2026.03.24

2026.03.09

赤城乳業「ガリガリ君」が嫌われキャラから逆転できた理由とは?リニューアルのヒントを調査

自社のキャラクターが「空気」になっている──。

もしそう感じているなら、あなたはおそらく最初にデザインを疑ったはずです。

「見た目が古いのかもしれない」「もっと今っぽくすれば好かれるんじゃないか」と。その発想は間違いではありません。ただ、それだけでは足りなかった──。そのことを、身をもって証明した企業があります。

埼玉県深谷市に本社を置く赤城乳業。大手メーカーのように何万人もの社員を抱えているわけでも、潤沢な広告予算があったわけでもありません。

同社は2000年、主力キャラクターのガリガリ君をフルリニューアルしました。プロのデザイナーに依頼し、3D化して清潔感のある見た目に一新。初のテレビCMで知名度を一気に広げ、年間販売本数は1億本を突破しました。

ところが2004年、ある雑誌のキャラクターランキングで突きつけられた現実は、好きなキャラには一切入っておらず、嫌いなキャラ第4位にだけランクインという最悪の結果でした。

デザインを変えた。CMを打った。売上も伸びた。それでもキャラクターは愛されなかった。

では、ガリガリ君はそこからどうやって「嫌いなキャラ」の汚名を返上し、子どもから大人まで誰もが知る国民的キャラへと逆転できたのでしょうか?

そこで今回は、赤城乳業のガリガリ君が嫌われキャラから逆転した道のりを調査しました。見えてきたのは、ガリガリ君が愛されるために本当に必要だったのはデザインの刷新ではなく──デザインの先にある、まったく別の設計だったということです。

ガリガリ君は「嫌われキャラ」だった?知られざる黒歴史

出典:赤城乳業

会社存亡の危機から生まれたアイスバー

ガリガリ君の物語は、1970年代後半の会社の危機から始まります。

赤城乳業の当時の主力商品は赤城しぐれというカップかき氷でした。オイルショックのコスト高で値上げしたところ、大手メーカーが価格を据え置いたため、赤城しぐれだけが割高に。売上が激減し、工場ラインが止まるほどのピンチに陥りました。

この危機を乗り越えるために生まれたのが、片手で食べられるかき氷というアイデアです。開発者の鈴木政次氏は、でかい、うまい、あたりつきという子供がワクワクする要素を詰め込んだ新商品の開発に着手しました。

商品名は、氷をかじった時の音「ガリガリ」からほぼ決まりかけていましたが、どこか物足りない。そこで当時の社長が「じゃあ""をつけようよ」と提案。こうして1981年、ガリガリ君が誕生しました。君をつけたことで人間っぽさが生まれたので、絵の得意な社員が昭和30年代のガキ大将をイメージしたキャラクターを描き、中学3年生という設定が加わりました。

ここで押さえておきたいのは、ガリガリ君はもともと計画的にデザインされたキャラクターではなかったという点です。名前に人間味が出たから、じゃあ絵も描こうという流れで生まれた、いわば即興のキャラクターでした。この出発点が、のちに大きな課題として浮上してきます。

参考:【マーケティング】「ガリガリ君」キャラ主導で怒涛の商品展開 - NewsPicks

参考:「気持ち悪い」と嫌われたガリガリ君が年間4億本超の国民的キャラに変われたワケ - PRESIDENT Online

約20年間放置されたデザインへの蓄積された違和感

1981年の発売から2000年のリニューアルまで、ガリガリ君のキャラクターデザインはほとんど変わらないまま使い続けられました。約20年間、中学3年生のガキ大将という時代に合わない設定がそのまま放置されていたのです。

途中の1997年にデザイナーは変わっています。でも、ガキ大将、中学生、昭和っぽい泥臭さという根本のコンセプトはそのままでした。

商品自体はじわじわとファンを増やしていました。ところがキャラクターの印象は、時代の変化とともに、少しずつネガティブな方向に傾いていったのです。

参考:アイス界の“いじられキャラ”!? ガリガリ君がずっと愛され続ける理由 - リクナビNEXTジャーナル

1999年の調査で突きつけられた「絶対に買わない」

1999年、赤城乳業は全国の消費者を対象に大規模な調査を行います。その結果は衝撃的なものでした。

「歯茎が気持ち悪い」「汗が泥臭い」「田舎臭い」──特に若い女性からは「絶対に買わない」という声まで飛び出しました。

当時マーケティング担当だった萩原史雄氏は、「ただただショックだった」と振り返っています。でもここで大事なのは、同じ調査でアイスそのものの評価は高かったという点です。

