自社のキャラクターの順位を上げたい。そう考えたとき、たいていは「話題を作れば順位は付いてくる」という前提で施策を組みます。
ところがサンリオキャラクター大賞の順位表を2019年から2026年まで並べて数えてみると、その前提が当てはまりませんでした。前年から10位以上あげたキャラクターは、8年間で13件あります。その13件は、1件も上位20位に入っていません。いちばん上まで届いたキャラクターでも24位止まりでした。
一方で、この7年間に上位10位へ新しく入ったキャラクターも2体だけいます。その2体はどちらも、サンリオが2020年に「人気にかげりが出た」6体を選んで束ねたユニットの一員でした。
つまり、順位を大きく上げることと、上の層に入ることは、別の出来事として起きています。この記事では、サンリオが公表している1位から90位までの順位表を年をまたいで突き合わせ、順位が動く場所がどこに決まっているのかを見ていきます。自社のキャラクターがいまどのあたりにいて、何を確かめればいいのかを持ち帰ってもらうことがねらいです。
先に断っておきます。この記事で使う順位と得票数は、すべてサンリオが公表しているものです。得票数は投票された票の数であって、投票した人の数ではありません。理由は記事の後半で説明します。
まず、「上位はどうせ動かない」という見立てが正しいのかどうかから見ていきます。
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ / 「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ
サンリオキャラクター大賞の歴代1位は、41回で10体しかいない
サンリオキャラクター大賞は1986年に始まり、2026年で41回目を迎えました。この41回で1位になったキャラクターは10体だけです。上位の顔ぶれが簡単には入れ替わらないという実感は、数字の上でも正しいものでした。この章では、その実感がどこまで正しくて、どこから正しくないのかを41回分の記録で見ます。

参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ
上位が動かないと感じているなら、その見立ては合っている
上位の顔ぶれはどうせ入れ替わらない。他社のキャラクターの順位を眺めていて、そう感じたことがあるなら、その見立ては疑わなくて構いません。41回分の記録が同じことを示しています。
2026年の結果発表で、サンリオは1986年から2026年までの歴代1位を一覧で公表しています。この41回分を1年ずつ数えると、1位になったキャラクターは10体でした。
内訳はハローキティが15回、シナモロールが7回、ポチャッコとポムポムプリンが各5回、マイメロディが3回、みんなのたあ坊が2回、ザシキブタ・マロンクリーム・けろけろけろっぴ・バッドばつ丸が各1回です。
41回のうち15回、つまり3回に1回以上をハローキティが取っています。10体という数は、サンリオが展開しているキャラクターの数から見ればごく一部です。
「上は動かない」という実感のほうが、記録と合っていました。この記事は、その実感を崩すところからは始めません。動かないことを前提に置いたうえで、それでも動いた場所がどこなのかを探していきます。
参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ
どれだけ長い連覇も、いつかは切れている
ただし、上位が固定されているのと、上位の顔ぶれが変わらないのは、同じことではありません。同じ歴代1位の一覧を、連続して1位だった区間で見ると、長さに大きな差があります。
ハローキティは1998年から2009年まで12年続けて1位でした。これに次ぐのがポチャッコの1991年から1995年までの5年と、シナモロールの2020年から2024年までの5年です。
12年と5年では、倍以上の開きがあります。そしてどの連覇も、いつかは切れています。12年続いたキティの1位も2010年に途切れ、5年続いたシナモロールも2025年に途切れました。
上位が固定されているというより、限られた顔ぶれの中で入れ替わっている。これが41回分の実際の形でした。自社のキャラクターが割り込む余地があるかどうかは別として、いま上にいるキャラクターがそのまま永久に上にいるわけではない、というところまでは記録が示しています。
参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ
