NOKID編集部
1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。
SNSで人気になったキャラクターが突然、別の誰かの手によって商品化されていた…そんなショックな経験をした企業・クリエイターは少なくありません。どれだけ想いを込めて作ったキャラクターでも、法的に守っていなければ、他人に先回りされて使われてしまうのが現実です。
「商標なんて、大きな会社や有名なブランドだけが使うもの」と思っていませんか?むしろ、個人や小規模なクリエイターこそ、商標という“盾”を持つべきなのです。何も手を打たなければ、真似されても取り返せないリスクがどんどん広がります。
著作権で十分だと思っていたら、名前やロゴが真似されたときに何もできない...SNSでバズっても、他人にその名前を商標登録されてしまえば、自分が使えなくなることすらあるのです。
つまり、あなたのキャラクターが持つ“名前”や“象徴”を、ちゃんと守る準備をしておくこともキャラクターを作る際には不可欠なのです。名前が保護されているからグッズ展開も堂々とできるようになり、ファンにも「公式」の信頼感を与えることができます。
そこで今回は、キャラクターが人気になる前にやっておきたい「商標登録のやり方」について紹介していきます。
キャラクターライセンスについては「キャラクターライセンスとは?他社IPを活用してブランド価値を高める方法を紹介」もチェックしてみてください。
「商標権」と「著作権」は、守るものも発生のしかたも違います。両方をセットで理解しておくことが、キャラクターを守ることになります。
・商標権とは「名前」や「ロゴ」など、ビジネスで使う“目印”を守るもの ・著作権とは「イラスト」や「文章」など、作った“中身”を守るもの |
また、商標権は「他人が知らずに使っても侵害」になりますが、著作権は似ていても「偶然なら違法とは言えない」場合もあります。
商標権は登録しないと守られませんが、著作権は描いた瞬間から自動的に守られます。
商標権とは、あなたがその名前やロゴを「ブランドの印として使っている」と公に認めてもらうための権利です。ただし、これは著作権と違って自動では守られません。特許庁に出願して審査を通過し、登録されてはじめて効力を持ちます。
商標は、名前・ロゴなどが指定した商品やサービスの範囲内で独占的に使えるという、とても強力な権利です。しかも、10年ごとに更新すればずっと保てます。
例えば、あなたが考えたキャラクターの名前でTシャツを売ろうとします。商標登録をしていないと、別の人が同じキャラクターの名前を先に商標登録し、あなたが使えなくなる...なんてことも実際にあります。
<ポイント> • 商標は登録してはじめて守られる「決めた範囲内で名前とロゴを独占使用できる」権利 |
著作権は、作品を作った瞬間から自然に発生する「創作者を守ってくれる」権利です。誰かに見せたり販売しなくても、完成した時点で著作者のものとして守られるしくみになっています。申請も登録も不要です。
著作権には、作品の内容を勝手に変えたり、作者の名前を勝手に使ったりできないようにする「人格権」と、無断でコピー・販売されないようにする「財産権」の2つがあります。
例えば、あなたが描いたキャラクターのイラストが、SNSで拡散されたとしましょう。誰かがそれを知った上で勝手にLINEスタンプにして販売したら、その人は著作権侵害になります。
<ポイント> • 著作権は自動的に発生する「キャラの見た目やストーリー=表現を守ってくれる」権利 |
関連記事:著作権の譲渡とライセンス契約の注意点を解説!発注前に知っておくべきこと
参考:知っておかなきゃ、商標のこと!商標を分かりやすく解説! - 内閣府大臣官房政府広報室
商標登録は「権利を守る」ためだけでなく、キャラクターを安心して育てていくための保険のような存在でもあります。SNSで話題になったキャラクターは多くの人に知られる反面、「名前」や「見た目」が他人に使われてしまうリスクが出てきます。
