NOKID編集部
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「VTuberキャスティング、本当に効果があるのか」——マーケティング担当者からこの声をよく聞きます。
業界の通説では、登録者100万人超の大型VTuberを起用し、短期間で一気に認知を広げる手法が主流とされてきました。しかし「予算が合わない」「うちの商材には大げさすぎる」「費用対効果が読めない」と感じて、導入に踏み切れない担当者は多いはずです。
その判断が保留されている間に、業界の前提が静かに変わりつつあります。
ミラティブのグループ会社が運営するVTuberキャスティングサービス「ぶいきゃす」は、14のユニークタイトルで実施したキャンペーンのうち、85%以上で複数回の施策を継続実施していると発表しました。バズ狙いの使い捨て施策に、くり返し予算をつける企業はありません。広告費に見合う成果が出ているから、事業主が何度も戻ってきているのです。
そしてこの成果を生んでいるのは、大型VTuberの単発起用ではありません。
筆者はこれまでインフルエンサーを数千名規模で起用してきました。メガ、ミドル、マイクロと様々な階層を扱ってきて、1つの結論に至りました。VTuberキャスティングで成果を出している企業は、大型起用ではなく「マイクロVTuberを多数、継続して、アンバサダー的に使う」という設計をしているのです。この発想の転換に気づいた企業から、マーケティング予算の組み替えが始まっています。
本記事では、成果を出している企業の3つの共通点、なぜマイクロが最強なのか、そしてやってはいけない3つの失敗を整理します。

VTuberキャスティングは、一発バズの手段から、企業が何度も予算をつける継続投資のチャネルに変わりました。市場規模の二桁成長と、高いリピート発注率がこの変化を裏付けています。

VTuber関連市場は、2025年度には1,260億円規模に達すると予測されています。矢野経済研究所の調査で、2年連続の二桁成長が見込まれる数少ない市場の1つです。
動画広告市場全体も追い風になっています。サイバーエージェントの調査では、2025年の国内動画広告市場は8,855億円、昨年対比122%の成長を記録しました。縦型動画とコネクテッドテレビ(テレビ画面でネット動画を観る視聴スタイル)の定着により、映像を軸にしたプロモーション全体が拡大しています。
つまりVTuberキャスティングは、市場の追い風を受けながら、独自の成長を続けているチャネルです。一過性の流行ではありません。
参考:VTuber市場に関する調査 - 矢野経済研究所 / 2025年国内動画広告の市場調査 - サイバーエージェント
市場成長よりも重要な事実があります。それは「VTuberキャスティングを1度試した企業が、高い確率で2度目を発注している」という継続率です。

ぶいきゃすは2025年のサービスリリースから2026年3月までに、14のユニークタイトルでキャンペーンを展開しました。そのうち85%以上のタイトルで、複数回の実施(実施済み・実施確定を含む)に発展しています。特にゲームタイトル「鳴潮」では、2025年2月から2026年2月までの1年間で7回もの継続実施を記録しました。
2回目を頼むのは、1回目で投資対効果が取れたからです。バズ狙いの一発花火なら1度で終わります。リピートが85%を超えている事実は、VTuberキャスティングがROIの取れるチャネルとして定着している何よりの証拠です。
参考:VTuberプロモーションのリピート率85%超、「ぶいきゃす」の実績を公開 - ミラティブ

継続投資チャネルとしてのVTuberキャスティングを活用する企業は、業種を広げています。にじさんじを運営するANYCOLORの2026年4月期第3四半期決算説明資料では、企業案件の業種の広がりが示されており、ゲーム、ウェブサービス、店舗・施設、スポーツ、金融、食玩、アパレル、鉄道、自治体の9業種で継続的に起用されています。
この変化に気づかず、従来のテレビCMやYouTuber起用だけで予算を組んでいる企業は、選択肢を狭めています。では、この変化に気づいて予算を組み替えた企業は、具体的に何をしているのでしょうか。
参考:2026年4月期第3四半期決算説明資料 - ANYCOLOR

VTuberキャスティングで成果を出している企業には、3つの共通点があります。大型1人に頼らずマイクロを多数起用する、単発で切らずに継続起用する、台本を押し付けずファンに主導権を渡す——この3つが揃うと、限られた予算でも継続的な成果が生まれます。

VTuberキャスティングに効果がないと感じる企業の多くは、大型1人の単発起用で失敗しています。成果を出す企業は発想が逆です。マイクロVTuberを多数、同時期に起用して、面で接点を作る方法を選んでいます。

