NOKID編集部
キャラクターIPの専門メディア NOKID Lab の編集部です。アニメーションとキャラクター制作を手がける株式会社NOKIDの知見をもとに、IPの起用事例やコラボ・ライセンスの実務、業界の動きを解説しています。



キャラデザのコツを調べると、シルエットの決め方、メイン・サブ・アクセントの3色、見た目と中身のギャップといった手順が並びます。そのとおりに描いたのに、なぜか決まらない。何体描き直してもしっくりこない。そう感じたことはないでしょうか。
初代マリオを作った宮本茂氏は、ヒゲと帽子を、描けるドットの少なさから決めたと語っています。小さなドット絵では、口も髪も描ききれなかったのです。
人気キャラの作り手が見た目を説明した記録をたどると、パーツの1つずつに理由があります。描ける量、使う場所、見る人に感じてほしい気持ち。大切な要素は、顔・髪型・服の一覧ではなく、この理由のほうにありました。
この記事では、マリオやポムポムプリンの作り手の言葉、ひこにゃんを持つ彦根市の説明、当社が取材したイラストレーターの話をもとに、パーツに理由を付けながらキャラクターを決める手順を紹介します。決まらないパーツがどこにあるのかは、描き直す前に見つけられます。
ゆるキャラの作り方は「ゆるキャラの成功事例と作り方を解説!キャラクターでPR効果を生むには」がおすすめです。

キャラクターデザインは、ゲームや漫画、アニメに登場する人物や動物などのキャラの見た目を、大勢の人が同じように描けるよう設計図にまとめる仕事です。1枚の絵を仕上げることとは目的が違うので、パーツごとに、なぜそうしたかを決めておく必要があります。
『スマイルプリキュア!』などを手がけたアニメ監督の大塚隆史氏は、GENSEKIマガジンのインタビューで、アニメ制作では多くの人が同じ絵を描く、という前提からキャラクターデザインの役目を説明しています。

当社も、総務省の電波利用環境保護の啓発活動で、キャラデザからSNS投稿やWebページまでを一続きで担当しました。同じ案件の中で、アニメーションのほかにポスターやリーフレットも作っています。
どちらの現場でも、キャラを描くのは最初に描いた人だけではありません。別の人の手や別の媒体に渡ったときに、同じキャラだと分かるかどうか。キャラクターデザインの出来は、そこで問われます。
大塚氏は、アニメのキャラクターデザインを「キャラクターの設計図」と呼び、「それをみんなのお手本にするんです」と続けています。キャラクターデザインとは、1枚の絵を仕上げることではなく、他の人が同じキャラを描くためのお手本を作ることです。
描く人なら、完成の基準を、自分の1枚が上手く描けたかではなく、別の人がこれを見て同じキャラを描けるかに置けます。
参考:漫画がアニメ化するときに絵柄が変わるのはなぜ?『スマイルプリキュア!』大塚隆史監督に聞くキャラデザインの話 - GENSEKIマガジン
当社が取材したイラストレーターのヤツキナツミ氏は、オーディオドラマのキャラクターデザインの仕事で、脚本から約20人のキャラを描き起こしました。手元にあったのは、絵ではなく脚本の文字です。大塚監督も、デザイナーに頼むときはあえて自分では絵を描かず、口頭や文章でイメージを伝えることが多いと話しています。
反対に、すでにある絵から始まる仕事もあります。大塚監督は、漫画をアニメにするとき、キャラを動かすために絵柄を調整する必要があると語っています。当社もVTuberグループのMV制作で、既存のキャラクターデザインをMV用に調整しました。
仕事の入口は白紙ではなく、文字か、すでにある絵のどちらかです。文字なら性格を読み取って形にする力が、絵なら使う先で崩れない形に直す力が問われます。目指す人は、短い設定の文から描き起こす練習と、描いたキャラを別の使い道に合わせて描き直す練習の2種類を組めます。
では、設計図に書き込む見た目は、何を基準に決まっているのでしょうか。人気キャラの作り手の言葉をたどると、要素の一覧には載っていない答えが見えてきます。