上位が入れ替わるのは、7年に2体という頻度
では、その入れ替わりはどのくらいの間隔で起きるのでしょうか。2019年と2026年の上位10位を突き合わせてみます。
2019年の上位10位は、ハローキティ、シナモロール、ポムポムプリン、マイメロディ、ポチャッコ、リトルツインスターズ、クロミ、YOSHIKITTY、ぐでたま、タキシードサムでした。2026年になると、YOSHIKITTYとぐでたまが外れ、代わりにあひるのペックル(2019年は23位)とハンギョドン(同18位)が入っています。
7年かけて入れ替わったのは2体です。残る8体は7年前と同じ顔ぶれでした。
7年に2体という頻度は、社内で期間を見積もるときの目安になります。上位10位を狙うなら、年に1度の順位表を何回か見送る前提で計画を立てることになります。1年や2年で判断すると、そもそも入れ替わりが起きない期間を見ていることになりかねません。
そして、めったに起きないからこそ、その2体に何があったのかが手がかりになります。この記事の後半で、その2体を追いかけます。
なお、どんなキャラクターが票を集めやすいのかという性格の面は、応援されるキャラクターの条件で別に整理しています。この記事で見ているのは順位が動く場所のほうです。
参考:2019年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ / 2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
サンリオキャラクター大賞で順位を10位以上あげたのは13件だけ
サンリオは各年の結果発表で、1位から90位までの総合順位を公表しています。この順位表を年をまたいで突き合わせると、大きく順位を上げた事例が8年間で13件あることが分かります。この章では、その13件がどこから動き出して、どこで止まったのかを追います。上げることと上の層に入ることが別の出来事だと分かるのが、この章です。

参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
順位が大きく動くのは、当たり前に起きることではない
2019年から2026年までの順位表のうち、前年と比べられる区間は6つあります。この6区間で、前年から10位以上順位を上げたキャラクターを数えると13件でした。
最大はバディエディで、2025年の85位から2026年の50位へ35ランク上げています。この35という数字は、サンリオが同じ年の結果発表で「昨年から35ランクアップした『バディエディ』が受賞」と書いているジャンプアップ賞の説明と一致しました。こちらの集計が公式の発表と合っていることの確認になります。
8年間で13件ということは、90体がエントリーする大会で、大きく順位が動くのは年に2件ほどという計算になります。
順位が大きく動くのは、毎年どこかで当たり前に起きていることではありませんでした。90体のうち年に2件です。自社のキャラクターで「今年こそ大きく上げる」と目標を置くとき、この頻度が期待の大きさを測り直す材料になります。動かないのが普通で、動いたほうが例外という順序で見ておくと、翌年の順位表を読む目つきが変わります。
参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - PR TIMES
大きく動く余地は、下の層にしかない
その13件が、それぞれ何位から何位へ動いたのかを、年の順に並べます。
- 2023年 まいまいまいごえん:57位 → 34位
- 2023年 ウメ屋雑貨店:64位 → 53位
- 2024年 ぽっきょくてん:43位 → 30位
- 2024年 チョコキャット:56位 → 46位
- 2025年 チョコキャット:46位 → 24位
- 2025年 プワワ:82位 → 60位
- 2025年 ノラネコランド:66位 → 52位
- 2025年 アドローザトルマリィ:48位 → 35位
- 2025年 メローチューン:74位 → 61位
- 2025年 マシュマロみたいな ふわふわにゃんこ:52位 → 41位
- 2026年 バディエディ:85位 → 50位
- 2026年 ザ ラナバウツ:86位 → 69位
- 2026年 ニャニィニュニェニョン:38位 → 28位
いちばん上位から始まったのは2026年のニャニィニュニェニョンで、38位から28位へ上げています。いちばん下から始まったのは2026年のザ ラナバウツで、86位から69位でした。13件の起点は、この38位から86位のあいだに収まっています。
