2026.05.27

2026.05.07

オリジナルグッズ制作で「最安値」を選ぶと失敗する?OEM会社の選び方・費用・納期を解説

「グッズを作りたいけど、どこに頼めばいいかわからない」——そう感じるのは、あなたの判断力の問題ではありません。

グッズ制作の業界には、アイテムごとに制作会社が完全にすみ分けているという構造があります。アクリルグッズが得意な工場にぬいぐるみは作れませんし、ノベルティ業者にIPグッズを頼めば色ズレで全量廃棄になることもあります。万能な1社は、どこにも存在しません。

つまりグッズ制作の成否は、どのアイテムに、どの専門性を持つ制作会社を、どの段階で巻き込むかで決まります。

本記事では、アクリル・アパレル・ぬいぐるみなどカテゴリ別の制作会社ガイド、自分の条件に合った会社を選ぶ判断マトリクス、企画から納品までのプロセスとリスク対策、そして発注前のチェックリストまでを一本にまとめました。

なぜグッズ制作で「最安値」を選ぶと失敗するのか

グッズ制作会社を価格だけで選ぶと、完成品がすべて使えなくなる事態が起こりえます。その原因は業界の構造そのものにあります。

万能なグッズ制作会社は存在しない

「グッズ制作」で検索すると、たくさんの会社がヒットします。どこも「高品質」「小ロットOK」とうたっていて、一見どこに頼んでも同じように見えるかもしれません。

しかし、グッズ制作の業界には、外からは見えないはっきりした「すみ分け」があります。

たとえば、アクリルスタンドや缶バッジを作る工場には、UVインクジェットプリンター(紫外線で固まるインクを吹きつける印刷機)やレーザーカッター(レーザーで素材を切り出す機械)といった、平らなものに印刷するための設備があります。

一方、ぬいぐるみを作る工場には、キャラクターのイラストから立体の型紙を起こす技術と、綿やベルベットなどさまざまな生地を縫い合わせる技術が必要です。

この2つに必要な設備と職人の技術は、まったくの別物です。アクリルグッズが得意な工場にぬいぐるみを頼んでも、そもそも作れません。逆も同じです。アパレル、文具、食品パッケージ——カテゴリが変われば、得意な工場も変わります。

すべてのカテゴリを自社の工場だけで高品質にカバーできる会社は、この業界には構造的に存在しないのです。

参考:ぬいぐるみOEM完全攻略:デザインから納品までの道のり - TransMoko

ノベルティ業者にIPグッズを頼んではいけない

もうひとつ、初めてグッズ制作に取り組む方が見落としやすい落とし穴があります。企業名を入れるだけのノベルティ(販促品)と、キャラクターを使ったIPグッズでは、求められる品質のレベルがまるで違うという点です。

ボールペンやタオルに企業ロゴを入れるノベルティなら、多少の色のバラつきは許されます。しかしIPグッズの場合、キャラクターの肌色がほんの少しズレただけで、版権元(キャラクターの権利を持つ会社)から「やり直し」を命じられることがあります。

なぜなら、版権元はキャラクターの世界観を守るために、色、形、ロゴの位置、パッケージの裏面に至るまで、すべてをチェックする「監修」という工程を設けているからです。この監修を通らなければ、作ったグッズは1個も販売できず、全量廃棄になります。

一般的なノベルティ業者は、この厳しい色の再現技術や監修対応のノウハウを持っていないことがほとんどです。「いつもの業者さんなら安心」という判断が、IPグッズでは致命的な失敗につながるのです。

監修の仕組みや色校正の具体的な対策は、「企画から納品まで」のセクションで詳しく解説します。

グッズ制作会社をアイテム別に比較——どこに何を頼めるか

グッズのカテゴリごとに、得意な制作会社のタイプはまったく異なります。アクリルならアクリル専門の工場、ぬいぐるみなら立体物専門の会社というように、カテゴリに合った専門会社を選ぶことが品質とコストの両立につながります。