キャラクターデザインの考え方の核は、見た目のパーツごとに、なぜそうしたかを言えることです。作り手本人が語る理由は、描ける量、使う場所、見る人に感じてほしい気持ちのどれかから出ています。
初代マリオを作った宮本茂氏は、任天堂の公式サイトの対談で、鼻の下にヒゲを描けば口を描かずに済み、帽子をかぶせれば髪を描かずに済んだと語っています。
キャラクターデザインの要素としてよく並ぶのは、次のような外見と内面の一覧です。
| 外見的な特徴 | 内面的な特徴 |
|---|---|
| 顔 | 性格 |
| 髪型 | 能力 |
| 体型 | 言葉遣い |
| 性別 | 仕草 |
| 服 | 好み |
| 装飾品・持ち物 |
マリオのヒゲはこの表の「顔」、帽子は「装飾品・持ち物」の欄に入ります。ただ、表のどこにも、なぜヒゲなのか、なぜ帽子なのかを書く欄はありません。
ウルフくんの作者の本間あきら氏は、パーフェクトワールドトーキョーのインタビューで、学校を卒業するとき、作品を見る人に何を感じてもらいたいかを考え直したと話しています。目指したのは「ほっこりしたり、あったかい気持ちになる作品」で、「とんがっている部分がない」ウルフくんを描きました。
マリオは、描けない部分を別のパーツで代わりにした結果です。ウルフくんは、感じてほしい気持ちを形にした結果です。出発点は逆でも、どちらもパーツの1つずつに理由を言えます。要素の表は何を決めるかの一覧で、どう決めるかは理由の側にあります。
自分のキャラの目立つパーツを3つ選び、それぞれに、何の代わりか、何を感じてほしいからかを1行ずつ書き出すと、書けなかったパーツが、手順どおりに描いても決まらない場所だと分かります。
参考:社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』 - 任天堂/本間あきらさんにインタビュー! ウルフくんのセカイ。 - Perfect World Tokyo
サンリオのポムポムプリンは、社内デザイナーのコンペで上位に残った案の中から、来店者の投票でデビューが決まりました。サンリオの公式メディアのインタビューで、担当デザイナーの地井明子氏が誕生の経緯を語っています。
決め方は、サンリオショップに上位3キャラクターのぬいぐるみマスコットを並べ、見た人に投票してもらうものでした。トレードマークのこげ茶色のベレー帽は、飼い主のお姉さんが乗せた帽子が「それがまるでプリンみたいだね!」と言われたという設定で、名前の由来にもなっています。
セガのソニックも、人に選ばれて決まりました。キャラクターデザインを担当した大島直人氏は、電ファミニコゲーマーの取材で、社内から出た複数の案をニューヨークのセントラルパークで道行く人々に見せて人気投票をし、「いちばんだったのがソニックだったんですね」と語っています。
くまモンも、最初から主役として出てきたわけではありません。熊本県の公式年表には、2010年2月に「くまもとサプライズ!」ロゴのおまけとして提案され、翌月にデビューしたと記録されています。
ルフィやちいかわのような人気キャラを見ると、最初からこの姿で人を惹きつけるように生まれてきたと感じます。けれども、人気が描いた時点の魅力だけで決まるなら、サンリオのデザイナーは1案に絞って出せたはずです。実際にはサンリオもセガも案を並べて見る人に選ばせ、くまモンはロゴに添える役から出発しています。この3体の記録では、魅力は1案に決めきる前に、見る人に確かめられていました。
描く人は、1体を完成させてから見せるのではなく、2〜3案の段階で人に見せて選んでもらう順番を取れます。企業の担当者は、社内で1案に決めきる前に、使う相手の反応を見る場を工程に入れられます。
参考:4月16日はポムポムプリンのお誕生日! 担当デザイナーにインタビュー - サンリオタイムズ/くまモン年表 2010年 - くまモンオフィシャルサイト/これまで語られたことのなかった、ソニックが青い“もうひとつの理由”とは? - 電ファミニコゲーマー