特に、名前については商標登録をしていないと、「それはうちのキャラです」と言っても法的に止めるのが難しい場合があります。逆に、商標登録をしておけば「これは自分のキャラクターです。」と第三者に明確に示すことができるので、信頼やビジネスのチャンスにもつながります。
例えば、自分で描いたキャラクターを仮に「キャラA」と名付けて、SNSでバズったとします。ですが、商標登録をしていなければ、知らない誰かが「キャラA」という名前の商品を勝手に販売しても、名前の使用については差し止めが難しくなるのです。
さらにその名前を別の人に商標登録されてしまった場合、あなたが「使うな」と言われる立場になってしまうことすらあります。
<ポイント> ・キャラが人気になった時に登録していないと、他人に名前が奪われるリスクがある |
商標登録にはお金がかかりますが、それは“将来の自分”を守るための費用とも言えます。個人レベルでも手順さえ知っていれば、きちんと守るための準備ができます。
具体的には、出願のときにかかるのが12,000円(3,400円+8,600円×区分数)ほどです。登録が通れば、10年分の保護を得るために32,900円ほどかかります。これらは1つの「区分」に対して必要な金額です。
※2025年5月時点
※書面で提出した場合の電子化手数料:2,400円+(800円×書面のページ数)
(参照:手続料金計算システム 国内出願に関する料金)
例えば、キャラクターの名前をTシャツでも、スタンプでも使いたいなら、それぞれの区分を選ぶ必要があります。
<ポイント> ・登録費用は“コスト”ではなく、“防御力を買う投資”と考える |
SNSで使っている名前でも、条件を満たせば立派な商標になります。「ネットで使ってるだけだから関係ない」と思うのは、損をする考え方です。
商標とは、誰かに「これはあなたのもの」と認めてもらうためのマークのようなものです。SNSで広めた名前であっても、独自性があり、他の商標とぶつからなければ登録は可能です。
例えば、「うさぎ」だと一般的すぎますが、「うさパン」などの他にない名前なら登録チャンスがあります。SNSでずっとその名前を使っていれば、「私はこの名前を使ってきました」と証明する材料にもなります。
<ポイント> ・J-PlatPatで検索して、似た名前がないか確認する ・X(Twitter)やInstagramの投稿をスクショで保存しておく |
キャラクターを総合的に守るためには、商標権(文字・図形商標)・著作権・利用実績の3つを活用する複合的な保護が必要です。
キャラクターの魅力は、名前やイラストだけでなく、決めゼリフやポーズ、物語の世界観にまで広がります。ただし、これらすべてを商標だけで守ることはできないため、それぞれに合った方法で保護していくことが大切です。
例えば、以下のような方法が挙げられます。
例:
・名前・ロゴ → 文字商標/図形商標
・決めゼリフ → 文字商標(一般的な表現では登録が困難な可能性あり)
・イラスト → 図形商標 + 著作権
・世界観・物語 → 著作権 + SNSや出版での使用実績(トラブル時の対策)
確実にすべてを守れるかは状況によるかもしれませんが、制度を利用しつつ第三者からの認知を得ておくことで、先に抑制できるようにしておきましょう。
<ポイント> ・SNSや販売実績などの記録を保存し、利用実績として活用する |
キャラクターを本格的にビジネス展開するなら、「名前」と「見た目」の両方を登録するのが理想的です。ただし、すぐに両方を登録するのが難しい場合には、「どちらを先に守るか?」をしっかり考えることが重要です。
商標登録には「文字商標(名前を守る)」と「図形商標(イラストを守る)」があります。
名前だけを登録する場合... ・ブランド名(グッズ名など)には強くなれますが、イラストの模倣に対しては商標では対応できない ※イラスト自体には著作権が発生しているため、完全なコピーなら防げる可能性がある |
イラストだけを登録した場合... ・グッズでの使用やロゴとしての保護には役立ちますが、名前を勝手に使われる可能性が残る |
例えば、仮にNOKIDのマスコットキャラクターとして「にゃんKID」というキャラクターが人気になったとします。名前だけを商標登録していた場合、他の人が似たイラストを使っても「違う名前」を使っていれば止めることが難しいと言えます。