アクリル・缶バッジは50個から

アクリルスタンド、缶バッジ、クリアファイルなどは、グッズの中で最も手軽に始められるカテゴリです。

このカテゴリが得意なのは、UVインクジェットプリンターとレーザーカッターを自社で持っている国内の専門工場です。金型(製品の形を作るための型)が不要なので、デザインデータを送ればそのまま製造に入れます。

費用の目安として、日本キーホルダー工業の場合、最小30個・単価509円〜で受け付けています。一般的には50〜100個程度の小ロットで単価200〜500円程度、納期はデータ入稿から2〜4週間が標準です。

開けるまで中身がわからないブラインド商品(ランダム封入)や、イベントでのテスト販売に向いています。金型が不要なので、たくさんの種類を少量ずつ作りたい場合にもぴったりです。

ただし、IPグッズの場合は注意点がひとつあります。版権元が色を厳密に指定していることがあり、その「指定された色を正確に再現する力」を持っているかどうかが、制作会社を選ぶ最大のポイントです。過去にIPキャラクターのグッズを作った実績があるかを必ず確認してください。

参考:アクリルスタンド(無地台座)30個(単価509円)から - 日本キーホルダー工業

アパレル——1着からと100着からの2択

Tシャツやトートバッグなどの布製グッズを作る場合、制作会社は大きく2つのタイプに分かれます。

ひとつは、すでにある無地のTシャツやバッグにプリントや刺繍を入れるオンデマンド型(注文を受けてから1着ずつ作る方式)の会社です。1着から対応でき、単価は1,500〜3,500円程度、納期も1〜2週間と短いのが特徴です。注文を受けてから作るため、在庫を持つ必要がありません。

もうひとつは、生地の選定・染色から裁断・縫製まで一から行うフルオーダー型の会社です。

最小ロットは100〜300着が一般的で、単価も初期費用も高くなりますが、服のシルエットや生地そのものからオリジナルで作れるため、ブランドとしての独自性を出せます。

手軽に始めたいならオンデマンド型、ブランドの世界観を服そのものから表現したいならフルオーダー型です。

ぬいぐるみは専門会社が必須

ぬいぐるみやフィギュアなどの立体物は、グッズ制作の中で最も高い専門性が求められるカテゴリです。

なぜなら、キャラクターの平面イラスト(正面・横・背面の三面図)から、立体として形が崩れない型紙を設計する技術が必要だからです。さらに、キャラクターの衣装を再現するために、綿やベルベットなど異なる素材を組み合わせて縫う技術も求められます。

一般的な縫製工場ではこの対応は難しく、TransMokoのような、ぬいぐるみ製造に特化した会社への依頼が事実上の必須条件です。

費用の具体例として、TransMokoの公式サイトでは初回500個からの小ロットに対応しており、注文確定から納品まで通常30日以内と案内されています。ただし、これはサンプルの往復確認やIPの監修を含まない製造だけの期間です。サンプル確認や監修を含めた全体の期間は、一般的に3〜6ヶ月が目安になります(監修の詳細は「企画から納品まで」のセクションで解説します)。

顔の造形がわずかにゆがんだだけで、キャラクターの印象は大きく変わります。安さで選ぶのではなく、過去に同じレベルのIPぬいぐるみを作り上げた実績があるかどうかが、選定のすべてです。

参考:ぬいぐるみ 製作・OEM生産 - TransMoko

参考:ぬいぐるみOEM & カスタムサービス - TransMoko

文具・紙製品は単価が安いが罠がある

メモ帳、クリアファイル、パッケージなどの紙・文具系グッズは、箔押し(金や銀の箔を押しつけて光沢を出す加工)、型抜き、特殊な紙の使用など、紙ならではの表現ができるカテゴリです。