freeeのブランドチームの黒田愛美氏は、同社の公式noteで、ロゴのツバメには使い方の決まり(CIガイドライン)があり、話せない・表情が出せないといった制約があると説明しています。イベントや展示会に向けてロゴのままぬいぐるみにすると自立できず、「立体化がむつかしい」という課題もありました。
そこでfreeeは、ロゴの制約から外して、情緒を伝えられ、ぬいぐるみでも自立できる青いツバメのキャラクター「Sweee」を作り、性別を決めつけない複数のSweeeにしました。キャラを作る理由を「ロゴより親しみやすいから」で止めると、そのキャラに何をさせるかが決まりません。使う場所でロゴに足りないことが、キャラの形の条件になります。

作ったあとの話もあります。公益財団法人東京市町村自治調査会が全国の市区町村に聞いた調査(2015年3月発行の報告書)では、ご当地キャラの活動の課題として「担当職員等、人員が不足している、職員の負担が大きい」を挙げた割合が57.1%で最も多く、次いで「十分な予算が確保できていない」が25.4%でした。
自治体の数字ですが、上位の2つはどちらも作り終えたあとの問題です。企業の担当者は、デザインを頼む前に、ロゴでは何ができないか、どこで何をさせたいか、作ったあと誰が動かすかを書き出しておけます。この数行が発注の条件になり、なぜロゴではだめなのかを社内で説明する1行にもなります。
企業が自社のキャラクターを作るか借りるかの判断と、長く続く企業キャラクターの事例は、企業キャラクターの活用事例と作り方で解説しています。公式キャラクターを作ってから動かし続けるまでの流れは企業の公式キャラクターの作り方で、キャラクターを使った販促のやり方はキャラクターマーケティングのやり方で紹介しています。
ここまでで、パーツには理由があることを見てきました。次の章では、構想からシルエット、服、配色までのよく知られた4つの手順の中で、その理由をどこで付けるのかをたどります。
参考:freeeらしさを届けるために、キャラクターが爆誕した話。 - freee公式note/ご当地キャラクターの活用に関する調査研究 アンケート調査結果報告書 - 公益財団法人東京市町村自治調査会

キャラクターデザインの手順としてよく紹介されるのは、構想、シルエット、服や小物、配色の4段階です。各段階でパーツに理由を1つずつ付けていくと、手順どおりに描いても決まらなかった所が決まります。
大塚監督は、キャラクターデザイナーに頼むとき、キャラが何人登場するのか、どんな性格か、どんな関係性かといったイメージを共有すると話しています。
構想の項目としてよく挙がる表は、これよりずっと多くの欄を埋めるよう求めます。
| 性格 | 明るい、神経質、素直、勝ち気など、キャラクターの大まかな性格をイメージしましょう。 |
|---|---|
| 特技 | 魔法が使える、歌が上手い、洞察力が優れているなどといったキャラクターの個性となる特技を考えます。 |
| 生い立ち | 過去の生い立ちを考えることでキャラクター像が明確になり、その後の物語を発展させる上でも役立ちます。 |
| 家族構成 | 家族構成も、キャラクターの性格を決める重要なポイントです。どんな家庭で育ったのか、家庭内ではどのような立ち位置なのかを考えましょう。 |
| 物語の世界観・生きている時代 | キャラクターがいる世界で、どのような立ち位置にいるのか、何をしているキャラクターなのかを考えます。世界観を明確にすることで、言葉遣いや服装を構成しやすくなります。 |
当社が取材したスガタ氏も、設定は「軽くイメージを作るくらいですね」と語っています。細かく作り込むことはせず、性格から服装や趣味を考えるそうです。
設定を細かく作ることが見た目に効くのは、その設定が服や表情、持ち物のどこかに変わるときです。見た目に出る先のない設定は、描く段階ではまだ働きません。
構想メモの各行に、それが見た目のどこに出るか(服・表情・持ち物)を書き添えると、出る先が書けない設定を後回しにできます。