同様に、イラストだけを登録していた場合、他の人が「にゃんKID」という名前を使っても「絵が違う」と対応が難しくなります。
<ポイント> ・予算に余裕があれば、名前とイラストの両方を登録することを検討する |
商標登録をせずにキャラクターグッズを販売することは、無防備に商売を始めるようなものであり、将来的な展開を自ら閉ざす危険があります。
登録をしていない場合、他人が同じ名前や見た目を登録し、あなたのグッズが「侵害行為」とされる可能性があります。また、登録がないと、ECサイトや企業とのコラボレーションで信用を得ることが難しくなります。
例えば、自社で作ったキャラクターのグッズを販売していたところ、他の人が同じキャラクターを商標登録し、あなたのグッズが販売できなくなるケースがあります。
<ポイント> ・初期のグッズ展開でも、キャラクター名の文字商標を先に出願する |
商標の区分選びは、キャラクターの将来を見据えて考えることが大切です。今だけでなく、数年後の展開を考慮して選ぶようにしましょう。
商標は「指定商品・役務(サービス)」ごとに区分が分かれています。
例:
・LINEスタンプ:デジタルでダウンロード可能な電子出版物(第9類)
・Tシャツ:おむつなどの限定的ではない人が着用するもの(第25類)
・イベント:イベントの企画・運営 or イベントの販促活動(第41類 or 第35類)
1つでも漏れると、他人に取られても文句が言えないエリアが生まれます。同じようなキャラクターの見た目であれば「著作権侵害」で止められるケースもあります。ですが、名前の使用については「区分を商標登録」しておく必要があります。
<ポイント> ・該当する区分を確認し、優先順位をつける ・予算に余裕がない場合は、リスクの高い区分から優先的に登録する |
キャラクターを守るためには、計画的な商標登録と著作権の理解が不可欠です。将来的な展開を見据え、早めの対策をしておきましょう。
参考:類似商品・役務審査基準〔国際分類第9版対応〕 - 特許庁
キャラクターの名前やロゴを守る第一歩は、「すでに誰かに取られていないか?」を確認することです。
この作業を先行商標調査と呼び、無料で使える「J-PlatPat」という検索サービスを使えば、自分でもチェックできます。
ただし注意点として、単に“完全一致”だけではなく、似た言い回しや読み方でもアウトになる場合があります。
例えば、「ネコチャン」と「ネコちゃん」でも、「類似」とみなされる可能性があるのです。
<ポイント> ・名前のバリエーション(ひらがな・カタカナ・ローマ字)で複数検索してみる ・調べるときは、読み方・意味・表記まで考慮する |
キャラクターの商標登録では、「名前だけで大丈夫」と思われがちですが、それは大きな落とし穴です。
見た目(図形商標)、名前(文字商標)、ポーズや口ぐせ(動きや音の商標)など、守れる範囲は意外と広いのです。
例:
・名前:キャラクターのニックネームや愛称など
・図形:イラストやロゴ
・セリフ:特徴的な決めゼリフ(音声商標の場合)
「これだけは絶対に真似されたくない!」という要素を事前に決めておき、優先的に登録していきましょう。
<ポイント> ・キャラクターの名前以外にも登録が必要かを決める |
商標は「どの商品・サービスに使うか」を指定する必要があります。これを「区分」と言い、全45種類に分類されています。
この際、「今やってること」だけで考えないことです。「数年後に展開しそうなもの」も含めて登録することで、後々のトラブルを防げます。
<ポイント> ・あとで「登録し忘れてた…」とならないよう、3〜5年先を見越して登録する |
出願では、書類の形式・内容にミスがあると、全体が無効になる可能性があります。特にキャラクターグッズの場合、意匠権で保護されるのは製品の形状のため、審査中に変更を加える必要がないよう注意しましょう。
例えば、カラーで登録した場合、色違いのグッズは「対象外」と判断されることもあります。他にも、「正面を向いた顔」を登録したのに、「横向きの顔」では保護されないというケースもあります。
<ポイント> ・できれば複数のポーズや角度で申請しておくと安心 |