制作を担うのは、総合印刷会社や文具専門の制作会社です。最小ロットは500〜1,000個が目安で、単価は50〜300円と比較的安く、納期は1〜2ヶ月程度です。

販促品として配布したり、パッケージの高級感でブランドの価値を高めたい場合に向いています。

ただし、単価が安い分、最低ロットが大きい傾向があります。「1,000個作ったけど配りきれなかった」とならないよう、配布計画を立ててから発注することが大切です。

丸ごと任せたいなら総合型プロデュース会社

「カテゴリごとに別々の会社を探すなんて無理だ」と感じた方もいるかもしれません。

そんな方に向いているのが、総合型のプロデュース会社です。このタイプの会社は自社で大きな工場を持たず、国内外の多数の提携工場に製造を任せるファブレス企業(自社工場を持たない会社)とも呼ばれます。

アクリル、アパレル、文具、食品パッケージなど、幅広いカテゴリのグッズをひとつの窓口でまとめて発注できるのが最大のメリットです。企画段階からのデザイン提案、海外工場の手配、版権元とのやりとりの代行、品質管理、納品まで、すべてを一括で引き受けてくれる会社もあります。

ただし、実際の製造は外部の提携工場で行うため、仲介手数料が発生します。直接発注と比べて、コストが1.2〜1.5倍程度になるのが一般的です。また、工場と直接やりとりできないため、細かい品質のすり合わせが難しくなるというデメリットもあります。

社内にグッズ制作や海外取引の担当者がいない場合、この仲介手数料は「専門家を雇う代わりのコスト」と考えてください。初めてグッズ制作に取り組む会社にとって、窓口を一本化できるメリットは大きいです。

国内と海外の使い分けはロット数で決まる

国内の制作会社と海外(主に中国)の制作会社を、どう使い分けるか。結論はシンプルで、ロット数が分かれ目です。

テスト販売やイベント向けの小ロット(100〜500個程度)なら、国内の制作会社を選んでください。海外で作ると、金型代や国際送料などの初期費用が重く、少ない数では割に合いません。

言葉の壁やサンプルの往復にかかる時間を考えても、小ロットで海外に頼むのは現実的ではありません。

一方、1,000個を超える量産に入れば、海外の制作会社がコスト面で圧倒的に有利です。大量に作るほど1個あたりの単価が大きく下がります。

ただし、海外製造にはリスクもあります。旧正月(春節)などの長期休暇で生産が止まること、輸送や通関の遅れ、そしてキャラクターの設計データを海外に渡すことで生じる知的財産の保護リスクです。

おすすめは2段階の戦略です。まず国内の制作会社で小ロットのテスト販売を行い、市場の反応を確かめます。手応えがあれば、量産の段階で海外の制作会社を検討する——この順番なら、リスクを最小限にしながら規模を拡大できます。

ここまでで、カテゴリ別のグッズ制作会社の全体像が見えたはずです。次は、あなた自身の状況に合った制作会社をどう選ぶか、具体的な判断方法をお伝えします。

グッズ制作会社の選び方——4つの判断軸

自分に合ったグッズ制作会社を選ぶには、品質・コスト・スピード・社内の人手という4つの軸で優先順位をつけるのが最も確実です。4つすべてを満たす会社は存在しないため、今回の企画で最も譲れない1つを選ぶことが出発点になります。

4つの軸で最適な会社タイプがわかる

以下の表で、自分が最も優先したい軸に合った会社タイプを選んでください。

最優先の軸最適な会社タイプ向いている場面
品質・キャラクターの世界観の再現カテゴリ特化型の国内専門工場IP実績のある工場と直接やりとりし、色や素材を精密に合わせたい場合
コストの最小化・大量生産海外製造ネットワークを持つ総合型会社1万個以上の大量配布で、1個あたりの単価を極限まで下げたい場合
スピード・在庫リスクの回避国内オンデマンド製造の会社イベントに間に合わせたい、100個未満の極小ロットで作りたい場合
社内リソースの不足・ノウハウなし総合型プロデュース会社(ファブレス)担当者が他の業務と兼任で、グッズ制作のすべてを任せたい場合