つまり、アイスは好き、でもキャラクターは嫌いという状況になっていました。

このねじれに気づけたことが、のちのリニューアルを決断する最大の根拠になりました。もし調査をしていなかったら、なんとなく売れてるからOKのまま、不満は見えないところにたまり続けていたかもしれません。

マーケティング研究においても、ブランドの人格は消費者の購買行動に直接影響することが実証されています。嫌われているかもしれないと知ることが、すべての始まりだったのです。

参考:クレームから始まったガリガリ君の、起死回生の戦略 - NTT東日本

参考:嫌われキャラだった“ガリガリ君”が、アイスの売り上げを3倍にできたワケ - ウェブ電通報

参考:Aaker, J. L. (1997). Dimensions of Brand Personality. Journal of Marketing Research, 34(3), 347-356. https://doi.org/10.1177/002224379703400304

ガリガリ君のリニューアル事例──デザインを変えても「まだ嫌われていた」衝撃

2000年フルリニューアルの決断と成果

調査の結果を受けて、赤城乳業は2000年にガリガリ君のフルリニューアルを決めます。大きな変更は3つありました。

決断1:キャラデザの刷新

1つ目は、キャラクターデザインの刷新。社内で描いていたデザインを、外部のプロデザイナーに依頼しました。3D化されて、歯茎が見えない、汗をかいていない、清潔感のあるガリガリ君に生まれ変わりました。年齢も中学3年生から永遠の小学生に。ガキ大将という設定もなくなりました。

決断2:はじめてのテレビCM

2つ目は、はじめてのテレビCM。音楽プロデューサーの小西康陽氏がプロデュースし、ワハハ本舗のポカスカジャンが歌う「ガ~リガ~リ~くん」のCMソングが作られました。

名前を連呼するこのCMはインパクト抜群で、のちにCDとして発売されるほどの人気に。

決断3:販路(エリア)の拡大

3つ目は、販路の拡大。CMの力で認知度が上がり、東日本中心だった販路を西日本のスーパーにまで広げることができました。

結果ははっきり出ました。2000年の年間販売本数は1億本を突破。季節ごとに新フレーバーを出す戦略で年間を通じて売れる商品になり、2004年には1億4,800万本を達成します。

ここまで聞くと、リニューアルは大成功だったと思いますよね。実際、多くのメディアがこの時点までをガリガリ君復活の物語として取り上げています。でも、現実はそう単純ではありませんでした。

2004年は売上好調でも「嫌いなキャラ4位」

2004年は猛暑でアイス業界全体が好調な年でした。マーケティング部に異動したばかりの萩原氏にとっても、順風満帆なスタートだったはずです。

ところが、ある雑誌のキャラクターランキングで、リニューアル後のガリガリ君が嫌いなキャラクター第4位に選ばれていたのです。しかも好きなキャラクターには一切入っておらず、“嫌い”にだけランクインするという最悪の結果でした。

萩原氏はこう振り返っています。

「2000年にあれだけ嫌われていたのでわざわざリニューアルを行い、テレビCMをして歌もつくって、商品の売り上げも伸びて…という中でしたから、まさかまだそんなに嫌われているとは」

見た目を今風にして、CMで名前を広めて、売上も伸ばした。それなのに、キャラクターとしてはまだ愛されていなかった。

この事実はとても示唆的です。デザインを変えれば解決するという思い込みは、ガリガリ君の事例ではっきり否定されています。

キャラと消費者の関係性が問題だった

それでも赤城乳業は諦めませんでした。嫌いなキャラ4位という結果をさらに深掘りしたところ、重要なヒントが見つかります。

同じ調査に、商品や企業自体は嫌いではないという回答も載っていたのです。ここから見えてきたのは「商品は好きでも、キャラクターとの間に関係がない」という状態でした。

消費者心理学の分野では、消費者とブランドの間に人間関係に似た絆が形成されることが明らかになっています。Fournierの研究では、ブランドが消費者からパートナーとして認識されるためには、関係性の質が重要であることを示しています。

つまり、見た目を変えたのはスタートラインに立っただけ。本当に好かれる存在になるには、企業キャラクターと消費者の間にもうひとつ別の設計が必要だった…。赤城乳業はここから、まったく新しいやり方に切り替えます。