ぶいきゃすの強みはまさにここにあります。同サービスは1,200名を超えるVTuberコミュニティを組成し、キャンペーンごとに多数のVTuberが一斉に配信を行う設計です。1つの施策で1,500本を超える配信が生まれ、累計再生数が80万回を超えた事例も報告されています。
これが「面で接点を作る」ということです。大型VTuber1人に数百万円を投じて1本の配信を作るのと、同じ予算で数十人のマイクロVTuberに配信を依頼して1,500本のコンテンツを作るのとでは、ユーザーが商品を目にする回数がまったく違います。
VTuberキャスティングの費用対効果を論じるとき、1本あたりのリーチ単価で比較すると大型が安く見えます。しかし「賑わい」「常時想起」「検索時の露出占有」まで含めた総合的な投資対効果では、マイクロの多数起用が逆転します。これは筆者がインフルエンサー施策を設計してきた経験からも、くり返し検証されてきた法則です。

2つ目の共通点は「続ける」ことです。成果を出している企業は、1回のキャンペーンで終わらせず、同じVTuberや事務所と長期的な関係を築いています。

茨城県の公認VTuber「茨ひより」は、2018年から7年以上にわたって県公認として継続活動しています。

ローソンもホロライブとのコラボキャンペーンを2021年以降、複数回にわたって継続実施しており、参加メンバーや施策内容を変えながらシリーズ化しています。

三井住友カードは、にじさんじ所属ユニット「VOLTACTION」とのコラボキャンペーンを2024年9月から展開し、Apple Payの限定カードデザインを特典にした新規入会施策を継続しています。
これらはすべて、VTuberを「1回の広告塔」としてではなく「継続的なブランドアンバサダー」として位置づけた起用です。
なぜアンバサダー型が効くのか。答えは「常時想起」にあります。1回だけ大型VTuberに起用してバズが起きても、3か月後には忘れられます。一方、同じVTuberが半年・1年と継続的にブランドを紹介していると、「この商品といえばあのVTuber」という結びつきがファンの記憶に定着するのです。
参考:茨ひより公式サイト - 茨城県 / ホロライブ キャンペーン - ローソン / 三井住友カード×VOLTACTION コラボキャンペーン

3つ目の共通点は、最も見落とされがちですが、最も重要です。成果を出している企業は、VTuberに台本を一字一句指定しません。「何を伝えるか」は決めても、「どう伝えるか」はVTuber本人とファン文化に委ねる設計をしています。
これはVTuberファンの特性を理解しているからこそできる判断です。

ANYCOLORの決算資料によれば、にじさんじのファン層(ANYCOLOR ID登録者)は女性が71%を占め、年齢では20-29歳が57%と最多を占めています。若年層の女性を中心とした、熱量の高いファンコミュニティです。
このような熱量の高いファンは、「推し」のキャラクター性や世界観に強い愛着を持っています。企業が台本どおりの棒読みプレゼンを強制した瞬間、ファンは「やらされ感」を敏感に察知し、エンゲージメントは急落します。最悪の場合、「推しに変なことをさせている企業」として反発を招きます。
逆に、VTuber本人の語り口で自然に商品を紹介してもらうと、ファンは「推しが本当に良いと思って紹介しているんだ」と受け取ります。この受け取り方の違いが、CVR(購買転換率)の違いに直結します。
主導権をファン文化に渡すというのは、広告主として勇気のいる判断です。しかしこの勇気を出せる企業だけが、VTuberキャスティングの真の効果を引き出せます。
参考:2026年4月期第3四半期決算説明資料 - ANYCOLOR
筆者はこれまでインフルエンサーを数千名規模で起用し、メガ層からマイクロ層まで様々な階層のキャスティングを企画してきました。そこから得た結論は明確です。多くの商材、特に中小企業の案件においては、マイクロインフルエンサーの方が質が高いと言えます。これは経験則ですが、学術研究もこの直感を裏付けています。
VTuberキャスティングが中小企業にとって「高い」「無理」と感じられるのは、大型起用を前提にしているからです。認知度で選ぶと、どうしても予算は跳ね上がります。
筆者がインフルエンサー施策を何千件と見てきて感じるのは、大型起用の多くが「誇示」で終わっているという事実です。

決算説明会で「我が社は○○氏と契約しました」と言えるのは、広報として価値があります。しかし実際の売上への貢献度を冷静に見ると、大型起用にかかる費用は成果に見合っていないケースが多いのが現実です。
一方、中小企業は広告費に余裕がありません。認知度の高いVTuberを起用する予算で、マイクロVTuberを10人、20人と起用することも可能です。広告費の使い方として、どちらが合理的かは明らかです。
「VTuberキャスティング コストが高すぎる」と感じている担当者は、大型起用を前提に見積もりを取っているだけかもしれません。マイクロを多数起用する設計に切り替えるだけで、同じ予算で数倍の接点が作れます。

