NOKID編集部
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アニメ作品の評価を国内の反応だけで判断していませんか?「日本では評判が良いのに、海外では全然ウケない…」そんな悩みを抱えるアニメ制作・企画担当者は少なくありません。
アニメ作品の世界観や演出にこだわり抜いても、海外ではその魅力が伝わりづらく、話題にもならない…。一方で、「なぜあの作品が?」と驚くようなアニメが海外でバズっているのを見て、納得がいかないと感じることもあるかもしれません。
実際、日本と海外で人気になるアニメはランキングを見ると違いがあることがわかります。
「ストーリーがしっかりしていれば、どの国でも伝わる」
「クオリティの高い作画なら、海外でも評価されるはず」
...こうした思い込みは通用しません。
現実には、海外ファンの間でヒットしている作品の多くは、ストーリーの緻密さよりも、キャラクターの“見た目”や“分かりやすい役割”、そしてSNSなどのネット上でクチコミが拡散されやすい(見つかりやすい)ことが重要になっています。
海外の視聴者は言語や常識の違いがあるため、アニメに対して“直感的にわかりやすい面白さ”が必要になります。その結果、キャラのデザイン、口調、表情の動きなど、まず第一印象で惹きつける要素が強く影響する傾向があります。
一方で、日本の制作者はストーリーの構造や世界観の深みなどを重視するあまり、こうした「第一印象で引き込む」視点が後回しになることが多いのです。
つまり、“どんな作品か”ではなく、“どう伝わるか”の工夫が足りていないということです。
そこで今回は、日本と海外で人気のアニメランキングを比較して、評価される作品の違いを分析していきます。
アニメ作品を海外展開する方法は「海外でアニメを展開するやり方は?失敗原因・リスクを事例にもとづいて解説」もチェックしてみてください。
かつては国内市場を中心に成立していたアニメビジネスですが、2023年を境に明確な転機を迎えました。一般社団法人日本動画協会(AJA)の「アニメ産業レポート2024」によれば、2023年のアニメ産業市場(広義)は国内外合わせて3兆3465億円(前年比114.3%)で過去最高を更新しています。
特に着目すべきは、海外売上が2020年にはじめて国内を上回ったあと、2023年に再度海外売上が国内を超えて同水準で推移してきていることです。いまや日本アニメの市場は“世界”に広がっていることが明らかで、一過性の現象ではなく業界の構造そのものが変わった証拠です。
もはや「海外展開は成功した一部の例外」という時代ではありません。グローバル展開は標準装備なのかもしれません。
つまり、初めから「どの国にどう届けるか」「どのように受け取られるか」を前提に設計しなければ、作品は十分な評価を受けられない可能性が高いのです。
ここで重要なのが、「海外ファンの視聴傾向は国内と必ずしも一致しない」という現実です。国内で話題になったアニメが海外ではまったく反響を得られない一方、意外な作品が海外で“社会現象レベル”のブームになることもあります。
例えば、「ドラゴンボール」や「鬼滅の刃」のようなバトル系は、言語・文化の壁を超えてヒットしやすい一方で、日常系や内省的なテーマは翻訳が難しく、文脈も伝わりづらいという障壁があります。
では、さっそく日本と海外で人気のアニメランキングを比較しながら違いを分析していきます。
順位 | タイトル |
1位 | 葬送のフリーレン |
2位 | 僕の心のヤバイやつ 第2期 |
3位 | ダンダダン |
4位 | 負けヒロインが多すぎる! |
5位 | 薬屋のひとりごと |
6位 | ガールズバンドクライ |
7位 | Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season |
8位 | 義妹生活 |
9位 | ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する |
10位 | 【推しの子】 第2期 |
順位 | タイトル |
1位 | 天国大魔境 |
2位 | 【推しの子】 |
3位 | ヴィンランド・サガ 第2期 |
4位 | 僕の心のヤバイやつ |
5位 | 呪術廻戦 第2期 |
6位 | わたしの幸せな結婚 |
7位 | お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 |
8位 | 陰の実力者になりたくて! |
9位 | 君のことが大大大大大好きな100人の彼女 |
10位 | 無職転生 第2期 |
順位 | タイトル |
1位 | 鬼滅の刃 |
2位 | 名探偵コナン |
3位 | ONE PIECE |
4位 | ドラゴンボール |
5位 | ドラえもん |
6位 | サザエさん |
7位 | 機動戦士ガンダム |
8位 | 呪術廻戦 |
9位 | 進撃の巨人 |
10位 | スラムダンク |
順位 | タイトル |
1位 | 機動戦士ガンダム |
2位 | ドラゴンボール |
3位 | となりのトトロ |
4位 | 宇宙戦艦ヤマト |
5位 | 天空の城ラピュタ |
6位 | ドラえもん |
7位 | ルパン三世 2ndシリーズ |
8位 | サザエさん |
9位 | 銀河鉄道999 |
10位 | CITY HUNTER / 新世紀エヴァンゲリオン |
日本ではテレビをつければ、自然とアニメが目に入ってきます。観ようと思っていたわけでもないのに、気づけばその作品を最後まで観ていた…そんな経験ありませんか?