年ごとの件数にも偏りがあります。2025年が6件で最も多く、2023年と2024年は各2件、2026年は3件でした。毎年同じように起きているわけではありません。
この13件に、上位10位から順位を上げた例はありませんでした。1件もです。
大きく動く余地は、下の層にしかない。これが13件の起点が示している形です。裏を返すと、自社のキャラクターがまだ下のほうにいるなら、そこが動かせる範囲だということになります。上位に近いから有利、下にいるから何をしても動かない、という順序にはなっていませんでした。
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
「順位を上げる」と「上位に入る」は、別の目標だった
ここまでは「どこから上がったか」の話でした。次に「どこまで届いたか」を見ると、この2つが同じ目標ではないことが分かります。
上の一覧を、着地した順位の側から読み直してみます。
13件のうち、いちばん高い順位に着地したのは2025年のチョコキャットで、46位から24位へ22ランク上げました。この24位が、13件の中でいちばん上の着地点です。13件の着地を順に並べたとき、真ん中に来るのは46位でした。
上位20位に入った例は、この13件にありません。1件もです。35ランクという最大の上昇を記録したバディエディでさえ、着地は50位です。20ランク以上あげた3件(チョコキャット・プワワ・まいまいまいごえん)を見ても、着地は24位・60位・34位で、いずれも上位20位の外でした。
上昇の幅が大きいこととは関係なく、着地する場所が決まっているように見えます。大きく上がった13件は、下の層の中で動いただけで、上の層には入っていませんでした。話題を作れば順位は付いてくると考えて施策を組むと、発表のたびに順位は一時的に動きますが、翌年には元の層に戻ります。13件の着地が全て24位より下で止まっているのは、その形です。
この差は、社内で目標を書くときに効いてきます。「順位を上げる」を目標に置くと、達成できたかどうかは翌年の順位表で判定されます。13件の例で言えば、10位から35位ぶん上がっても達成です。一方で「上位に入る」を目標に置くと、8年間で1件も達成していない目標を掲げることになります。
どちらが正しいという話ではなく、同じ「順位を上げたい」という言葉が、2つの違う目標を指しているということです。社内で目標を書くときは、先にどちらの話をしているのかを決めておきます。決めないまま進めると、施策の評価が噛み合わなくなります。
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
順位は、1年で区切ると説明がつかなくなる
順位が上がったあと、その位置に留まれたのかどうかも数えられます。13件のうち、翌年の順位まで追えるのは9件です(2026年に上がった3件と、2026年が最新のため翌年がない1件は追えません)。
翌年に順位を下げていたのは8件です。下がり幅を順に並べて真ん中を取ると6位です。いちばん大きく下げたのはアドローザトルマリィで、2025年に35位まで上げたあと、翌年は56位に戻っています。
翌年も上げたのは1件だけでした。チョコキャットは2024年に56位から46位へ、2025年に46位から24位へと、2年続けて上げています。13件の中でいちばん高い24位に着いたのが、この2年連続で上げた1件でした。
つまり、大きく上がるという出来事は起きますが、その位置に留まるほうが難しいと分かります。1年だけ上げた8件はいずれも元の層へ戻っており、上の層に近づいたのは2年続けて上げた1件だけでした。
ここから、報告のしかたの話になります。1年ぶんの順位の動きを成果として報告すると、翌年に説明がつかなくなります。今年の上昇を施策の成果として社内に出した場合、翌年に下げた8件と同じ結果になれば、下降を説明する材料を持たないまま次の予算の話に入ることになります。順位を報告に使うなら、単年で区切らず、2年か3年をひとまとまりとして見せる形にしておきます。
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
上がった側が用意していたのは、話題ではなく票の経路だった
では、上がった13件は何をしていたのでしょうか。サンリオの各年の発表を、順位が動いた年の前後で読み直してみます。
