NOKID編集部
キャラクターIPの専門メディア NOKID Lab の編集部です。アニメーションとキャラクター制作を手がける株式会社NOKIDの知見をもとに、IPの起用事例やコラボ・ライセンスの実務、業界の動きを解説しています。



30年前、サンリオの店頭にぬいぐるみが3体、並べられました。
犬の新しいキャラクターを出すために社内でデザインのコンペをやり、上位に残った3体を店に置いて、来店したお客さんに選んでもらう。担当デザイナーの地井明子さんが、当時のことを話しています。
「ショップに上位3キャラクターのぬいぐるみマスコットを並べ、それを見て投票してもらったんです。 その結果、 “プリン”が最も支持を得ることができてデビューが決定しました」
投票で生まれたキャラクターが、2025年と2026年、サンリオキャラクター大賞で1位になりました。2026年の投票では7,064万7,379票が投じられています。
ただ、この記事はその快挙を紹介するものではありません。1位になるまでの10年ぶんの数字を並べると、新しく入ってくる票を取りに行く競争で、ポムポムプリンは毎回いちばん遅かったからです。それでも1位になりました。
自社のキャラクターを持っている方なら、社内でこう報告したことがあるかもしれません。「昨年より数字が伸びました」。その報告と順位が、どこで繋がっていて、どこで切れているのか。数字を開けるところから始めます。
ポムポムプリンの得票数は、順位を落とした年にも増えていました。順位と得票数は、同じ方向に動くとは限りません。伸び率は、それだけを見ても成果とも失敗とも決められない数字です。

サンリオキャラクター大賞は、サンリオが毎年開いている人気投票です。2026年の発表によれば「450を超えるサンリオキャラクターの中から選ばれたキャラクターがエントリーし、投票数によって順位を決定する人気投票イベント」とされています。同じ発表によると、その年の投票期間は「4月9日(木)11時〜5月24日(日)23時59分」でした。
| 年 | 順位 | 得票数 |
|---|---|---|
| 2020年 | 2位 | 1,288,245票 |
| 2021年 | 2位 | 2,166,543票 |
| 2022年 | 2位 | 2,351,265票 |
| 2023年 | 2位 | 3,695,478票 |
| 2024年 | 4位 | 4,089,750票 |
| 2025年 | 1位 | 5,613,659票 |
| 2026年 | 1位 | 7,135,114票 |
2020年から2023年まで、順位は4年続けて2位で止まっています。そのあと2024年に4位へ2つ下がり、翌2025年に1位へ上がりました。2025年の発表でサンリオはこう書いています。「9年ぶり通算4度目となる1位に返り咲きました」。
「9年ぶり」だけを見ると、9年間どこかに沈んでいたように読めます。ですが表のとおり、その間はずっと2位でした。
自社のキャラクターの順位が何年も同じところで止まっていると、社内では「伸び悩んでいる」と言われます。ただ、順位が動かないことと、そのキャラクターの数字が動いていないことは、同じではありません。
この並びを読む前に、まず片づけておきたい説明があります。「30周年だったから1位になったのでは」という読み方です。
年を突き合わせると、これは合いません。ポムポムプリンが最初に1位を取ったのは2025年で、30周年は翌2026年です。1位のほうが先に来ています。
その2026年の結果発表にも、周年で説明しきれない記述があります。サンリオ自身が「初回速報順位では「シナモロール」が首位となりました」と書いているからです。30周年の年でも、投票が始まった直後の時点では1位ではありませんでした。
30周年の音楽イベント「ポムフェス」の日付も、同じ方向を指しています。開催決定の告知は「2026.7.14」、開催は「2026年9月12日(土)・13日(日)」。投票期間は4月9日から5月24日までなので、どちらも投票が終わったあとです。
周年に予算を寄せること自体を否定する話ではありません。ただ、周年だから票が集まると考えると、1位が周年の前の年に来ていることも、その周年の年に速報で2位だったことも説明がつかなくなります。周年に何を出すかを考える前に、投票期間のどこにそれを置くのかを決めておく、という順番になります。