4つの軸すべてを同時に満たす会社は存在しません。自社にとって「今回の企画で最も譲れないもの」を1つ選び、それに合った会社タイプから探すのが、最もムダのない進め方です。

ケース別・あなたに合った始め方

具体的なケースで見ていきましょう。

自社のキャラクターで初めてグッズを作る場合は、まずアクリルキーホルダーやステッカーなど、金型が不要な平面グッズを50〜100個で試作するのがおすすめです。カテゴリ特化型の国内制作会社なら、小ロットでも対応してもらえます。

他社のキャラクターライセンスでぬいぐるみなど高単価アイテムを作る場合は、立体物専門の制作会社を選びましょう。版権元の監修だけで2ヶ月以上かかるため、スケジュールには余裕を持ってください(監修プロセスの詳細は次のセクションで解説します)。

おしゃれなグッズを小ロットで作りたいD2Cブランド(自社で企画・販売まで行うブランド)の場合は、カテゴリ特化型の国内制作会社に、企画段階(イメージ画像やラフスケッチの状態)から相談するのが鍵です。制作会社のWebサイトのデザインがシンプルでも、製品の品質は別物です。見た目で判断せず、過去の製造実績とサンプルの仕上がりで評価してください。

グッズ制作の企画から納品まで——失敗を防ぐ全工程

グッズ制作の失敗は、制作会社の技術不足ではなく、発注する側のプロセスの抜けから生まれます。企画段階での早期相談、権利処理の確認、色校正の実施——この3つを押さえれば、大半のトラブルは未然に防げます。

制作会社にはラフの段階で相談する

仕様書とデザインデータを完璧に仕上げてから制作会社に見積もりを取る——この順番は、実は遠回りです。

企画の初期段階で制作会社に相談すると、コスト・品質・実現できるかどうかのすべてが大きく改善します。

たとえば、指定した特殊なサイズでアクリルを切り出すよりも、工場がすでに持っている型のサイズにデザインを少し調整するだけで、金型代や加工費を大幅に減らせます。「こういう素材を使いたい」と伝えれば、見た目は同じでコストが半分になる別の素材を提案してもらえることもあります。

完成データを渡してから「この仕様では作れません」と言われるよりも、ラフの段階で「これは作れますか?」と聞いた方が、はるかに効率的です。

慎重な方ほど「完璧に準備してから」と考えがちですが、グッズ制作では「ラフ段階での早めの相談」こそが、最もリスクを下げる方法です。候補の制作会社を2〜3社ピックアップしたら、企画のラフ段階でコンタクトを取ってみてください。

著作権とライセンスの3つの地雷

グッズ制作のプロセスで最初にクリアすべきなのが、権利関係の確認です。ここを怠ると、どんなに良いグッズを作っても販売できなくなります。特に以下の3つは、知らなかったでは済まされない致命的なリスクです。

著作権の問題

ひとつ目は、自社のキャラクターを外部のクリエイターに依頼して作った場合の著作権の問題です。著作権はデザインを作ったクリエイター側に自動的に発生するため、お金を払って納品を受けただけでは、グッズ化して広く販売する権利は得られません。グッズ展開をするなら、著作権を譲り渡してもらう「著作権譲渡契約」が必要です。

費用の目安として、日本イラストレーター協会では、著作権譲渡の場合は一次使用料の2〜3倍程度の料金設定を推奨しています。

ただし実際の金額はキャラクターの用途や展開規模によって大きく変わるため、契約前にクリエイターとしっかり取り決めてください。クラウドサインの弁護士解説でも指摘されている通り、譲渡契約では著作権法27条・28条の権利(二次利用に関する権利)を含むかどうかを明記しないと、後から「その権利は譲渡されていない」と主張される可能性があります。

初期費用を惜しんで著作権の譲渡を受けずにグッズを展開し、大ヒットした後にクリエイターから権利侵害を申し立てられる——この「時限爆弾」は、長期でキャラクターを育てるつもりなら絶対に避けるべきです。