参考:Fournier, S. (1998). Consumers and Their Brands: Developing Relationship Theory in Consumer Research. Journal of Consumer Research, 24(4), 343-373. https://doi.org/10.1086/209515

ガリガリ君のキャラクター戦略事例──「人格」と「参加の設計」で逆転した方法

キャラをタレント化?プロダクションの設立

2004年以降、赤城乳業がとった戦略は大きな方向転換でした。それまでの商品パッケージにキャラクターを載せるだけの使い方から、キャラクターを積極的に外に出すスタイルに変えたのです。

その象徴が、有限会社ガリガリ君プロダクションの設立です。その名の通り、ガリガリ君をタレント事務所のタレントのように扱い、いろいろなメディアに出演させる体制をつくりました。

具体的には、2005年に小学館の漫画雑誌『コロコロイチバン!』で連載がスタート。コナミのビデオゲームとのコラボも実現し、バンダイからは携帯ストラップや入浴剤が発売されました。

さらに驚くのが、アイス売り場の外への展開です。SL機関車の運行コラボや温泉リゾートでのガリガリ君温泉企画など、食品とはまったく関係ない場所にまでキャラクターが登場。妹キャラのガリ子ちゃんも新しく加わり、家族としてガリガリ君の世界観に奥行きが生まれました。

こうした展開の共通点は、ガリガリ君に人格を与え、アイス売り場以外でもキャラクターに出会える場所(タッチポイント)を増やしたことです。

パッケージの上の絵ではなく、漫画で活躍し、ゲームに登場し、温泉にまで現れる。こうして生活のあちこちにいる存在になることで、やっと消費者との関係性ができ上がりました。

心理学では、人間は人間でないものにも人間のような特徴を感じ取る傾向(擬人化)があると知られています。

ガリガリ君に人格を持たせ、多くの場面で消費者と接触させた戦略は、まさにこの心理をうまく活用したものです。その結果、歯茎が気持ち悪い、田舎臭いというネガティブなイメージは薄れ、元気なガリガリ君という好印象が前面に出るようになりました。

また、レインボー売り場と呼ばれる、複数のフレーバーを虹のように並べる売り場企画も2005年にスタート。7種類から始まり、2006年には10種類に。この見た目が親子の興味を引きつけ、選ぶ楽しさという新しい体験を生み出しました。

参考:ガリガリ君オフィシャルグッズサイト

参考:ニッポン・ロングセラー考「ガリガリ君」 - NTTコムウェア

参考:中部夏期特集:アイスクリーム有力メーカー動向=赤城乳業名古屋支店 - 日本食糧新聞

参考:Epley, N., Waytz, A., & Cacioppo, J. T. (2007). On Seeing Human: A Three-Factor Theory of Anthropomorphism. Psychological Review, 114(4), 864-886. https://doi.org/10.1037/0033-295X.114.4.864

「いじられキャラ」という戦略的ポジショニング

ガリガリ君が国民的キャラに上り詰めるうえで、もうひとつ欠かせない戦略があります。それは、わざとツッコまれる存在として設計したことです。

赤城乳業の船木恵介氏はこう語っています。

「しのぎを削るアイス業界で私たちが狙うポジションは、トップリーダーではなく、“つっこまれ役”であり”いじられキャラ”なんです」

引用:アイス界の“いじられキャラ”!? ガリガリ君がずっと愛され続ける理由 - リクナビNEXTジャーナル

このいじられキャラ戦略が最も効いたのが、2012年以降の攻めすぎフレーバーシリーズです。

2012年のガリガリ君リッチ コーンポタージュ味は、発売と同時にSNSで大バズり。きっかけは、テレビで「コーンポタージュが嫌いな人はいない」と聞いた当時25歳の社員がコーンポタージュ味を作りませんかと提案したこと。社内では反対が多かったのですが、試食した井上秀樹社長が「やってみよう」と決断しました。

その後もシチュー味やナポリタン味など、ありえないフレーバーが続々登場。ナポリタン味は3億円の赤字を出しましたが、SNSでは「ガリガリ君、またやってくれた!」「次は何味?」などと盛り上がりました。

実際に、各取材でマーケティング担当の岡本秀幸氏は「ガリガリ君は”コミュニケーションツール”であることを大事にしており、話のネタになるアイスにしたい」旨を述べています。