周年の話を外すと、順位表に戻って引っかかるのは2024年です。2位から4位へ、2つ下げています。
このとき得票数は、3,695,478票から4,089,750票へ動いていました。約39万票、増えています。
票を失って順位を落としたわけではありません。増やしていて、それでも下がっています。
社内で数字を報告する立場からすると、これは落ち着かない事実です。「昨年より39万票増えました」は嘘ではありません。ただしその報告だけでは、順位が2つ下がった理由にたどり着けません。自分の数字が増えたかどうかは、順位の説明にならないからです。
では何を見れば説明がつくのか。同じ年の、ほかのキャラクターの数字です。

2023年と2024年の両方で得票数が公開されているキャラクターは10体です。この10体を数えると、10体とも票を増やしていました。前年より減らした体は1体もありません。
| キャラクター | 2023年→2024年の倍率 | 順位の動き |
|---|---|---|
| ポチャッコ | 1.43倍 | 4位→2位 |
| ハローキティ | 1.42倍 | 5位→5位 |
| シナモロール | 1.29倍 | 1位→1位 |
| マイメロディ | 1.20倍 | 6位→6位 |
| クロミ | 1.16倍 | 3位→3位 |
| ポムポムプリン | 1.11倍 | 2位→4位 |
10体の伸びの中央値は1.21倍でした。ポムポムプリンの1.11倍は、10体のなかでいちばん下です。
同じことが、その前にも起きています。2021年から2022年にかけて、比べられる9体のうちポムポムプリンの伸びは1.09倍で9番目。このときも最下位でした。そして2つの年には共通点があります。どちらも、大賞そのものに投じられた票が大きく膨らんだ年です。2021年から2022年は1.82倍、2023年から2024年は1.42倍に膨らみました。
投票する人が増えた年ほど、その増えたぶんがポムポムプリンには回ってきていません。10年ぶんを並べると、この形が2度出てきます。
自社の数字を「昨年より増えた/減った」で報告している場合、この形は見えません。伸び率は、それ単体では成果でも失敗でもないからです。同じ年に全体がどれだけ膨らんだかを隣に置いて、はじめて自分の数字の意味が決まります。
参考:4月16日はポムポムプリンのお誕生日! 担当デザイナーにインタビュー - Sanrio Times
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 結果発表 - 株式会社サンリオ
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 結果発表(PDF) - 株式会社サンリオ
参考:2025年サンリオキャラクター大賞 結果発表 - 株式会社サンリオ
参考:2024年サンリオキャラクター大賞 結果 - サンリオ
参考:2023年サンリオキャラクター大賞 結果 - サンリオ
参考:ポムポムプリン30周年記念フェス「ポムフェス」 - サンリオ
※ 得票数の倍率と中央値は、上記の結果発表ページに載っている得票数から当社で計算しました。
ポムポムプリンが2位だった年と、はじめて1位になった年で、その年の投票全体に占める割合はほとんど変わっていません。順位が動いても、取っている割合のほうは動かないことがあります。順位が上がったことは、そのキャラクターの取り分が増えたことを意味しません。

ここまでは、ポムポムプリンが集めた票の数を見てきました。次は数え方を変えます。その年に投じられた票の全体のうち、ポムポムプリンが何%を取っていたかを出します。
サンリオが総得票数を発表している年について、ポムポムプリンの得票数を総得票数で割ります。その年の投票全体のうち、ポムポムプリンが取った割合です。
| 年 | 順位 | ポムポムプリンの得票数 | その年の総得票数 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 2位 | 1,288,245票 | 14,556,939票 | 8.85% |
| 2022年 | 2位 | 2,351,265票 | 26,467,259票 | 8.88% |