ライセンス範囲の問題

ふたつ目は、他社のキャラクターを使う場合のライセンス契約の範囲です。契約書に書かれた範囲外でのグッズ展開やプロモーション利用は、著作権の侵害になります。

監修の記録保存の問題

みっつ目は、監修の承認記録(いつ、誰が、何を承認したかの記録)の保存です。トラブルが起きた後に「版権元から許可をもらった証拠」が社内のどこにもない——という事態は、実際に多く発生しています。プロジェクト開始時に、承認記録の管理責任者と保存場所を決めておいてください。

参考:イラストの料金と著作権に関して - 日本イラストレーター協会

参考:著作権譲渡契約書とは?主な記載事項や注意点などを弁護士が解説 - クラウドサイン

自社IPで作る場合の全体フロー

自社のキャラクターを使ってグッズを作る場合、プロセスは比較的シンプルです。

まず、ターゲット層と予算に基づいてアイテムと想定ロットを決めます(企画立案)。次に、キャラクターデザインを外部に依頼した場合は、著作権が自社にあるか、グッズ化の許可が得られているかを確認します。

その後、アイテムに特化した国内の制作会社をリストアップし、過去の実績確認と相見積もりを行い、発注先を決定します。完成データを入稿し、色校正サンプル(実際の素材にインクで出力した見本)を取り寄せて確認。問題なければ量産に進み、検品を経て納品です。

他社IPで作るなら監修が最大の壁

他社のキャラクターを使ってグッズを作る場合、プロセスに「監修」という強力な関門が加わります。

ライセンス契約を結んだ後、企画書とラフデザインを版権元に提出します。承認が出たら制作会社を選定してサンプルを作りますが、ここからが山場です。

サンプルは通常、版権元に2〜4回提出して審査を受けます。色味、形、ポーズ、ロゴの位置、パッケージの裏面——すべてがチェック対象です。1回の差し戻しごとにサンプルの修正と再提出が必要になるため、監修だけで数週間から数ヶ月かかることがあります。

キャラクターライセンスのロイヤリティ(使用料)は、販売売上に対して数%を支払う形が一般的です。知名度の高いキャラクターでは料率が上がり、最低保証額が設定されることもあります。具体的な条件はキャラクターごとに異なるため、版権元への問い合わせが必要です。

自社IPでの制作と比べて、納期が1.5〜2倍に延びることを前提にスケジュールを組んでください。監修の時間を見込まないスケジュールは、ほぼ確実に破綻します。

色校正を省くと全量廃棄になる

グッズの品質トラブルが起きたとき、多くの人は制作会社の技術不足を疑います。しかし実際には、発注する側のプロセスに原因があることがほとんどです。

最もよくある失敗が「色のトラブル」です。

パソコンの画面は光で色を出すので鮮やかに見えます(RGB形式)。ところが、印刷物はインクで色を出すため、画面と同じ鮮やかさは出せません(CMYK形式)。必ずくすんだ色になります。

この仕組みを知らず、画面上のデータだけで版権元の承認を取り、「OKが出たからこのまま作って」と制作会社に発注すると、届いた実物を見て「色が違う!」となってしまいます。版権元に現物を見せた瞬間、「キャラクターのイメージと違う」として全量廃棄を命じられる——こうした事例は実際に起きています。

防ぐ方法はひとつだけです。量産に入る前に、必ず物理的な色校正サンプル(実際の素材にインクで印刷した見本)を作り、現物で版権元の最終承認を取ってください。画面の色だけで判断してはいけません。

発注前チェックリスト

発注前に確認すべきポイントを整理します。

やるべきこと:

  • キャラクターデザインの著作権の範囲、または他社IPのライセンス利用範囲を書面で確定させる
  • 制作会社の候補に、過去のIPグッズ製造実績を開示してもらう
  • 必ず物理サンプルで色校正を行い、版権元の最終承認を得る
  • 監修の承認記録を管理する体制を整える