チョコキャットが46位から24位へ上げた2025年、サンリオは投票サイトの多言語対応を進めていました。同年の初回速報では、チョコキャットがアメリカとブラジルの地域別ランキングで暫定1位になったことが発表されています。
同じ2025年に82位から60位へ上げたプワワについては、エントリーした全90体の個別の投票導線とビジュアルを、公式サイト上で均等に公開したことが発表に出てきます。
2026年に35ランク上げたバディエディは、サンリオの英語教育プログラムに関連するキャラクターとして公式にノミネートされていました。
3件に共通しているのは、投じられる票の量を増やす仕掛けではなく、票が入る場所を用意する動きが記録に残っていることです。多言語で投票できるようにすること、90体すべてに同じ導線を用意すること、別の事業の枠でノミネートすること。どれも、それまで票が入らなかった経路を作っています。
上がった側が用意していたのは、話題ではなく票の経路でした。自社のキャラクターで同じことを考えるなら、問いは「どうすれば話題になるか」ではなく「いま票が入らない経路はどこか」になります。話題づくりは打ち手の数で測れますが、経路は有無で測れます。社内で説明するときも、後者のほうが進み具合を示しやすくなります。
参考:【中間順位発表】「2025年サンリオキャラクター大賞」 - PR TIMES
サンリオキャラクター大賞で上位に届いたキャラは、会社が選んでいた
2019年から2026年でサンリオキャラクター大賞の上位10位に新しく入った2体は、どちらもサンリオが2020年に結成したユニット「はぴだんぶい」の一員でした。ここまでで、大きく上がる動きが下の層に限られていることを見てきました。この章では、上の層に届いた2体のほうを追い、その動きが誰の判断から始まっていたのかを見ます。

参考:2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
立て直しは、権利を持つ側が決めるところから始まる
サンリオは2020年、男の子のキャラクター6体を「はぴだんぶい」というユニットとして発表しました。6体はポチャッコ、あひるのペックル、タキシードサム、けろけろけろっぴ、バッドばつ丸、ハンギョドンです。
このユニット名について、サンリオは公式メディアで「ハッピーになりたい男子たち、V字回復をねらう」の略だと説明しています。名前の時点で、立て直しを目的にした枠だと明かしています。
結成の経緯について、担当者はこう語っています。
「人気にかげりが出る時期もありました」
「かつての人気を復活させるべく」
この「かつての人気を復活させるべく」という言葉に続いて、6体が選ばれています。ここで動いたのは、キャラクターの側ではありません。6体を選んで、束ねる枠を作った会社の側です。
立て直しは、権利を持つ側が決めるところから始まっていました。読者が自社のキャラクターの権利を持っている側なら、この判断は他人事ではありません。どのキャラクターを動かす対象にするかを決められる立場に、すでにいるということになります。
参考:サンリオの男のコキャラクターユニット「はぴだんぶい」が結成5周年! - SanrioTimes
対象に選ばれたかどうかが、7年後の位置を分けている
このユニット結成に効果があったのかどうかを、順位で確かめてみます。2019年と2026年の両方に順位があるキャラクターは65体いるので、この65体をユニットの6体と、それ以外の59体に分けて、7年間の変化を比べました。
6体の変化を順に並べて真ん中を取ると2.0位の上昇、59体のほうは3.0位の下降でした。同じ7年、同じ順位表の中で、向きが反対になっています。6体それぞれの動きは次のとおりです。
- あひるのペックル:23位 → 6位(17上昇)
- ハンギョドン:18位 → 9位(9上昇)
- ポチャッコ:5位 → 3位(2上昇)
- タキシードサム:10位 → 8位(2上昇)
- バッドばつ丸:12位 → 11位(1上昇)
- けろけろけろっぴ:11位 → 14位(3下降)
2026年の上位10位には、この6体のうち4体が入っています。そして先ほど見た「7年で新しく入った2体」は、あひるのペックルとハンギョドンで、どちらもこのユニットの一員でした。
会社が動かす対象に選んだかどうかが、7年後の位置の差として出ています。上がったのはそのキャラクターに魅力があったからだ、という説明では、6体と59体で向きが反対になる理由が出てきません。