| 2023年 | 2位 | 3,695,478票 | 44,487,850票 | 8.31% |
| 2025年 | 1位 | 5,613,659票 | 63,160,696票 | 8.89% |
| 2026年 | 1位 | 7,135,114票 | 70,647,379票 | 10.10% |
2位だった2020年が8.85%、はじめて1位になった2025年が8.89%です。順位は2位から1位へ動きましたが、割合はほぼ同じでした。
ここで、順位表というものの見え方が変わります。順位表は、そのキャラクターがどれだけ取ったかの表ではありません。周りとの位置関係の表です。だから自分の割合が動かないまま、順位だけが動くことが起こります。
自社のキャラクターの数字を評価するときも、同じ2つは分けられます。取った割合が変わったのか、周りとの位置が変わったのか。順位だけを見ていると、この2つがひとつに見えます。
割合が動かなかった、と言うだけなら、投票そのものが小さいままだった可能性もあります。そこで分母を確かめます。
サンリオキャラクター大賞の総得票数は、2020年の14,556,939票から2026年の70,647,379票へ、約4.9倍になっています。2026年の発表にはこう書かれています。「総得票数は過去最多の7,064万7,379票(昨年比112%)」。投票そのものが、この6年で5倍近くまで大きくなったということです。
その分母が膨らむあいだ、ポムポムプリンの割合は8.31%から8.89%のあいだで動いていません。分母が変わっても、取っている割合は同じでした。
割合が8%台を抜けたのは2026年の10.10%で、これは1位を2年続けたあとの年です。割合が動いたのは、順位が上がったあとでした。順位が先に動いて、割合があとから動いています。
自社の施策の成果を見るときにも、この順番は起こります。数字に出るのが1年ずれることがある、というだけの話ですが、1年ずれると社内では「効かなかった」と判定されます。判定する時点を、どこに置くか。ここは決めておいたほうがいい部分です。
割合が動かないのは、ポムポムプリンだけの話なのか。ほかのキャラクターでも同じことが起きているなら、この数字に意味はありません。
2023年と2025年の両方で得票数が公開されている10体について、それぞれの割合の増減を出しました。結果は、8体が割合を落とし、上げたのは2体です。上げた2体はポムポムプリン(8.31%から8.89%へ、0.58ポイント)とリトルツインスターズ(3.41%から3.61%へ、0.20ポイント)でした。
つまりこの2年は、比べられる10体のうち大半が、その年の投票全体に占める割合を下げていた期間です。投票そのものが大きくなり、新しく入ってきた票が、それまで上位にいた体には同じ比率で回っていませんでした。
自社の数字が動かないとき、社内では「停滞している」と読まれます。ですが同じ期間に周りがどうだったかを並べないと、その停滞が何を意味するかは決まりません。周りが落としている最中に自分が動かなければ、位置は上がっているからです。
ここまでの2つを重ねます。ポムポムプリンの割合は10年、8.31%から8.89%のあいだで動きませんでした。同じ期間、比べられる10体のうち8体は割合を落としています。
この2つが重なると、ポムポムプリン側では何も起きていないのに、周りとの位置だけが上がります。自分の取り分は同じでも、周りが落とせば相対的な順位は上がるからです。2025年の1位は、この形で来ています。
割合を落とさずに居続けることは、順位が空いたときに受け取れる場所に留まっていることでした。 何かを増やした結果ではありません。減らさなかった結果です。
毎年の評価の物差しを、ここで置き換えられます。「昨年より増えたか」ではなく、「全体がどれだけ膨らんだ年に、取り分を保てたか」。周りが落とす年に自分が保つことが、順位の準備になっています。
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 結果発表(PDF) - 株式会社サンリオ
参考:2025年サンリオキャラクター大賞 結果発表 - 株式会社サンリオ
参考:2023年サンリオキャラクター大賞 結果 - サンリオ
参考:2022年サンリオキャラクター大賞 結果 - サンリオ