筆者も同じような経験を数多くしてきました。何気なく流していたテレビでアニメが始まり、「なんとなく面白かった」と思った瞬間に、もうその作品を認識している。
Netflixなどの動画配信サービスの普及もあり、日本ではアニメがあまりにも身近すぎて、“面白そうな作品を調べて観る”ことが減っていると感じます。
この「なんとなく触れていたら定着していた」という構造こそが、日本のアニメ市場の特徴であり、同時に深刻な問題でもあるかもしれません。
日本ではアニメが生活に組み込まれていて、あらゆるところに“接触機会”があります。テレビ、電車の広告、コンビニやゲームとのコラボ、SNSのバズ、イベントなど...。つまり、“アニメを観る”という行動に意思が必要ないのです。
だからこそ、内容が尖っていたり重かったりする作品よりも「日常」「家族」「学生生活」などのテーマが必然的に多くなり、それらの作品の接点が増えていきます。いわば、「入りやすく途中で離れにくい作品」が有利なのです。
例えば、日常系アニメや学園モノは、日々の暮らしの延長線上にある物語が、視聴者に“無理のない共感”を与えてくれます。これは、観る側が「構えずに観られる」という点で非常に強いのです。
関連記事:アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が人気になった理由は?ヒットの6要素を分析してみた
もうひとつの大きな要素が「広告・コラボなどの宣伝」「マンガなどの原作」による接点の獲得です。
アニメの告知はテレビCMや交通広告だけでなく、コンビニのコラボ商品、カフェでのタイアップ、ゲームアプリでの限定ガチャといった、多数のタッチポイントで展開されます。「このキャラ、見たことある」という印象が刷り込まれていく中で、視聴につながる可能性がどんどん高まっていくわけです。
他にも、マンガなどの原作が入り口となっている原作ファンの存在もあるでしょう。
つまり、日本のアニメは「選ばれている」というより「あらかじめ生活に仕掛けられている」構造になっていることがランキングに影響しているのかもしれません。
ですが、そうした“広く触れられる作品”の裏で、本質的に優れたアニメであっても埋もれてしまうことがあります。
まずは「ヴィンランド・サガ」が挙げられます。北欧のバイキング時代を舞台にした骨太な成長と贖罪の物語ですが、日本では「重い」「地味」という印象があるため、他作品の接点の多さに押されて話題になりにくかったと言えます。
一方、海外ではこの作品が高く評価されています。なぜなら、欧米の視聴者は日本ほど接点が多くないため、「自分で選んで観る」必要があります。しかもこの作品の文化背景が彼らにとって親しみ深いこともあるでしょう。
実際、2025年には「葬送のフリーレン」が海外でトップになっていることからも、文化的な馴染みは重要と考えられるでしょう。
日本とは違った評価がされるのは、アニメを“どう観るか”という文化の違いが背景にあるのだと痛感させられます。
日本の人気アニメランキングには、もうひとつの傾向があります。それが「懐かしさ」と「推し文化」の影響です。
ドラゴンボール、スラムダンク、ハンターハンター、機動戦士ガンダム、エヴァンゲリオンといった作品は、昔からのファンがそのまま支え続けながら、新たな視聴者とも前述のコラボなどを通じて接点を作っています。
そして、呪術廻戦、ハイキュー、東京リベンジャーズのように、女性ファンが“推し”を中心にSNSで盛り上げる文化も、人気を後押ししているのではないでしょうか。
つまり、キャラが立っていて、ファン同士で語れる関係性がある。こうした要素が、いまのヒットには欠かせないのです。
このように、日本では「観ようと思って観るアニメ」よりも、「気づいたら観ていたアニメ」「生活の中に接点の多い作品&共感を生みやすいジャンル」がランキングに選ばれやすいと考えられます。
今に始まった話ではありませんが、作品が評価されるかどうかは、その中身よりも「どれだけ自然に触れられるか」が大きく左右してしまうのです。
「本当に良い作品なら人気になる」というわけではないことは、マーケティングではよく言われる通り、作品に触れる機会をどう生むか?という視点も忘れず持ち続けてください。
関連記事:【IPコラボ商品・キャンペーン】参考になる事例から学ぶ!成功させるポイントを紹介
かつてのアニメ産業では、多額の宣伝費用をかけて多くの人の目に触れることがヒットの秘訣と思われてきました。だからこそ「宣伝の仕方(プロモーション)次第」と思われがちでしたが、「見られる」と「愛される」は別物だと筆者は考えています。