ただし、6体全員が上がったわけではありません。けろけろけろっぴは11位から14位へ下げています。選べば必ず上がる、という話ではありませんでした。
参考:2019年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ / 2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
当事者は、ひとつの決め手として語っていない
順位の数字だけを見ると、ユニット結成が効いたように読めます。ただし、会社側の言い方はもう少し慎重です。
同じインタビューで、担当者は結果についてこう話しています。
「サンリオキャラクター大賞での順位もジャンプアップし、個々の活動の場や商品も増えて、V字回復を達成できたのではないかな」
「できたのではないかな」という言い方です。断定していません。
そして、この一文の中で挙げられているのは順位だけではありません。「個々の活動の場や商品も増えて」と並べています。最初に取り組んだのは「バンドチャレンジ」という企画だったことも、同じインタビューで語られています。
当事者は、ひとつの決め手として語っていません。ユニットを組んだから順位が上がった、という単純な話ではなく、束ねたうえで6年ぶんの活動の場と商品を作り続けたことが、あわせて記録されています。サンリオが複数のキャラクターでどう収益を組み立てているかは、サンリオがIPで安定収益を生む仕組みで扱っています。この記事でも、ユニット結成と順位上昇の因果は断定しません。ユニット結成以外の要因を数えていないためです。
社内で他社事例を引くときに効いてくるのは、この断定していない部分のほうです。「この施策で順位が上がった」と1つの決め手に還元して説明すると、同じことをやって動かなかったときに説明が続かなくなります。当事者自身が6年と複数の要因を並べている、という形で持っていくほうが、そのまま使えます。決め手を1つ探すより、期間と積み重ねで見るほうが、社内では通しやすくなります。
サンリオキャラクター大賞の順位表は、人の数を数えていない
サンリオキャラクター大賞では、店舗で1,100円以上買い物をすると550円ごとに3票分を追加でき、総得票数は2018年の484万票から2026年の7,064万票へ増えています。この章では、順位を社内の資料に使う前に確かめておくことを3つ挙げます。何を数えた数字か、数え方は保たれているか、その物差しは来年もあるか、の3つです。

参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」投票スタート - PR TIMES
順位の増減を人気の増減として読むと、読み違える
サンリオキャラクター大賞の投票は、公式サイトから1日1回無料でできます。ただし、票を増やす方法はそれだけではありません。
サンリオショップなどで1,100円以上買い物をすると、550円ごとにチップが1枚もらえます。このチップ1枚が、集計では3票分として数えられます。会員サービス「Sanrio+」で貯まるポイントも票に交換でき、毎日ログインすると投票券がもらえる仕組みもあります。
総得票数の推移を見ると、2018年は484万票でした。それが2026年には7,064万票になっています。8年で14.6倍です。
この順位表が数えているのは、そのキャラクターを好きな人の数ではありません。票がどう集められたかを含んだ数字です。だから、順位や得票数の増減を、そのまま人気の増減として読むと読み違えます。
社内で順位を出すときは、「何位だった」の前に「何を数えた順位か」を1行添えておきます。後から聞かれて答えられない数字を根拠にすると、そこで話が止まります。
なお、投票の仕組みが変わったことが得票数を増やしたのかどうかは、この記事では確かめていません。時期が重なっていることだけを並べています。
参考:「2026年サンリオキャラクター大賞」投票スタート - PR TIMES / 「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ
順位を根拠に使うなら、数え方まで確かめる要がある
票を積み増せる仕組みは、積み増し方をめぐって当事者の見解が割れる場所にもなります。サンリオ大賞の外の話になりますが、ゆるキャラグランプリで実際に起きた例を見ておきます。
2018年のゆるキャラグランプリで、三重県四日市市の「こにゅうどうくん」は事前のインターネット投票で118万9,262票を集め、暫定1位でした。ところがこの投票をめぐって、四日市市役所がネット投票に必要なメールアドレスを2万個作成していたことが分かります。