ここに大事なポイントがあります。ガリガリ君が愛されるようになったのは、キャラクターが完璧だったからではありません。むしろ完璧じゃないこと(攻めすぎたフレーバーで失敗して、それをネタにみんなで笑い合える隙)があったからこそ、消費者が自らSNSで話題にし、口コミが広がったのです。

ツッコみたくなる余地をあえて作ることで、消費者がキャラクターの物語に参加できるようにした。これがガリガリ君のキャラクター戦略で最も大きな転換点でした。

ブランドのマスコットキャラクターが消費者の購買意欲に与える影響を調べた研究でも、キャラクターに人格を持たせ、消費者自身との一致感を高めることが、広告への好意と購買意向の両方を押し上げることが確認されています。

参考:実は波乱万丈だった「ガリガリ君」の40年。世間を騒がせた「ナポリタン味」と「お詫びCM」の裏側 - ウォーカープラス

参考:Aggarwal, P. & McGill, A. L. (2007). Is That Car Smiling at Me? Schema Congruity as a Basis for Evaluating Anthropomorphized Products. Journal of Consumer Research, 34(4), 468-479. https://doi.org/10.1086/518544

信頼を生んだ値上げお詫びCMの事例

ガリガリ君のキャラクター戦略で最も印象に残るエピソードのひとつが、2016年の値上げお詫びCMです。

2016年4月1日、赤城乳業はガリガリ君を含む自社製品を値上げしました。60円から70円へ、たった10円。でもこれは25年ぶりの値上げでした。

出典:赤城乳業

このとき赤城乳業がとった行動は異例でした。

本社工場の前に役員と社員が勢ぞろいし、カメラに向かって深々と頭を下げて「値上げして申し訳ありません」と謝るCMを作って放映したのです。まるで社員の気持ちを代弁しているような仕上がりでした。

このCMはSNSで一気に広まりました。「10円の値上げでここまで誠実に謝る会社がどこにあるのか」「むしろ応援したくなった」という声が相次ぎ、メディアにも次々と取り上げられました。

2016年、ガリガリ君の販売本数は4億1,500万本を記録し、回復傾向が見られました。

このエピソードが教えてくれるのは、ガリガリ君の親しみやすさと、赤城乳業の誠実さが、同じメッセージの中で自然につながっていたということです。

逆に、キャラクターはかわいいけど、中の会社は不誠実...そんな印象がつくと、キャラクターへの好感も企業への信頼も一度に失われてしまうことが示されています。

ガリガリ君事例から学ぶ「キャラクターが好かれる」3つのポイント

まず「嫌われているかもしれない」を知ることから始める

ガリガリ君の事例から得られる一番大切な教訓は、嫌われているかもしれないと知ることが、すべての出発点だったということです。

赤城乳業がリニューアルに踏み切れたのは、1999年の調査で「歯茎が気持ち悪い」「絶対に買わない」というはっきりしたデータを手にしていたから。もしこの調査がなければ、まあ売れてるし大丈夫でしょうのまま、不満は見えないところにたまり続けていたはずです。

あなたの会社のキャラクターに対して、消費者がどう感じているか、率直な声を聞いたことはありますか。かわいいと思いますかではなく、正直な印象を教えてください、このキャラクターが描かれた商品を手に取りたいですかという、ネガティブな答えもOKな形での調査が必要です。

そしてネガティブなデータが出たら、それはブランドの危機ではなく、変えるための最大の武器です。社内でキャラクターを変えたいと言ったとき、変えたらブランドが壊れると反対されるかもしれません。でも、消費者調査のデータがあれば、お客様がこう言っていますという事実をもとに話し合えます。

嫌われているというデータは怖いものではありません。それは変化を起こすための、最も強力な根拠なのです。

見た目のリニューアルの先(人格と物語)まで設計する

ガリガリ君の事例が教えてくれるもうひとつの大事なこと。それは、見た目を変えるだけでは足りないということです。

2000年にデザインを新しくして、CMを打って、売上も伸びた。でも2004年にはまだ嫌いなキャラ4位だった。この事実は、デザインの変更は必要だけど、それだけでは十分ではないとはっきり示しています。

ガリガリ君が本当に愛されるキャラになったのは、キャラクターに人格と物語を与え、消費者がその物語に参加できる仕組みを作ってからです。

自社キャラクターに人格を与えるって、具体的には何をすればいいのでしょうか。ガリガリ君の事例から逆算すると、3つのポイントが見えてきます。

まず、キャラクターの年齢・性格・弱点・家族構成を、自社製品の使い方のシーンから逆算して決めること。ガリガリ君は遊びに夢中の子供が片手で食べるアイスというコンセプトから生まれたキャラクターで、製品の特徴とキャラクターの性格が切り離せない関係にあります。