短期的な露出で話題になった作品が、数ヶ月後には語られなくなることも珍しくありません。
真に“選ばれるアニメ”は、視聴者が自発的に見続け、周囲に勧めたくなる魅力を持っています。つまり、アニメ作品の宣伝で押し切れるものと、心から支持されるものは一致しないのです。
これは商品を販売するブランド企業と同じように考えることができます。広告訴求で売ることはできても、長く愛されるかは商品力やカスタマーサービスなどのブランド部分が影響するように、宣伝のごり押しだけでは、すぐに話題から消えてしまうことも考えなくてはならないポイントでしょう。
実際、電通の調査によれば、米国人の3人に1人が「流行っているアニメを観る」と回答しているように、作品が膨大にある中では作品そのものの良さ以前に「優先して視聴される理由」として話題性が必要であるということです。
“話題になっている”ことがファンを惹きつける入口となり、話題の中心にキャラクターやシーンが置かれていることが、結果的にヒットへとつながるのです。
関連記事:アニメ作品の宣伝方法はどんなやり方がある?オン・オフライン広告手法を紹介
海外展開において、「どれだけ多くの人に見せられるか」以上に重要なのは、見た人がどれだけ深く支持するかです。こうした顧客満足の面は、宣伝だけでは超えられない壁があり、作品自体の「受け入れやすさ」と「続きが見たくなる構成力」が不可欠です。
あくまで宣伝活動はきっかけに過ぎず、“作品そのもの”にどれだけ訴求力があるかが、最終的な勝敗を分けるのです。
また、日本でも同様のことは言えますが、海外では日本のように原作や声優陣などの影響力が効きづらいことからも、特に「口コミ(語られること)による話題作り」が重要ではないでしょうか。そのため、自発的な拡散を促す戦略が話題を作る上で大きく影響すると考えられます。
これからは、「話題を押し付ける」のではなく「勧めたくなる」「語り継ぎたくなる」作品・宣伝設計こそが、グローバルアニメ成功において不可欠となるかもしれません。制作・戦略の両面で、ぜひこの視点を取り入れてみてください。
関連記事:海外でアニメを展開するやり方は?失敗原因・リスクを事例にもとづいて解説
参考:数字でわかる!ANIMEは世界のZ世代へのキラーコンテンツに - 電通報
先日、筆者が米国カリフォルニア州で、外国人200名ほどが集まるパーティへ招待されて行くことがあったため、現地の外国人にアニメ視聴の傾向を取材してみました。
その結果、海外ではキャラクターのビジュアルや性格、挑戦する姿勢、感情表現のわかりやすさが、ストーリー以上に重視される傾向がありました。諦めずに立ち向かうような面や、派手なバトル、キャラクターの魅力などの「周囲と語りやすい」部分に着目されるイメージです。
統計的なデータではないため参考程度ではあるものの、作品の受け取り方に違いはあると言えるでしょう。
現在、海外ファンの多くはSNSを通じてアニメに出会い、そして評価しています。TikTokやYouTubeといったSNSで「切り抜き動画」が拡散されたり、Redditなどの口コミ系サイト、X(Twitter)でファンアートやミームがバズったりすることで、初めて作品の存在を知るきっかけとなっているのです。
日本では作画や声優を重視する傾向がありますが、海外ではキャラクターのビジュアルや設定が“作品を知る入り口”になりやすいということです。
もはや「作品のクオリティを上げれば見てもらえる」という時代は終わったと言っても過言ではありません。周囲への語りやすさがカギとなり、盛り上がりを生む工夫が不可欠なのです。
また、海外では流行っているアニメ作品が優先的に視聴されやすいことからも、アニメそのものの良さを語る=周囲とのコミュニケーション手段として活用している状況も、アニメ作品を人気にするためには考える必要があるでしょう。
関連記事:“切り抜き動画”で映画を宣伝するには?予告編とどう違う?シーンの選び方まで紹介
現地の外国人にアニメの好みを聞いてみた際、いくつかの有名作品が挙がる中でも特に気になったのは、ヒーローアカデミアにハマっているという話でした。
やはりアメリカは、異世界転生よりもヒーローのように困難に立ち向かうような話に熱狂するのかもしれません。なぜなら、アメリカの大衆文化においては、以下のような「ヒーロー構造」が深く根付いています。