初代マリオは、16×16のドット絵でした。縦横16個ずつの点だけで、人間ひとりを描かなければなりません。
宮本茂氏によると、目と鼻と口を描こうとすると、すぐにドットが足りなくなりました。そこで鼻の下にヒゲを描きます。口なのかヒゲなのか見分けがつかないので、口に使うはずだったドットが浮きました。
髪の毛も描ききれません。宮本氏は帽子をかぶせることにして、「帽子は2ドットで抑えられる」と話しています。走るときの腕の動きが分かるよう、腕と体の色を分けられる服としてオーバーオールを選び、跳んだときの動きが分かるよう、手には白い手袋をはめました。

ピカチュウをデザインしたにしだあつこ氏も、読売新聞の取材で、背中の模様は、戦わせるときに後ろを向いた姿で背中がつるんとしないように付けたと話しています。電気をためるほお袋はリスを参考にし、「尻尾は雷っぽい形状にしました」とも語っています。
シルエットの決め方としては、体型、髪型、服の形、装飾品、持ち物の順に大きい要素から決め、塗りつぶしても誰か分かるかで確かめる方法がよく紹介されます。マリオやピカチュウの話は、その一歩手前にある理由です。描ける量が小さいほど、パーツは少なく、大きくなります。小ささは邪魔ではなく、パーツを絞る材料になります。
シルエットに迷ったら、キャラをSNSのアイコンほどの大きさに縮めて描き直し、残ったパーツだけで誰か分かるかを見てください。描けなくなった部分を何で代わりにするか(帽子、ヒゲ、大きな耳)を決めると、パーツが決まります。
参考:社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』 - 任天堂/ピカチュウは大福? 初めて明かされる誕生秘話(2ページ目) - 読売新聞オンライン/ピカチュウは大福? 初めて明かされる誕生秘話(3ページ目) - 読売新聞オンライン
スガタ氏は、「このキャラはこういう性格だから、こんな服を着るだろうな」と考えて服を決めています。服を選ぶ理由は、キャラの性格の側にあります。
同じく取材したイラストレーターの古弥月氏は、背景で描きたい景色が決まったら、それに合わせてキャラの服装を考えることが多いそうです。服そのものは、実在のブランドや街で見かけた服をためておき、「今回はこの引き出しからこの服を使おう」と選んでいます。
背景イラストレーターの宇野草壁氏も、キャラの服装は「この季節だからこの服装にしよう」と後から決めることが多いと話しています。
前の節で見たマリオのオーバーオールは、走るときの腕の動きを見せる役目から選ばれた服でした。
服を選ぶ理由は、性格という内側、季節や景色という外側、動きを見せる役目の3つから出ています。どこから理由を取るかで、次に集める資料が変わります。
服が決まらないときは、似たキャラの資料を集める前に、理由をどこから取るかを1つ決めます。性格なら身近な人の服装、季節なら街で見かけた服や実在のブランドの服が資料になります。動きなら、走ったり跳んだりしたときに見分けにくくなる場所が、服を選ぶ手がかりです。
イラストレーターのジカセイ氏は、使ってはいけない色や、隣り合う色・反対の色の知識はあるものの、描くときは「ルールに囚われず感覚的にやっています」と語っています。
そのジカセイ氏がキャラクターデザインを担当したのが、当社が制作した国際ビルサービスのPRアニメです。ビル清掃や設備管理の会社の映像で、当社は温かみのあるキャラクターデザインと、清潔感を重視した淡い色彩を選び、見る人が安心できる映像にしました。
配色の決まりとしてよく挙がるのは、メインカラーとサブカラーの2色にアクセントカラーを1色足す、色の明暗でメリハリをつける、といった目安です。
色の理由を作り手本人が語った記録もあります。ソニックをデザインした大島直人氏は、電ファミニコゲーマーの取材で、青を選んだ理由の1つにその年のファッション業界の流行色を挙げ、「キーカラーがブルーだったんです」と話しています。ピカチュウの黄色を決めた杉森建氏は、読売新聞の取材で、タイプごとに分かりやすい色を付けると考え、「それなら黄色かな、と」決めたと語っています。