次に、完璧な優等生ではなく、ツッコミを入れたくなる隙をわざと残すこと。コーンポタージュ味もナポリタン味も、なんでそんな味を出すのというツッコミを誘いました。この隙こそが、消費者がキャラクターの物語に参加する入口です。

そして、SNS・パッケージ・イベントなど複数のチャネルで同じ人格を一貫して見せること。ガリガリ君はパッケージだけでなく、漫画・ゲーム・温泉・SL機関車・入浴剤と、あらゆる場所に出演しました。どこで出会っても元気で、ちょっとおバカで、親しみやすい人格が変わらなかったからこそ、消費者の頭の中にキャラクターのイメージが定着したのです。

全員がキャラクターの物語を語れる状態をつくる

最後に、うちは中小企業だから無理という思い込みについて。

赤城乳業は社員375名、本社は埼玉県深谷市。テレビCMを初めて打ったのは2000年で、それまでの約20年間はCMなしでガリガリ君を育ててきました。2016年の値上げお詫びCMも、工場前で撮っただけのシンプルな映像でしたが、SNSの拡散で大きな効果を生みました。

大事なのはCM予算ではなく、社員一人ひとりがキャラクターの物語を語れるかどうかです。

赤城乳業では言える化の文化のもと、若手社員が自由にアイデアを出し、失敗を恐れずに挑戦できる環境が整っていました。コーンポタージュ味を提案した25歳の社員も、その環境がなければ声を上げることすらできなかったでしょう。

自社のキャラクターについて、社員全員がこのキャラクターはこういう性格で、こういう物語があって、お客様にこういう価値を届ける存在ですと説明できる状態をつくること。それが、お金をかけずにキャラクターの力を最大化する第一歩です。

キャラクターの活用方針を明文化して、会社全体で共有する。消費者をただの買い手ではなく、キャラクターの物語の共創者として位置づける。こうした取り組みは、大きな予算がなくてもできることです。

ガリガリ君が証明したのは、キャラクターの力は会社の規模に比例しないということ。必要なのは、消費者の本音に耳を傾ける姿勢と、キャラクターに人格と物語を与える設計力。そして、社員全員がその物語の語り手になれる組織文化です。

ガリガリ君リニューアルと嫌われキャラ逆転についてのまとめ

ここまでのポイントをまとめます。

  • ガリガリ君は会社の危機から生まれた「片手で食べられるかき氷」という商品発想が起点である
  • 誕生当初は計画的なキャラ設計ではなく、名前に“君”を付けた流れで即興的に生まれた存在である
  • 1981〜2000年まで長く同じ方向性で運用され、時代の変化で違和感が積み上がっていった
  • 1999年調査で「歯茎が気持ち悪い」「絶対に買わない」など、キャラ原因の拒否が可視化されたのが転機である
  • 2000年のフルリニューアルで見た目を清潔にし、年齢設定も調整し、初CMと販路拡大で売上は伸びた
  • それでも2004年に「嫌いなキャラ4位」という結果が出て、見た目だけでは愛着は生まれないと判明した
  • 問題の芯は「商品は好きでも、キャラと自分の間に関係がない」状態=関係性設計の不足だった
  • 2004年以降は“キャラを外に出す”方針に転換し、プロダクション設立や漫画・ゲーム・地域企画など接点を増やした
  • 「いじられキャラ/ツッコまれ役」という立ち位置を取ったことで、完璧さより“みんなが参加できる余白”が強みになった
  • 攻めすぎフレーバーや値上げお詫びCMのように、企業の姿勢とキャラの人格が同じ方向を向いた時に信頼が強くなった

ガリガリ君の逆転劇が教えてくれるのは、デザインは印象を左右する重要な要素であるものの、“人格・物語・参加の場”まで作ることで愛着が育つという現実です。

嫌われた事実を調査で直視し、見た目の修正で入口を整えたうえで、ツッコみたくなる余白や話のネタを用意して、生活の中で出会える場所を増やした――この積み重ねが“国民的キャラ”を作りました。

今回の調査結果をヒントに、社内で眠っている素敵なキャラクターがあれば改めて活用を検討してみてください。


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NOKID編集部

1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。

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