、自分の“推し”への想いも発信します。これが新たな購買動機や再購入へと波及します。
<ポイント> ・「作りたくなる」「SNSで見せたくなる」設計を商品にも体験にも持たせる |
推し活ビジネスの最終目的は、商品を売ることではなく「ファンがファンを呼ぶ流れを生むこと」です。
本当にうまくいくビジネスは、ファンが“このブランドは私の推しを理解している”と感じ、自然にその愛を広めたくなる状態をつくっています。そして、ファン自身がそのブランドによって恩恵を受け、伝道者・拡散者になることで、広告費をかけずに熱量を拡大できます。
例えば、あなたが推しを起用したブランド商品を積極的に宣伝することで、他のファンが新たな情報を得ることで売上が増えた結果、推しの起用が継続して自分も嬉しいといった循環です。
推し活をビジネスに取り入れるためには、ファンに「推される場所」をデザインすることではないでしょうか。つまり、「推し活」とは、ファンの感情を起点にブランドを共に育てる共創戦略の入口なのです。
<ポイント> ・SNS投稿、二次創作、写真共有、コメントなど、“応援行動”を自然に設計に取り入れる |
ここまでのポイントをまとめます。
推し活に取り組むファンは、「商品を買うこと」が目的ではなく、「推しを応援している気持ちを行動で示すこと」に価値を感じています。今後、ファンとの共創関係を築ける企業こそが、選ばれ続けるブランドになるでしょう。
現代の推し活は著名人に限った話ではなく、キャラクターも対象です。もし、キャラクターを活用して推し活の消費意欲をファンに持ってもらいたいなら、アニメーションを活用してSNSで発信していきましょう。当社では、こうしたキャラクターを人気にすることを前提とした動画制作〜SNS運用までをサポートしております。
ガイドブックも公開しているので、以下の資料ダウンロードページで手に入れてみてください。
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NOKID編集部
1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。