項目 | 内容 | 時期 |
出願公開 | 出願内容を一般公開。登録されたわけではない。 | 出願から約2〜3週間 |
審査開始〜登録可否の判断 | 審査官による詳細チェック。拒絶理由などへの対応も含む。 | 約6か月〜1年程度 |
登録確定後の公告・登録料納付 | 登録が認められると「登録査定」→ 登録料支払い → 登録完了 | 審査通過後 |
出願内容が一般に公開される手続きのことで、早ければ出願日から2〜3週間程度で特許庁のデータベース(J-PlatPatなど)に反映されます。
この目的は、「この商標は誰かが申請中ですよ」と社会に知らせて、同じ商標の重複出願や紛争を防ぐための透明化の仕組みです。この段階は、あくまで「出願内容の公開」であり「登録された」わけではありません。
商標審査官が、「この商標が登録できるか」を精査します。
・同一または類似の登録商標がないか(先願調査)
・公序良俗に反していないか(例:不適切な表現)
・識別性があるか(ただの説明的語句などは不可)
この審査結果が出るまでに通常6か月〜12か月程度かかります。
※補正や意見書提出、拒絶理由通知への対応が必要なケースでは、さらに時間が延びることも
さらに、「類似している商標がある」「記載ミスがある」といった理由で、「補正指令」や「拒絶理由通知」への対応が発生すると、さらに時間が延びることもあります。
ここであきらめずに、冷静に修正して再提出することで通るケースもあるため、専門家との連携は重要です。特にキャラクター商標は感覚的な判断が多く、弁理士との連携は非常に効果的です。
<ポイント> ・審査期間が長いため専門家にチェックしてもらって進める |
商標は「登録して終わり」ではありません。使っていない商標は、取り消される可能性があるのです。
定期的にSNSやグッズ展開、イベントなどでキャラクターを活用しておくことで、「継続して使用している証拠」となります。さらに、10年ごとの更新手続きを忘れずに行うことも必須です。
キャラクターの商標登録は、面倒な「お役所仕事」ではなく、クリエイターの「未来の自由」を守る準備です。誰にも奪われない“名前”と“姿”を、自分のものとして守る。それこそが、あなたのキャラクターを育て、ブランドとして羽ばたかせるための、最初にして最大の一歩なのです。
<ポイント> ・SNSで毎月1回、キャラを使った投稿を残す ・グッズを販売したら、販売記録を保存しておく |
参考:出願支援ガイド「商標出願ってどうやるの?」 - 特許庁
参考:初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ - 特許庁
キャラクターを活用したPR、ブランドのイベント企画といったPR活動は、動画制作だけでなく数々のイベントの認知拡大を支援してきた我々NOKID(ノーキッド)なら、幅広いご提案とクリエイティブ制作が可能です。
アニメーションという表現方法の中にも、スライドに動きをつけたものから3DCGを活用したもの、セル画など多岐に渡るテイストがあります。
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ここまでのポイントをまとめます。
デザインは著作権があるため問題ないと思っていても、ビジネス展開においてはキャラクターの名前やロゴを保護しておくために商標登録が不可欠です。将来的な展開を見据えて必要な区分を選定し、商標登録を行うことで、他社による無断使用や模倣を防ぎ、ブランドの信頼性を高めることができます。
当社ではアニメーションやキャラクターの企画から、SNSを中心に国内海外問わずIPビジネス展開のサポートを行ってきた経験から、IPの価値を上げて守る部分まで「はじめてキャラクターを活用する」ような場合でも伴走してサポートしております。
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NOKID編集部
1000件以上の映像制作実績を誇る株式会社NOKIDの編集部メンバーが監修。キャラクター・アニメーション分野のノウハウやトレンドの活用手法の紹介が得意です。