これは、マーベルやDCといったアメコミ文化の定番構造でもあり、「ヒロアカ」はそれを日本的な感情表現とキャラ造形で新しい形にしたIPだと言えます。そのため、すんなりとストーリーが受け入れやすいのかもしれません。
残念ながら第三期以降は、人気投票サイト(Anime Trending)でもTOP10入りしていないことから、長寿作品になるほど新規視聴者がハードルを感じやすいせいか失速気味な印象があります。
グローバルでアニメが配信される現代では、単に「良い作品をつくる」だけでは不十分です。とくに“日本で評価される作品”と“海外で評価される作品”に、顕著な違いがあることがランキングデータからも明らかになっています。
これらのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
海外でアニメが人気になるには、「舞台そのもの」が視聴者の関心を引きつける、または理解できる馴染み深さがあることが必要です。
知らない文化や土地の話でも、「わかりやすく」「魅力的に」描かれていれば、視聴者は自然と物語に引き込まれます。反対に、その舞台に共感やイメージが持てないと、話に入っていくまでに時間がかかってしまいます。
例えば、ある国の昔の歴史をもとにした話は、その地域の人にとっては「親しみのある昔話」のように感じられます。一方で、日本で人気の“学園日常系”は、生活文化が大きく異なるため「なぜそうなるのか」が理解しにくく距離を感じてしまいます。
<ポイント> ・舞台は「異国情緒がある」または「誰にでも直感的に理解できる」構造にする |
物語が多くの国で評価されるには、「わかりやすい対立」や「共通する価値観」が軸にあることが大切です。登場人物の細かな関係や文化の違いは、翻訳や説明が必要なものの複雑過ぎると伝わりません。
こうした理由から「何が善で、何が悪なのか」という対立や、「自由になりたい」「仲間を助けたい」といったシンプルな構造は、どの国の人にも自然と伝わります。
一方で、日本で人気の日常系作品は、日本文化を知る上で興味を持たれやすいテーマと考えられますが、熱狂を生みづらいことでランクインしづらいのではないでしょうか。
例えば、何かを奪う側と守る側という構図、自由を求める人と支配しようとする人の対立などは、特別な知識がなくても状況が理解しやすく、「この話は何を描こうとしているのか」がすぐにわかります。
<ポイント> ・対立の背景に「友情」「家族」「正義」などの共通テーマを含める |
多くの海外の視聴者は、何かに挑戦して成長していく姿に心を動かされる傾向があります。特に、アメリカなどの欧米圏では「努力・克服・成長」というヒーロー神話に馴染み深い環境です。
困難に立ち向かい、自分を変えていく主人公は「努力すれば報われる」「諦めずに挑戦する」という信念を持つ視聴者には特に支持されます。
一方で、日本では「何もしなくても報われる」「異世界で最強になれる」といった逃避型ストーリー(異世界転生もの)が人気で、これは“自分の置かれた現実をどうにかして抜け出したい”という心理が根底にあります。
このような展開は、困難を乗り越える部分が不足しやすいため、心打たれるような感情を引き出しづらいこともあります。
例えば、はじめは弱かったけど、仲間や経験を通じて強くなっていく主人公がいると、「自分も頑張れば変われるかもしれない」と感じさせてくれます。
<ポイント> ・主人公が最初から完璧な存在ではなく、失敗や挫折の経験を含める |
作品が海外で評価されるか否かは、設定や演出の細部以前に、「どれだけ文化を超えて伝わる“骨格”を持っているか」にかかっています。
そのためには、“どこで、誰が、何に挑んでいるのか”を、第一印象からわかりやすく伝える設計が不可欠です。
ヒットの起点は、共感される物語構造の“普遍性”にこそあるのかもしれません。
項目 | 異世界転生 | ヒーローアカデミア |
主人公像 | 現実からの逃避者 | 現実に立ち向かう挑戦者 |
行動原理 | 自己満足・スキル主義 | 努力・自己犠牲・仲間愛 |
世界観 | 異世界・ルール変更 | 現実延長・社会問題と接続 |
アメリカ文化との親和性 | 低い(翻訳しづらい) | 高い(構造が似ている) |
世界的にヒットした「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」が、特にアメリカ市場で厚い支持を得ている理由は、ただの「日本アニメの人気」では語れません。その成功の背景には、アメリカのポップカルチャーにぴったりハマる3つの構造的な要素があるからかもしれません。
その理由を3つに分けて詳しく解説します。