参考:2020年サンリオキャラクター大賞 総合順位 - サンリオ
※ 割合(その年の総得票数に占める得票数)と増減は、上記の結果発表ページの数値から当社で計算しました。2021年と2024年は総得票数の公式発表を確認できていないため、その2年の割合は出していません。
国と地域ごとの順位を並べると、ポムポムプリンが上位に着き始めたのは、総合で1位になる年より前でした。同じ順位表では、それまで1位を占めていた側にも動きが出ています。順位の入れ替わりは、上がった側だけを見ていても読めません。

サンリオキャラクター大賞は、日本国内の総合順位とは別に、国と地域ごとの順位も発表しています。2022年からは14の国と地域が対象です。ここには得票数の発表がなく、公表されているのは順位だけです。
「2025年に海外で急に強くなった」という読み方をまず確かめます。国と地域ごとのポムポムプリンの順位を、14の国と地域すべてについて3年ぶん並べました。
| 国・地域 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 3位 | 2位 | 1位 |
| イギリス | 1位 | 1位 | 1位 |
| イタリア | 8位 | 3位 | 1位 |
| オーストラリア | 2位 | 3位 | 1位 |
| シンガポール | 3位 | 3位 | 2位 |
| スペイン | 4位 | 2位 | 1位 |
| タイ | 5位 | 6位 | 4位 |
| ドイツ | 6位 | 4位 | 1位 |
| フランス | 3位 | 3位 | 1位 |
| ブラジル | 5位 | 4位 | 2位 |
| 中国 | 2位 | 2位 | 1位 |
| 台湾 | 1位 | 2位 | 1位 |
| 韓国 | 4位 | 5位 | 5位 |
| 香港 | 5位 | 6位 | 4位 |
順位を上げた国と地域の数を数えると、2023年から2024年で5つ、2024年から2025年で12でした。2025年に一気に動いたように見えますが、その前の年にも動いています。イタリアは8位から3位へ、ドイツは6位から4位へ、スペインは4位から2位へ。2025年より前に、下のほうにいた国と地域が中位から上位へ移っていました。
ただし2025年に1位だったのは、14のうち9つです。シンガポールとブラジルは2位、タイと香港は4位、韓国は5位で、この5つでは1位に届いていません。すべての国と地域で上を取ったわけではない、という並びです。
そして2024年の時点で、アメリカ・イギリス・スペイン・中国・台湾の5つの国と地域で、すでに2位以内に入っていました。にもかかわらず、日本国内の総合順位は4位です。
海外の順位で上のほうに着いていることと、総合で1位になることは、この年にはまだ繋がっていません。2位まで着けている状態は、その年の結果には出てこないからです。
順位表を成果の報告として読むと、この年のポムポムプリンは「5つの国と地域で2位以内、総合4位」という、良いのか悪いのか判断のつかない体になります。結果が出る前の年には、こういう見え方をする期間がある、ということです。それが結果に変わるには、もうひとつ別のことが要りました。
2025年に大きく動いたのは、ポムポムプリンの側だけではありません。
シナモロールが1位を取った国と地域の数を数えます。2022年は7、2023年は9、2024年は11。ここまで増え続けていました。それが2025年は2です。同じ年、ポムポムプリンが1位を取った国と地域は1から9になりました。
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|
| シナモロールが1位の国と地域 | 7 | 9 | 11 | 2 |
| ポムポムプリンが1位の国と地域 | 2 | 2 | 1 | 9 |
日本国内でも同じ向きの動きがあります。2024年と2025年の両方で得票数が公開されている26体のうち、票を減らしたのは8体でした。その8体に、シナモロールが入っています。割合で見ると、シナモロールは2023年の9.84%から2025年の8.59%へ、1.24ポイント下げていました。
ただし、シナモロールがどこか下のほうへ行ったわけではありません。2025年も14の国と地域すべてで5位以内にいます。2024年に1位だった11地域のうち7地域は、2025年に2位。動いたのは1位の枠で、順位そのものは1つぶんです。