決まりは、色どうしの関係を整える物差しです。もう一つ、見る人に何を感じてほしいかという物差しがあります。決まりに縛られないと語る描き手が担当した企業の映像でも、色は清潔感という伝えたい印象から選ばれていました。
配色に迷ったら、比率を整える前に、見た人に感じてほしいことをひと言(安心、元気、怪しさなど)で決め、その言葉に合う明るさと色味を選びます。決めた色は、大勢が同じキャラを描くための設計図に書き残しておきます。千葉県のチーバくんのデザインガイドマニュアルも、体の色を「カラー表示の場合は赤、白黒表示の場合はグレーです」と定め、「指定色以外に着色できません」と書いています。
手順の4段階で付けた理由は、描き終えたあとにも使えます。次の章では、色や性格、意外性にこだわるとき、プロがどこでパーツを選び直しているのかを見ていきます。
参考:これまで語られたことのなかった、ソニックが青い“もうひとつの理由”とは? - 電ファミニコゲーマー/ピカチュウは大福? 初めて明かされる誕生秘話(3ページ目) - 読売新聞オンライン/チーバくんデザインガイドマニュアル - 千葉県

キャラクターデザインを成功させるこだわりは、1枚を描き込むことより、使う先・性格・見る人が知っているイメージに合わせてパーツを選び直すことです。ポイントは次の3つです。
当社はVTuberグループ・あおぎり高校のMV制作で、既存のキャラクターデザインをMV用に調整しました。主線を極力排したフラットな表現を採り、顔の周りだけあえて主線(キャラの輪郭や形を描く線)を残して、表情と感情が引き立つようにしています。
大塚監督も、キャラを動かすためにはある程度デッサンが取れている必要があり、動いていない漫画の絵ではかっこよくても、アニメで動かすと変に見えることがあると話しています。
ポムポムプリンの丸い形について、担当デザイナーの地井氏は「まんまるとしたフォルムが立体物との相性がいいのかもしれません」と話しています。
プロのこだわりは、細部を描き込む力を土台にしたうえで、使う先で何が見えるかに合わせて線や形を削ったり残したりすることにあります。顔の周りだけ線を残したのは、削る中で表情だけは残すという選択です。
こだわるとは、1枚を時間をかけて描き込むことではなく、使う先ごとに残すものを選び直すことです。描く人は、1体を描いたら、動かす、立体にする、小さく使う、のどれか1つを想定して描き直すと、何を残すかが見えてきます。
当社が取材したヤツキナツミ氏は、オーディオドラマの仕事で「脚本からキャラクターを想像して」キャラを描き起こしました。絵の資料ではなく、脚本の文字から見た目を起こしたことになります。
スガタ氏は、性格から服装や趣味を考えたうえで、「理解できない性格のキャラは、身近な人を参考にすることもありますね」と話しています。
性格設定にこだわるとは、設定の文を細かくすることではなく、性格の文を見た目の言葉に置き換える回数を増やすことです。置き換えられない性格は、身近な人という実物を通して見た目に変えられます。動機や弱点、生い立ちのような設定も、何を怖がるか、何を大事に持ち歩くかのように、見た目のどこかに出せたときに働きます。
性格を1行書いたら、その横に、だから服は、姿勢は、表情は、を3つ書き足します。自分に分からない性格は、身近な人がどんな服を選ぶかを見て置き換えられます。
彦根市の公式説明では、ひこにゃんは、井伊直孝公を雷雨から救ったと伝えられる招き猫と、井伊軍団の赤備えの兜を合体させて生まれたキャラクターです。赤備えは、武具を朱塗りにした部隊のことです。ウルフくんの作者も、オオカミのキャラを、とがった部分の無いやさしい形で描きました。
同じく取材した漫画家・イラストレーターのZinbei氏のキャラの虹色の髪は、「螺鈿やアスファルトに落ちた油が虹色に光っていた印象から来ています」。螺鈿は、貝殻の光る部分を漆塗りの面にはめ込む工芸です。パックマンを作った岩谷徹氏も、MANTANWEBの記事で、「食べる」を鍵に開発していたとき、昼食のピザの一片取った形を見て主人公にしようと思ったと語っています。