「ヒロアカ」の世界観には、「能力バトル」「個性=スーパーパワー」「正義と悪の対立」「ヒーロー育成学校」など、アメリカの視聴者が「スパイダーマン」や「X-MEN」で慣れ親しんできた“アメコミ”をイメージできるフォーマットが数多く見られます。主人公の“冴えない青年がヒーローとして目覚める”構造は、アメリカのヒーロー作品に多く見られる王道です。
例えば、新しい言語を学ぶときに、自分の母国語に似ている単語や文法だと覚えやすいのと同じで、すでに慣れた構造だとスッと頭に入ってくるのです。
<ポイント> ・特にアメコミ文化が強い国では、「能力」「正義」「学校」などの要素を活用する |
ヒロアカでは、主人公デクが能力を得てすぐに最強になるわけではなく、怪我をしながらも努力を続け、自分の役割を模索していきます。この「痛みを伴う成長曲線」が、リアルであり、憧れの対象にもなっているのです。
「初めは何もできなかった主人公が、努力で成長していく」という話は、“心打たれたり、応援したい気持ち”を思い出させるのが世界共通ではないでしょうか。
アメリカでは「頑張って成長する人」が尊敬される文化があります。だから、すぐに強くなるキャラよりも「失敗しても少しずつ前に進む主人公」の方が、ずっと心に残ります。挫折しても立ち上がる姿に、「自分もがんばろう」と思えるのです。
例えば、一度の挫折で終わるのではなく「仲間に支えられながら挑戦を続ける姿」は、世界共通で心打たれたり「応援したい」という感情共有を生むのではないでしょうか。
<ポイント> ・主人公に「できない理由」と「成長のきっかけ」を明確に作る |
アメリカでは「ヒーロー(特別な力を持つ人)は社会のために行動するべき」という考えが強く、「ヒロアカ」の主人公の行動はまさにその理想像に近いと言えます。この倫理構造は、アメリカの社会正義思想の価値観にフィットします。
ヒーローが「自分の夢」だけで戦っていたら、ただの自己中心的な人になります。でも、『ヒロアカ』の主人公は「人を守りたい」という気持ちが一番強い。これが、アメリカのヒーロー像とぴったり一致しています。つまり、「強さ」よりも「人のためにどう使うか」が大切にされているのです。
例えば、主人公は、自分がヒーローになりたいのは「人を助けたいから」であり、個人的な復讐や利得のためではありません。この精神が、“真のヒーロー像”として強く支持されます。
ヒロアカは、単に日本で人気の作品がアメリカに届いたのではなく、「アメリカの人たちが共感しやすい形」で作られていたこともヒットに大きく影響しているのではないでしょうか。
つまり、文化の翻訳がスムーズにできるような作品構造を作ることが、アニメを“世界中の誰か”に届かせる一歩になります。
<ポイント> ・主人公の行動には「社会的意味」や「他人への思いやり」を含める |
異世界転生ジャンルの作品(「無職転生」「盾の勇者」「このすば」など)は、舞台設定の点では海外でも馴染みのある部分です。しかし、海外よりも日本で集中して評価(視聴)されやすい傾向にあるのはなぜでしょうか?
日本社会について考えてみると、一般的には「働きすぎが普通だが報われない」という考えを持っていること、解決したい願望をファンタジーの形で擬似体験していることなどが関係しているかもしれません。
一方、アメリカでは前述のヒーロー像が確立されていることから、この“逃避構造”がネガティブに見られがちだったり、理解しづらいことが考えられます。
つまり、自己成長と努力による変化こそがヒーローだというアメリカの価値観に反するため、大衆には評価されづらいのかもしれません。
キャラクターを活用したPR、ブランドのイベント企画といったPR活動は、動画制作だけでなく数々のイベントの認知拡大を支援してきた我々NOKID(ノーキッド)なら、幅広いご提案とクリエイティブ制作が可能です。
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ここまでのポイントをまとめます。
アニメの国際的な人気は、単なる「内容の良し悪し」だけで決まるものではありません。むしろ、「どの国の文化的感覚にマッチしているか」「最初の印象で惹きつけられるか」「どれだけ語りたくなる要素があるか」が、評価を大きく左右しています。
グローバルに成功するためには、“作品そのもの”だけでなく“伝わり方”にまで設計を工夫することが重要です。
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