なぜシナモロールが順位を落としたのかは、この記事では説明できません。 海外は順位だけが公表されていて、国と地域ごとの得票数は出ていないからです。ここで書けるのは、落ちたという観測までです。
それでも、順位の入れ替わりを見るときに何を見ればいいかは変わります。上がった側の動きだけを追うと、その年に何かをした体が勝ったように見えます。同じ年の、それまで1位だった側の数字を隣に置くと、順位表の動きの半分はそちら側で起きていたことがわかります。
自社のキャラクターが順位を上げた年も、下げた年も、同じ数え方ができます。動いたのは自分なのか、隣なのか。ここを分けずに施策の成否を判定すると、次の年の打ち手を間違えます。
ここまでは、公表された順位表を外から数えた結果です。会社側の説明と突き合わせます。
2025年の結果発表で、サンリオはポムポムプリンについてこう書いています。
「ポムポムプリンは今年、国内だけでなく海外票も多く獲得し初回速報、中間発表ともに首位をキープ」
同じ発表には「海外順位(国/地域ごと)でも9つの国と地域で第1位を獲得し、14の国/地域すべてでTOP5入りを達成し」という記述もあります。外から数えた「1位の国と地域が9」という結果と、会社が書いている数字は一致しています。
この「海外票」という言葉が結果発表に出てくるのは、原本を確認できた範囲では2025年だけです。翌2026年の発表にも国と地域ごとの順位(「「ポムポムプリン」は9つの国と地域で、「シナモロール」は4つの国と地域で第1位を獲得しました」)は載っていますが、票の話としては書かれていません。会社が票の言葉で海外に触れたのは、1位を取った国と地域が1から9へ動いた年でした。
会社の説明が外からの集計と合うかどうかは、こうして公表資料だけで確かめられます。逆に言うと、公表されていないものは確かめられません。ここでも得票数は出ていないので、海外の票が総合順位をどれだけ動かしたのかは、この記事では出せない部分です。
1位は、その年に取りに行って取ったものではありませんでした。国と地域ごとに2位まで着けている状態を先に作り、上が空いたときに受け取っています。だから自社のキャラクターで置き換えるなら、打ち手は「今年どれだけ伸ばすか」ではなく「どの国と地域で、どの相手の次に着けているか」になります。2位まで着けておく作業は、その年の順位表には成果として出てきません。
参考:2025年サンリオキャラクター大賞 海外(国/地域)順位 - サンリオ
参考:2024年サンリオキャラクター大賞 海外(国/地域)順位 - サンリオ
参考:2023年サンリオキャラクター大賞 結果 - サンリオ
参考:2025年サンリオキャラクター大賞 結果発表 - 株式会社サンリオ
※ 国と地域ごとの順位を上げた数、1位を取った国と地域の数、得票数を減らした体の数と割合の増減は、上記の各年の結果発表ページから当社で集計しました。
キャラクターの設定を細かく決めることは、組める相手を自分から減らす側にも働きます。そして自社でキャラクターを持っている側には、大きなキャラクターを借りる形とは別に、組む側として入れる場所があります。どちらも、予算の大きさとは切り離して点検できる部分です。

割合を長く保っているキャラクターに、共通する条件はあるのか。ポムポムプリン1体からは、条件を並べることまではできません。ただ、担当デザイナーが話している内容には、設定の作り方についての手がかりがあります。
地井明子さんは、ポムポムプリンのデザインについてこう話しています。
「当初からいろいろなポーズのデザインがありましたが、「ポムポムプリン」と言えばこれ! と決めた定番のポーズや洋服があるわけではないので、裸一貫で勝負です(笑)」
決めた定番のポーズや洋服がない、という話です。キャラクターの設定としては、これは詰め切っていない状態に見えます。
ただ、キャラクターを企業や自治体と組ませる場面から見ると、意味が変わります。定番のポーズや衣装を決めていないほうが、相手の商品やイベントに合わせて姿を変えられるからです。設定を細かく決めるほど、その設定に合う相手だけが残ります。