実行委員会は、実体のないIDからの投票を無効と判断しました。会長の西秀一郎氏は、削除の基準をこう説明しています。
「客観的に見て、おかしいなというIDを削除させていただいた結果がこの結果。怪しい捨てアカウントにメールを送り、実在していますか?の問いかけに対して、返事がなかったものだけを削除しました」
結果として、こにゅうどうくんは最終80万5,207票で3位。38万票以上が無効になりました。一方で四日市市の森智広市長は「一切、組織票は入ってないと私は思っています」と述べており、見解は割れたままです。
順位を社内の根拠として使うなら、その順位が何をどう数えたものなのかまで確かめる要があります。公式が発表した順位なら、そのまま持っていける。そうとは限らないのが、この年に起きたことです。数え方が途中で見直されると、発表前と発表後で順位が変わります。公平さは自動では保たれません。
参考:ゆるキャラGP実行委 膨大な“無効票”特定した地道な作業「怪しいアカウントに…」四日市だけで38万 - 東海テレビ
外部の順位は、毎年測り続けられる物差しにはならない
もうひとつ、外部の投票イベントを指標として使うときに知っておきたいことがあります。イベントそのものが、続くとは限らないという点です。
ゆるキャラグランプリは2020年の大会をもって終了しました。実行委員会の西会長は、終了について「イベントとして一定の役割を終えたと感じた」と話しています。
ここで注意したいのは、終了を決めた時期です。組織票の問題が起きたのは2018年ですが、会長はこう語っています。
「ゆるキャラグランプリの終了を決意したのは東京五輪が決まった際です(2013年)。東日本大震災が起こった2011年にはじまり、復興五輪の直後に終わるのがゆるキャラグランプリの最後に相応しいと思いました」
終了が決まったのは2013年で、組織票の問題より5年前です。不正があったから畳まれた、という筋書きにはなっていません。イベントが終わる理由は1つではありませんでした。
外部の順位は、自社のキャラクターを毎年測り続けられる物差しにはなりません。仕組みそのものが畳まれることがあり、しかもその判断はイベントの側の事情で決まります。順位を年次の指標に据えるなら、その指標が消えた年に何を代わりに見るのかを、先に決めておきます。別の作品の人気投票を、キャラクターの役割から読み解いた例はガンダム総選挙から見る人気キャラの作り方にあります。
参考:役割を終えた?最後の「ゆるキャラGP」が本日決定、“日本列島総アイコン化”を促した9年の歩み - ウォーカープラス
まとめ:上げ方より先に、いまどの層にいるかを見る
サンリオキャラクター大賞の順位表を8年分突き合わせて分かったのは、順位が動く場所が層ごとに決まっているということでした。
下の層では、動きます。前年から10位以上あがった13件は、起点がすべて38位より下でした。ただしその13件は1件も上位20位に入っておらず、いちばん上まで届いた例でも24位です。翌年まで追える9件を見ると、8件は順位を下げています。下の層で起きるのは、下の層の中の移動でした。
上の層は、めったに動きません。7年で新しく入ったのは2体だけで、その2体はどちらも会社が選んで束ねたユニットの一員でした。ユニットの6体は7年で真ん中2.0位の上昇、それ以外の59体は3.0位の下降で、向きが反対です。ただし6体のうち1体は順位を下げており、会社自身も「V字回復を達成できたのではないかな」と断定はしていません。
そして、この順位表が数えているのは人の数ではありません。買い物やポイントで票を積み増せる設計になっていて、総得票数は8年で14.6倍になっています。
だから、自社のキャラクターについて考えるとき、先に来るのは上げ方ではありません。いまどの層にいるかのほうです。下の層にいるなら、動く余地はあるものの、上位20位はその延長線上には無いと分かったうえで目標を書くことになります。すでに上の層にいるなら、順位の維持と、動かす対象として社内で選ばれているかどうかが問いになります。上げ方の話は、この現在地が決まってから始まります。
参考:2019年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ / 2026年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ / 「2026年サンリオキャラクター大賞」結果発表 - 株式会社サンリオ