2つ目の理由は、競合戦略の観点です。
大型VTuberの案件情報は、業界紙やSNSで瞬時に拡散されます。競合他社もその情報を追いかけ、同じVTuberに案件を打診するか、別の大型VTuberを起用して対抗してきます。結果として、同じジャンルの商品が似たような大型VTuberのもとに集まり、差別化が難しくなります。
マイクロVTuberの起用は、そう簡単には外に漏れません。競合が気づいた頃には、自社はすでに半年・1年と関係を築いており、ファンコミュニティの中で「この商品といえばこのVTuber」というポジションを確立している状態になります。
筆者の経験では、マイクロインフルエンサー施策で先行優位を取った企業は競合が追いつくまでに1〜2年の時間的余裕を得られることが多い。この時間差は、中小企業にとって大きな競合優位です。

成果を出す設計が分かっても、やり方を間違えれば効果は出ません。VTuberキャスティングで企業が犯しがちな失敗は、3つに集約されます。すべて事前に対策できるものです。
最も多い失敗が、企業側がVTuberに台本を一字一句指定するケースです。
VTuberのファンは、その演者の語り口やリアクションに愛着を持っています。台本どおりの棒読みプレゼンが始まった瞬間、コメント欄には「案件だな」という反応が並び、エンゲージメントは急落します。最悪の場合、「推しに変なことをさせている」とファンの怒りがスポンサー企業に向かいます。
回避法は「余白のあるディレクション」です。伝えるべきポイント(商品の特徴、キャンペーン情報)を3〜5つに絞り、その伝え方はVTuber本人に委ねます。自然な語り口で紹介されるからこそ、ファンは「推しが本当に良いと思っている」と受け取り、購買行動につながるのです。
2つ目の失敗は、既存IPの強固なファンコミュニティに、そのIPと馴染みのないVTuberを突然起用するケースです。
長年のファンがいるゲームや商品に、文脈のないVTuberを公式アンバサダーとして据えると、「なぜこの人なのか」「世界観が壊れる」という反発が起きることがあります。既存ファンとVTuberファンの2つの強いコミュニティがあるとき、橋渡しを設計しないと衝突が起きます。
回避法は「ブリッジ設計」です。VTuber側が事前にそのIPをプレイ・体験して自らファンになった上でタイアップに臨む。あるいは、そのIPのファン層と親和性の高いVTuberを選定する。丁寧な文脈づくりをすれば、衝突ではなく相乗効果が生まれます。
3つ目が、リスク管理の失敗です。プロモーション期間中にVTuber側で活動休止や契約解除が発生するリスクは、常にあります。1人に予算を集中させていると、その1人に何かあった瞬間に施策全体が止まります。
回避法は3つあります。まず、事務所所属のVTuberを起用すること。個人勢と比べて、事務所所属のVTuberはコンプライアンス管理が組織的に行われています。次に、契約書にリスク発生時の対応条項(活動休止時の代替施策、コンテンツの取り下げ手順、違約金の取り扱い)を入れること。最後に、複数のVTuberによる分散起用を検討すること。3〜10名で施策を組めば、1名に問題が発生してもダメージを最小化できます。
この3つ目の失敗回避法こそ、実はマイクロVTuberの多数起用というアプローチに繋がります。1人の大型に全予算を投じるのではなく、多数のマイクロに分散する——これは費用対効果の観点だけでなく、リスク管理の観点からも合理的な設計なのです。
VTuberキャスティングは、登録者数で選ぶ「大型起用の単発施策」から、マイクロVTuberを多数継続起用する「アンバサダー型の継続投資チャネル」へと変わりました。
85%以上が複数回実施されているという事実、9業種に広がる企業案件、そしてパラソーシャル関係や真正性の研究が示す心理構造——これらすべてが、同じ方向を指しています。マイクロ×継続×アンバサダーの発想を持った企業だけが、VTuberキャスティングの真の効果を引き出せます。
この発想の転換に気づいた企業は、すでに選択肢を広げ始めています。気づいていない企業は、大型起用の見積もりを見て「高すぎる」と諦めるか、1回試して成果が出ず「効果がなかった」と結論づけるかの、どちらかの道を歩みます。
もしこの記事を読んで、自社の商材に合ったマイクロVTuberを探してみたい、あるいはアンバサダー型の継続施策を小さく始めてみたいと感じたなら、次の一歩は「設計ができる会社と組むこと」です。どのマイクロVTuberを、どう組み合わせて、どれくらいの期間で継続するか。この設計の精度が、施策の成否を分けます。
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