自社のキャラクターの設定を詰めるとき、点検できるのはここです。詰めることで、組める相手を自分から減らしていないか。世界観を固める作業と、組める相手を狭める作業は、同じ作業の裏表になることがあります。
サンリオキャラクター大賞は、サンリオのキャラクターだけが投票される場ではありません。
2026年の結果発表によると、大賞には「企業や地方自治体などのキャラクターとサンリオキャラクターがパートナーを組んだ全40組がエントリーする「パートナー部門」」があります。自社や自治体のキャラクターを持っている側が、サンリオのキャラクターと組んでエントリーする部門です。
ポムポムプリン自身にも、その形の相手がいます。地井さんが話しているとおりです。
「ご縁があり2020年から「ポムポムプリン」が小松市のイメージキャラクター「カブッキー」とコラボし、小松市の応援隊長をしています」
石川県小松市のイメージキャラクターと組んで、市の応援隊長をしています。相手はサンリオでも大手企業でもなく、自治体のキャラクターです。
自社のキャラクターを持っていると、大きなIPとの関わりは「借りる」形しか思い浮かびません。ですが実際には、組む側として入る場所があります。借りる側に回るか、組む側に回るかで、用意するものも交渉の相手も変わります。
この記事の数字が、どこまでのことを言えるのかを書いておきます。
まず、海外について。国と地域ごとに公表されているのは順位だけで、得票数は出ていません。だからシナモロールが順位を落とした理由も、海外の票が総合順位をどれだけ動かしたのかも、この記事では言えません。書いたのは、順位が入れ替わったという観測までです。
次に、割合について。2021年と2024年は総得票数の公式発表を確認できていないため、その2年の割合は出していません。10年ぶんの割合と書いていますが、実際に並べられたのは5つの年です。
そして、票の数え方について。この大賞は1票が1人ではありません。2026年の投票開始の発表によれば、投票サイトからは「各キャラクターへ1日1回投票できます」。
加えて、サンリオショップなどで1,100円以上買うと「550円(税込み)ごとに1回投票できます」とあり、この投票は「集計時に1回の投票が3票分としてカウントされます」。いちご新聞についている投票カードは「集計時に投票カード1枚につき各キャラクター2票分としてカウントします」とあります。
得票数は、その体を支持している人数ではなく、投じられた票の数です。
したがって、ここまで並べた数字から「ファンが何人いるか」「人気がどう動いたか」は出せません。出せるのは、投じられた票と、そこから決まった順位の動きだけです。
最後に、3つの数字を並べ直します。
ポムポムプリンの得票の伸びは、投票全体が大きく膨らんだ2つの年で、比べられる体のなかの最下位でした(2021年から2022年は9体中9番目、2023年から2024年は10体中10番目)。一方、その年の投票全体に占める割合は、2020年の8.85%から2025年の8.89%まで動いていません。そして2025年、それまで1位だった体が1位を取った国と地域の数を11から2へ減らしました。
新しく入ってくる票を取りに行く競争で、この体は毎回いちばん遅い。それでも取り分を落とさずに10年居続けた。だから上が空いた年に、1位が順番として回ってきました。
1位は、伸ばす競争に勝って取るものではありませんでした。取り分を落とさずに居続けた体が、上が空いたときに受け取っています。
自社のキャラクターの打ち手に置き換えると、変えられるのは物差しのほうです。「今年どれだけ伸ばすか」ではなく、「全体が膨らんだ年に取り分を保てているか」「国と地域ごとに2位まで着けられているか」。この2つは、予算の大きさとは別に、自分で点検できます。
参考:4月16日はポムポムプリンのお誕生日! 担当デザイナーにインタビュー - Sanrio Times
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 結果発表(PDF) - 株式会社サンリオ
参考:2026年サンリオキャラクター大賞 結果発表 - 株式会社サンリオ

NOKID編集部
キャラクターIPの専門メディア NOKID Lab の編集部です。アニメーションとキャラクター制作を手がける株式会社NOKIDの知見をもとに、IPの起用事例やコラボ・ライセンスの実務、業界の動きを解説しています。