意外性の出し方としてよく挙がる、見た目はヤンキーなのに優しい、といった性格のギャップは、見る人がそのキャラの性格を知るまで伝わりません。当社の見方では、招き猫と兜、オオカミとやさしい形は、見た瞬間に、知っているものが知らない組み合わせで出ていると分かります。意外性の置き場所を見た目の元のイメージに移すと、ギャップを詰め込まずに1点で効かせられます。
意外性を足したいときは、性格の欄に矛盾を書き足す前に、見た目の元になっているもの(動物、道具、土地のもの、日常で見た光)を2つ挙げ、組み合わせるか、片方の印象をずらせないかを試します。ここまでのこだわりは、学び方を選ぶときにも使えます。
関連記事:ゆるキャラの成功事例と作り方を解説!キャラクターでPR効果を生むには
参考:ひこにゃん - 彦根市/パックマン:「モデルは欠けたピザ」生みの親・岩谷教授が秘話 - MANTANWEB
キャラクターデザインは、独学、専門学校、美術系大学の3つの道で学べます。どの道を選んでも、自分の絵の方向は時間をかけて決まっていくことがあります。
当社が取材したけけ氏は、子どものころ、大きなリボンやウサギの耳のような「デフォルメされたパーツのバランス感が好きで」、よく真似して描いていたと話しています。それが今の絵柄に残っているそうです。
キャラクターデザイナーになるのに、学歴や資格は必要ありません。独学は学びたいスキルを自分で選べる一方、時間がかかりやすく、実績がないうちは仕事を得にくいこともあります。
同じく取材したジカセイ氏は、色彩学を本格的に学んではいないと話し、古弥月氏は実在のブランドや街で見かけた服を引き出しにためています。
描いた量が大切なことは変わりません。そのうえで、取材したプロの絵柄には、何を真似たか、何をためたかの跡が残っています。
独学で模写するときは、全身を写すだけでなく、惹かれたパーツを1つ選び、なぜ好きかを書き添えて真似ます。見かけた服や小物は、写真やメモで引き出しにためておけます。
デザインを学べる専門学校に通うことも、キャラクターデザインを学ぶ上でおすすめの手段です。キャラクターデザイナーを目指す専門学校なら、キャラクターデザイナーのスキルを習得できる専門的な講義を多く受けられます。
キャラクターデザインを学ぶには、画力だけでなくキャラクターの設定方法や制作過程で発生する業務知識など幅広いスキルが必要となります。専門学校ならこのようなスキルを正しく、効率よく身につけられるでしょう。
しかし、専門学校に通うにはお金や時間がかかります。文部科学省の告示では、修了者が専門士と名乗れる課程の要件を「修業年限が二年以上であること」、授業時数を「千七百単位時間以上」などと定めています。別の進路に進みたくなっても、簡単には切り替えられないというデメリットもあります。
専門学校への進学を検討している方は、あらかじめ費用の工面と、卒業後のキャリアプランを考えてから行動するのがおすすめです。
参考:専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程 - 文部科学省
漫画家・イラストレーターのZinbei氏は、大学に入ってからも4〜5年、「“うまさ”と“自分らしさ”のバランスに迷い続けました」と話しています。
美術系大学では、画力やデザインスキルを中心に、キャラクターデザイン以外の講義も含めて幅広く学べます。「美術大卒」という学歴がつくのもメリットです。一方で、大学進学も時間とお金がかかる手段です。
大学に入れば描く方向が定まるなら、入学後の迷いは短いはずです。Zinbei氏の場合、その迷いは入学後も長く続きました。ひとりの例ですが、学校で得る技術と、自分の絵の方向が決まるまでの時間は、別々に進むことがあります。