やってはいけないこと:

  • 見積もりが最安値だからという理由だけで、IPの品質基準を満たすノウハウのない会社に発注する
  • 版権元の最終監修を待たずに量産を始める(全量廃棄に直結します)
  • 過去に社内で使ったキャラクター素材を、再利用の条件を確認せずに新しいグッズに流用する
  • 企画段階での制作会社への相談を省く

グッズ制作を今日から始める状況別アクションプラン

ここまでの知識をもとに、法人担当者・個人クリエイター・経験者のそれぞれに向けた、今日から実行できる具体的なアクションを整理します。

法人で初めて外注する場合

企業の担当者として初めてグッズ制作を任されたなら、やるべきことは3つに絞れます。

ステップ1は、権利関係の確認です。自社キャラクターなら著作権の所在と譲渡契約の確認。他社キャラクターならライセンス契約の条件整理と、社内の監修承認フローの構築。これが起点です。

ステップ2は、アイテムカテゴリを1つに絞り、そのカテゴリに特化した制作会社を2〜3社リストアップすることです。最初から複数カテゴリに手を出さないでください。まずは1カテゴリで成功体験を作ることが最優先です。

ステップ3は、リストアップした会社に企画のラフ段階でコンタクトを取ることです。完璧な仕様書は必要ありません。「こういうキャラクターで、こういうアイテムを、このくらいの数で作りたい」——この情報があれば、制作会社は概算の費用と実現できるかどうかを教えてくれます。

最初の問い合わせは緊張するかもしれません。でも、同じ立場で同じ不安を抱えていた人たちが、この一歩を踏み出して最初のサンプルを手にしています。大切なのは完璧な準備ではなく、ラフ段階で専門家に相談するという正しい一歩目の選択です。

個人クリエイター・小ロットの始め方

自分のキャラクターのグッズを作りたい個人クリエイターの方は、まず在庫リスクを最小限にできるアイテムから始めましょう。

おすすめは、アクリルキーホルダーやステッカーなど、金型不要の平面グッズを50〜100個で試作することです。カテゴリ特化型の国内制作会社であれば、個人からの小ロット発注にも対応している会社があります。

利益率を重視するなら、オンデマンドサービス(注文が入ってから1個ずつ作る)と小ロット製造(まとめて作って在庫を持つ)の使い分けがポイントです。オンデマンドは在庫リスクゼロですが利益率が低い。小ロット製造は在庫リスクがある代わりに単価が下がり、利益率が上がります。

BOOTHやイベントでテスト販売を行い、ファンの反応を見てからロットを増やすのが、最も安全な成長ルートです。

経験者が次に進むために

グッズ制作の経験があり、品質を上げたい、または新しいカテゴリに挑戦したい方は、今の制作会社を「カテゴリの相性」という観点で見直してみてください。

今の会社が得意なカテゴリと、あなたが作りたいアイテムのカテゴリは一致していますか。一致していないなら、それは会社が悪いのではなく、カテゴリのすみ分けを考えずに依頼していた可能性があります。

新しいカテゴリに進む場合は、そのカテゴリ専門の制作会社を新しく探しましょう。既存の会社との関係はそのまま維持し、カテゴリごとに使い分けるのが最適です。

まとめ:グッズ制作で最初に知るべきこと

グッズ制作の成否は「どの会社が安いか」ではなく、どのアイテムに、どの専門性を持つ制作会社を、どの段階で巻き込むかで決まります。

この業界は、外からは構造が見えにくいものです。しかし、構造さえ理解すれば、初めてでも正しい判断はできます。

最初の一歩は、完璧な仕様書を作ることではありません。作りたいアイテムのカテゴリに合った制作会社を2〜3社見つけて、企画のラフ段階で相談すること。それが、あなたのグッズ制作を成功に導く正しい最初の一歩です。


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NOKID編集部

1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。

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