進路を選ぶときは、学歴や費用に加えて、迷う時期にも描き続けられる場(課題、仲間、発表の機会)があるかを比べる項目に足せます。社会人になってから学び始める場合は、独学や専門学校も同じ項目で比べられます。
迷う時期があるのは、学び方のせいだけではありません。最後に、キャラデザでよく聞かれる質問に、ここまでの話から答えます。
関連記事:アニメーション制作に困っている方へ。独学・外注どちらが良いのかを解説

キャラクターデザインでよく聞かれるのは、大切なこと、上達のための練習、決まらないときの進め方の3つです。
キャラクターデザインで大切なのは、見た目のパーツごとに、なぜそうしたかを1行で言えることです。言えるデザインは、自分以外の人が描いても、別の場所で使っても同じキャラになります。
初代マリオのヒゲは口の代わり、帽子は髪の代わりでした。ウルフくんのとがりの無い形は、見る人にあたたかい気持ちになってほしいという作者の考えから来ています。アニメ監督の大塚氏は、キャラクターデザインを大勢が描くための設計図にたとえています。
画力やデッサン力、イラストに使うソフトのスキルが要らないわけではありません。必要なスキルを書き出して、今の自分がどこまでできているかを確かめることも役に立ちます。
そのうえで、手元のキャラのパーツに、なぜそうしたかを1行ずつ書き添えていくと、理由の書けないパーツが次に手を入れる場所になります。
とにかく描く量を増やすことに加えて、有名キャラのパーツの理由を作り手の言葉でたどる練習と、短い設定の文から見た目を起こす練習を入れると、自分でパーツを決める力がつきます。
既存のキャラクターを参考にするのは良い練習です。そのときは見た目だけでなく、作り手が語った理由まで見てください。マリオのヒゲと帽子の理由は、作った宮本氏が任天堂の対談で話しています。
文字から描く練習は、ヤツキナツミ氏が脚本からキャラを描き起こした仕事に近い形です。
参考にするときに見る先を、見た目から作り手が語った理由へ移すと、真似が自分で判断する練習に変わります。練習は3つに分けられます。
キャラが思いつかない・決まらないのは、才能の問題とは限りません。当社が取材したプロにも、新しいキャラを考え続けるのが難しかったと話す人がいます。
背景イラストレーターのさけハラス氏は、ソーシャルゲームの会社にいたころを振り返り、「キャラクターを新しく考え続けるのが自分には難しいと感じました」と話しています。古弥月氏も「ネタを考えるのが少し苦手なので」、季節感を意識してネタを絞り出すことがあるそうです。
スガタ氏は分からない性格のキャラを身近な人で補い、けけ氏は絵柄がしっくりこない時期を、大きく変えずに「小さなアップデートを繰り返して乗り越えている感じですね」と語っています。
思いつかないのが才能のせいなら、プロは新しいキャラを思いつき続けられるはずです。実際には、取材したプロの中にも白紙から考え続けるのが難しいと話す人がいて、季節や身近な人、前に描いた絵からの小さな更新のような手がかりを使っています。止まる原因は、手がかりの無い白紙から始めることにあるのかもしれません。
思いつかないときは、白紙から描く代わりに、季節を1つ決めて服と場面から描く、身近な人をひとり選んで性格を借りる、前に描いたキャラを1か所だけ変えて描き直す、のどれかから始められます。決まらないパーツがあれば、描き直す前に、そのパーツを置く理由を書き出します。
キャラクターデザインの考え方は、手順どおりに要素を埋めることではなく、パーツごとに、描ける量、使う場所、見る人に感じてほしい気持ちから理由を付けていくことです。
描く人は、手元のキャラの目立つパーツ3つに、理由を1行ずつ書くところから始めてみてください。
キャラクターを作りたい企業の担当者は、作る前にロゴでは何ができないかを書き出しておくと、発注の条件が決まります。作ったあとの動かし方は企業の公式キャラクターの作り方と企業キャラクターの活用事例と作り方で解説しています。
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